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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第六章 颶風の巫女
  第1話 修学旅行

 
前書き
どうも、ラーフィです

あ〜、書き直すのクソしんどかった〜……

今度からは話が消えないようにちゃんとしなくては……

では投稿します 

 
鳶一折紙の処分について。

桐谷陸将から告げられたのは″懲戒処分″。

誰もがわかっていたこと。それは折紙自身も。

あんなに派手に荒らしたのだ。そうでなくては困る。

その覚悟で彼女は炎の精霊ーーイフリートに立ち向かったのだ。

親の仇打ちのため。

ただ誤算だったのはイフリートが両親の仇ではなかったこと。

否ーー士道が命を賭して訴えた言葉を嘘と切り捨てることなんて折紙にはでになかった。

どっちにしろ、処分には関係ない。自分は懲戒処分をくらうーー




ーーそう思っていた。




突然、そこにある人物が現れた。

DEM社業務執行取締役、ウェスコットだった。

彼が言ったのは、折紙の処分を軽くしろ……というものだった。

本来、〈ホワイト・リコリス〉は真那が使う予定だったのだが、彼女は今現在行方不明だった。

つまり、それを使いこなすには相当の強さがないとできないこと。

彼はそんな折紙を手放したくないのだ。

だが、たかがそんなことで処分は軽くはならないーー



ーー普通ならば。





だが、桐谷陸将を含む、ここにいる全員には彼に逆らえない訳があった。

それは、彼の設立する会社が世界で唯一、顕現装置(リアライザ)を作れる場所だから。

そう、彼に逆らい、怒らせてしまえば顕現装置(リアライザ)の供給がなくなり、ASTは確実に衰退するだろう。

顕現装置(リアライザ)ーー空想を現実に再現する『魔術』の一端。

学園都市の能力開発と同様ーーいや、それ以上にすごいのかもしれない。

そんなすごいことをしたのはDEM社が初であり、DEM社以外に顕現装置(リアライザ)を作れないのだ。

そして、

彼ーー桐谷陸将が出した答えはこうだった。

「……鳶一折紙一曹を、2ヶ月の謹慎処分とする……」



ーーーー
ーーー
ーー



一方。

その″彼女″はというと、

?「くっ……」

とある女と対峙していた。

??「………唯線」

?「ーーッ!」

彼女ーー崇宮真那はその女の攻撃を(魔術の補助ありでだが)必死に避ける。

対峙しているのは、この世に20人とていない聖人。

そして上条当麻の幻想殺し覚醒の手伝いをした人物ーー神裂火織だった。

真那「くっ……っ、はぁ……はぁ……」

真那は身体の限界がきたのか、膝から足をついた。

保持魔力が多い真那とはいえ、長時間の特訓はさすがにキツイ。かれこれ2時間近くも戦っているのだから。

神裂「ふう……今日はこれぐらいにしましょう。貴方の身体は限界のはずです。私もかなり疲れましたし……」

真那「まだ……まだ、戦えやがります。もう少し……うっ」

神裂「……特訓も大事ですが休養も大事です。明日は休みにしましょう。その方が特訓としても効果的です」

真那「……分かりました。神裂さんがそう言いやがるのでしたら、そうしやがります」

神裂「では、私は先に戻っていますので。今日はお疲れ様です」

真那「お疲れ様です」

神裂はそのまま歩いて街に戻ろうとしていた。

しばらく歩いて、真那が見えなくなったのを確認し、



どさっと、地面に倒れこむように座り込んだ。



そしてふぅ、と一つ息を落とした。

神裂「……この私が、あの子にここまで追い詰められるとは思いませんでした」

手の甲をおでこに乗せて、空を見上げる。

その顔には疲れと、どこか嬉しそうな一面があった。

まるで、我が子の成長を喜ぶかのように。

神裂「……このまま成長していけば、魔術の補助ありですが、私を超えるかもしれません。全く……とても恐ろしい子ですね」

既に彼女の魔法名は決まっている。




彼女が再始動するのは



