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遊戯王ARCーⅤ 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜

作者:ざびー
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九話 マッチ戦、です。

優希が沢渡のお見舞いに行っている一方で遊勝塾では……


((どうしてこうなった…………))

真澄と徹の二人は内心で頭を抱えていた。

真澄はいきなり呼び出されたと思ったら、優希が入ったという遊勝塾へと殴り込み……。
そして、徹は入学したと思ったら、いきなり塾存亡の危機では、流石に悩みものだ。

真澄と徹の目線が偶然合うと以心伝心したのか、肩を竦める。

「我々、LDSとあなた達、遊勝塾でそれぞれ三人ずつ出し合い、先に二勝した方が勝ち……というルールでいかがでしょう?私達が勝てば、遊勝塾は我々の物、あなた方、遊勝塾が勝てば、榊 遊矢さんが沢渡シンゴを襲った事は不問にしましょう。もっとも無いと思いますが。」

「くっ……わかった。その勝負引き受けましょう」

((え?受けちゃうの!?))

こんな理不尽かつ遊勝塾に対してメリットのないデュエルを受けたことに驚愕する二人。最も皆にはバレないようポーカーフェイスを保っているが……。こうして、LDS対遊勝塾のマッチ戦が幕を開ける。


◆◇◆
side徹

何が何やらよくわからないまま、LDS対遊勝塾のマッチ戦が開始され、初戦はLDSに体験入学しに行った時にも見かけた紫色という派手かつ、前髪をこれでもかと言うほど逆立てるという奇抜髪型をした男の人ーー志島 北斗さんと我らが遊勝塾のエース、榊 遊矢さんだ。

LDS生の中で唯一面識のある光津 真澄さんに志島 北斗さんについて尋ねると彼女曰く、《先行プレアデス》。どんなあだ名だよ!とツッコミたいのをぐっと堪え、そのあだ名が指す意味を考える。
確かプレイアデスはセイクリッドというカテゴリのランク5エクシーズモンスターだったはず。効果はオーバレイ・ユニット一つを代償にカードをバウンスさせる交換で、相手ターンにも発動できるという中々の強効果。しかも、破壊じゃないのがいやらしい。さらにオーバーレイ・ユニットを全て使い切ったとしてもさらにランクの上の【セイクリッド・トレミスM7】へとリサイクルできるという浪漫の欠片もないガチモンスター。先行と付くことから、わざわざ先行1ターン目からプレアデスプレアデスして、次の相手のターンに召喚したモンスターをバウンスする戦術をするのだろう。

インチキ効果もいい加減にしろよな!!

って、アレ?案外そうでもなさそう……。鬼畜HEROこと我が姉なら、それくらい朝飯前じゃないか。

そんなことを考えていたら、ゾクリと背中に氷水を打ち込まれたかのような悪寒が走る。

ね、姉ちゃんに気づかれた!?ま、まさかね……?

悪寒はただの偶然ということにして、デュエルの結果を予想してみよう。
遊矢さんのデッキは通常はEMとカテゴリで統一されたデッキで、トリッキーな動き……例えば、相手ターンでも攻守を反転させる蛇とか、特殊召喚する度に攻撃力を下げてくるグラサン太刀魚とか、罠カードには、攻撃を無効にした上でデッキサーチを行うカードや破壊されたEMモンスターを手札に戻すサポートカードなど中々充実している。そんなカード群を駆使して、相手を殴り倒すビートダウンデッキだ。さらに他のビートダウンと一線を画すのが、今のところ、遊矢さんだけが使用できるペンデュラム召喚だ。両サイドに置かれたペンデュラムスケールの数字に挟まれたレベルを持つモンスターを手札から同時召喚が行えるこの召喚は召喚権を使わず、さらに一気に形成逆転させる力も持っている。最も姉ちゃんの使役する【アロマシムルグ ハーピィ軸】に見事完封されていたのは内緒だ。

片やバウンス、片やペンデュラム。だが、遊矢さんは手札から同時召喚が行える分、バウンス耐性があるようなものなので有利なはず。

とここまで推測し終わったところで二人のデュエルが開始される。


◆◇◆

「オイオイ……塾長ェ、これじゃあ、遊矢さんの不利じゃないかぁ。」

選ばれたアクションフィールドを見て、落胆する。選ばれたのは【星の聖域】。言わずもがなセイクリッド使いかつ《先行プレアデス》の異名を持つ北斗さんの得意ステージである。どれだけ得意かというと、配置されたAカードの位置、そこまでの最短ルート諸々全てを把握するほど。どんだけぇ〜と少し引いてしまう。

