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小説小ネタ倉庫

作者:龍牙
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ハイスクールV×D ライド13

「兎も角、オレ達の目的はエクスカリバーを奪い返す事、それで良いな」

 四季の自宅、テーブルを囲んで向かい合っている四季と詩乃の二人。四季の言葉に詩乃は頷く事で返す。

「まあ、核を除いて剣自体は破壊……そっちの方がオレ達には都合が言いしな」

「そうね」

 主な目的は奪われた聖剣の奪還。そもそも、四本の剣を持ち歩くのは面倒なので核を除いて破壊してしまおうと考えている。そうしておけば敵に争奪戦に移行するとしても、敵側の戦力を増強させる事だけは避けられる。四季は四季で二本の超兵装を持っているし、詩乃は後衛型、剣を持った所で自由に使える訳ではない。故に二人にとって核さえ無事ならば問題なく依頼は達成できる。……別に再度の修復で教会がどれだけ苦労しようが知った事では無い。
 そもそも、剣としての格は七分の一の聖剣と超兵装ブラスターシリーズの一振りではブラスターシリーズの方が格上だ。破壊するのも容易いだろう。あとは核まで破壊しないように力加減の問題だけだ。

「それにしても……天界も堕天使側も今回の一件に戦力を出すらしいから、それと協力して当たってくれ……か」

「何時もの様に正体は隠す?」

「あの変態の所の王様か変態辺りが勝手に正体をバラしそうだからな……」

 要するに正体は隠してもリアスか一誠が正体をハラしてしまいそうなので意味が無いと言う事だ。流石にエクスカリバーを持った堕天使が悪魔の領地に潜伏しているんだから、前もって接触するだろう事は間違いないだろう。

「まあ、誰が来るにしても……勝手に動いた方が効率は良いだろう。なんか無駄に傲慢な連中が多いし」

 最たる例は超兵装ブラスター・ブレードを見た瞬間の『聖剣は教会が管理するべきだから此方に渡せ』とか『教会に所属しろ』だとかである。言ってる事と行動が悪魔側と大差ない。

「……ロイヤルパラディンとは全然違うよな……」

 己の中の神器を通して見た惑星クレイの聖域に於ける第一正規軍。光の騎士達の姿とは大違いだ。

「それにしても、問題は木場か……」

「問題って?」

「復讐対象が近くにあって何もしない、何てマネが出来るなら復讐を捨ててるはずだろ?」

 そう、問題は木場の存在である。無視しても良いがこの街に盗まれた聖剣が有ると知ったら、間違いなくその剣へ復讐しようと行動する事だろう。はっきり言って邪魔だ。

「まあ、その辺はオレの担当だからな」

 敵の聖剣使いとの戦闘や、戦闘中の木場の乱入への対応、コカビエルとの正面からの戦闘……四季が前衛として担当するのは最低限その三つだ。

「うん、私には無理」

 詩乃も同じ事を考えたのだろう。即座に自分には無理だと確信していた。

「詩乃の担当は後衛だからな。詩乃が背中を守ってくれているから、オレは存分に前だけを見て戦えるんだし」

「うん、四季の背中は私が守る」

「オレも詩乃を守るから」

 確実に彼女を危険に晒す事になる。それは理解しているが、黙っていても目の前に居る大切な少女は付いてきてしまうだろう。ならば最初から二人で戦った方が良い、彼女を守るためにも。

「今度の相手は伝説の聖剣と堕天使幹部、S級とは言っても単なるはぐれ悪魔とは訳が違う」

「うん、でも私達なら」

「「負けない」」

 彼女が居てくれるならばどんな相手にも勝てる。そんな意思を持って告げられた四季の言葉が彼女の声と重なった。

 ……時折聞こえる、『私の力をいい加減使ってください』と言う神器の中に居る相手(ソウルセイバー・ドラゴン)の事は全面的に無視しているが。





 さて、その日の放課後四季と詩乃の二人は“また”オカルト研へと呼び出されていた。どう考えても契約違反としか言えないのだが、リアス曰く『非常事態で大事な事』らしい。……大体見当はつくが。

「「……」」

 そんな中で四季と詩乃は目の前の光景を茫然と見つめていた。まあ、一誠とアーシアをリアスが抱きしめている所を見れば当然のリアクションだが。
 内心、『何の為に呼んだんだ』と言いたい所だろう。

