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機神呼嵐デモンベイン

作者:ハイド
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第四部『CHILD'S PLAY ~邪神暗躍ッ!闇に囚われた少女を救え!だゾ~』
  第15話「何もしなかったらヤバイことになるって分かっていて、それでも何もしないでやっぱりその通りになっちゃうのは怖い」

 
前書き
もう結構経ってますがあけましておめでとうございます(おせぇよ・・・)
年明け一発目の最新話。ちょっと長めですがどうぞ~。 

 
 摩天楼の空を翔る。背中にライカさんを、腕にひまわりを抱え。
 その際に、オラ達はアリスンの過去をライカさんから聞いた。
 彼女の周りで摩訶不思議な現象が起こった事。その原因でバケモノ呼ばわりされ、親戚をたらい回しにされた挙句、教会に捨てられた事・・・。
 それを聞いたアルは、何か納得したように頷いた。
「なるほどのぅ。先ほどの感じに加えその話、アリスンと言う娘・・・魔術の才能を持っておるようだな」
「そうなのか?」
「うむ、感受性の強いあの年頃には、魔力が無意識の容で顕れることがある。才、力を秘めた者は、時に想像力のみで術を・・・異なる世界法則を編み上げてしまう。そういうモノと知らずにな。御伽噺(エブリディ・マジック)・・・不安定ではあるものの、柔軟性のある魔術の顕現だ」
「ん~・・・つまり、『スゲーナスゴイデスのトランプ』みてーなもんか」
 ふと、昔の冒険で使った魔法のトランプを思い出し、口に出す。
「何だそれは?」
「昔、ちょっと色々あってな。そん時に使ったトランプだ」
 アルが問いかけてきたので軽く説明しておいた。そうか。とアルは返すと説明を続ける。
「ともかく、妾の断片の影響を受けているとは云え、あれ程の力を発現しておった。あの娘はかなりの才覚の持ち主ということになる。その才覚が、道理も識らず暴走するとなれば・・・」
「拙い事が起こるってか。・・・ひま、ライカさんもっと飛ばすゾ」
「も、もっとォ!?わひゃあああああああああああああああああああああああ!!!?」
「わー、サラマンダーよりはy」
「ひまわりちゃんダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!それを言っちゃらめェェェェェェェェェェェェェェェ!!!トラウマでSAN値が0になっちゃうにょォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
 アルの断片を追うべく、更に加速。その際、妹が多くのプレイヤーをトラウマのどん底に落とした某シュミュレーションRPGのヒロインのセリフを口走ったり、ライカさんがトラウマのあまり口調がみ○くら風になったりしたが・・・ぶっちゃけ気にしてられねぇ。ふと、ライカさんがオラの耳元でささやいてきた。
「神之介ちゃん、やっぱり危険な事をしてたのね」
「・・・」
 やっぱ・・・こうなるか。今更言い逃れはできねぇなこれ・・・。
 気まずさに口を紡ぐオラに、ライカさんは更に続ける。
「神之介ちゃんが抱え込む必要なんて無いって言ったのに、どうして・・・どうしてそうまでして、危ないことに関わるの?」
 ま・・・こうなったら仕方ねーし、腹括るか。そう思ってオラは答えた。
「ライカさんと一緒だゾ」
「え?」
「ライカさんがアリスンを放っておけないのと同じって事だゾ。オラも、ブラックロッジの糞野郎共の所為でライカさんや皆が傷つくのが見過ごせないってこった」
「それは家族として当然の事だし・・・。だからってそんな・・・危ないよ」
「あー、大丈夫大丈夫。そんなの5歳の頃に色んな奴等と戦ってきたから慣れてるゾ。ハイレグのレオタード着たオカマとか歴史トレンドクリエーター&文化人世界四次元アートディレクター協会会員とか名乗るイカレ野郎とか、双子のオカマ魔女とか、暗黒世界の大王とか」
 ・・・自分で言っといてなんだが、よくそんなヤベー奴等と戦って生きてこれたよなオラ・・・。
「まぁ、それはそれとしてオラの場合はムカつくやつはぶっ飛ばす、ってただそれだけかもしんねーけどな」
「だ、だけど、神之介ちゃんがどうして戦わなくちゃ・・・」
