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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第四十二話 始まりの町

 
前書き
始まりの町に到着。
コロナモン[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]
 

 
アリシアと離れ離れになり、子供達は何処か休める場所は無いかと辺りを見回しながら歩いていた。
すずか「アリシアちゃん…大丈夫かな…?」
賢「大丈夫さ、アリシアにはプロットモンがいる。今は何とか休める場所を…」
賢達は疲労困憊の身体を動かして、奥に進んだ。
顔を上げたチビモンが、森の向こうに目を向けて声を上げた。
木立の向こうにカラフルな四角や三角のものが見えた。
フェイト「大きな積み木…?」
ルナモン[始まりの町だあ!!]
デジモン達は叫ぶと同時に駆け出した。






























角の丸い建物はおもちゃの積木のよう、いくつもそびえる木からたわわに吊り下がるのは果実ではなくぬいぐるみや小さな飛行機。
すずか「おもちゃの町もそうだったけど……不思議な町だね」
チビモン[フェイト、早くぅ!!]
フェイト「待って、チビモン……きゃっ!?」
町に足を踏み入れたフェイトは、ふわふわとした地面に足を取られて転びかけた。
はやて「トランポリンみたいやなあ…」
地面に手をついたフェイトは、慎重に立ち上がって歩き出した。
少しして、揺り籠のようなものと可愛らしい模様の卵が並んでいる場所へ着いた。
子供達が揺り籠を覗き込む。
ボタモン、プニモン、ユラモン、そしてデジタマが入っていた。
なのは「ふわああ…可愛い…!!」
ルカ「これ何?」
チビモン[わあ、デジタマだ!!デジモンの卵だよ。]
同じくおもちゃのような色彩の、可愛らしい大きな卵。
すずか「デジモンは卵から産まれるんだ。」
コロナモン[そうだぜ]
ルカ[フレイモンも?]
フレイモン[え?あ、ああ…多分…]
自信なさ気に言うフレイモンに子供達は首を傾げる。
なのは「ねえ、抱っこしていいのかな?」
賢「いいんじゃないかな?」
なのはがボタモンに触れようと手を伸ばした時だった。
?[やいっ、てめえら!!ベビー達に何してやがるっ!?]
威勢のいい声とともに、耳の長いデジモンが走ってきた。尻尾が孔雀の羽のように広げられている。
ブイモン[エレキモンだ。]
チビモン[本当だあ]
チビモンは敵意を向けられているのも気にしないでエレキモンに近づいていった。
エレキモン[な、なんだ、お前…]
照れたように目を逸らした。
フェイト「うん」
フェイトはエレキモンを見て微笑んだ。
エレキモン[おっと、そろそろベビー達がお腹を減らす頃だ]
エレキモンは大輔達に背を向けて歩き出した。が、すぐに振り返る。
エレキモン[おめえら、暇なら手伝ってくれ]
もう1度顔を見交わした子供達とデジモン達は頷き合った。
なのは「ちょっとだけなら…」
賢「大丈夫だよ」
子供達とデジモン達はすぐにエレキモンの後を追った。






























エレキモン[スパークリングサンダー!!]
エレキモンが川に向けて電撃を放つと、川を泳いでいた魚が浮き上がってくる。
フレイモン[へえ、こういう使い方もあるのか]
フレイモンの感心した声にエレキモンは満足げに笑った。
エレキモン[ちょろいちょろい!!これだけありゃ充分だ!!待ってなよ、ベビー達。もうすぐ、奥がたんまりエサ持って帰っからな!!]
エレキモンは魚を網に包んだ。
はやて「大漁やね」
ワームモン[やること無かったね…]
エレキモン[大漁はいいが、運ぶのがしんどいぜ]
フレイモン[だったら俺に任せろ]
フレイモンが網を掴むと軽々と持ち上げた。
エレキモン[やるじゃねえか]
フレイモン[力には自信があるんだよ]
子供達とエレキモンが食料を持って町へ帰って行く。
































そして町に戻ると、大輔とブイモンがいた。
くたくたの大輔達にくっついている幼年期の大群にしばし言葉を失った。
侵入者が幼年期を襲うことが多々あるから神経をとがらせていたのだが、寧ろこれは幼年期に侵入者が襲われてる光景である。
少なくてもこいつらは大丈夫そうだと第六感が告げたので、雷による奇襲は取りやめた。
エレキモン[何やってんだ、ベビー達?ていうか誰だ?]
フェイト「大輔!!」
フェイトが大輔に駆け寄る。
大輔「よう…」
フェイト「怪我してる!!大丈夫大輔?」
大輔「大丈夫だよ。怪我自体は治ってるし」
大輔の服に付着したものと、顔に付着した血液で怪我をしたものと思ったフェイトは怪我の手当てをしようとするが、大輔が押し止めた。
賢「何があったのか、教えてくれ大輔」
大輔「…ああ、何から…話せばいいのかな…」































