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大陸の妖精

作者:sinの妖精
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決意の装束 エルザvs斑鳩


アルトたちが三羽鳥の一角を打ち取った時と同時刻


ショウはカードに閉じ込められたエルザと共にジェラールの元へ向かおうとしていた



ショウ「ジェラール・・・くそォ・・・くそォっ!!!!」


エルザ「ショウ!!落ち着け!!」


ショウ「よくもオレたちを騙して・・・姉さんをキズつけて・・・」


エルザ「いいから落ち着くんだ!!!私をここから出せ!!!」


血相を変えて走るショウを必死で止めようとするエルザ


しかしショウはエルザの言う事をまるで聞こうとしない



ショウ「大丈夫だよ、姉さんはオレが守る・・・絶対に」


エルザ「ショウ!!」


すると突然ショウが走る足を止める


ショウの前方には桜色の髪をなびかせ、綺麗な着物を着た女性が立っていた



斑鳩「うちは斑鳩と申しますぅ、よしなに」


ショウ「どけよ、何だこのふざけた奴は」


斑鳩「あらぁ・・・無粋な方やわー」


ショウ「てめぇなんかに用はねえ!!!」


ショウが斑鳩に向かってカードを投げつけ攻撃する


それを見た斑鳩は手に持っていた刀を抜き、飛んでくるカードを全て斬り裂いた



ショウ「バカな・・・」


斬られ、地に落ちるカードを見てショウが驚く



斑鳩「うちに斬れないものはありません」


ショウ「がはぁ!!!?」


斑鳩がそう言った瞬間、ショウの身体に切れ込みが入る


そして切り口から血が噴き出し、ショウはその場に倒れ込む



ショウ「い・・・いつの間に・・・」


エルザ「ショウ!!!」


ショウ「姉さん・・・」


斑鳩「あらぁ、そんな所におりましたん?エルザはん」


ショウのポケットからエルザが閉じ込められたカードが飛び出す



エルザ「今すぐ私をここから出せ!!!おまえの勝てる相手じゃない!!!」


ショウ「安心して・・そのカードはプロテクトしてある・・絶対に外からキズつける事はできないんだ」


斑鳩「へぇ・・」


ショウの言葉を聞いた斑鳩が笑みを浮かべて、剣を構える



エルザ「ショウ!!!私を出せ!!!奴の剣ただ者じゃない!!!」


ショウ「大丈夫・・・信じて」


斑鳩がカードに向かって斬撃を放つ


斬撃はカードに直撃し、弾かれた



ショウ「ホラ・・」


斑鳩の攻撃を弾くのを見たショウが安心した表情で言う


しかし、次の瞬間ショウは驚愕の表情を浮かべた



ショウ「カードの中を・・・空間を超えて斬ったァ!!?」


見ると、斬撃がカードの中に入り込み、中に閉じ込められているエルザを襲っていた


斑鳩の攻撃を弾いたのはカードの力ではなかった


カードの中に閉じ込められているエルザ自身が剣を使って弾いていたのだった



斑鳩は遠慮なく、動きが制限されているエルザに向かって次々と斬撃を放つ


しかし、しばらく攻撃が続いた後、エルザがカードの中から飛び出してきた



ショウ「え・・!!?」


エルザ「貴様のおかげで空間に歪みができた、そこを切り開かせてもらった」


ショウ「(すごい・・・空間を超える剣を利用してカードから脱出するなんて・・・見事すぎて言葉が見つからない・・・)」


ショウが目に涙を浮かべながら、エルザを見る



エルザ「貴様に用は無い、消えろ」


斑鳩「・・・クスッ」


エルザの言葉の後、斑鳩がクスリと鼻で笑った


するとエルザの纏っていた鎧が粉々に砕けた



エルザ「なにっ・・!!?」


斑鳩「あいさつ代わりどす・・・あれ?もしかして見えてませんでした?」


鎧が砕けるのを見て、エルザとショウは驚いた様子で斑鳩を見ていた



ショウ「(ど・・どんな速さの剣なんだよ・・姉さんにも見えてなかった?)」


斑鳩「見つめるはー、霧の向こうのー、物の怪かー♪・・・ジェラールはんを探すあまり、今・・・自分が見えない剣閃の中にいる事に気づいていない」


するとエルザは表情を切り替え、本気の眼差しで斑鳩を見据える



斑鳩「そうそう、その眼」


ショウ「(姉さんも本気になった)」


斑鳩「うちは路傍の人ではありませんよ」


エルザ「そのようだな、敵だ」


そう言ったエルザは戦闘用の鎧を換装する



斑鳩「参ります」