「あ、お兄ちゃん!見えてきたよ!」
 ふと、ひまわりの声にオラは下を見る。そこには、道路を封鎖する装甲車と並ぶ警官隊。
 彼らは武装をしており、クリーチャー達と戦っていた。
 雄々しく進軍するトランプの兵隊。
 鷲の翼と上半身にライオンの下半身を持つ、グリフォン。
 戦車のように巨大で、絶えず涙を流している海亀・・・のようなモノ。
「懐中時計片手に急ぐ白ウサギにハンプティ・ダンプティ、“猫のない笑い”のチェシャ猫、トランプの兵隊、グリフォン、代用ウミガメ・・・うーん、何か何処かで見たことがあるって思ったら、アレだよ。『不思議の国のアリス』」
「正に御伽噺だな。・・・っと、あそこにアリスンがいるな!」
 代用ウミガメの上で泣きじゃくっているアリスンを発見。
「神之介ちゃん!」
「ぶ、らじゃー!」
 その刹那、警官隊が発砲する。銃弾は前進していたトランプの兵隊たちを穴だらけにしていくものの、怯む様子は無い。トランプの兵隊たちはそのまま、槍を突き出し、警官隊目がけて突貫する。
 オラは上空でマギウス・ウィングをはばたかせ、突風でトランプ兵たちを吹き飛ばした。
「こ、これは!?」
「あー、警察の皆さーん。ここはオラ達に任せてさっさと逃げてくださーい。危険ですよー」
 突然の事に驚く警官隊にオラは逃げるように指示を飛ばす。そこへ・・・、
「ギギィィィィィィィィィィィィィ!!!」
 グリフォンがオラのところへやってくる。
 鋭い嘴を武器に此方へ突撃してくるが、回避。そのまま後ろを取ろうとするも・・・速い・・・。
 すぐさま転進し、再びこちらに突撃してくる。
 高度を上げて仕切り直そうとするが、ぴったりと後ろにつかれ、振り切ることが出来ない。
後追戦(ドッグファイト)はこちらが不利か・・・ならっ!!!」
 一気にスピードを落とし、振り向きざまに回し蹴り。だが、それはあたることは無く。擦れ違いざまに黒翼の片方を切り裂かれる。
「やべっ!?ライカさん!ひまの所へ!!!」
 片方の翼をもがれ重力に従い落ちていくこの体。ライカさんとひまわりをその腕に抱き寄せ落ちていく。落下点には人が・・・マズイ!
「よけ・・・」

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

「だぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「「きゃあああああああああああっ!!?」」
「のおおおおおおおおおおおおおお!!!?」

 避けろ!と叫ぶ前にその人物とぶつかった。
「ててて・・・大丈夫か?」
「う、うん・・・私はなんとか・・・」
「私も大丈夫だよ・・・」
 幸い、落下の際に背中から落ちたので両手に抱いたライカさんとひまわりは無事のようだが・・・、問題は下敷きとなった人物だ。とりあえず、無事かどうか確認しなければ・・・。
「それならいいんだが・・・。おい、そこの人大丈夫・・・か?」
「大丈夫だ、問題ないのである。このギターが無ければ即死だったのであーるが・・・ってあら?」
 なんとも驚き。下敷きとなった奴は会いたくも無いあのキチ○イだったでござる。
「何で此処にいるんですかね、腐れキチ○イコノヤロー。あの時破壊ロボと一緒に心中してろよ、アバー!サヨナラ!で爆発四散してろよ」
「なァァァァァァァァァァァんと!誰かと思えばにっくき野原神之介ではないか!我輩の魔力探知器『教えて!ダウジン・・・ぐー!君完全版、初回特典:ドクター・ウェスト等身大sexy抱き枕』でアル・アジフの断片を探してきてみれば!まさかの偶然!コレは運命(ディスティニー)!?貴様と我輩は、宿命のライバルなのであーるな!?」
「あってたまるか、ンな宿命ェェェェェェェェェェェェェェ!!!後、初回特典ドクターウェストSexy抱き枕ってなんだァァァァァァァァァァァァァァァ!!!誰得だよ!?誰得なんだよ!?せめて、ボンキュッボンなおねいさんにしやがれ!!!」
「神之介・・・汝、コントもいいが・・・何か忘れてないか?」
「ゑ?」
「ギェェェェェェェェェェェェェェ!!!」
 アルに言われると同時に声がしたので上を見るとグリフォンが迫ってきていた。
(あ、やべ・・・キチ○イとの口論ですっかり忘れてたわ。・・・何か手は・・・よし!)
