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大陸の妖精

作者:sinの妖精
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さよなら

 
前書き
場面転換描写が難しいと実感させられました・・・(汗)

 

 

日差しが窓から差し込む中、机に向かって手紙を書くルーシィ


その表情は戦いが終わって安堵しているというよりも、何かを考え込んでいる様だった




『ファントムとの戦いが終わって一週間


やっとあたしたちも落ち着きを取り戻してきたの



・・・って言うのもファントムを倒した後、すぐに評議院の軍隊ルーンナイトに取り囲まれちゃって自称聴取の為に軍の駐屯所に連行されちゃったのね



毎日取り調べを受けて、一週間たった今やっと落ち着いてきたてわけ


フェアリーテイルに対する処分は評議会の後、後日下されるらしいの・・・・・はぁ


でも心配しないでねママ、ファントムの襲撃は立証されてるからそんなに重たい処分にはならないと思うんだ



・・・ねぇ、ママ・・・これは本当に裏で『あの人』が操ってた事なのかな?


あたしを連れ戻そうとする意味が分からない・・・あたしに興味ないくせに・・・


フェアリーテイルには迷惑かけちゃったなぁ・・・ママ・・・『あの人』ならまたやるよね


同じ事を・・・お金の力で・・・



それだけはあたし・・・』










ナツ「おーもぉーてーえぇー・・・」


ナツが大きな木材を何本を背負って歩く



グレイ「一度にそんな持つからだよ、バカじゃねーの?」


効率よく木材を一つだけ持って運んでいるのはグレイ



ナツ「ははっ!!おめえは軟弱だからそれが限界なんだろーなァ」


グレイ「ア? オレがその気になればてめえの倍はいけるっての!!」



二人のやりとりを影から見つめる少女が一人


ジュビア「(あぁ・・・今日もアルト様の姿は見えない・・・ジュビア寂しい)」




エルザ「喋ってるヒマがあったらさっさと運ばんか、一刻も早くギルドを修復するんだ」


作業着を着たエルザが喋っているナツとグレイの元に寄る


マカロフ同様、ギルド再建にかなり気合が入っていた



ナツ「それよりもアルトはまだ寝込んでんのかよォ!もう一週間だぞ!!」


グレイ「仕方ねえだろ、聖十大魔道と張り合う程の魔力を使ったんだ」


エルザ「治癒魔導士が言うには心配ないらしいが・・・」


ミラ「あら?アルト来てないの?」


ミラが不思議そうな表情でナツたちに問う



ナツ「あぁ、アルトは今も寝込んでるんだろ?」


ミラ「えっ?今朝お見舞いに行った時は家に居なかったわよ?」


ナツ「何ィー!!!?」


エルザ「もう動けるようになってたのか!?」


グレイ「じゃあ一体どこに行ったっていうんだよ」


ハッピー「きっとルーシィの家だよ!!」


ナツ「よっしゃー!!そうと分かりゃルーシィん家に行くぞー!!」










ナツ「ルーシィ、アルト元気かぁ!!!!」


ハッピー「元気かぁ」


ナツとハッピーが勢いよく家のドアを開ける


しかしそこにはアルトの姿もルーシィの姿もなかった



ナツ「・・・・・」


ハッピー「あれ?いないのかな」


グレイ「いや、もしかしたら風呂かもしれねえ!!!お約束の展開が―――」


ナツ「いねえ」


グレイ「風呂のチェックはえぇよ!」



エルザ「む、あの机の上に置いてある手紙の山は何だ?」


ナツ「手紙だぁ?」


辺りを見渡すエルザは机の上に置かれた大量の手紙が気になった


無断で申し訳ないと思いつつナツたちは手紙を読んでいく



『ママ・・・あたしついに憧れのフェアリーテイルに入ったの』



『ママ・・・今日はエルザさんって人に会ったの!!かっこよくてキレーで・・・あのアルトやナツがね・・・』


エルザ「む・・」



グレイ「これ全部ママへの手紙か?」


ナツ「何でこんな机の上に出してんだ?」


エルザ「・・・私たちの前に誰か来ていたんだろう」


グレイ「誰かって・・・もしかしてアルトか?」


エルザ「その可能性が高いな・・・だとしたら、アルトが今どこに居るのかも想像がつく」


