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剣の世界の銃使い

作者:疾輝
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料理スキル


「聞いて驚きなさい、先週に《完全習得(コンプリート)》したわ」

「なぬっ!」

全員の自己紹介をして一段落した後、キリトがアスナに料理スキルの熟練度を聞いていた。お前から聞いといて、その驚き方もどうかと思うが。

「クロノがアスナさんにS級食材を料理して欲しいんだと」

「S級食材!?」

キリトがアスナに見えるようにウインドウを動かすと、すぐにアスナは目を丸くしていた。美味しいもんなあ、S級食材。俺も捕まえてきてみるかな・・・2日くらいあれば何匹かは捕まりそうだし。

「だめですよ、もう少しで目標金額に届くんですから。それからにしてください」

シリカに窘められる。おかしい、俺声に出してないはずなんだけどな・・・。とりあえず、話に戻るか。

「取引だ。こいつを料理してくれたら一口食わせてやる」

「は・ん・ぶ・ん!!」

キリトが言い終わらない内に、がしっとキリトの胸倉を掴み上げて言う。キリトもそれに驚いて、思わず頷いてしまった。
これは、アスナさんの作戦勝ちだな。クロノはもう少し女性への耐性上げた方がいいと思う。いつか詐欺に引っかかりそうだ。いや、引っかかるな。
二人の言い合いを眺めていると、後ろからレナにつつかれる。

「いいんですか、先輩?」

「何が?」

今のやり取りに何か不満な点あったか?俺が入れるところはどこもなかったはずだが?

「料理スキルなら先輩も完全習得してるんじゃないですか?少なくとも、あれを料理できる程度にはスキル値あったと思いますけど」

「絶対できるの知ってて、聞いてきてるだろ!?」

「「ええ!?」」

俺は藍椿にいた頃に、もう料理スキルは完全習得している。というより、させられた。俺が前に食べたことのあるS級食材、それを調理したのは藍椿時代だった。趣味の範囲でやっていただけ料理スキルだったのに、まあ、メンバーの中で一人だけ料理スキルを上げていたのが災いし、それを調理できるようになるまで上げさせられた。
部屋にこもって、一週間ずっとひたすら料理しかしていなかった記憶は、俺の黒歴史の一つなのだが・・・。それに、レナはそれを知っているし、俺が思い出したくないのも知っているはずだ。絶対確信犯だ・・・。
というか、二人は何を驚いてるんだ?

「「レイト(君)って料理できたの(か)!?」」

あれ?教えてなかったか?てっきり俺は知ってるものかと。

「いや、レイトさんが料理してるなんて、言わなきゃ分かんないと思いますよ?」

「そうか?まあ、いま聞いた通り俺も料理スキルは持ってるし、一年前には完全習得してる」

「一年前!?」

「ついでにS級食材も一個は食ったことがある。さらについでだが俺のスキルスロットの半分以上が生産スキルだぞ?」

「暇人だな・・・」

「おいクロノ。当時は俺だってやりたくてやった訳じゃない」

アスナさんに驚愕の眼差しで見られ、クロノからはあきれた視線を向けられる。天気がいいという理由だけで一日攻略を休むお前には言われたくない。それに・・・。

「先に言っておくが、俺は作らないしいらん。帰ったら新メニューを作る予定だし、少なくとも彼女がいるのに、それ以外の女性の部屋に入るなんて、俺には到底できないな」

「それってどういうことだよ?」

まだ気づかないのか?鈍感なんだか、本当に気づいていないのか・・・。

「お前の部屋にそれを料理できるだけの設備があるのか?あ、俺の部屋を使うのは無しな」

「っ!?」

やっと気づいたか。多分ホームは片付けもしてないだろ?これだから攻略しか頭にないやつは・・・。

「ねえ、レイトくん。さっき、新メニューって言ってたけど何を作る予定なの?」

「あ、それは私も気になります!」

アスナさんからは料理人らしい質問がかかる。同じ料理人としてそこは気になるのだろう。俺も逆の立場だったら聞いているところだ。

「半分挑戦みたいなものですけど、今日は杏仁豆腐でも作ってみようかと」

「へぇ、うまくできたら今度食べさせてくれる?」

「別にいいですけど、自分でも作ろうと思えば作れるんじゃ・・・」

食べさせてくれる?の辺りから俺の方にも護衛の視線が飛んでくるようになった。ただ話してるだけなんだけどなぁ・・・。彼女だって十分強いんだし、過保護すぎるとは思うけど。

「それも、そうなんだけど・・・料理についていろいろ話したいの。料理スキルあげてる知り合いが今までいなかったから」

料理スキル完全習得したなら、俺に作ってもらわなくても作れるのでは?と思ったのだが、アスナさんの考えは別だったようだ。料理談義か、それは俺も興味がある。

「分かりました。じゃあ、次に時間があるときにってことで」

「ありがとね、レイトくん」

「おい、レイト。終わったぞ」

ちょうど良くエギルの方が終わったので、アスナさんとの話を切り上げる。エギルの出した額はっと。

「うーん、もう少し高くならないか?」

思っていたよりは高かったものの、これだと目標金額に微妙に届かない。これだと、あとひと狩りすることになるか?いや、このくらいなら部屋の中のやついろいろ売れば届くか。

「バカ言うな。これでも結構サービスしたんだぞ」

「それもそうか。うし、決まり」

商人相手に欲張っても痛い目見るだけだしな。トレードのOKボタンを押して、買取を終わらせる。
コルが入ったのを確認してから、ウインドウを閉じた。

「シリカー、終わったし帰る・・・」

ぞ、と言おうとしたのだが、目の前でクロノとアスナさんの護衛が何やら言い争っていた。シリカの隣に行き、状況を確認する。

「これ、どういう状況?」

「ただ単に護衛の人の言いがかりですね・・・」

呆れたようにシリカが返してくる。なるほど、アスナさんがクロノを部屋に入れるのを許さないという訳か。なんか、俺がシリカと会った時もこんな感じのがあったような・・・。シリカも同じことを思っているのか、溜息をついていた。

「ともかく今日はここで帰りなさい。副団長として命令します」

アスナさんが無理やり話を締め、クロノを引っ張って出て行く。強引だねー、アスナさんも。ま、頑張ってくださいな。クロノはどがつくほどの鈍感だし。
俺とシリカも、レナとエギルに声をかけてから店から出た。

「それにしてもアスナさん、綺麗でしたよねー」

転移門へと歩いてる途中、シリカが話しかけてきた。

「確かに、あれだけ美人でスタイルもいいとなると、人気は出るだろうな」

最強の武を誇る団長と、カリスマ性を誇る副団長。流石トップギルドってところか。それが彼女に過剰な護衛が付く原因でもあるんだろうけど。だからこそ、彼女の恋は応援したいところだな。

「レイトさんはアスナさんみたいな人が好みなんですか?」

「いやいや、俺はシリカが一番好きだよ」

「私もです」

シリカとの幸せな生活を作るためにも、まずはログハウスだな。 
 

 
後書き
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