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義侠

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第四章


第四章

「そういうことだ」
「それで、ですね」
「そうだ。それでだ」
 こう二人に話すのだった。
「この救出作戦は絶対にだ」
「成功させなければならない」
「そうなのですね」
「空からの援護も決定した」
 最早それなくしての戦いは有り得なくなっていた。第二次世界大戦はそれまでの戦争とは大きく変わったものになっていたのである。
「だからだ。我が基地からもだ」
「出撃させますか」
「そうしますか」
「そうだ。しかしだ」
 ここで司令の言葉がさらに厳しいものになる。それがドイツ軍の軍服にやけに似合う。
「この作戦の成功は容易ではない」
「イワンの奴等も阻止しなくてはならない」
「だからですね」
「イワンで作戦失敗はそのまま銃殺につながる」
 独裁者スターリンの指示によってだ。そうした意味でソ連軍の軍律は厳しい。ただしその素行はあまりにも悪辣であるがだ。
「だからだ。奴等も必死だ」
「激しい戦争になりますね」
「絶対に」
「そうだ。参加するとかなりの確実で死ぬ」
 司令は断言した。このことをだ。
「それでも参加するかどうかだが」
 二人の顔を見る。そのうえでの言葉だった。
 暫し沈黙が流れた。緊張を含んだ沈黙だ。
 そしてその沈黙はだ。二人によって破られた。
「それではです」
「我々も」
「参加するか」
「はい、そうさせて下さい」
「是非」
 二人は即座に答えた。
「そこにあいつがいるなら」
「何としても」
 こう司令に話してだった。志願するのだった。
 かくしてだ。二人はその戦闘に参加するのだった。基地から出撃していく。
 戦場の上空に来るとだ。もうだった。
 ソ連軍の戦闘機達がいた。その数は。
「いつもより多いな」
「ああ、多いな」
 普段のだ。優に倍以上はいた。
「それだけ奴等にとってもな」
「脱出させる訳にはいかないか」
「それでここまでか」
「数を出してきたのか」
 それがわかった。そしてだ。
 彼等もだ。意を決した顔で話すのだった。
「敵が数で来るならな」
「俺達はな」
 ハイデッケンもホルバインもだ。無線で話していく。
「腕で戦うか」
「ドイツ軍らしくな」
 実際にドイツ軍は常にそれで戦ってきた。数で圧倒しようとするソ連軍に対してだ。そうしてだった。今もそうして向かうのだった。
 今回はだ。的の数を考えてだった。
「いいか、まずはだ」
 隊長機が指示を出してきた。
「右から襲うぞ」
「右からですか」
「そこからですね」
「そうだ、右から襲ってだ」
 それからだというのである。
「一気に突き抜けることはしない」
「それはなしで」
「そうするんですか」
「一撃を浴びせてから離脱する」
 それだというのだった。
「そして方角を変えてまた仕掛けて離脱する」
「そうしていってですね」
「敵の数を減らしていく」
「今回はそうしますか」
「そうだ、いいか」
 隊長の声はだ。普段よりもだった。強いものだった。
 
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