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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第五十九話







―――荊州城―――

「桃香、荊州内の治安は比較的良好だったよ」

「そっか。御主人様、見回りありがとうね」

 荊州城の玉座で、椅子に座っていた劉備に天の御遣いである北郷一刀が報告をする。

「でも、劉キさん達が悪政をしていたならもっと治安は悪いはずなのに………」

「桃香の頑張りがあったからさ。桃香が街に積極的に行っていたから皆は桃香を信頼しているんだよ」

 劉備の疑問に北郷が答える。

「そっか~」

 劉備がにへらと笑う。

「じゃあ、俺は朱里と雛里達と一緒に荊州の状況を調べるから」

「えぇ~。もう行くんですか?」

 劉備が北郷に近寄り、北郷の腕を自分の巨乳に挟む。

「と、桃香?」

「何でもないですよ」

 劉備は五分程、北郷にくっついてた。

「ふぅ………全く桃香には困ったな」

 北郷は廊下を歩きながら呟く。

「朱里、雛里。首尾はどうだ?」

 北郷はとある部屋に入る。

 部屋には劉備軍が誇るチビッ子軍師ーズの諸葛、鳳統がいた。

「はわわ御主人様ッ!?」

 二人が咄嗟に何かの書物を隠した。

「まぁ何も言わないよ」

 北郷自身はその書物は八百一本と知っている。

「「はわわ(あわわ)」」

 二人が顔を赤くする。

「それより袁術軍の動きはどうなっているんだ?」

「は、はい。間者からの報告では孫策軍と戦闘中のようでしゅ。あぅ、噛んだ………」

 諸葛が言う。

「そうか………(………おかしい。何でまだ袁術はいるんだ? やっぱり王双が袁術軍の鍵か)」

 北郷は腕を組みながら考える。

「どうかしましたか御主人様?」

「あ、いや何でもない。朱里や雛里は袁術と孫策はどっちが勝つと思う?」

「………私は袁術軍です。やはり一番の武器は大砲だと思います」

「………私も朱里ちゃんと同じ考えです」

「そうか………(くそッ!! 一体何者なんだ王双はッ!?)」

 北郷は心の中で長門を罵倒する。

「(奴は絶対に俺と同じ日本人のはずだ。牙突を教えてもらっただと? ふざけるなよッ!!)」

 漫画やアニメの時期を考えると、王双は北郷に近い歳だと思う。

「(何としてでも王双の秘密を暴いてやる)とりあえず、当面は兵力の増強に練度の向上。国境の監視くらい………いや、朱里」

「ふぁ、ふぁいッ!!」

 諸葛は北郷のいきなりの叫びにビビる。

「間者を袁術軍内に入れてほしいんだ」

「間者を………ですか?」

「あぁそうだ」

「でも何で………」

「袁術軍を内部分裂をさせようと思うんだ」

 北郷は二人にそう言った。







―――砦―――

「ッ!? 姉様ッ!!」

 砦の櫓から状況を見ていた孫権は四斤山砲の砲撃で吹き飛ばされた孫策を見て叫んだ。

「…………………」

 その横で周瑜はただ吹き飛んだ孫策を見て何も行動はしなかった。

 ただ、右拳を強く握り締め、血がポタリと落ちた。

「姉様を助けるわッ!! 思春行くわよッ!!」

「御待ちください蓮華様ッ!! 早まってはいけませんッ!!」

 櫓の階段を降りようとしていた孫権を、周瑜が呼び止める。

「何故止めるのよ冥琳ッ!! 姉様が………姉様の命が………」

「健業を出た時から誰かが死ぬのは覚悟していたはずです蓮華様。それがたまたま雪蓮だっただけです」

「冥琳………貴女は………」

 孫権は信じられない表情をした。

 周瑜はそれには目もくれず、再び倒れている孫策を見た。

 遠目から見ると、孫策はゆっくりとだが起き上がっていた。

 そして、孫策の周りを合肥城から出撃した王双の部隊が取り囲んだ。

「ほ、報告しますッ!!」

 その時、兵士が孫権と周瑜の元へやってきた。





―――孫呉side終了―――






「雪蓮………降伏してくれないか?」

 俺は砲撃で満身創痍の雪蓮に言う。

 雪蓮の服はボロボロで、足からは血を流している。

「………駄目……よ……」

「雪蓮ッ!!」

 雪蓮は南海覇王を構えて俺と向き合う。

「貴方達の事を、私達は裏切った。はいそうですかと簡単には降伏出来ないわ」

「雪蓮………」

「ほ、報告しますッ!!」

 俺も覚悟を決めて雪蓮と戦おうとした時、伝令が来た。

「どうした?」

「と、砦から一騎が出撃してきますッ!! 相手は孫堅ですッ!!」

「何ッ!?」

 伝令の言葉に俺は唖然とした。







 
 

 
後書き
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