 それを見て、思考し・・・即行動。その時間0.001秒ッ!!!
ガシッ!
「へ?」
 ウェストの首根っこを掴むと同時に・・・、
「トラップ発動!聖なるバ○ア!ミラーフォース!!!」
「神之介ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!?何やってんのォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!?」
「何人を盾にしてるであーるかァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!?ウロブチッ!?」
 そのまま盾にした。言うまでも無く、グリフォンの嘴がウェストに直撃。ライカさんと盾にしたウェスト本人からツッコミが来たが、私は一向に気にせんッッッ!!!
「あー、大丈夫だよ。この人ギャグ補正の塊だし」
「あ、それなら大丈夫ね」
「納得するの早っ!?」
 ひまわりの言葉に納得するライカさんにアルがつっこんだが、まぁ今はグリフォンが先決だな・・・。
「げふぅ・・・、き、貴様ァ・・・我輩を盾にするなんてそれでも正義の味方であるか?チビっ子が泣いちゃうであるよ!?」
「るっせーバーロー!人のこと避難できる立場かァァァァァァァァ!?テメーはあの鳥と仲良く・・・」
 もう色々とボロボロなウェストにそう言って、足を掴むとジャイアントスイング。そして・・・、
「星間飛行でもしてやがれェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!」
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!?」
「ギェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!?」
 そのままグリフォンにぶつけた。そして、そのまま・・・、二人仲良く星空になったとさ、めでたしめでたし。
「おィィィィィィィィィィィィィィィ!話終わらせようとするなうつけェェェェェェェェェェェェェ!まだ、残ってるぞ!」
「おいおい、地の文にツッコんでどうすんだよ。・・・っと兎に角、早いトコアリスンをとめねーとな」
 グリフォンと、キチ○イの所為でいらん時間喰っちまった。アリスンが乗っている代用ウミガメの所に行かないとな。再び、二人を抱えるとマギウスウィングで飛んで代用ウミガメの甲羅に乗る。
「アリスン!」
 そして、そのまま座り込んで泣いているアリスンを止めようと近づく。・・・が、
「嫌ァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
「ぐおおっ!?」
「ぬぅっ!?」
「「きゃあああっ!?」」
 見えない魔力の奔流がアリスンから放たれオラ達を襲う。マギウスウィングで防御しても、吹っ飛ばされかけるほどの威力だ。
「あの娘、完全に我を見失っておる・・・このままではマズイな」
「みてーだな。・・・迂闊に近寄れもしねぇ」
 それにこうしている間にも、代用ウミガメは警官隊との距離をつめている。・・・って言うかまだ逃げてなかったのかよ。
 兎にも角にも、向こうには装甲車もあるから下手をして衝突なんかしたら大惨事は免れないだろう。
 周りは勿論、アリスンやライカさんも被害が出るかもしれないのだ。
(・・・どうする?)
 打開策を得るために思案にふける。だが、それがいけなかった。
「嫌!嫌!嫌ァァァァァァァァァアァァァ!!!もう嫌!嫌だよォォォォォォォォォォォォ!!!!」
「ッ~~~~~~~!!!?」
 再びの衝撃波。今度は割りと強力だ。防いだマギウスウィングにも無数のヒビが入る。
「くっ・・・此処までの力を顕現させるとはな」
「何かねーのかよ・・・このままじゃジリ貧だぜ」
「神之介ちゃん」
 ふと、吹き飛ばされないように腕の中で庇っていたライカさんが声をかける。オラの目をまっすぐな瞳で見つめて。
「何だ?ライカさん」
「私がアリスンちゃんを説得します」
 ・・・What?