デュエルの内容は北斗さんが先行プレアデスを行い、次の遊矢さんのターンに召喚された【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】をバウンスするという予想通りの始まりだ。その後、遊矢さんは形成逆転を狙って、Aカードを取りに向かうが先回りされ、取れず終い。そして、決死の覚悟でもぎ取った一枚が逆転の一枚となり、トレミスM7を倒すと次のターンにペンデュラム召喚を行い、大量展開をして、北斗さんをタコ殴りにするという結果に終わった。

デュエル終了後に、北斗さんに向かって、真澄さんが「あんた、バカァ?」という厳しいお言葉が発せられ、攻撃力3000級のモンスターにダイレクトアタックを受けたのかというくらいの精神的ダメージが入ったようで、ガックリと倒れこむ。

真澄さん、強ぇ〜。と思ってしまった自分がいた。



◆◇◆
そして、第二回戦。

対戦するのは、LDSからは姉ちゃんの友達でクラスメートの光津 真澄さん、遊勝塾からは柊 柚子さんだ。
真澄さんはLDSが独占している《融合召喚》を使い、融合モンスターのバリエーションが豊富な《ジェムナイト》を操る。
柚子さんは《幻奏》と呼ばれる天使族で統一されたモンスター使役している。アクションデュエルと合わさるとまるでモンスターが唄いながら戦っているようで幻想的である。

「アクション・フィールド、オン!!フィールド魔法【クリスタル・コリドー】、発動!!」

色とりどりのクリスタルで飾られた回廊。照明にクリスタルが照らされ、色とりどりのプリズムが発せられる。だが、空気を読まない人が一人……

「ゆずぅぅぅ!!このフィールドでっ、輝けぇぇぇ!!!」

塾長ェ……。親バカもいいですけど、自重しろよ。ホラ、真澄さん、白い目で柚子さんを見始めた。

そして、二人の間で一言二言会話が交わされた後、いつもの口上が行われ、Aカードがフィールドへと散らばる。

『『決闘(デュエル)』』


先行は柚子さんがもぎ取り、真澄さんは少し悔しそうな表情をする。
先行はドローできない代わりに相手を気にせず動くことができる。まぁ、一部例外もあるが……。

柚子さんが幻奏専用の特殊召喚魔法【独奏の第一楽章】を発動し、デッキから【幻奏の音女セレナ】が特召喚される。

【独奏の第一楽章】は発動ターンは、幻奏モンスターしか出せなくなるデメリットがあるが、デッキからも特殊召喚が行え、幻奏モンスターで構築してしまえば、デメリットはないに等しい。さらにこの効果で特殊召喚モンスター【幻奏の音女セレナ】は幻奏専用のダブルコストモンスター。加えて、このカードが特殊召喚されたターン、幻奏モンスターを通常召喚に加えて、もう一体特殊召喚ができてしまう。

そして、セレナをリリースして、柚子さんのエースモンスターである、最上級モンスター 【幻奏の音姫プロティジー・モーツァルト】がアドバンス召喚される。

アドバイス召喚は場のモンスターをリリースして、レベル5以上のモンスターを召喚する方法で、世間一般、広く知られている。というより、逆に融合、シンクロ、エクシーズが希少なのだ。

【幻奏の音姫 プロティジー・モーツァルト】は攻撃力は2600とレベル7にしては低めだが、1ターンに一度、手札から光属性・天使族モンスターを特殊召喚できる効果がある。レベル制限がないため、この効果で天使族の代表格となる【アテナ】や【The splendid VENUS】も召喚が可能である。

プロティジー・モーツァルトの効果を使用し、手札から【幻奏の音女 エレジー】を特殊召喚する。エレジーは特殊召喚された幻奏モンスターに効果破壊耐性を与えると共に、特殊召喚されている場合、天使族モンスターの攻撃力を300ポイントアップさせることができる。

さらに柚子さんは残り手札二枚ーー【幻奏の音女 カノン】、【幻奏の音女 ソナタ】を特殊召喚する。カノンとソナタは場に幻奏モンスターがいる時、無条件で特殊召喚ができ、【幻奏の音女 ソナタ】は特殊召喚されている場合、天使族モンスターの攻撃力・守備力をそれぞれ500ポイントアップさせる永続効果を持っている。エレジーの効果と合わせ、合計で800ポイントもの攻撃力をアップさせることができ、最も高い攻撃力のプロティジー・モーツァルトは3400まで上昇している。