エルザ「天輪・循環の(サークルソード)!!!!」


斑鳩「無月流・・夜叉閃空(やしゃせんくう)!!!!」


エルザが操っている剣を全て切り刻む斑鳩



エルザ「くっ・・・剣が全部・・・!!」


同時に、エルザが換装していた鎧もボロボロに砕かれてしまった



エルザ「かはっ」


ショウ「姉さん!!」



斑鳩「無月流、迦楼羅炎(かるらえん)!!!!」


エルザ「換装!!!炎帝の鎧!!!」


斑鳩の放つ炎の太刀を耐火能力の鎧で防ぐ



斑鳩「耐火能力の鎧どすか?よく、あの一瞬で換装できたものどす」


エルザ「うあっ」


しかし、またもやエルザの纏った鎧はボロボロに崩れ去った



斑鳩「どうです?そろそろ最強の鎧をまとってみたら」


ショウ「バ・・バケモノめ・・・」



エルザ「この姿を見て立っていた者はいない、後悔するがいい・・・『煉獄の鎧』換装!!!!」



斑鳩「それが最強の鎧どすか?」


そう言った斑鳩は目にも止まらぬスピードでエルザの横を通り過ぎた


するとエルザの換装していた鎧は粉々に砕け、エルザはその場に倒れ込む



斑鳩「おわかりになったでしょう?」


ショウ「(勝てない・・・姉さんじゃ勝てない・・・)」


斑鳩「どんな鎧をまとおうが、うちの剣には勝てませんよ・・・あきらめなさい」


しかしエルザは、よろめきながらも立ち上がる



そして今度はぶ厚い鎧ではなく、薄い装束衣装を換装した



斑鳩「・・・何のマネどす?その装束からは何の魔力も感じない・・・ただの布きれどす」


ショウ「布きれ!!?」


斑鳩「あれだけの剣閃を見せてあげたのに、うちもなめられたものどす」


ショウ「姉さん、どうしたんだよ!!まだ強い鎧はたくさんあるだろ!!!姉さんはもっと強いんだろ!!!!」


装束をまとったエルザに向かってショウが叫ぶ



エルザ「私は強くなどない」


エルザは落ち着いた声でそう言った



エルザ「弱いから、いつも鎧をまとっていた・・・ずっと脱げなかったんだ・・・」


斑鳩「たとえ相手が裸だろうと、うちは斬りますよ」


エルザ「鎧は私を守ってくれると信じていた、だがそれは違った・・・人と人との心が届く隙間を・・・私は鎧でせき止めていたんだ」


ショウ「(姉さん・・・)」


エルザ「フェアリーテイルが教えてくれた、人と人との距離はこんなにも近く、温かいもなのだと」



エルザはアルトの顔を思い浮かべ思った


エルザ「(そして、その温かさを何よりも大切にしている男を・・・私は知っている)」



斑鳩「覚悟ォ!!!!」


エルザ「もう迷いはない!!!!私の全てを強さにかえて討つ!!!!」




二人は同時に走り出し、互いの身体を斬り裂いた




しばらくの沈黙が訪れる




斑鳩「勝負あり」


エルザ「・・・ぐっ・・・!!」


エルザの腕から血が噴き出した



斑鳩「・・・ごぷっ!!?」


しかし、斑鳩からは更に大量の血が噴き出した


斑鳩は絶叫しながら、地面に倒れる



ショウ「すごい!!やっぱ姉さんはすごいよ!!」


斑鳩「み・・見事・・・どす・・・」


エルザ「ハァ・・・ハァ・・・」



斑鳩「うちが・・負けるなんて・・ギルドに入って以来・・初めてどす・・」


倒れた斑鳩は途切れ途切れに言葉を発する



斑鳩「しかし・・あなたもジェラールはんも・・負けどすわ・・・15分・・・」


エルザ「!!」


斑鳩「落ちてゆくー、正義の力はー、皆殺しー・・・ひどい(うた)・・・」


そう言い残し、気絶した



エルザ「15分!?エーテリオンの事か!!?」


ショウ「ね、姉さん・・・」


エルザ「ショウ、ケガは平気か?」


ショウ「う・・うん・・・なんとか・・・」


ショウは心配そうな表情でエルザを見ていた



エルザ「今すぐシモンたちや私の仲間たちを連れて、この塔を離れるんだ」


ショウ「えっ・・・で・・でも・・・」


エルザ「私の言う事が聞けるな、ショウ」


微笑みながらショウに言うエルザ


そんなエルザの姿を見たショウはただ黙って頷くしかなかった



ショウ「姉さんは?」


エルザ「決着をつけてくる」


そう言ったエルザの瞳には死への覚悟と決意が宿っていた


 
 

 
後書き
今回アルトが一度も出てこない・・・(汗) 
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