夜であるにも関わらず、鮮明な光景を黒い歯車に魔力を宿した魔鏡に突如ぴしりと罅が入る。
どんどん深くなっていったかと思うと、ガラスが砕け散るような音がして、そのまま木っ端微塵に粉砕されてしまった。
デビモン[己…!!]
オーガモン[…っ!!]
禍々しい重圧が生まれる。
厳粛かつ圧倒的な恐怖を本能に刻みこむような殺気は、最早威圧感の領域を超えて、この場にいる者が死にたくなる雰囲気を形成する。
静寂と沈黙があたりを支配する。己の心音だけが響いている。
その音すらうるさいと感じるほどだ。
気が狂いそうになる。
その空間の主は、まるで地獄の底から響くような声で言葉を紡ぐ。
デビモン[奴め…遂に進化したか…!!]
蹂躙された鏡の破片が跡形もなく消えてしまう。
鏡の主であるデビモンのウィルスに侵食され、そのデータを失ってしまった。
闇の洗礼を受け、デジコアを直接ウィルスで染め上げられてしまったため、廃人状態のまま支配下に置かれているレオモンは微動だにしない。
しかしレオモンが、こうも呆気無くダークサイドに堕ちる様子を目前で見て、敵わないと悟ったオーガモンは違う。
逆らうことが出来ずに自らの意志で服従したオーガモンは、初めて私的な感情を露呈したデビモンの豹変ぶりに違った意味で恐怖を抱く。
ムゲンマウンテンの主であるデビモンは、確かにファイル島に存在する成熟期の中でも屈指の実力者ではあったが、ここまで露骨にデジタルワールドの征服に野心を燃やし始めたのは、黒い歯車というアンドロモンやもんざえモン、マーメイモンのような完全体すら支配下する入手経路不明の力を手にしてからだ。
ムゲンマウンテン以外の全てのエリアに組み込まれた黒い歯車が作動し、一夜にしてファイル島は沢山の離れ小島と化してどんどんデータの海を泳いでいく。
そこに選ばれし子供とパートナーデジモンを孤立させることで、確実に戦力の分散と粉砕を狙った合理的な計画は、既にそれは瓦解している。
最も警戒していた1人を除いた子供達を分散させることは叶わなかったがデビモン不敵な笑みと余裕を崩さないのだ。
オーガモンから見ても明らかに、パートナーデジモン達は進化の度にパワーアップをしているのは明確で、追い詰められているにも関わらずどこまでもデビモンは態度を変えなかったので、その底知れない何かに気味の悪さすら覚えていたのだが、プロットモンを極端に警戒するのは大いに疑問である。
10人の内、8人の選ばれし子供達が1つの場所にいるというのにデビモンの優先すべき驚異は相変わらずそちらに向けられているのだ。
アリシアとパートナーデジモンの中で進化出来ていないプロットモンに対してだ。
アリシア達にデビドラモンを差し向けたことからも窺い知ることが出来る。
オーガモンは知っている。
魔鏡の向こう側にいるそのプロットモンを見るデビモンの目は、憎悪を超えて不倶戴天の敵を見るような激しい何かを宿していた。
プロットモンが進化した時、それが顕著になった。
オーガモン[(何で、あんなデジモンを警戒しやがるんだ…?)]
異常なほどの執念、執着を超えた何かがデビモンを突き動かしている。
デビモン[貴様らは何としてもあの選ばれし子供達が合流する前に始末しろ。最後のチャンスをやろう。今回失敗したならば、我が糧として貴様らには死んでもらう。覚悟しておけ]
オーガモンはレオモンと共に姿を消した。
配下が去ったのを確認したデビモンは、満月を背にウィルスに侵食されてボロボロになってしまっている、漆黒の翼を広げた。
デビモン[ダルクモンよ…来るなら来るがいい…。貴様を我が闇で葬り去ってくれるわ!!]
怨敵の顔を思い浮かべながらデビモンは叫んだ。