ナツ「どういう事だ?」


するとエルザが手紙の下から一枚の小さな紙を取り出し、ナツたちに見せる


どうやらルーシィの書き置きらしい



エルザ「・・『家に帰る』だ そうだ」


ナツ・ハッピー・グレイ「「「何ィィ!!!?」」」


エルザ「アルトはこの書き置きを見た後、急いでルーシィを追いかけていったハズだ」


ナツ「何考えてんだアイツはァア!!」


エルザ「とにかく今から急いで追うぞ!ルーシィの実家だ!!!!」





ナツたちがルーシィの書き置きに気づいたのと同時刻


線路に沿った道を自動車並みのスピードで走り抜ける黒髪の少年がいた


額には滝のような汗が流れており、険しい表情で走っていた



アルト「ルーシィ・・・俺はっ・・・お前の口から聞くまで・・・納得しねえぞ!!」










それから数分後


ハートフィリア邸


綺麗なドレスで着飾ったルーシィが複雑な表情でとある大部屋へと入っていく


扉を開けたそこには高価なスーツを着た男が立っていた



ジュード「よく帰ってきたなルーシィ」


ルーシィ「何も告げず家を出て申し訳ありませんでした、それについては深く反省しております」


ジュード「賢明な判断だ、あのままお前があのギルドにいたのなら、私はあのギルドを金と権威の力をもって潰さねばならないトコだった」


偉そうな口ぶりでそう話すジュード

ルーシィはうつむき、ジュードの話を黙って聞いていた



ジュード「やっと大人になったなルーシィ、身勝手な行動が周りにどれだけの迷惑をかけるのかいい教訓になったであろう」


ルーシィ「・・・・・」


ジュード「お前はハートフィリアの娘だ、住む世界が違うんだよ・・・今回お前を連れ戻したのは他でもない、縁談がまとまったからだ」


ルーシィ「!!」


ジュード「ジュレネール家の御曹司であるサワルー公爵、以前からお前に興味があると言ってただろう」


ルーシィ「・・・言ってましたね」


ジュード「ジュレネール家との婚姻によりハートフィリア鉄道は南方進出の地盤を築ける、これは我々の未来にとって意味のある結婚となるのだ」


ジュードの言葉を黙って聞いていたルーシィは拳を握りしめる



ジュード「そしてお前にはハートフィリアの跡継ぎとして男子を産んでもらう・・・話は以上だ、部屋に戻りなさい」


ルーシィ「・・・―――」


背を向けたジュードに対しルーシィが何かを言いかけたその時




アルト「ルーシィィイ!!!!」


扉を勢いよく開けたアルトが部屋に入り込んできた



ジュード「!!」


ルーシィ「えっ!?アルトォ!!?」


見るとアルトの恰好はボロボロで、大量の汗により服がその身に張り付いていた



ジュード「な、なんだ貴様は!!」


アルト「フェアリーテイルのアルトレア・ウィルダントだ、ルーシィを迎えに来た!」


ルーシィ「えっ・・・迎えにって・・・!?」


アルト「書き置き見たぞルーシィ、どういうつもりなんだ!?」


慌ててルーシィに詰め寄って問うアルト



アルト「お前がこの家に戻りたくなったって事なら別に止めやしない!だけど居たくない家に無理に戻る必要はないって言ったろ!!」


ルーシィ「ちょっ・・・アルト、ひとまず落ち着いて!!」


アルト「これが落ち着いてられるかぁ!!おい、アンタがルーシィの父親だなぁ!?」


ジュード「!!」


アルトは感情の矛先をジュードに向ける



アルト「あんたなァ、もうちょっと自分の娘の事考えたらどうなんだよ!?」


ジュード「お・・大きなお世話だ!ルーシィと私は親子だ、他人の貴様が口をはさむな!!」


アルト「確かにアンタとルーシィは切っても切れねぇ縁がある!!でもだからこそ自分の傍に無理やり縛り付ける必要は無いんじゃねえのか!!?」



ジュード「何ィ!?」


ルーシィ「アルト・・・」



アルト「俺たちフェアリーテイルはどんな状況になろうとルーシィの見方だ!!ルーシィがアンタを拒み続ける限り俺たちもアンタを敵とみなす!!」


ジュード「っ!!」


アルト「金だろうが権力だろうがまとめてかかってきやがれ!!俺たちフェアリーテイルはそんなもんに絶対屈したりはしない!!!」


