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女騎士

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3部分:第三章


第三章

 言葉も少なくだ。空にあがってだ。セーラは戦い続けていた。
 だが戦局は辛いままだった。やはりドイツ軍は強い。
 個々の力量や機体の性能だけではなかった。勢いもあった。
 そしてその勢いのままに来てだ。イギリス軍を押していた。
 意気軒昂なのはだ。首相のチャーチルとセーラだけに思われた。チャーチルはそれこそ何があろうとも意志を変えなかった。
 そしてセーラもだ。敵がどれだけ来てもだ。
 それでもだった。昼も夜も出撃してだ。
 敵を倒していく。その彼女に対してだ。
 ある若い兵士がだ。問うたのだった。
「疲れませんか?それだけ出撃されて」
「疲れはします」
 それは事実だというのだ。しかしだ。
 セーラは毅然としてだ。兵士にこうも言った。
「しかしそれでも」
「それでもですか」
「私は戦います」
 そうすれるというのだ。毅然としながら。
「あくまでそうします」
「そうなんですか」
「今は祖国の危機です」
 だからだというのだ。
「休むことなく働きます」
「じゃあ。せめて」
「せめて?」
「美味しいものをたっぷりと召し上がられて下さい」
 兵士はおずおずとした感じで彼女に言った。
「そして栄養を採られて」
「そうですね。人は食べなければ」
「動けませんから。それで」
「わかりました」
 それはだとだ。セーラも頷いて応える。
 彼女は確かに食べる。しかしそれ以上にだった。
 戦い続けだ。ドイツ機を撃墜していた。その中でだった。
 ドイツ機がこれまで以上の数でだ。ロンドンに殺到してきたのだ。
「えっ、何だよこの数」
「何百機いるんだよ」
「まさかこんなに来るなんてな」
「まずいぞ、これは」
 レーダー員達がまずだ。その数を見てだ。
 そのえうでだ。驚きながら言い合った。
「こんな数で来られたらそれこそ」
「こっち今どれだけ出撃できるんだ?」
「百機もないぞ」
 数としてはだ。あまりにも劣勢だった。
 しかしだ。それでもだった。
 迎撃の為に出撃しなくてはならない。それでだった。
 パイロット達は次々に出撃する。その中にだ。
 当然ながらセーラもいた。しかしこの時彼女は。
「えっ、今日もですか!?」
「今日も出撃されるんですか」
「はい、機体はいけますね」
 こうだ。驚く整備兵達に言うのだった。
「それならです。私も」
「あの、大尉今十日連続で出撃されてますよ」
「しかも昼も夜もじゃないですか」
「それで今日もって」
「無茶ですよ」
 こう言ってだ。彼等はセーラの出撃を止めようとする。しかしだった。
 彼女はだ。その彼等に対して強く言うのだった。
「今はそうしたことを言っていられる状況ではありません」
「それはそうですけれど」
「何か何百も来てるそうですし」
「それに対してこっちは百機かそこいらですから」
「それは」
「なら。出撃できる者は出撃してです」
 そしてだというのだ。
 
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