全員【ご馳走様!!】
エレキモンの家で夕食をご馳走になった子供達。
テーブルには何枚もの皿が置かれていた。
賢「ありがとうエレキモン。食事までご馳走してくれて」
エレキモン[気にすんな。お前らベビー達に余程気に入られてるみてえだからな、寧ろ大歓迎だ。]
後片付けをするエレキモンが豪快に笑いながら言う。
フェイト「それにしても、なっちゃんか…」
大輔からなっちゃんの話を聞き、正義という大義名分のもと、罪のない彼女を殺したデジモンに怒りを感じたが、同時に少しなっちゃんに対して悔しい気持ちもあった。
彼女は大輔の中で永遠に生き続けるのだろう。
それこそ大輔が死ぬまで。
美しい思い出として大輔の中に留まり続ける。
大輔がエレキモンを手伝おうと立ち上がろうとした時。
大輔「うっ…」
大輔は眩暈に襲われ、ふらつく。
アリサ「あ、あんた…大丈夫?」
アリサが少々ふらつきながら大輔に聞く。
なのは「ふわあ…」
なのはが欠伸をする。
ルカもウトウトしている。
フェイト[…色々ありすぎたもんね……]
賢「…少し眠って……」
子供達が席を立とうとした時であった。
ドオオォォン!!!!
全員【!?】
子供達は一斉に扉を見遣る。
急いで外に出ると、レオモンとオーガモンがいた。
オーガモン[うるせえぞガキ共!!]
泣きわめく幼年期のデジモン達に怒鳴り付けるオーガモン。
食事をして回復したデジモン達が一斉に進化して、オーガモンとレオモンへと突っ込んでいく。
オーガモン[何!?]
アグニモン[サラマンダーブレイク!!]
オーガモン[うわああああ!!?]
アグニモンの回転蹴りがオーガモンに直撃し、吹き飛ばした。
ブイドラモン[エレキモン、ベビー達を避難させて!!ブイブレスアロー!!]
ブイドラモンは幼年期のデジモン達を避難させるように言うとオーガモンに追撃を仕掛けた。
熱線がオーガモンに直撃し、ヤシャモンにアーマー進化すると木刀を脳天に叩き込み、オーガモンは気絶した。
ヤシャモン[レオモン…]
スティングモン[君の歯車を取り出してやる!!]
9体のデジモンがレオモンを取り囲む。
ウィザーモン[…むっ!?]
グラウモン[な、何だ!?]
突如、ムゲンマウンテンの方から飛んできた歯車。
それも、1つや2つではない。
振り返ると上空には、大量の黒い歯車。
それは猛スピードで落ち、全てレオモンの背中に減り込んだ。
レオモン[ぐぁぁぁぁぁああぁあぁあっっっ!!!!!!]
悲鳴をあげるレオモン。
その手が、足が、鬣が、黒く大きく変貌してゆく。
なのは「な、何!?」
ルカ「歯車のせいでレオモンが…!!」
大輔「まずい…皆、逃げろ!!」
レオモン[獣王拳!!!!]
何倍もの威力に膨れ上がったレオモンの必殺技がヤシャモン達を弾き飛ばした。
ユーノ「ウィザーモン!!」
賢「暗黒の力で強くなっているんだ…。」
レオモン[獣王拳!!!!]
今度は子供達に向けて放った。
子供達は直撃は受けなかったが、余波で吹き飛ばされてしまう。
握り締めていたD-3がレオモンの近くに落ちた。
その時、D-3が暗黒の力を感知して、聖なる光を放った。
レオモン[があぁぁぁああぁあっ!!!!]
レオモンの悲鳴。
聖なる光がレオモンを包み込む。
めりめりと嫌な音をたてながら、黒い歯車が背中から顔を出した。
フェイト「ど、どうしたの…!?」
ユーノ「もしかしてあの光には暗黒の力を浄化する力があるのかも!!」
アリサ「なら!!」
子供達は起き上がり、D-3の元へと向かうとそれをレオモンに掲げた。
聖なる光が更に強まる。
レオモン[ぐ…あぁあ、あァあぁぁあっ………!!!!!]
黒い歯車は次々とレオモンの背から弾け出る。
先刻、レオモンを侵したものとは比べものにもならない数だった。
これほどの暗黒を要さねば、レオモンを操ることは出来なかったのだ。
その精神力と伴う苦痛。
どれほどのものだっただろう。
そして黒い歯車は……空中に飛び出し、塵と消えた。
暗黒の力が抜け落ち、レオモンは元の姿に戻る。
すずか「聖なる力が勝った!!」
賢「さて?どうする?まだやるかい?」
オーガモン[冗談じゃねぇ、俺1人で敵うわきゃねーだろ…]
オーガモンはその場からすごすごと逃げ去った。































おまけ

ブイモンのアーマー進化。

成熟期クラス

フレイドラモン(強化で完全体クラス)
ライドラモン(強化で完全体クラス)
セトモン
ハニービーモン
ヤシャモン
デプスモン
ガーゴモン
カンガルモン

完全体クラス

サジタリモン
ゴールドブイドラモン(強化するか思案中)

究極体クラス

マグナモン(強化でモードチェンジクラス)
 
 

 
後書き
次回はデビモンとの最終決戦 
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