ジュード「き・・・貴様・・・!!」


ジュードとアルトが睨みあう中、ルーシィがアルトの肩を掴んで言う



ルーシィ「ありがとう、アルト・・・ここからは私に言わせて」


アルト「!!」



ルーシィ「お父様・・・今日私が戻ってきたのは自分の決意をお伝えするためです、いつまでも家出のままでは逃げ出した事と何も変わらないですから」


ジュード「・・・ルーシィ?」


ルーシィ「今回はきちんと自分の気持ちを伝えて家を出る・・・あたしはあたしの道を進む!!結婚なんて勝手に決めないで!!そしてフェアリーテイルには二度と手を出さないで!!」


そう言うと同時にルーシィはその身に纏ったドレスを破り捨てる



ルーシィ「今度フェアリーテイルに手を出したら、あたしが・・・ギルド全員が貴方を敵とみなしますから!!!!」


その姿をみたジュードは驚愕の表情を浮かべ、その場に立ち尽くす



ルーシィ「フェアリーテイルはもう一つの家族・・・あたしという人格を認めてくれる・・・あたし一人の為にこんなに汗だくになってまで迎えに来てくれる人だっている・・・ここよりずっとあたたかい場所なの」


ジュード「なっ・・・!!」


ルーシィ「ママと過ごしたこの家を離れるのはとてもつらいけど・・・でも・・・もしママがまだ生きていたら・・・あなたの好きな事をやりなさいって言ってくれると思うの、だから・・・さよならパパ」


ルーシィが決意ある表情でジュードにそう伝える


それを聞いたアルトはにやりと笑みを浮かべた後、突然ルーシィを抱き上げた



ジュード「なっ・・・!!」


ルーシィ「えっ・・・アルト!?/////」


アルト「そういう事だ、俺たちはこの辺でおいとまさせてもらうぜ」


そう言ったアルトはルーシィを抱えながら急いで部屋を飛び出した





屋敷の外を飛び出すとナツたちがこちらへ向かってきた


ナツ「ルーシィ!!」


ルーシィ「何でここにいるのー!?」


エルザ「やはりアルトはルーシィの元に行ってたか」


グレイ「それよりも、お前なんでそんなに汗だくなんだよ」


アルト「走ってきたからに決まってんだろ、急いでたから列車なんて待ってられねえよ」


グレイ「相変わらず無茶苦茶なやつだな・・・(汗)」


ルーシィはナツたちに実家に帰ったのは母親の墓参りの為だと伝えた


それを聞いたナツたちは安堵の笑みをこぼした



ルーシィ「みんな・・・心配かけてごめんね」


エルザ「気にするな、早合点した私たちにも非はある」


ナツ「ハッピーなんかずっと泣いてたぞ」


ハッピー「な・・・泣いてないよ!!」


グレイ「それにしてもでけー街だな」


グレイがあたりを見渡しながらそう呟く


するとルーシィが遥か向こうの山を指して言った



ルーシィ「あ・・・ううん、ここは庭だよ!あの山の向こうまでがあたしん家」


ルーシィのさりげない一言に四人と一匹は驚愕する



ナツ「お嬢様キター!」


グレイ「さりげ自慢キター!」


アルト「お約束の『ここからここまでがあたしん家』って台詞キター!」


ハッピー「ナツとアルトとグレイがやられました!エルザ隊長、一言お願いします!!」


エルザ「空が・・・青いな・・・」


ハッピー「エルザ隊長が壊れたぞー!!」





『天国のママへ


あたしはね、皆と一緒でなきゃ生きていけないと思う


だって妖精の尻尾は、もうあたしの一部なんだから!』



ルーシィ「アルト・・・」


アルト「んー?どうしたルーシィ」


ルーシィ「あのっ・・・迎えに来てくれてありがとう!すごく・・・安心した/////」


赤く染まった頬を見せないように俯きながら話すルーシィ


その様子を見たアルトは微かに微笑んでルーシィの頭を撫でる



アルト「お礼なんかいいって、『家族』を助けるのに理由はいらねえだろ」


ルーシィ「・・・/////」


ルーシィはしばらくアルトに撫でられ続けていた

 
 

 
後書き

ファントムロード編終了です、これでルーシィの設定が書ける・・・!

閉話はただいま執筆中ですのでもう少し待ってほしいです 
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