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僕の周りには変わり種が多い

作者:黒昼白夜
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横浜騒乱編
  第24話 101かよ

七草先輩たち7人が、ステージの裏でデータ消去をしてたのは話でわかったが、そこで発せられた「リンちゃん」って誰?

どうも、いまひとつ緊張感がたもてない。危機感がたりないって、師匠には言われそうだ。だって、こういう時に一番たよりになりそうな十文字先輩が護衛についてきてくれているし。

他校の機器のデータ消去で、達也と深雪のチームと、僕、レオ、エリカに十文字先輩の2つのチーム構成になって、幹比古、美月、ほのかに雫はステージの裏に残っている。

行なうのは各校の機器にデバイスを見つけたら、最初にかけるのはデバイスの下側に冷却エリア、デバイスを加熱エリアにした小規模なエリア魔法の氷炎地獄『インフェルノ』。それだけだと、デバイスは構造を保ってしまうので、加熱エリアの中にもうひとつの魔法、炎雷地獄『ムスペルスヘイム』で一気にターゲットであるデバイスの温度は3000度に上げて、溶かしたり、蒸発させたりするのを、その周囲に振動減速魔法『ニブルヘイム』の小規模エリアを発生させて蒸発したものはそこに逃がして固体に戻すというもの。
氷炎地獄『インフェルノ』をキャンセルし、炎雷地獄『ムスペルスヘイム』でデバイスが構造をたもたなくなったらキャンセルし、残った振動減速魔法『ニブルヘイム』で100度を下回ったら、そこで次の控え室へという手順だ。

規模が小さいといっても、A級クラスの魔法をマルチキャストさせてみせたら、

「ここまでする必要があるのか?」

「はあ。相手にエレクトロン・ソーサリス『電子の魔女』相当の能力があったら、過去に記録された情報も読み取れるとの話ですから、物理的に破壊しないといけないんですよ」

十文字先輩の質問に答えたのだが、

「こちらは任せた」

そういって、他校の控え室から出て行ったのは、ステージ裏に行くのと達也たちに伝えるためだろう。控え室は使用可能だが、ステージは、通信がつかえないからな。

それで2つ目の控え室で、冷却の最中にノック音がした。向かうのは、エリカとレオだが、プシオンの感じから達也と深雪だろう。達也は魔法を隠したいのはわかっているので、入る段階で外側からノックをして、内側からも30秒以内にノックをするということにしてある。

そして、ちょうどこちらの冷却が終わった時に、ドアは開かれた。

「ちょうど、終わったところだよ」

「そうか、こっちも終わった」

「さすがに早いね」

そんな会話をしながら、予定通りに一高の控え室に行くと、まだ、七草先輩たちはいなかった。物理的にデバイスを破損させなきゃいけないという発想がなかったのだろう。
デバイスにはサイオンは効きづらいという性質があるから、あのメンバーで破損できそうなのって、十文字先輩のファランクスか。他に隠している能力が無ければだけど。

そんなことを考えながら会話をしていたら、七草先輩たちが入ってきて、かかった声は、

「まさか物理的に壊す必要があるとは思わなかったよ」

「世の中、知らない魔法ってやっぱり多いね」

「そんなこと、どうやって知ったの?」

うーん。師匠がエレクトロン・ソーサリスとネット・チェイスしていて、知った話だからなぁ。

「師匠に聞いただけです」

理由を聞かなかったことにしておけば、せいぜい聞いてみてくれ、というぐらいの計算は働いていたが、ここは追求されないで渡辺先輩から

「さて、これからどうするか、だが」

これを受けて七草先輩からは周囲の状況を告げたのと、市原先輩からは中条先輩たちが地下通路での遭遇戦にあってはいるが、もうすぐ駆逐できるという情報と、続けて渡辺先輩からは、

