| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十四話 休日

 
前書き
少し大輔達を休ませます。

すずか「はい、食事が出来ました」
アリシア「うわあ!!チーズフォンデュだあ!!」
大輔「へえ、美味そうだな」
賢「うん。チーズはトロトロだし、肉も野菜もいい感じだね」
ルナモン[美味しいよすずか!!]
ギルモン[お代わりが欲しいぞ…]
ワームモン[一人で食べないでよね…]
ルカ「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
フェイトが来たこの日から、大輔の母親は実に上機嫌だった。
そう彼女は昔から娘と、料理したり買い物をしたりと色々夢を持っていたのだ。
だが長女のジュンはあの通り一緒に料理などもってのほかだった。
だが、フェイトは容姿だけではなく気立てもいい、まさに彼女が思い描いていた理想の娘だった。
嬉しそうな妻の様子に、父親は一つ溜息を漏らす。
フェイト「あ、あの…おじさんのお弁当…私が作ったんです。お口に合えばいいんですけど……」
にっこり微笑む。
父親は息子の恋人の優しさに涙が流れる。
「義娘(むすめ)っていいなぁ……」
ジュン「私が娘じゃない」
涙ながらに語る父に、ジュンは突っかかっていた。
共に朝食を取ったその姿はまさしく円満家庭その物だった。
「おっと、もうこんな時間か…じゃ母さん行って来るよ。」
「はーい、行ってらっしゃい。」
お茶を啜りながら受け答えする妻に一抹の寂しさを覚えながらも席を立つするとフェイトが呼び止めた。
フェイト「おじさん、お弁当忘れてますよ、気を付けて行ってらっしゃい。」
にっこり、微笑みながらの見送りに父親の心境はまさしく、神様ありがとうだったりする。
父親が仕事に出てから大輔はフェイトと一緒に朝食の後片付けをしたり、洗濯物を片づけたりと。
家事をテキパキこなしていく。
大輔「今日は休日だし、フェイト。おやつに何が食いたい?」
フェイト「私、大輔が作ったアップルパイが食べたい。あれ好きなの」
大輔「ああ、分かった。」
確か、貰った林檎があったからそれを使おう。
ブイモン、チビモン[[……………]]
物陰から食べたそうに、大輔とフェイトに視線を突き刺すブイモンとチビモン。
苦笑しながら受け止める二人。






























そして一乗寺家でも、歩けないはやてのために、賢が朝食を用意していた。
賢「はい、お待ちどおさま」
はやて「頂きます!!…うん、賢兄の料理はメッチャ美味しい!!」
賢「そうかな?僕からすれば、君の料理の方が美味しいと思うけど…」
はやて「そんなことあらへん。私からすれば賢兄の料理の方が美味しい」
賢「…はやて」
はやて「…自分で自分に作る料理はなんか味気なく感じてしまうんよ。」
賢「確かにね…じゃあ、僕にとってははやての。はやてにとって僕の料理が美味しいと感じる。どっちも一番だね」
はやて「せやな!!」
ワームモン[賢ちゃん、デジタルワールドに行って、ダークタワーを壊そう]
賢「そうだね」
はやて「だーくたわー?」
初めて聞く単語に疑問符を浮かべる。
賢は苦笑してダークタワーの説明をはやてにする。
デジモンカイザーのことも含めて全部。






























大輔「ほい、後は焼くだけだ」
フェイト「うん」
パイ生地はフェイトが一生懸命こねた物だ。
表面の網目を作るのは、手先の器用な大輔の担当。
リボンみたいな生地を使って丁寧に、綺麗に編んでゆく。
ジュンも大輔の母親も綺麗に編んでいく大輔の器用さに感心していた。
フェイト「何とか、その技術を盗めないかなあ?」
フェイトはどうもこの作業だけは苦手で、自分でやるとどうしてもこんがらがってしまうのだった。
だからここだけはいつも大輔の仕事。
悔しそうに観察する彼女の前で、大輔は笑みを深くしたまま見事にパイを編み上げてゆく。
女性陣もやってみるが、彼女達がやったところは見るも無惨な結果に終わった。
フェイト「どうして上手くいかないかなあ?」
大輔「ふふふ…これが俺の実力だ。さてと…焼くか」
オーブンに入れて、パイを焼く。
しばらくすると、香ばしい香りが鼻腔を刺激し、口内に唾液が溜まる。
ブイモン、チビモン[[…………]]
すぐさま食べられるように身構える二匹の姿はまるで獲物を狙う肉食獣の如く。
不満そうなフェイト達の表情も甘い甘いパイの味に幸福そうに表情を和らげるのだった。






























はやて「つまり、賢兄はデジタルワールドにダークタワーを建てて、デジモンカイザーとしてデジタルワールドを支配しようとしてたんやな?」
賢「うん、どうしてデジモンカイザーになってしまったのか…その辺りの記憶は曖昧だけど……」
こんなに後悔する事をあの時は嬉々として続けていた自分が滑稽に思えた。
はやて「…デジモンカイザーの頃の賢兄がどんな人やったのかのかは分からへんけど、今の賢兄は違うって断言出来る」
賢「え?」
はやて「だって賢兄、とても優しい目をしてるんやから」
賢「優しい…?」
はやて「賢兄は私が寂しくないように、いつも傍にいてくれたやんか」
賢「いや、僕は当然のことをしただけで…」
はやて「ううん…賢兄だから出来るんや。賢兄は当然と言うけど、誰にも出来ることやない」
賢「…ありがとうはやて。僕は逃げない。自分の罪から絶対に。認めたくない事も全部認めて生きて行く。自分の罪を償うために」
はやて「なら、私は賢兄を支える。賢兄が独りぼっちの私を支えてくれたように」
賢「ありがとう…」
そう言うとはやてを抱き締めた。
はやて「賢兄…」
抱き締め返そうとした時である。
「ただいま。あら?賢ちゃん、お客様が来ているの?」
二人の姿を賢の母親に見られた。
賢、はやて「「………」」
「あら…お邪魔だったかしら?」
二人は離れ…はやてが動けないから賢が離れたのだが。
賢「お、お帰りなさいお母さん!!ぼ、僕、勉強するから!!」
はやて「あ、お邪魔してます!!」
二人は赤面し、賢ははやてを横抱きすると自室へ避難した。
「今日はお赤飯にしようかしら…?」
息子に来た春に母親は嬉しそうに呟いた。
因みに今日の一乗寺家の夕食はやたら豪華だったと、ここに記しておく。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