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『夢の中の過去』

作者:零那
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『In』


夢の中で出会った君は、過去の君と変わらない。
強いて言えば、家の場所や構造が違ってたくらい。

君に言われた通り、僕は過去の君を救おうとしたんだ。
ありとあらゆる手段を使い果たした。
君は満足?
幻影を殺しただけにしか過ぎない。


警察は、現実世界でも夢の中でも何もしなかった。
君は、こんな世界で生きてることに苦しんだ。


君を助けてくれる人は誰も居なかった。
厄介者扱いで問題児扱い。
誰がこんな君にした?
本来、君はこんな君じゃない。


周りの皆が君を変えた。
真っ白だった君を、段々灰色にして、そして、真っ黒に。


本来の君は、こんな君じゃない。
こんな場所で、立ち止まって膝抱えて、泣いてるだけの君じゃない。


拳握り締め、怒りや憎しみを生きる糧にしてきた君。
立ち上がれ。
這いつくばってでも進め。
奈落の底から這い上がれ。
負けてたまるか。


君に悲しい涙は似合わない。
例え、死より苦しい道を歩んできたとしても...
君には怒りの涙が似合う。
怒り憎しみ、殺意、悔しさからの涙...
何より君らしい涙。


思い通りにいかないのは当たり前。
生きてると付加価値はついてくるのか?
生き続けると幸せや自由は掴めるのか?


そんな疑問を抱き、過去の君とサヨナラしたんだけど...
何か教えてあげるべきだったかな?
君の未来は、一応それなりに悪くないよ...と。


君の過去に比べれば、これくらいの不自由はマシだろうから。


過去の君も、今の僕も、同じ。


何故か、ほんのちょっとだけ、自由の欠片を手に入れた気がした。


なにひとつ、何も手にしていないのに...


 
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