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俺の名はシャルル・フェニックス

作者:南の星
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盗人と不死鳥

目の前には森林が広がり、草がはえてる丘に俺らは転送された。

丘にはピクニック用品が置かれており、今すぐにでもキャンプが出来そうだ。

配慮が細けぇな。

作戦はどうしようかねぇ……

『この度フェニックス家、アンドロマリウス家のレーティングゲームで審判(アービター)役を務めさせて頂くことになりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます』

作戦を考えているとグレイフィアさんの放送が入った。

どうやら公平を期すためにサーゼクスさんが第三者である自分の女王を使ったらしいな。

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。
どうぞ、よろしくお願い致します。
さっそくですが、今回のバトルフィールドはご両家の当主様方の意見により、森林の異空間をご用意いたしました』

森林のフィールドねぇ。

ホント意地汚ねぇ。

俺達は山火事ならぬ森火事を起こしてしまわないように気をつけながら戦わねばならないわけだ。

まぁ、相手も遠距離からの攻撃手段が豊富だから、森はあまり得意じゃねぇフィールドってことになる。

けれど、それは森の中に限っての話だ。

草原とかならば相手の有利。

だって相手は気兼ね無く攻撃できるんだから。

そんなに俺に負けて欲しいか、コンチクショウ。

『両陣営、転移された先が本陣でございます。
シャルル様の本陣がフィールドの南側にある丘。
ヴィレーネ様の本陣は北側にある丘。
兵士の方はプロモーションをする際、相手の本陣の周囲まで赴いてください』

『なお、このゲームの制限時間は6時間。
それでは、ゲームスタートです』

リンゴーンリンゴーンと鐘の音が響いた。

「とりあえず、作戦決めるぜ」

近くにあったピクニック用の机にこの異空間の地図を広げ、座る。

白雪は置いてあった発電機のスイッチを理子に入れてもらい電気ケトルで湯を沸かし、これまた置いてあった茶葉で茶をいれる。

たぶん煎茶だろう。

つーか至れり尽くせりだな。

まぁ、それを最初っから使う俺の眷属の面の皮の厚さに呆れるばかりだ。

「おっ、お菓子はっけーん!これ理子の~」

流石泥棒の家系出身荒らすのが早い。

「俺の分も適当に頼む。
恋と黒歌と白雪は?」

「私はお煎餅で」

「んー。スナック系のを適当かにゃん♪」

「……饅頭がいい」

「りょーかいっ」

本当に俺らは図太い神経してるぜ。

観客も呆れてんじゃねーか?

お茶の準備も整い完全にお茶会ムード。

な訳もなく。

そう見せかけて実際は黒歌が本陣の周囲に幻術を使って罠を仕掛けてる。

ま、速攻で攻めてくる気は相手にはないだろう。

相手はレーティングゲーム(実物)の経験者だろうからな。

いくら子供ってなめてるからって無策で突っ込んでくる愚はおかさねぇだろ。

それにヴィレーネの眷属は速攻に向いてねぇ。

速さが足りてねぇから。

だから、じっくりいきましょうかねぇ。

「相手の本隊は森を避けて東か西のどっちかのルートを通るはずだ」

この森林のフィールドは中央に森があり、東と西の両端に戦える程度の広さがある草原がある。

敵は遠距離攻撃が得意。

森の中では木が邪魔で敵の眷属の半分以上がまともに戦えねぇ。

だから、別動隊が少数で来るか、罠を仕掛けるだけで終わるはずだ。「だから、主戦場はどっちかか、はたまた両方か。
まぁ、来るなら両方に分けてくるだろうな。
俺達ナメられてっから」