「シェルターはどの程度余裕があるのか分からないが、船の方は生憎と乗れそうにない。こうなればシェルターに向かうしかない、と思うんだが、皆はどう思う?」

十文字先輩は、桐原先輩と一緒に逃げ遅れた者がいないか確認の再開をしている中での問いだった。しかし、VIP会議室でシェルターに向かうつもりだったので、あとは誰が1年生の中では言い出すかである。VIP会議室で主にこの話題にふれていた、レオ、エリカ、幹比古そして達也をみると、達也は渡辺先輩とは違う方向をみている。あたりのプシオンをサーチしてみると、たしかに達也の向いている方向には、何かの乗り物に乗って座っているらしい幽体があるのはわかったが、もっとそばに女性と男性の幽体がいるのがわかった。一応、そちらに向けて、シルバー・ホーンを向けた。

そして、2人組の正体を探る前に、達也が自身のシルバー・ホーンを取り出して、例の発散系魔法を人物が乗ったらしい乗り物らしいものに放ったようだ。普段とは違い、多分魔法式だと思うのだが、それのサイオン量が多い。その幽体は、乗り物から落ちたような動作をしている。乗りものごと消したのか?

「……今の、なに……?」

七草先輩の聞きたい疑問ももっともだろうが、そう思った瞬間に、2人組のうち女性が入ってきた。

「お待たせ」

「藤林のお……お姉さんでしたか」

思わず、おばさんと呼びそうになってしまったのは内緒だ。

「えっ? えっ? もしかして響子さん?」

「お久しぶりね、真由美さん、陸名くん」

実際にあって話すのは、2年ぶりぐらいだろうか。藤林響子と師匠の対面時に引き合わせられたことがあるだけ。それを覚えられていて当然だよな。小野遥先生の気配を探査しているときに、こっちにも気が付いていたみたいだから、最低限調べてはいたのだろう。

そして、現れたのは良いとして、服装がなぜだか少尉の階級章をつけた軍服ということだ。この場合、国防軍の野戦用軍服ということで、後ろからでてきたおなじ野戦用軍服を着た男性をみて

『げっ! 九重先生の高弟の風間さん。ってことは101独立魔装大隊か?』

師匠からは、体術だけなら本気をだして互角かもといわしめている人物だ。っていうか、なんで勝ち負けにこだわるんだろうな。一応合気術なのだから、対人相手なら、逃げられる時には逃げればいいのに。
そう思いつつ、そのことに毒されていることに気がついていない陸名翔だった。

少佐の階級章をつけた風間が

「特尉、情報統制は一時的に解除されています」

その言われた先は達也だったが、敬礼をしている。達也の分子ディバインダーに似た結果をもたらす魔法と、先ほどの大量のサイオン量と、101独立魔装大隊に所属している特尉という符号から、思い浮かべたのは、以前師匠から聞いた悪魔の右腕『デーモン・ライト』あるいは、摩醯首羅『マヘーシユヴアラ』。

考えている間に、風間少佐は十文字先輩の方を向き

「国防陸軍少佐、風間玄信です。訳あって所属についてはご勘弁願いたい」

「貴官があの風間少佐でいらっしゃいましたか。師族会議十文字家代表代理、十文字克人です」

十文字先輩の魔法師としての公的な肩書か。そして風間少佐は、一礼をしてから十文字先輩と達也を視界に入るようにして身体の向きを変えた。そして風間少佐の命令で藤林少尉から、現状の周囲の状況の説明があってから、再び風間少佐は達也の件で

「国防軍は皆さんに対し、特尉の地位について守秘義務を要求する。本件は国家機密保護法に基づく措置であるとご理解いただきたい」

達也が特尉であるということと、間接的に『デーモン・ライト』のことをまわりに話すだけでも、国家機密保護法に基づいてスパイ相当の扱いになるという意味も含まれるだろうが、一度、101の方なら内情がわかるつてを持っている師匠に聞くしかないだろう。