そして、手札全てを使い切った柚子さんはエンド宣言をし、真澄さんへとターンが移る。

しかし、大丈夫だろうか……。場にはなかなか強力なモンスターが並んだものの相手の行動を阻害できるカードが一枚もない。これでは、もし、この布陣を突破できるモンスターが出された場合、対処できない。

真澄さんの1ターン目。デッキからカードをドローするし、手札を確認すると勝ち誇った笑みを浮かべる。

真澄さんは【ジェムナイト・フュージョン】を発動し、手札の【ジェムナイト・オブシディア】と【ジェムナイト・ラズリー】で融合を行い、【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】を融合召喚する。

あっ……これ不味くね?

タラリと汗が額を伝う。

まず、【ジェムナイト・オブシディア】は手札から墓地に送られた時、墓地のジェムナイト通常モンスターを手札に加えられる。その効果で、【ジェムナイト・ラピス】を手札に戻す。
そして、融合召喚された【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】はデッキからジェムナイトを墓地に送る事で、場に特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのバーンダメージを与えられる。特殊召喚されたモンスターは柚子さんの場に、エレジー、カノン、ソナタの三体と真澄さんの場にラピスラズリの一体。計四体が存在するため、2000ポイントのダメージを与えることができ、一気にライフの半分を持っていかれてしまう。

真澄さんは【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】の効果で、ガネットを墓地に送り、柚子さんに2000ポイントの先制ダメージにしては、些か大きすぎるダメージを与える。

バーンダメージでは、幾ら強いモンスターを並べても、意味をなさない。そして、ジェムナイトはこれだけで終わらないのが恐ろしい。

真澄さんが融合する際に使用した【ジェムナイト・フュージョン】は墓地のジェムナイトモンスターを、除外することで手札に加えることができる。真澄さんは墓地のオブシディアを除外し、【ジェムナイト・フュージョン】を手札に加える。そして、さらに場のラピスラズリ、手札のラピスとラズリーの三体を融合し、真澄さんのエースモンスター【ジェムナイトマスター・ダイヤ】を融合召喚する。さらには、ラズリーの効果で墓地のラピスを手札に戻し、消費を最低限に抑える。

で、出て来やがった……

【ジェムナイトマスター・ダイヤ】の召喚で、残念ながら柚子さんの負けを確信する。もっとも、手札や墓地に【ブレイクスルー・スキル】や【エフェクト・ヴェーラー】のような相手ターンでも効果を阻害できるカードがあれば、別だが、柚子さんの手札は満足(0枚)、墓地にもそういったカードは落ちていない。

ジェムナイト最強の融合モンスターである【ジェムナイトマスター・ダイヤ】は墓地に存在するジェムナイトモンスター一体につき、攻撃力を100ポイントアップする永続効果がある。


そして、墓地には【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】が融合素材として墓地に送られている。ということはつまり……

『【ジェムナイトマスター・ダイヤ】の効果を発動!墓地のラピスラズリを除外し、その効果を得る!!』

真澄さんはラピスラズリの効果をコピーし、効果を発動させ、ガネットを墓地に送り、柚子さんに2000ポイントのダメージを与え、フィニッシュだ。

柚子さんはまさかのワンターンキルを決められ、相当ショックだったらしくがくりと崩れ落ちる。

真澄さん、マジ強すぎっすよぉ!


◆◇◆


ガクリと項垂れる柚子さんを尻目にデュエルが終了しようとしている時、廊下を一陣の風が吹き抜け、アクションフィールドへと続く扉が蹴破られ、

『Battle Royale Mood』

『Joining』

電子音が響き、二人のデュエルに乱入者が現れた。

























「じゃんじゃじゃ〜ん!善かれと思って、私参上!!」


「姉ちゃん!!??」

乱入者はまさかの姉ちゃん(優希)だった。


 
 

 
後書き
だいぶ遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。年末年始、遊びまくっていて中々書き進めることができませんでした。楽しみにしていただいた方はすいませんm(_ _ ")m

ついでに原作の二番煎じでは、つまらないので少しデュエル内容を変更してみました。やっぱり、ラピスラズリ強い(確信。
え?某不審者に使っていたコンボだ?いやいや、気のせいですよ(焦り


あと、アクションフィールド及びアクションカード案を受け付けております。感想、批評のついでに考えてもらえると嬉しいです。

 
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