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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第五十七話






ドスッ!!ドスッ!!

「グェッ!?」

 俺の横にいた兵士が胸を射たれて倒れた。

「看護兵ッ!!」

 俺は咄嗟に兵士を抱えてその場から鉄盾で防御している部隊に逃げる。

「大丈夫かッ!!」

 俺は負傷した兵士を見るが、兵士の胸には更に数本の矢が刺さっていた。

「………くそッ!!」

 俺はそう言いつつ、駆けつけた看護兵に負傷兵を任せた。

「隊長ッ!!」

 その時、凪と星が来た。

「どうした?」

「孫策軍の主力部隊が近づいてきますッ!!」

「………予定通りか。部隊を分ける。凪は部隊を率いて、砦からの攻撃を備えつつ撤退準備に移れ。星は俺と一緒に主力部隊に突撃するぞ」

「分かりました主。存分に暴れましょう」

 星は笑う。

「よし、なら行くぞ」

 俺は見えてきた孫策軍の主力部隊に向けて刀を突きつけた。

「目標孫策軍主力部隊ッ!! 突撃ィィィッ!!」

『ウワアァァァァァーーーッ!!』

 凪の部隊は砦を攻撃しつつ撤退準備に入り、俺の部隊は進撃してくる孫策軍に向かって突撃を開始した。






「らアァッ!!」

「ぎゃッ!?」

 俺は孫策軍兵士の斬撃を避けて相手の左肩から右脇腹を斬り、孫策軍兵士は血を噴き出しながら倒れた。

 げ、返り血がついた。

 まぁ拭く余裕もないしな。

「久々に………牙突ッ!!」

「ガァッ!!」

 俺は脚に氣を送り、槍を構えていた敵兵士の左脇腹を突き刺す。そして平突きに移行して腹を斬りさいて腸を露出させて倒す。

「主ッ!!」

 その時、星が敵兵士を薙ぎ倒しながら俺に近寄ってきた。

「そろそろ宜しいのでは?」

「確かにそうだな。それじゃあ………倒れるか」

 俺はその場で倒れた。

「王双が負傷したッ!!」

 俺が倒れるのを見ると星は叫んだ。

 その瞬間、袁術軍の士気が低下した。

「??」

 孫策は急に動きが鈍くなった袁術軍を不審に思った。

「王双様が負傷したッ!!」

 それを聞いた孫策は直ぐに動いた。

「敵は怯んだッ!! 突っ込めェッ!!」

『ウワアァァァァァーーーッ!!』

 活気づいた孫策軍は袁術軍を攻撃する。

「「全部隊撤退ッ!! 合肥城まで撤退だッ!!」」

 凪と星はそう叫んで、袁術軍は撤退を開始した。

「待て雪蓮ッ!!」

「あら冥琳」

 追撃に移ろうとした孫策の元に周瑜が来た。

「追撃するのか?」

「えぇ。何故だか分からないけど、王双が負傷したらしいわ。この機会を逃したら孫呉は負けるかもしれないわ」

「無茶だッ!! あの王双がそんな簡単に負傷して軍を撤退させるはずかないだろうッ!!」

 周瑜が孫策に具申をする。

「分かっているわ。だから調べる必要がある。明命も行方不明。なら………」

「………分かった。ただし、危険と思ったら直ぐに撤退する事。いいわね?」

「ありがとう冥琳」

 孫策は周瑜にそう言って、追撃を開始した。





「急げッ!! 早くしないと孫策軍が来るぞッ!!」

 城門のところには星が指揮をしていた。

「おや主。手当ては済んだのですか?」

「まぁな。けど、わざと倒れたのに怪我をするとは思わなかったぞ」

 俺は包帯が巻かれた左腕の上腕を見た。

 わざと倒れて撤退する時、星におんぶされて戻ろうとしたんだが、その途中で流れ矢が左腕の上腕に刺さった。

 ………まさかふりのはずが怪我するとはな………。

「隊長ッ!! 全兵士、城に入りましたッ!!」

 伝令の兵士が報告してきた。

「よし、城門は締めろ」

「はい」

 城門は直ぐに締められて、俺と星は上に移動する。

「状況は………と」

「もうすぐ奴等は地に落ちますな」

「そうだな」

 星の言葉に俺は頷いた。

『ウワァァァァァーーーッ!!』

 孫策軍は何も知らずに突撃をしてくる。

「??」

 孫策は城に閉じ籠った袁術軍を見て不審に思った。

ゾクゥッ!!

 その瞬間、孫策は背中に冷たい何かを感じた。

「全隊止まれェッ!!」

 孫策はそう叫んだ。

 しかし、急には止まれない。

ズボッ!!

 何かが孫策の耳に聞こえた瞬間、突き進んでいた前方の兵士達が一斉に姿を消した。






 
 

 
後書き
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