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双子星

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第七章

「この話に乗らない筈がない」
「ならば最大限に利用し」
「利益を得るのですね」
「そうさせてもらう、その捕虜を得たこともだ」 
 それもだというのだ。
「そなた達二人の武勲だ」
「我々の、ですね」
「まさに」
「そうだ、そなた達二人によって我が国は勝ち」
 王は二人に言っていく。
「さらにだ」
「捕虜という外交カードを得た」
「そう言って頂けますか」
「そなた達兄弟は共に名将であり国の宝だ」
 軍を率いるソドムだけでなくだ、ゴモラもだというのだ。
「その功績は同じだ、どちらもな」
「有り難きお言葉」
「そのお言葉身に染み入ります」
「そなた達二人に共に多くの褒美をやる」
 王は満足したまま言った。
「何でも好きなものを言うのだ」
「はい、では」
「さすれば」
 二人は多くの金品を王に所望し王も応えた、領地や宝は手に入れなかったがこのことについてはだ。
 ソドムとゴモラは二人だけになった時にだ、密かに話した。
「多くのものは求めるべきではないからな」
「領地や宝はな」
「金ならどうとも思われない」
「金は金だ」
 それ以上のものではないというのだ。
「金を所望していればな」
「それにのみ価値を見出すものとみなされるからな」
「領地は力になる」
 そこから得られるものでだとだ、ソドムは言うのだった。
「そして宝もな」
「あると羨ましがられる」
 つまり妬まれるとだ、ゴモラが言った。
「他の者達にな」
「下手に力があると王に疑われる」
「妬まれると陥れられる」
「金位ならばな」
「欲が深いと思われるにしてもな」
「使えば終わりだ」
「そうしたものだ」
 領地や宝とは違い、というのだ。
「金さえ貰えればそれでいい」
「それで済む者と思われるなら疑われることも妬まれることもない」
「だからこれからもな」
「褒美は金だけでいい」
 実際に二人はこれまでも褒美は金だけを求めてきている、そうして王や周りの者からは金のみが好きだと思われている。
 そしてそれこそがだ、二人にとってはなのだ。
「身の保身にもなる」
「しかも使える」
「ならこれからもな」
「我々は金のみを求めよう」
 褒美でもだ。
「我等二人が共にいる為に」
「その為にもな」
「国の為に働く為にも」
「そうしていこう」
 こう話したのだった、二人だけの時に。
 王はソドムだけでなくゴモラも理解し重く用い褒美も弾んでいた、そして。
 二人はそれをわかっていてそのうえでだ、二人はあえて金だけを褒美に貰い欲の程度も見せて身を守った、そうして自分達も守りつつ国の為に戦うのだった。


双子星   完


                           2014・9・21 
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