達也がドアの方に進んだあとに、皆へと振り返り

「すまない、聞いての通りだ。皆は先輩たちと一緒に避難してくれ」

「少尉、よろしくお願いします」

「了解です。特尉もがんばってくださいね」

そして、達也は風間少佐と一緒に控え室から出ていくかと思ったが、

「お兄様、お待ちください」

行なったことはといえば、達也が深雪の前に片足をひざまづいて、深雪が達也の額に口づけをしただけだ。表面上はそうだが、深雪から達也の霊気を縛り付けていたように視えていた霊気の中の1つのラインは消えた。そうすると一機に達也のサイオンがあふれだした。それが嵐のようにも見えるが、そのサイオンに付随するプシオンは微々たる量だ。プシオンは、ほぼ影響をうけていない。達也の中の獣をしばりつえていたというわけでもないのか?
そして、それとは対照的に深雪の方は、あふれ出ていたプシオンの放出が大幅に減っている。どうも僕が思っていた内容とは、異なる性質の術だったのだろう。

「ご存分に」

「いってくる」

深雪と達也の会話のあと、風間少佐と達也は控え室からでていった。

しかし、達也が『デーモン・ライト』だと師匠は知っていて、勝ってこいって言ってたのだろうか。せめて、勝ち負けの条件をはっきりさせてもらえないと、殺し技をかけたとしても、聞いた通りの話なら、いくらでも復活してくるたちの悪い、妖魔と同じようなもんだぞ。そして、3年前の沖縄戦でのあれも、達也だったのだろうか。



僕らはシェルターへ避難する方向にきまったが、十文字先輩は魔法協会支部へ行くということで、2台のうち1台の車両と8人のうち2人の護衛がついていくというのが、あっさりときまったというか、こういう決断力というのが実戦をくぐりぬけた魔法師というものなのだろうか?

そして、藤林少尉の部下に先導されて、3年生は七草先輩、渡辺先輩に市原先輩。2年生は桐原先輩、五十里先輩、千代田先輩に壬生先輩。1年生はレオ、幹比古、エリカ、美月、深雪、ほのか、雫の僕の総勢15人。シェルターのある駅前広場にたどりつこうとしたが、何かの乗り物に乗った幽体が居る。一応、それまで、定期的にプシオンをサーチしたのが役にたったのだが、気配でも察知できる距離まで近づいた時に、先導している人にむかって、

「この先に乗り物が多分2台あって、動いているみたいですよ」

「それなら私が」

答えたのは、七草先輩だった。知覚系魔法「マルチ・スコープ」はこういう場面で使うのは正しいのだろう。

「直立戦車だわ」

「……そんなもの、一体どこから……」

「それで、生け捕りにしますか?」

「ええ、お願い」

返答は藤林少尉からだ。

行なったのは、幽体を現実の座標に置き換えて、そこに対して振動系魔法を放った。他人には気配をさぐって、そこに放ったと話せば、精度が異なるだけで、違いに大きな差がでるわけではない。まあ、一高の一部の人間は、僕がプシオンをかなり離れた距離でも観れるというのは知っているけれども、そんなに広く知れ渡っているわけでもないから、用心のためだ。

「完了です。普通なら数時間は気絶していますが、強制的に叩き起こすこともできます」

「確かに、動き回っていた2台とも止まっているわね」

こうして、シェルターに向かう途中、七草先輩から広場が陥没していることを聞かされたあとに、シェルターに避難した物は無事なようにみえるけれど、出入り口が埋もれて封鎖されているということ。そして、それを聞いた幹比古が、土精となんらかの感覚共有をおこなっているようで、その結果

「……誰かが生き埋めになっている形跡はありません」

「そうですか。吉田家の方がそうおっしゃるなら確かでしょうね。ご苦労様です」

「いえ、大したことでは」

「――それで、これからどうするんですか?」

藤林少尉のねぎらいの言葉への幹比古の反応が気に入らないのか、エリカは挑戦的な口調だったが、このあと、どうするかは生き残ることとしては重要だよな。
 
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