「ライカさん、何いってんのか分かってんのか?オラならいいけどライカさんが喰らったらひとたまりも・・・」
「分かってるわ。だけど、私はアリスンちゃんの保護者なの。だからあの子を助ける義務がある」
「だけど無茶をするなって・・・あっ!おいっ!!!」
 オラの手を解き、アリスンの元へと向かっていくライカさん。すぐにでも飛び出したいが・・・、アリスンを刺激しかねない。
 仕方がないのでいつでも飛び出せるようにひまわりと共に身構えた状態で見守る事にした。
「アリスンちゃん。一緒におうちに帰りましょ?」
「嫌ァァァァァァァァァァァ!!!」
「っ・・・!」
 衝撃波によって、ライカさんの頬が裂け、血が流れる。
「「ライカさんッ!!」」
「大丈夫・・・大丈夫だから、神之介ちゃんとひまわりちゃんは下がってて」
 ライカさんは笑顔で振り返り、そう言った。 
 そして再びアリスンへと向き直る。
 優しく手を差し伸べ、ゆっくり歩み寄りながら、アリスンに語りかける。
「嫌ァアァァァ・・・嫌だよォォォォォォ!」
「ジョージもコリンも、ちゃんと反省して、アリスンちゃんを待ってるよ?だからもう、機嫌直そう? ね?」
「嫌ァァァァァァァァァァッ!」
 ライカさんの優しい呼びかけも、アリスンは泣き叫び、ただ首をいやいやと振り続けるだけで、届いていないようだった。
 またしても衝撃波が放たれ、ライカさんの服の裾を引き裂いた。
「お兄ちゃんッ!!!」
 ・・・もう見てられねぇ!たまらず飛び出そうとした。が・・・そんなオラをライカさんは手で制した。
 衝撃波はもう何度もライカさんを掠めている。
 けど、ライカさんは決して歩み寄ることを止めず、アリスンに優しく微笑みかける。
「私は知ってるよ。アリスンちゃんは、本気で誰かを傷つけようとする子じゃない。優しい子だって。さっきのだって、怖くて取り乱してただけ・・・」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
 アリスンの魔力が一気に膨れ上がる。今度こそ、コレはマズイ!オラはひまわりに目で合図をするとライカさんを避難させようと飛び出そうとして・・・止まった。
 ライカさんが、アリスンを、そっと抱き締めたからだ。
「あっ・・・」
「大丈夫よ、アリスンちゃん・・・もう、大丈夫よ・・・」
 囁きかけるライカさんの声に、暴走しようとしていたアリスンの魔力が、ゆっくりと霧散していくのが分かる。
 そして。
「ひっく・・・えぐっ・・・うぇぇぇ・・・うわあああああああああん!」
 安心したのか、アリスンはさっきまでとは違う様子で泣き出した。ライカさんはそんなアリスンを抱き締め、まるで母親のように、優しくあやしていた。
 代用ウミガメもその歩みを止めており、これで一安心ですな。
「ふぅ・・・ひやっとしたぜ」
「うんうん、もう10年ほど寿命が縮んだよ・・・」
「気持ちは分かるが汝ら、当初の目的を忘れておらんか?」
 ・・・いっけね、先ほどの騒ぎで忘れてた。落ち着いたであろうアリスンに呼びかける。
「そうだったな。アリスン、わりぃけどそのコンパクトをこっちに・・・」

「「「た、退避ィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」」」

「えっ」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「?」

 アリスンからコンパクトを貰いさぁ、一件落着と思いきや何か背後で騒ぎが起こってる。
 ・・・アレ?何かズシンズシンって音聞こえね?それにギターの音も聞こえね?
 ひょっとしてアレ?アレなの?あのドラム缶なの?