近いのかもしれない



ーーーー
ーーー
ーー






期末テストを全教科終えたクラスの皆は歓声と放念の息が漏れた。

士道「折紙、話したいことがあるんだけど……いいか?」

折紙「きて」

士道「ってあれ?呼び出したの俺だよな?」

士道は折紙にどこかに連れて行かれてしまった。

上条『あ〜テストなんでこの世にテストなんてあるんですかね〜?』

凜袮『ふふ、お疲れ様。私がテスト前に勉強教えた甲斐があったでしょ?』

上条『そんなことするぐらいなら、いっそのこと答えを全部教えてくれたらいいのに……』

凜袮『う〜ん?今当麻、何か変なことを言わなかった?』

上条『嘘です!冗談です!勘違いです!三段活用!だから罰ゲームだけは勘弁してください!』

凜袮『………それ、三段活用じゃないと思うけど……』

上条『………凜袮。細かいことを気にすると上条さんみたいにバカになってしまいますよ?』

凜袮『そっか〜私がバカだったら当麻なんて大馬鹿だよね〜』

上条『う……』

心の中で会話をしている上条もそこにいた。

岡峰「はいはーい、皆さん席についてくださぁい。ホームルーム始めますよぉ」

いつの間にか戻ってきていた折紙と士道を含むクラスの皆が何を始めるのか疑問に思っていた。

岡峰「え〜っと、今から修学旅行の部屋割りと、飛行機の席順を決めまぁす」

なるほど。と、クラスのほとんど皆そう思った。

岡峰「では部屋割りを決めまぁす。好きな人と4、5人の班を作ってくださぁい!」



ーーーー
ーーー
ーー



十香が男の格好をして士道と一緒の部屋割りになろうとしたり、飛行機の席順で折紙と十香が士道の隣に来たりと色々あったが、何とか部屋割りは終わった。

上条「(本当はここに女の子が一人いるんだけどな……)」

話したところで信じてもらえないだろうが、この石の中には園神凜袮がいるのだ。

結果論だけ言えば上条の班には凜袮がいるので、一緒の班の殿町が聞けば発狂するだろうが、凜袮は実体化しないのでそれはそれでショックを受けるであろう。

上条「(そういや、さっきから大人しいな……)」

普通なら今頃上条に絡んできてもおかしいのにその様子が全くない。

上条「(ま、たまにはこんな時もあるだろ……)」

珍しいこともあるのだ、と上条は思っていた。





だが、





それは大きな検討違いだと知るのは、もう少し先のことである。


ーーーー
ーーー
ーー


フラクシナスにて。


一方「あァ?あいつらが修学旅行の間一時的にここの司令になって欲しいだァ?」

琴里「ええ、そうよ」

夜遅くに呼び出されるかと思えばそんなことを言ってきたのである。

一方「どォいうことか説明しろ」

琴里「その日は私本部に出向しなくたゃならないのよ」

一方「……予定をずらせばいい話だろォが」

琴里「無理ね。円卓会議が直接集まれる日なんて一年に一回あるかどうかだもの」

一方「……テメェがここを離れることは分かった。でもよォ……それならそこの寝不足女や変態野郎でもいいだろ……何で俺なンだ?」

令音「寝不足女とは失礼だね。私はこれでもちゃんと寝ているのだよ?」

一方「ほォ……一日何時間ぐらいだ?」

令音「だいたい2時間ぐらいだね」

一方「それを寝不足って言うンだ」

令音「…………あれ?」

一方「(大丈夫かよオイ……)」

神無月「それに一方通行君、この私が変態など決してありえーー」

「「「それはない」」」

神無月「まさかの全員一致!?司令!何とか言ってやってくださいよ!」

琴里「マジメな話をしているの。口を挟まないでくれるかしら?変態」

そういいながら神無月を蹴飛ばす。

神無月「あぁッ!!いい……っ!すごくいい……っ!!!司令からのご褒美をもらえるなんて……!」

末期だ、とクルーにいる全員が思った。

琴里「本題に戻すけど、令音は士道達に直接同伴するからここには残れないのよ。神無月も……アレだしね」

一方「(オイオイ……本当に大丈夫かよ)」

一方通行は呆れてため息が出てしまった。