「先輩……オレ達はあんたの部下にも協力者にもなった覚えは無い、用件を言わないなら帰らせてもらうぞ」

「ごめんなさい、二人が無事だったんのに安心して……」

 『バァン』とテーブルを叩きながら立ち上がる四季にリアスは素直に謝る。一誠からは『今ならムチャなお願いも通りそうだったのに、邪魔しやがって』と言う視線で睨まれているが全面的に無視している。

「無事?」

 リアスが言うには先日、一誠の家に教会関係者が現れたらしい。
 人数は二人……青髪をショートカットにして前髪が緑のメッシュとなった少女と、栗色の神をツインテールに結った一誠の幼馴染の少女の二人組み。

 なお、幼馴染の少女の事を実は再会するまで一誠は男の子だと思っていたらしい。……名前は『紫藤 イリナ』。相方の青髪メッシュの方は『ゼノヴィア』。

 同じ教会関係者でも所属が違うらしく、ゼノヴィアがカトリック、イリナがプロテスタントに所属している。

 昨日は生徒会へとソーナから呼び出されてしまい帰りが遅くなり、帰ってきた時には家に漂う聖なる力に青褪めてしまったと言う。

 しかも、帰る前にソーナから聞かされた話は、最悪な代物で聖剣を手にした教会の者が街に潜り込んでいると言う物だった。

(……その二人がこっちに派遣されるらしい天界側の戦力らしいな)

 『協力しろ』とは依頼には有るが二人だけで行動する気満々な四季としては依頼の事はギリギリまで黙っている心算だ。どうも過去の出会いが悪かったせいか必要以上とも取れる警戒心を抱いてしまう。

 それにしても、悪魔で天龍を宿した一誠の幼馴染が教会関係者と言うのはどう言う皮肉だろうかと思う。

「それで、その教会はどうして此処に?」

 理由は察しているが四季とのアイコンタクトで四季の意図を理解した詩乃はそう言って続きを促す。流石に一人だけで話していると何処かでボロが出ると思って詩乃に続きを促して貰った訳だが。

「昼間に彼女達と接触したソーナの話では、彼女達はこの街を縄張りにしている悪魔……つまり私、リアス・グレモリーと交渉したいそうなのよ」

「交渉ね」

 リアスの言葉に思わずそう呟く。

「自分達で解決するから手を出すな、とか。悪魔と堕天使が手を結ぶかもしれないから生還しろ、とか。命令でもする気じゃ無いのか?」

「ありえるわね、それ」

 妙に実感の篭った四季の言葉に同感だと言う態度で頷く詩乃。

「ず、随分な言い草ね。命令じゃなんて依頼……だとは思うけど」

「いや、一応聖剣に分類される剣も持っているからな」

 その言葉でリアスは四季の言いたい事を理解してしまった。実感が篭っているのではなく、実感しているのだと。

「どう言う心算かは判らないけど、明日の放課後に彼女達はウチを訪問してくる予定よ。勿論、此方に対して一切の攻撃をしてこないと神に誓ったらしいわ」

「大丈夫なんですか……?」

「其処は信じるしかないわね、彼女達の信仰を」

 リアスの言葉に不安げに問いかける一誠。以前遭遇したはぐれエクソシストを例に挙げることも無く、教会関係者は悪魔を毛嫌いしている。だが、それと同時に信仰も強い。神に誓ったのなら、相手が『はぐれエクソシスト予備軍』でもない限り、その誓いを破らないだろう。

「聖職者が悪魔である私達を頼るなんて相当切羽詰まっているようね……。この街を訪れた神父が惨殺されているらしいし、かなりの厄介ごとである事は確実かしら」

「で」

 リアスがそう言った後、四季はリアスへと視線を向ける。

「オレ達に何の関係が有るんだ?」

 堕天使や天界が態々四季達へ依頼したことを悪魔側に教えたとは思えない。

「ええ、貴方達にも中立の立場としてこの交渉に立ち会って欲しいのよ」

 そう、飽く迄契約とは別に四季達に対しての依頼として翌日の交渉への参加を頼むと言う事だ。

「それに、これは私からの依頼じゃなくて、ソート・シトリーからの貴方達への依頼、と言う事になるわね」
 
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