 そう思い、おそるおそる後ろを振り向いてみると・・・。
『おのォォォォォォォォォォれェェェェェェェェェェェェ!!!さっきはよくもやってくれたな!野原神之介ェ!貴様はこの「スーパーウェスト無敵ロボ・バージョン情報:28.72、前バージョンからの変更点:なんかとにかく強くなった」で倍返しにしてやるのであーる!!!』
「ちったァ空気読めテメェェェエェェェェェェェェェェェェェェェ!!!何で良いところでお前出てくんの!?KYなの!?クロノなの!?」
「お兄ちゃん、ダメだよその言い方。世界中のクロノ君ファンを敵に回しちゃうよ」
 やな予感的中。後方にいたのはドクターウェストの操る破壊ロボだった。
『我輩、悪の手先だから空気を読まずに乱入をついやっちゃうのであーる!それはさておき!ふむふむ、その娘っ子が持ってるのはアル・アジフの断片であーるな!?これは重畳!貴様ごと踏み潰していただいちゃうのであーる!』
 大地を揺るがし破壊ロボが迫る。・・・この際だがしょうがない。
「アル!オラたちもデモンベインを・・・」
 アルにそういったその時だった。
「あ・・・あああ・・・」
 アリスンの震える声が聞こえた。・・・まさか!?
「お兄ちゃん!アリスンちゃんが!!」
 ひまわりの声でアリスンの方を振り返ると、ライカさんの腕の中で脅えるようにビクビクと震えていた。
「アリスンちゃん!?アリスンちゃんしっかり!」
「ああ・・・ああああ・・・ああああああッッ!!!!」
 静かになっていたアリスンの魔力が再び膨れ上がり、手に持った鏡が、今までで一番強い閃光を放った。
「ライカさん!危ねぇ!!!!」
「うわああああああああああああああああああああああああッッッ!!」
 オラが叫ぶのと同時に、アリスンのコンパクトから、圧倒的質量を持った『何か』が流出した。
 強大な魔力が爆発し、閃光がアーカムシティの夜空を、真昼のように染め上げる。
「「きゃあああぁぁぁっ!?」」
「ライカさん!ひま!!」
 衝撃に吹き飛ばされたライカさんとひまわりを、空中で受け止めた。
 そのまま、一気に爆発の中心から離脱する。
「神之介ちゃん待って!アリスンちゃんがっ!」
「今は無理だ!死にたいのか!」
 拡大していく爆発に呑み込まれないように、充分な距離と高度まで逃げる。
 そして、それを見た。それは光に包まれる巨大な卵。
 鏡が砕け散るような甲高い音と共に卵が割れ、中から巨大な影が顕れた。
「ドラゴン!?」
 聳え立つ摩天楼に引けを取らぬ巨体、硬質な鱗と雄々しい角、動く全てのモノを睨め付ける爬虫類の瞳、鋭い牙がビッシリと並んだ巨大な顎、羽毛のある蝙蝠の翼、全てを薙ぎ払えるかのように太い尻尾……御伽噺(ファンタジー)色満天な邪竜といった風体だ。
「何でドラゴンが?不思議の国のアリスにあんなのあったっけ?」
「神之介ちゃん、ひょっとしてジャバウォックじゃないかしら?」
「ジャバウォックって、鏡の国のアリスに出てくる怪物だっけ?」
「そうよ、ひまわりちゃん。まぁ、正確に言うと作中の詩に出てくるんだけどね」
 ジャバウォックについて、話し始めるひまわりとライカさん。・・・ぶっちゃけオラ個人としてはサンデーの『AR○S』に出てくる奴を思い浮かべるが・・・。
「あ!神之介ちゃん!あそこ!!!」
 ライカさんが示す場所、ジャバウォックの頭の上にアリスンが居た。
 ここからでは詳しい様子を知る術はない。
 ジャバウォックが燃える眸で周囲を見渡し破壊ロボを見つけた。
 巨大なドラム缶と対峙する邪竜・・・ぶっちゃけシュールな絵面だ。
『むむっ!?こんなところに悪いドラゴンが!?・・・と言うか、我輩はいつの間にお姫様を救出する勇者の如き立ち位置になってしまったのであるか!?仕方ない・・・こうなればレッツ・ドラゴンスレイヤー!ドラゴン死すべし慈悲はない!ってそれニンジャスレイヤーやがなー!と言うわけで「約束されし勝利のドリル(ドリルカリバー)」によって、我輩の経験値となるがいいっ!』
 先に動き出したのは破壊ロボ。
 ドリルを構え、ジャバウォックへと突進していく。
 対するジャバウォックはその場から動かず、息を大きく吸い込んだ。
(・・・ん?)
