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剣の世界で拳を振るう

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グランドクエスト

「さて、ここで良いのか?」

「うん、間違いないはず」

あの後大急ぎで空を飛び、十数分かけて世界樹の根本へとたどり着いた俺とリーファ。
しかし、キリトの姿は何処にもなく、回りには人一人いない状態である。

「……扉が開いているな」

「……うん」

俺たちの正面にある巨大な扉は人が入れるほどに開いており、明らかに誰かが入った痕跡を残している。

「キリトだろうな」

「キリト君だね…」

どうやら単独突入をしたようだ。
俺とリーファはその中へと入る。

「ケンさん!あれ!」

リーファが入って早々に指を指し、その方向にはたった今ザクザクと串刺しになったキリトが居た。
キリトは死亡エフェクトである炎へと様変わりし、その場で浮いている。

「リーファは補助!俺はあの魂を取ってくる!」

「了解!」

俺は羽を広げて勢いよく飛び立った。










「お前は馬鹿なのか?」

「…ごめん」

グランドクエストの門の前。
そこまで危ない状況にはならず、キリトの魂をもって脱出を果たした俺達は、
キリトを蘇生させて説教をしていた。

「でも、上にアスナがいるって……わかったんだ…」

「……もう少し待てよ。
お前は独りじゃないんだから…手助けしてくれるプレイヤーだっているんだ」

「そうだよ!心配したんだからね!」

しかし、先程のキリトの位置はもう少しで天井の門に到達できる所だった。
どうなっているのかは分からないが、もしかしたらアップデートが開始されて無いのかもしれない。

「…キリト。一旦落ちるぞ。
少しリアルで用事が出来た」

「…わかった。待ってるよ」

キリトは力なく返事をして、宿屋まで歩いて行った。

「リーファはアイツを慰めといてくれ。
必要なら殴っても構わん」

「構うよ!もう!」

リーファはキリトの後に続くように追い掛けていく。
俺はその光景を見送り、ログアウトボタンを押した。















「親父、いるか?」

俺はナーヴギアを外して親父の部屋に向かった。
理由は簡単。
原作では電脳化し、仮想世界を漫遊していた茅場だが、今ではあり得ない。
そこで俺が思ったのはヒースクリフのIDを借りようと言うことだ。

「先程お前のナーヴギアに転送しておいた。
心置き無く使いたまえ」

「……俺はまだ何も言ってないんだが?」

「拳士がやっているALOはSAOのデータを引用したものだ。
知っての通り、アーガスによって買収されてしまったSAOのデータが略そのまま適用されている。
そしてSAO買収を宣言したのは私の後輩だった須郷君だった」

坦々と語る親父。

「因みに聞くが、どうやって調べた?」

「無論、機材を使った」

しれっと言う親父は珈琲を片手に言った。

「アンタ今監視されてるはずだよなぁ!?
どうやって機材使えたんだよ!」

「私に不可能は殆どない!」

「そこは全く無いとか言えよ!」

どうやら親父のキャラは面影を残さないほどに消え去ったようだ。

















「……よし」

再びログインした俺はキリトに会うため、宿屋に向かった。
宿屋に到着して早々にキリトは扉を開け放ち、俺に向かって謝罪を入れた。

「お前がしたことは間違いじゃない。
さっきは独り、今度は皆がいる。だから今回で終わらせるぞ」

「おう!」

後は件の天井門にたどり着ければ問題なく終わらせられる。
今IDを使えば即座に対応されておじゃんになる可能性がある。
何しろ原作と大きく欠け離れているのだから。主に俺のせいで。

だからこそ俺はキリトの代わりとして、色々と暗躍することにする。
例えそれがキリトを囮にする作戦だったとしても…。







中に入ると、周りにはまだ誰もいない。どうやら、ある程度進むとガーディアンが出現すると推測。囮の俺が先行し、群がるガーディアンのタゲを取っていく。
俺の動きにガーディアンが翻弄されている間にキリトが一気に加速してゴールを目指す。
当然、キリトの前にもガーディアンが現れるが、リーファやら俺が魔法で潰し、道を作る。
だが、それでもガーディアンは現れる。

「お兄さん!ダメです敵が多過ぎます!」

「分かってる!これ絶対クリアさせる気ないだろ!」

思ったより早い!
それに敵の視線がリーファに向かないように暴れるにも限界がある。どうする…。
そう考えていたとき、門から新たなプレイヤーが入ってきた。

「さ、サラマンダー!?どうしてここに!?」

「ウンディーネ、ケンに助太刀する!」

現れたのはユージーン将軍。
後ろに英志隊を引き連れ、リーファや俺、キリトに群がるガーディアンを蹴散らし始めた。

「私達もいるよー!」

「全軍、攻撃開始!」

次に現れたのはサクヤとアリシャだった。
見た感じで魔法部隊と、飛竜に騎乗したプレイヤー達が次々と現れ、陣形を整えつつ攻撃し始める。

「貴殿等は先に進め!」

「此処は私たちに任せて先へ!」

「おねーさん頑張っちゃうよー!」

各々の領主が激励をかけてくれる。
何故来てくれたのか。
心がけ温かくなるのを感じながら、俺はキリトの横を通って上昇を開始した。

「キリト!後ろに続けぇ!」

「おおおおお!」

俺は飛びながら所謂“荒ぶる鷹の構え”をし、全身を気の代わりに風魔法を纏う。

「超級!覇王!」

そして俺の体は一つの大きな弾丸となる!

「電!影!だぁぁぁぁぁん!」
『えぇぇぇぇ!?』

東方○敗の中でも多くの敵を蹴散らすのに適した技、“超級覇王電影弾”で次々に敵を貫き、押し進んでいく。

「おおおおおおおおお!」

「あああああああ!」

俺は回転しながら押し進み、それを後押しするようにキリトが後を追う。
そして――――

爆発(ばぁくはつ)!!」

天井門にたどり着いた。
キリトは門に剣を突き立てる。
しけし門は一行に開く気配をみせない。

「ど、どうなっているんだ!?」

「パパ!この扉はプレイヤーには開けられないようになっています!」

「どう言うことだ!」

「詰まり、ゲームマスター以外が入ることを拒絶するようにプログラムされています!」

「…カード……そうだ!カードだユイ!」

キリトは懐からカードを取り出してユイに手渡す。
受け取ったユイは、カードからデータを読み込んで扉に流す。

「転送します!パパ!お兄さん!手を!」

言われるがまま。
俺はキリトとユイとで手を取り合う。
そして次の瞬間には通路だと思われる場所に転送されていた。
 
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