一方「……俺は構わねェが、他の連中はいいのかよ。いくら学園都市で最強の頭脳を持ってよォが、こいつらが否定したら意味ねェンじゃねェのか?」

一方通行の質問に、一瞬キョトンとした顔をしたかと思うと、クルーの皆がいる方を向き、大きな声で言った、

琴里「みんな!一方通行と神無月、どっちに指揮をとってほしい?」

すると、答えは間を空けずに返ってきた。

「「「一方通行君で!」」」

琴里「……だ、そうよ?」

一方「(どうなってやがンだ……)」

まさかクルー全員が二つ返事で、しかも3ヶ月前に現れたばかりの未成年の少年に任せるとは……どんだけ神無月は信頼を落としてるんだよ。

一方「チッ…….断るに断れねェじゃあねェか」

琴里「頼んでもいいかしら?」

一方「仕方ねェな……」

琴里「ありがと……」

こうして、一方通行は少しの間忙しくなった。


ーーーー
ーーー
ーー




修学旅行当日。

飛行機の中で十香と折紙がまた争いを繰り広げていた。

士道は眠れなさそうだなぁ、などと上条はそう思いながらその光景をうとうとしながら見ていた。

十香「む……?」

と、騒いでいた十香が妙な声を出して辺りをキョロキョロとしだした。

士道「どうした?」

十香「いや……誰かに見られている気がしてな……気のせいだろうか」

士道「そりゃ見られてるだろ。あんなにはしゃいでたんだから」

十香「そ、そうか……」

十香は疑念の顔を浮かべたまま、また前を向いた。

上条「(さて、今は凜袮も寝てるし、十香もおとなしくなったし……俺も寝るかな)」

朝が早かったのでほとんどの生徒は眠たいのだ。上条もその一人である。

上条「(おやすみ……)」

目を瞑ってから10秒もたたない内に夢の中へと誘われた。

?「あれが……プリンセス……」

意識が完全に飛び去る前にこんなことが聴こえたような気もするが……ま、気のせいだろう。


ーーーー
ーーー
ーー



「アデプタス1より入電。目標、島に入りました」

「六番カメラ、北街区、赤流空港。目標を確認」

「こちらからも確認。〈プリンセス〉です」

艦橋下段から響く声に合わせ、モニタに少女の姿が映し出される。

AAAランクの精霊。識別名・〈プリンセス〉と寸分変わらぬ容姿を持った少女の姿が。

「ふむ……存外拍子抜けだな。本当にこれが精霊なのか?」

DEM社製500m級空中艦〈アルバテル〉

そしてそこにはウェスコットに(アルバテル〉を任された艦長、DEMインダストリー第二執行部の大佐相当官であるジェームスがいた。

『くれぐれも油断しないでください。精霊″かもしれない″。それだけで第一級の警戒をするには十分な理由です』

と、それを返すように若い女の声が響いてくる。

そう、その声の正体は直接現場に出向いてきるDEM第二執行部部長、エレンだった。

エレン『それともう一人……』

ジェームス「うん?どなたで?」

エレン『上条当麻……彼にも気をつけてください』

ジェームス「なぜです?彼は精霊ですらないのでは?」

エレン『彼は学園都市の人間です』

ジェームス「……あぁ、能力開発を行っているという」

エレン『何をしでかすか分かりません。くれぐれも気をつけてください』

ジェームス「えぇ。肝に銘じておきますよ」


ーーーー
ーーー
ーー



或美島に着くやいなや十香はみんなが向かう先とは逆方向に走って行ってしまった。

士道「お、おい十香!」

上条「不幸だ……」

二人は急いで十香を追いかける。

道に迷わなければ幸いだけど……上条の不幸は次元が違うから、どうなるのやら。



と、突然十香がふと足を止めた。

十香「む……?」

士道「おい十香。早くみんなのところに戻るぞ」

十香「何か……おかしくないか……?」

十香が空を見上げてそう呟いた。

士道と上条もそれにつられて見上げる。

上条「……これは!?」

士道「な、なんだ……こりゃあ」

つい先ほどまで綺麗に晴れ渡っていたのに灰色の雲が空を覆っていたのである。

快晴は暗雲に。凪は烈風に。穏やかな水面は荒れ狂っている。

まるで台風が来たかのように落ち葉やゴミが吹き飛ばされていく。