ただでさえ俺を含めて5名と数が少ねぇんだ。

とれる方策は東西どっちかのルートに全戦力を傾けて突破そして本陣を急襲か、東西のルートを無視して森を通り罠を掻い潜って本陣を奇襲のどっちかしかねぇ。

相手もそう考えてるはずだ。

「敵が本陣に引きこもりになるのはー?」

お茶を啜り、菓子を食べながら理子が訊いてきた。

「それはねぇ。
フェニックス家やアンドロマリウス家よりも格上魔王様や公爵家の方々が見てっからな。
貴族としての面子を保つためには下手な試合は出来ねぇのさ」



貴族ってのは誇りとか面子とかを大切にするからな。

俺としちゃあ、んなもん掃いて捨てちまえって思うんだがな。

ここがリアスやソーナの言う貴族らしくないってところなんかね。

「ふぇー、悪魔ってのもてぇへんだぁー」

「理子ちゃんも悪魔だよ」

と白雪の冷静なツッコミが入り「てへっ」っと理子は誤魔化した。

「ま、だから、作戦は攻めてきた敵を無視するか、殲滅するかってのどっちかなんだが、まぁ、当然決まってるわな」

にやりっと獰猛な笑みで笑う。

さぁ、戦争はこれからだぜ。




◇◆◇◆◇

場所は変わり北側のヴィレーネの本陣にて。

ヴィレーネは笑いを堪えるのに必死だった。

側に控える男の騎士二人も同じような顔をしてる。

何故ならこのレーティングゲームは出来レースでしかないのだから。

悪魔の駒を貰って浮わついて現実を見れていない旦那様(お子ちゃま)が我が儘を言って起きたこのゲーム。

相手の数はたったの5人。

しかも全員が子供。

勝って当たり前、負ける可能性など微塵もない。

勝ちが確定したこのゲーム。

しかも、このゲームに勝てば噂のフェニックスの宝涙を作る旦那様に嫁ぐことができる。

それ即ち金の卵を産む鳥を飼ってるようなもの。

金の成る木を育ててるようなもの。

眷属には近づけさせないようにしてお姉さん風をふかせて体でも差し出しておけば大人を知らないお子ちゃまなんか一ころだ。

もう金を湯水の如く使うことができる。

自分の将来は安泰だ、と。

もう笑うしかない。

本当に親はいい相手を見つけてきてくれたと、ヴィレーネは笑いを堪えきれず笑った。

ちょうどその時、ヴィレーネの眷属の兵士から通信が入った。

『お嬢、東側に現れました!
僧侶、戦車、女王、金蔓の4ですぜ!』

『西側には兵士が1です』

ヴィレーネの作戦は森には罠を仕掛け、東と西に兵士を魔力が使える者、剣で戦う者、銃で戦う者の3名ずつを進ませ、連絡が入り次第、戦車2名、僧侶2名、兵士2名、そして女王を向かわせる。

騎士の2名は万が一に備えて自分の護衛に。

来なかった方のルートにいる兵士は敵陣でプロモーションしてから、背後に回らせればいい。

それで単純に2倍の戦力で戦うこととなる。

おいたの過ぎる旦那様にはちょうどいい薬になるだろう。

「作戦通りにやりなさい。
西側の兵士に関しては潰してから本陣にいきなさい」

『おう!』

『了解』

そうヴィレーネは指示をだしてほくそ笑みを浮かべた。




◇◆◇◆◇

適当に炎の塊をポーイっと投げる。

適当にだから、敵には避けられる。

牽制程度にしかならない攻撃だ。

だが、まぁ、恋や黒歌に戦闘は任せてるのでこれでいい。

ダダダッ、ダダダッっと見た感じアサルトライフルでこっちを銃撃してくる。

点でしかないし、俺は空を飛んでるので楽々と避ける。

あてたいなら面で撃たねぇとあたらねぇよ。

「恋!突っ込むにゃ」

「……ん」

敵の銃持ち兵士が俺に気をとられてるのをいいことに黒歌が恋を突撃させる。

おい、俺を囮に使うなよ。

一応おめぇらの王なんだが……

そんなこと気にもとめず、恋は体に氣を漲らせ走る。

魔力使いの兵士が氷柱(つらら)のような物を放ち、銃持ちの兵士が銃弾を放とうとする。

「邪魔させるワケないでしょ」

が、氷柱(つらら)は黒歌が左手で放った魔力弾により粉砕され、銃持ちは黒歌が右手で放ったマシンガンのような魔力弾で阻害され、恋の接近を許す。

「――なぁ!?」

「――ック!」

「ハッハッハッ、こんなチビ一人で何ができるって――――うおぁぁぁぁぁ!!?」

「……邪魔」

剣持ちの兵士が何か言いながら前に出てきたが、恋が方天画戟を一振りで吹き飛ばされ、黒歌の追撃が決まり、光に包まれ消えて行った。

噛ませ犬感半端ねぇやつだったな。

ギャグキャラか?

んなわけねぇか。

その後は前衛がいない後衛が何かできるわけもなく、銃持ちは撃ち尽くしたところで恋に斬られ、魔力使いは黒歌の魔力弾により光となって消えていった。

「らくしょーだったにゃん♪」

「……弱い」

頼もし過ぎんだろ。

ま、とりあえず、前哨戦は勝ちだな。

『ヴィレーネ・アンドロマリウスさまの兵士3名、リタイヤ』


◇◆◇◆◇

西側にて

「うわぁぁぁぁん!!
眷属いじめはんたぁぁぁい!!
魔王様に訴えてやるぅぅぅぅ!!」

理子の絶叫が響き渡る。

走る、走る。

諸手をあげて逃げる。

たまに止まって両手に持つワルサーP99から銃弾を放ち、逃げる。

悪漢に追われるか弱い少女のように逃げる。

まぁ、か弱い少女がハンドガンを2挺も持ってるわけがないというツッコミは置いてといて、とにかく逃げる。

ヒラヒラとしたフリルが多い服を翻しながら悪漢から逃げる。

悪漢たちはまるで狩りのような現状に悪どく下種びた笑みを浮かべながら、銃持ちは銃を放ち、魔力使いは魔力でできた水弾を放つ。

ひねくれたことに足や当たらないギリギリのところを狙いながら。

まさに外道、まさに悪役。

さぁ、か弱い少女の走る先には少女を救う白馬の王子様はいるのだろうか!?


「うえぇぇぇぇぇぇん!!
シャーくんのバカぁぁぁぁぁぁぁ!!
取って置きのハーゲンダッツのグリーンティー味食べたからってひどいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

……白馬の王子様にしては小さい理由である。


因みにこれを観ている魔王様(サーゼクス)は苦笑いしているぞ!


◇◆◇◆◇

どうやら、俺達の作戦通りにいったらしいな。

あとは俺達がどんだけ相手の眷属をここに縛りつけておけるか、理子が上手く逃げれてるか。



そして――――









白雪が王を取れるか。






チェックメイト。


俺の女王様はちょっとヤンデレ気質だかんな。

てめぇに怒りの炎を止められるか?

かなり熱いぜ?

ヴィレーネ・アンドロマリウス。






 
 

 
後書き
レーティングゲームの終幕ははっきりいって長くなります。

できる限り短くするつもりですが、無理そうです。

あと、明日は少し無理かもしれませんので土曜に投稿することになるかもしれません。

そして来週から3週間ほどはよくて週2程度の更新となります。

原作へは、次のレーティングゲーム終幕を終えますと、あと1話入れて原作となります。

気分しだいでは変わることもあるかもしれません。

それでは今後ともよろしくお願いします
 
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