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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
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プロローグ 少年は戻り、真の物語が始まる

周りには何もない、ここは次元航行艦『アースラ』内の訓練室。

そこで二人の少年が対峙していた。

いや、正確に言えば一人は蹲り、もう一人がそれを見下している。

蹲っている少年は銀髪をたなびかせているが、その様子を見るにボロボロだ。

見下している少年は青いコートを羽織り、茶髪をしている。

見下している少年が銀髪の少年に近づき、彼の首元にあるネックレスを奪い取る。

「これは貰っていく、二度と関わらないでほしいね!」

そういって茶髪の少年は立ち去ろうとする。

(く、くそ……俺は、やっぱり勝てないのか……()()()()()を十全に扱えない俺には……)

銀髪の少年は蹲りながらも拳を握り締める。

悔しいのだ、自身の力が自分の体に合わないのだから。

(なあ、イヴ?あいつは、大丈夫なのか……?)

(わかりません、あの方は、既に壊れてしまっていましたから……)

銀髪の少年は今は茶髪の少年に奪い取られてしまった自身の貸し与えられたデバイスと念話で会話する。

(確か、もう時間なんだよな……?)

(はい……)

(そうか、とりあえずあいつに忠告でもしとこうかな……)

銀髪の少年はそう念話で伝えるとゆっくりと立ち上がる。

「…?まだ動けたのか」

茶髪の少年はうざったいとでも言うかのように顔を顰める。

「一つ、忠告しとくぜ……」

「忠告、だと?」

「ああ、忠告だ……あいつを怒らせたら、死ぬぜ……お前……」

そう言い残して銀髪の少年は今度こそ倒れ伏した。

「ふん、口から出任せか……」

そう吐き捨てて茶髪の少年は今度こそ立ち去ろうとするが



























ドクン…………ドクン…………。

























その足を止めてしまった。






















ここは、少年の心の中。

その心の中を落ちていくのは先ほどの銀髪の少年、神楽院(かぐらいん) 紗華(さが)

「ああ、終わったんだな……俺の役目は……」

そして、そんな彼とは対照的に昇っていく少年がいる。

黒髪黒目のいかにも日本人といった感じの男子だ。

「もう、大丈夫なのかよ……」

紗華の言葉に黒髪の少年は首を縦に振るだけで何も答えない。

「そうか……無理、すんなよ……」

そう言うと、黒髪の少年はどんどん昇っていった。

「へっ……ホント、手間のかかる人生だったな……まあ、これからはお前の物語になるけどな」

そう言うと、紗華はどんどん落ちていく。まるで、死ぬかのように。

「お前にはいろんな人がいる事を覚えておけよ……(ぜん)……」

そう言って、紗華は全てを諦めたかのようにそっと目を閉じた。


















(何だ……?)

少年……高宮(たかみや) (ひじり)は振り返る。そこには先ほどまでと同じように銀髪の少年が倒れ伏している。

しかし、彼の手が僅かだが動いている。

いや、彼はそれに驚いてはいない。

彼が驚いているのは……目の前で倒れている彼が出している雰囲気が先ほどまでとは全く違うものになっているからだ。

それを証明するかのように、彼の髪の色が黒くなっていく。

まるで、そちらが本当に色かのように……銀色が塗りつぶされていく。

そして先ほどまで銀髪だった髪を黒色に染めた少年が……立ち上がった。













黒髪の少年は立ち上がると、まず手を二、三回握る。

そして体の各所を触り始めた。

「何をしたいのかわからないな。さっきまでの銀髪は染めてただけだったって事か」

聖は何か言っているが黒髪の少年……全の耳には届かない。

(記憶の通り、年齢は9歳……筋力が少し落ちているか。まあこの程度は誤差の範囲内だな)

と、全は首に掛かっている筈の相棒がいない事に少し慌てたが直前の記憶を思いだし、目の前にいる少年の手を見る。

そこには紛れもない、自身の相棒がいた。

「聞こえているか、俺のデバイス」

『マイスター…?マイスターなんですね!?』

全のデバイスは感極まったかのような声で確かめる。

「ああ、そうだ。待っていろ」

そう言うと全は少しだけ腰を落とす。取り戻そうとしているのだろう。

「そんな離れた距離からこれが取れるとでも思ってるのか?」

聖は余裕の表情を崩さない。

その余裕の理由としてはやはり距離が開いているからであろう。

全と聖の距離は低く見積もっても二十メートルは空いている。

この距離を詰めるには最低でも十秒は必要だろう。

しかし……聖が気づいた時には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「なっ!?」

聖は驚いて全の手元を見る。そこには先ほどまで自身が握っていたデバイスが握られていた。

「おかえり、元の名前に戻してやらないとな……個体名称、再登録。個体名ムーン・アサシン。愛称はシンだ」

『イエス、マイスター……おかえりなさい、マイスター』

「ああ、ただいまシン」

全は慈愛のような瞳を自身のデバイスであるシンに向ける。

「お前っ!一体何をした!?」

そんな場面を壊したのは聖の怒声だった。

「お前にはあんな魔法はなかった!何をした!?」

全はその質問には答えず首にムーン・アサシンを掛ける。

「能力は、以前と同じか?」

『はい、マイスターのみにしか扱えない能力なので』

「質問に答えろ!」

そう叫ぶと聖は自身の剣を振りかぶって全に突撃する。

全はそれを一瞥すると、浅くため息を吐き
















「そんな動きで、俺を止めれると思うな」












一瞬で聖の後ろを取ると、手刀を聖の首元に打ち込む。

その衝撃に、聖は耐えきれず気絶した。 
 

 
後書き
はい、始まりました、自分的には結構重い設定を主人公が持っている話。

リリカルなのは~絆を奪いし神とその神に選ばれた少年~次回、第一話 本当の意味での再会

の前に設定を入れます。 
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