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第五章

「あの二人付き合ってるの」
「あの人無愛想なのにちゃんと彼女いるのね」
「しかもあんな可愛い人と」
「中々隅に置けないわね」
「多分だけれどね」
 寿子はカウンターの中の二人を見つつさらに話した。
「私はそう見るわ」
「ふうん、そうなのね」
「水野さんはそう見るのね」
「というか水野さんもね」
「こうした話好きなのね」
「それに好きな俳優さんのことも言ってくれたし」
 このことにもだ、彼女達は気付いたのだった。寿子の先程の言葉を思い出して。
「成程ね」
「水野さんも結構ね」
「私達と同じなのね」
「全然違うと思ってたけれど」
「同じなのね」
 ここで寿子に親密感を感じてだ、それでだった。
 お茶が来てそれを飲みつつ寿子に尋ねていった、彼女の好み等をあれこれと。それはこの日だけではなくだった。
 色々と話をする様になった、それは最初は部活や部活の後の下校や喫茶店といった時だけだったがそれが次第にだった。
 クラスでも話される様になった、そして。
 その寿子を見てだ、茶道部以外の女の子達も言った。
「あれっ、水野さんって」
「ひょっとしてお話しやすい人?」
「何か付き合いにくいイメージあったけれど」
「それがなの」
「実は」
「あっ、いい娘よ」
 その女の子達にだ、茶道部の娘がにこりとして答えた。
「実際にお話するといい娘なのよ」
「そうなの?」
「頭がよくて何か違う感じがしたけれど」
「それがなの」
「違うの」
「一緒よ、確かに頭はいいけれど」
 寿子の学校の成績は変わっていなかった、部活に入っても。
「それでもね」
「別に私達を馬鹿にしてるとかないのね」
「成績が悪くても」
「そうしたこともしないから」
 寿子にそうした考えはない、こうしたことは人は人、自分は自分だと思っているのだ。茶道部の娘はこのことも話したのだ。
「もう本当にね」
「いい娘なのね」
「優しいのね」
「凄く優しいから。それにお茶大好きなのよ」
「ああ、だから茶道部にも入ったのね」
「そのこともあって」
「茶道の方もね」
 こちらの話にもなった。
「初心者だけれどね」
「初心者でもなの」
「腕がいいの」
「正座にも平気でね」
 それで、というのだ。
「お茶が大好きだからどんどん上手になってきてるの」
「へえ、そうなの」
「意外と人間味あるのね」
「何か頭良過ぎて近寄りにくいイメージあったけれど」
「実はなの」
「いい娘だから」
 こう話すのだった、寿子のことを。
「だから皆もお話してみて」
「ええ、じゃあね」
「それじゃあね」
「ちょっと私達もね」
「水野さんとお話してみるわ」
 こうして茶道部以外の娘達も寿子と話をしてみた、そして寿子を知って彼女達の間でも話すのだった。
「確かにね」
「意外とね」
「明るくてね」
「ドラマ好きで」
「流行にも敏感で」
「ファッションにも興味あって」
「普通よね」
 このことを知ったのだった、寿子のそれを。 
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