上条「おい士道、十香!急いで戻るぞ!」

士道「わ、分かった!」

十香「!シドー、危ない!」

と、十香は士道の身体を突き飛ばした。

士道「な……」

そして次の瞬間、

十香「ぎゃぷッ!?」

金属製のゴミ箱が飛んできて十香の頭にクリーンヒットした。

上条「と、十香!?」

急いで十香に駆け寄るが、十香は完全に目を回してしまっていた。

上条「仕方ない……」

上条はどうにかぐったりしている十香を背負って、士道と一緒に皆の方へと戻って行こうとした。

士道「あ……?」

でも士道は気付いた。

そこに二つの人影らしきものが見えたことに。

上条「ん?どうしたんだ?」

士道「いや……今、何か……」

上条「!?」

士道「ー!」

士道と上条は息を詰まらせた。

上空で幾度となく激突していた二つの影が一際大きな衝撃波を伴ってぶつかり合った瞬間、すさまじい風が士道たちを襲った。

士道「うわっ!」

上条「くっ……」

二人は吹き飛ばされぬように足を踏ん張り、身体を丸めるような姿勢を取る。

そして二つの影は士道と上条を挟むように落下した。

そして、嵐が止んだ。

?「く、くくくくく……」

と、右側から士道達と同じ年ぐらいの橙色の髪に水銀色の瞳、そして長い髪を結い上げた少女が不敵に笑いながら歩みでてくる。

?「やるではないか夕弦。さすがは我が半身と言っておこう。この我と25勝25敗49分で戦績を分けているだけのことはある。だが、それを今日で終いだ」

と、それに応ずるように左側から人影が進み出てきた。

??「反論。この100戦目を制するのは耶倶矢ではなく夕弦です」

こちらは長い髪を三つ編みにくくった少女である。耶倶矢と呼ばれた少女と瓜二つの顔をしているのだが、その表情はどこか気怠そうな半眼だった。

耶倶矢「ふ、ほざきおるわ。いい加減真の八舞に相応しき精霊は我と認めたらどうだ?」

夕弦「否定。生き残るのは夕弦です。耶倶矢に八舞の名はふさわしくありません」

………

その後、数分の言い争いが始まった。

耶倶矢「漆黒に沈め!はぁぁッ!」

夕弦「突進。えいやー」

裂帛の気合いと気の抜けた声とともに全く同時に地を蹴った。

二人の会話をほとんど聞き流していた士道と上条は、それは突然のことに思え、ついこう叫んでしまった。

士道「待てぇぇぇ!!」

『……!?』

士道の言葉によって二人はピタリと静止する。

耶倶矢「人間……だと?まさか。我らが戦場に足を踏み入れるとは何者だ?」

夕弦「驚嘆。驚きを隠せません」

どうやら士道達の存在には気付いていなかったらしい。

と、そこで右耳から眠たげな声が聞こえてきた。

令音『シン、聞こえるかい?』

士道「!令音さん!」

令音『ようやく通じたね。一体どこにいるんだい?上条君も一緒かね?』

士道「それがーー」

士道は今の状況を話す。

令音『……風の中に二人の精霊ーーまさか』

士道「な、何か心当たりが……?」

と、令音の会話を遮るように上条が口を開いた。

上条「そういや、さっきから真の八舞とか、戦場とか言ってるけど、一体何のことだ?」

問うと、耶倶矢が視線を鋭くして口を開いた。

耶倶矢「決闘のことだ。我らの命運を定める決闘によくも水入りをしてくれたな。どう責任をーー」

と、耶倶矢は何かに気付いたように「あっ」と声を漏らした。

耶倶矢「そうか……これなら」

夕弦「疑問。どうしたのですか?」

夕弦が問うと耶倶矢は夕弦に顔を向けた。

耶倶矢「くく……良い方法を思いついたぞ、夕弦よ。我と貴様は様々な勝負をしてきた。それこそ、思い当たる種目がないくらいにな。だが……まだ一つ、勝敗を決してないものがあるとは思わぬか?」

夕弦「疑問。勝敗を決していないもの、とは?」

夕弦が首を傾げると、耶倶矢がくくく、と含み笑いを漏らし、士道と上条を一瞥した。

何だろう。とても嫌な予感がする。





その二人の予感はーー的中した。














 
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