 ジャバウォック=ドラゴンなわけで、ドラゴンが息を大きく吸い込んだ後の動作と云えば・・・?その考えを裏付けるように、閉じた顎の隙間から紅い輝きが漏れていた。
「まさか・・・」
 そう、まさかだった。
 ジャバウォックは限界まで溜めた灼熱のブレスを吐き出した。
『ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!?』
 その威力は凄まじく、直撃を受けた破壊ロボを、まるで飴細工の如くドロドロに溶かしてしまった。
『ああ無情、君の熱い吐息に、僕は身も心も蕩けていった・・・って言ってる場合じゃないのである!このままじゃ我輩ジ・エンド!?誰かヘールス!ヘルスミーなのであーる!!!』
 機体を半分ほど熔かされ機能を停止したらしい破壊ロボは、そのまま自分の溶液の中に沈んだ。
 しかしまあ・・・悪い冗談って言うか。
「火ィ、吹くんだな。ジャバウォックって」
「ンな事言ってる場合か!?・・・あの娘に天賦の才があったとて、ニトクリスの鏡による虚像が、あれ程の力を持つ筈が・・・」
「とは言っても、今現在進行形で見せ付けられてますけど?」
「あれだけ近くに在りながら、気配を感じなかった事と云い、この異常なまでの魔力の顕現と云い・・・妾にも分からぬ何かが、断片に介在しておるのやも知れぬ」
 ・・・何か、ねぇ・・・ま、今は詮索してる場合じゃあねぇか。
「そんなことよりアリスンちゃんを助けないと!!!」
 ひまわりの言うとおりだな。オラは現場から充分に距離がある区画に着地し、ライカさんとひまわりを降ろした。
「神之介ちゃん!アリスンちゃんが・・・!!!」
「大丈夫だゾ。オラに任せて」
「え・・・!?でも・・・」
「信じて欲しい」
 ライカさんが押し黙ったことで、短い沈黙が訪れた。
 遠くからは、ジャバウォックが暴れている音が聞こえてくる。
「神之介ちゃんは怖くないの?」
「・・・え?」
 唐突な問いかけだった。
「どうして戦えるの?答えて神之介ちゃん」
 要領を得ない質問だったが、ライカさんは鋭い眼差しで答えを促している。・・・ってか睨んでるよねコレ。
 何でこんな時に質問したのかが分からないが、正直に答えるっきゃねーよな。
「神之介、グズグズしてる暇は・・・」
「・・・ま、確かに怖くないって言えば嘘になる。正直言って怖いよ。逃げれるなら逃げてェさ」
「だったら!」
「だけど・・・ヤバイと分かってても何もしないでそれが本当になっちまうのが一番怖ェ」
 だから、オラは戦う。もう二度と後悔の涙を流さない為に。歯を食いしばりながら。前を向きながら。自分が自分であるために。
「・・・ごめんなさい、神之介ちゃん。アリスンちゃんをお願いします」
「あいよ」
 ニカッと笑い、アルに向き直る。
「行くぜ!アル!!」
「ああ!!」
 オラは剣指を作り、召喚の魔方陣をかいた。そして、アーカムシティに聖句が高らかに響き渡る。
「憎悪の空より来たりて!」
「正しき怒りを胸に!」
「「我等は魔を断つ剣を執る!」」
―汝!無垢なる刃、デモンベイン!!!
『アリスン!今お助けするゾ!!!』
 かくて刃金の巨人と邪竜は対峙する。

To be countenude・・・。 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
・・・本来ならば先週に書き上げて投稿したかったのですが、インフルエンザで一週間ほど寝込み現在に至ります・・・orz
新年早々、散々な目にあってますがめげずに頑張りたいと思っておりますので応援よろしくお願いします。
次回は、デモンベインVSジャバウォック!見逃すべからずっ。
それでは~(0w0)ノシ 
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