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小ネタ箱

作者:羽田京
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東方
  月に代わって、お仕置きよ!

 
前書き
おそまきながらあけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
東方革命記の後の方の話です。VS月。
かぐやたちはソ連に亡命済みです。 

 
 「ヤマトショック」


 ある日、月に一隻の宇宙戦艦が訪れた。
 その名は、宇宙戦艦ヤマト。
 月に存在するどの艦艇よりも巨大で高性能だった。
 当然、月は外敵の侵攻に大騒ぎとなる。
 戦艦ヤマトは、ソ連からの使者を名乗り、服従を要求した。
 月側はこの提案に激怒し、破談。
 ソ連側は、1年間の猶予を設け、戦争も辞さないと宣言した。


 この一隻の戦艦が月に及ぼした影響こそ「ヤマトショック」なのである。
 一年間の猶予を得たとはいえ、現状ヤマトと撃ちあえる戦艦はいない。
 月の軍部は「八八艦隊」計画を発令した。
 この野心的な目標は、月の総力を挙げて達成された。
 ついに、ヤマト級戦艦8隻、準ヤマト級巡洋戦艦8隻を含む200隻からなる大艦隊を整備するに至ったのである。


 そして、瞬く間に一年がたち、ソ連側は宣言通り月へと宣戦布告した。
 ご丁寧に、会戦の会場まで指定しており、月側の200隻を超える大艦隊が戦場へと集結していた。


「ふふふ、俺が生きている間にこれほどの大艦隊を率いることができるとはな。ソ連とやらの連中に感謝してやってもいいくらいだ」

「不謹慎ですよ、司令官殿」

「おっと、失礼、参謀長。だがまあ、こっちの勝利は確定しているからなあ。つまらん戦になりそうだ」

「情報部の調べによりますと、ソ連側はヤマト級が4隻確認されております。大小合わせても、100隻程度だそうですからね」


 このとき、月は自らの必勝を確信していた。
 巧みな防諜網によってスパイを送ることはできなかったものの、宇宙からの偵察によってある程度の情報は得ていた。
 そこから得られた結論は、どれもが月の勝利を示していた。

 
「我が艦隊は、質でも量でも圧倒している。あとは油断しなければいい」

「司令! ワープアウト反応多数、ソ連のものと思われます」

「よしよし獲物がやってき――――ハァ!?」


 司令官が――いやその場にいる全員が――ぽかん、とした表情を浮かべていた。
 その視線の先には――


 ――三万隻の宇宙艦隊がいた。





 突撃機動軍(海軍)所属にとり艦隊、旗艦ヒューベリオンにて。


「にとり元帥、すべての艦艇のワープアウトを無事終えました!」

「ご苦労。ふふん、月の連中の驚く顔が目に浮かぶわ」

「200隻ぽっちの艦隊でデカい顔していたらしいですからね。まさか一個艦隊が1万5千隻もあるとは考えつかんでしょう。それが二個艦隊ですからね」


 目前の艦隊の狼狽ぶりをみて笑みを浮かべてしまう。
 宇宙要塞アクシズにて密かに整備された宇宙艦隊は、月の予想をはるかに上回っていた。
 しかし、にとりは海軍のトップである。
 なぜ宇宙艦隊を率いているのか。
 そこには、各軍の縄張り争いがあった。


『戦艦と名の付くものは全て海軍に所属するべきである』


 宇宙艦隊を立ち上げるとき、にとりが放った言葉である。
 彼女に言わせれば、地球は空軍と陸軍に、宇宙は宇宙軍に奪われては、海軍の居場所がなくなるとの危機感があった。
 空母の指揮権を空軍に奪われたことも尾を引いている。


 念願の宇宙艦隊に沸く宇宙軍は、当然いきり立った。
 宇宙軍のトップのルーミアと幾度となく渡り合い、妥協案が示された。
 宇宙艦隊を、宇宙攻撃軍(宇宙軍)と突撃機動軍(海軍)に二分するというものである。
 玉虫色の解決案だったが、指揮権が二分されることは明らかに悪手である。
 ルーミアは最後まで抵抗したが、結局、提案は受理されたのだった。
 そのような事情もあり、海軍と宇宙軍の仲はよくない。


「宇宙軍の連中に目にもの見せてくれる。生意気な金髪の孺子をけちょんけちょんにしてやるんだから」

「ルーミア宇宙軍元帥とはまだ仲が悪いんですか?」

「ふん、『闇こそわがテリトリー』だとか『河童は川で泳いでろ』とか好き勝手言ってくれちゃって――まあ、心底憎んでいるわけじゃないけれどね」

「主砲、射程圏内にはいります!」

「よーし、景気づけにドカンといくよ。主砲、斉射三連、ファイヤー!!」





 宇宙攻撃軍(宇宙軍)所属ルーミア艦隊、旗艦ブリュンヒルトにて。


「ルーミア元帥、主砲射程まであと少しです」

「よし。主砲を速射モードに切り替えるのだー」


 ルーミアの指示が旗艦から、1万5千隻もの僚艦に伝わっていく。
 隣をみると疑問符を浮かべた参謀長の姿がいた。


「斉射で制圧しないので?」

「斉射は火力バカのにとりがやってくれるのだー。わたしたちは、彼らに代わって敵陣に一番乗りすればいいのよ」

「なるほど」

「ではお仕事をするのだー、ファイエル!!」


 ビームの束が一筋走ると、月の都市に向かって全速力で飛ぶ。
 にとり艦隊の方をみやると、斉射三連の反動で、身動きができないでいた。
 固まってしまったにとり艦隊の前を、悠々とルーミア艦隊が進んでいく。


「進め、進め! 勝利の女神はお前らに下着をちらつかせているのだー」 
 

 
後書き
・艦載機はスパルタニアンとワルキューレです。MSはコンペで負けました。 
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