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戦士達

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第二章


第二章

「そうなりました」
「それじゃあいいか」
「ドイツの連中を信用できるかっていうと難しいけれどな」
「それでもやるか」
「そうだな、ヘンリーだってジェームスだっているしな」
 ここでその死体達を見る。泥だらけで無残に転がっている。
 その彼等を見てだ。兵達も言うのだった。
「あそこに何時までもっていうのもな」
「ああ、惨い話だしな」
「そのまま腐っていくってのも嫌だぜ」
「幾ら寒いっていっても腐ってくしな」
「今のうちにか」
「はい、その時は私も働きます」
 伝令兵も言ってきた。
「全軍でということです」
「それでドイツ軍もか」
「全軍で戦死者収めるのか」
「そうするんだな」
「あの連中も」
「だから明日は休戦になりました」
 敵も味方もだというのだ。
「そしてその間に」
「わかった。それじゃあな」
「明日、あいつ等を収容するか」
「皆な」
「そうしましょう。明日のうちに」
 こう話しながらだ。彼等はもう動かない戦友達を見た。そうしてだ。
 そのうえでその日はだ。塹壕の中で敵と睨み合っていた。その中でだ。
 一人がだ。ドイツ軍を見ながらこう仲間達に話した。
「なあ」
「なあ?」
「なあって?」
「どうしたんだ?」
「いや、向こうも明日は戦友を収容するんだよな」
 彼が話すのはそのことだった。
「そうなんだよな」
「ああ、そういえばそうだよな」
「あの連中もそうするんだよな」
「またな」
「だよな。同じなんだな」
 ドイツ軍の塹壕、彼等と同じく銃や機関銃を構えているそれを見ながら話していく。
「連中の死体もかなり転がってるしな」
「向こうもやっぱり戦友ちゃんとしたいんだな」
「ああして死んで転がってるままにしたくない」
「向こうもなんだな」
 他の者達もだ。彼の言葉に考える顔になった。
 そのうえで彼等を見る。すると余計にだった。
「何かな。今まで敵で憎いだけだったけれどな」
「奴等も同じなんだな」
「同じこと考えてるんだな」
「そうなんだな」
「そうだろうな。だから休戦にしたんだよ」
 敵味方で話し合ってだ。そうなったというのだ。
「俺達もドイツの奴等も同じか」
「飯も食うし戦友を何とかしたいし生きたい」
「同じなんだな」
 そのことを少し考えてだった。彼等はだ。
 その日はただ対峙していた。硬いパンにこの日はジャガイモもついた。もっとも碌に調理されていないまずいものだったがそれでも食べるのだった。
 そしてその日が来た。しかしその日は雨だった。
 その雨の中でだ。彼等はうんざりとして言い合った。
「折角の日に雨か」
「雨とはな」
「ったくよ、本当にここぞって時に降るな」
「全くだよ」
 うんざりとしながらだ。彼等は雨の中塹壕を出た。そこでだ。
 あの伝令に来た兵が来てだ。そのうえで彼等に言ってきた。
「お待たせしました」
「ああ、あんたも来たか」
「来てくれたんだな」
「約束しましたね」
 雨の中微笑んでだ。彼は言う。その雨は激しいものだった。地面を打ちつけ忽ちのうちに川の様にしていく。だがその豪雨の中でもだった。
 
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