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東方大冒録

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命蓮寺にいくことになる(18禁目指したけどだめそう)。

 
前書き
はい。お寺に行きましょう。
そして、暗基以外の仲間はみんな狂います。それにともない、18禁の可能性がありますので十分注意してください。 

 
暗基がサテラカノンを盛大にぶっ放した後。

「ったく……。こいつら元に戻したら覚えてろよ……!!」

暗基は顔を真っ赤にしながら、祈祷棒と八卦炉を拾ってカバンの中に放り込んだ。そして顔にも「ちくしょう」のひらがな5文字が見えそうな雰囲気を出しながらカバンを背負う。それをすぐ傍で見ていた咲夜はというと。

(……ふふっ、意外と可愛げあるじゃない)

1人、先ほどまで見ることがなかった一面を見ることができ、そしてそれを可愛いと思ってしまい、ホッコリとしていた。そのホッコリとした顔を見てしまった暗基はツッコミを入れずにはいられなくなった。

「……、なんだよその顔は……。そんな生暖かい目をこっちに向けないでくれよ……」
「生暖かい目……。そんな顔してるかしら?」
「してるよ! すげぇよ今! とっても健気なちっちゃい子供を見てるような顔をしてるよお前!! すげぇバカにされた気分だよ!!?」
「そ、そんなつもりはないわよ!? 大げさにものを言わないで!!」
「いや、大げさじゃねぇよほんとそんな顔してた」
「むっ……!!」

暗基の言葉を聞いて、咲夜は顔をしかめた。その表情の可愛さに対して少しドキッとしてしまったのは内緒にしておこうと固く心に決めた暗基であった。

「それはそうと、咲夜はなんで来たんだ? 紅魔館での仕事はどうした?」

暗基はなぜ紅魔館の住み込みメイドである咲夜がここまで来たのか、大体予想はついていたが聞いてみた。

「お嬢様の命令でね。この異変を解決するまで帰ってくるなと言われたわ」
「あぁ、なるほどな。で、本音は?」
「私も役に立ちたい。それだけよ。実際命令は受けたけどね。紅魔館も助けてもらったし」
「おおー、心強い」

レミリアの命令というのは建前で、咲夜もこの異変を解決したいという気持ちがあったようだ。暗基は仲間が増えることはとてもありがたいと思っていたので、素直に心強いと伝え、手を差し出す。

「じゃあ、これからよろしくな、咲夜」
「えぇ。よろしく頼むわ」

それに答え、握手を交わす咲夜。こうして、完全で瀟洒なメイド・十六夜咲夜が仲間に加わった。

「それじゃ、早速出発しましょうか」
「そうだな。咲夜、とりあえずここから一番近い場所ってどこだ?」
「人里ね。もう夜も遅いし、ひとまずそこを目指しましょう」
「あいよ。道案内頼めるか?」
「分かったわ。ついてきて」

一行は人里へと向けて足を進めた。
























「……」
「……」

暗基と咲夜は、とある一点をにらみつけていた。その先には、

「あ、あの……」

紫がスキマから顔を出していたのだ。顔を出したと同時に不機嫌な顔を全力で叩きつけられたため、顔を引きつらせるほかない状況にさせられている。

「どうしてこういやな顔をされるの? 私って嫌われているのかしら……?」
「自覚がないのね……」
「さすがですほんと……」
「……、せっかく次に向かうためのヒントを教えてあげようかと思ったのに、そんな態度されるなら私帰っちゃおうかしら……」
「ヨーシソノハナシクワシク」
「現金な……。まぁいいわ」

暗基の現金さに呆れながらも、紫は話を始める。

「次は永遠亭に行って貰えるかしら?」
「永遠亭か……。あそこは逆にマガイモノにされてないほうがおかしいからな……」
「さすが零。知識だけはあるようね、感心感心」

永遠亭。蓬莱山輝夜(ほうらいさんかぐや)八意永琳(やごころえいりん)を筆頭とした、月の国から逃げてきたと言っている輩が、月の国の連中から隠れるための建物であると暗基は現実世界では解釈している場所である。その中には、月から逃げてきた月の兎、鈴仙(レイセン)優曇華院(うどんげいん)・イナバ、知らないうちに妖怪兎になってしまったという因幡てゐ(いなばてい)、あとは永遠亭があるとされる迷いの竹林のどこかに、不老不死となってしまった悲しい過去を持つ少女・藤原妹紅(ふじわらのもこう)がいたはずだ。

「まぁ、零は知識はあるけど場所が分からないだろうから、これを頼りに行けばいいわ」
「ん?」

そう言って紫は二つ折りにしてある1枚の紙をスキマから取り出して暗基に渡した。それを暗基は確認してみると、なにかよく分からないものがごちゃごちゃと書いてあるが、何を書いているのかさっぱりわからなかった。

「なぁ、これはなんだ?」
「地図よ」
「……、は?」
「いやだから、地図」

紫は、このいったい何を書いているのかとても理解できないものを、地図と言った。それに対して信じられず、多少の怒りを覚えた暗基は紫に確認をとる。

「オーケイ、これが地図だったとしよう。書いたのは誰だ?」
(ちぇん)よ。察してあげて」
「あっ……」

暗基は即座に察した。橙は紫の式でもあるが、本来は藍の式である。そして藍は橙のことを無駄にと言っても過言ではない程に可愛がっている。それこそ、橙を泣かせてしまったら命が1つ消えるのと言っても過言ではないほどに。そんな橙が書いた地図をバカにしたら、それはすなわち暗基の死を意味する。

「……、おれ確実にぬっ殺されるじゃないですかーやだー……」
「そういうこと。あなたはただでさえ悪戯のせいで藍に嫌われているのだから、気をつけておくことんね」
「ウ、ウス……」
「あなた、あの過保護キツネに嫌われるようなことをしたの?」
「まぁ、ねぇ……?」
「ねぇじゃないわよねぇじゃ。ところで、スペルカードは足りてる?」
「あぁ、ちょうどついさっきなくなった。5枚くらい欲しいかな」
「5枚ね。分かったわ」

紫はまたスキマの中に手を突っ込み、スペルカードを取り出し、それを暗基に手渡した。

「ありがとな。じゃ、情報提供ありがとな。もう帰っていいぞ」

暗基はもはや邪魔者とでもいいたそうに手を振る。紫はそれを見て、

(……、こんのガキ……!!)

まじめに腹が立ってしまった。

「……、藍!!!」
「えっ」
「お呼びでしょうか?」

藍を呼んだ紫。そしていやな予感を感じた暗基。そのいやな予感は、非情にも的中してしまう。

「零が橙の書いた地図を馬鹿にしてたわよ。地図には思えない、汚いってね」
「…………、それは」
「そんなこと言ってねぇけどいやな予感する! 咲夜、ちょっと逃げようぜ!!!」

的中した気がした暗基は咲夜を連れて全速力で逃げようとしたが、なぜかてこでも動こうとしなかった。恐る恐る後ろを振り返ると、そこには、暗基が掴んでいるはずの咲夜の腕ではなく、

「本当のことか? 暗基零よ……?」
「ヒィッ!!?」

般若の藍の腕を掴んでいた。

「えっ!? なんで!? ちょっとどういうことっすかこれ!!?」
「面白そうだし、見学させてもらうわ」

咲夜が少し離れたところからそういった。つまり暗基は咲夜にはめられて、処刑への道を歩むことになってしまったのだ。

「なんでだよ!!? 頭おかしいだろそれ!!?」
「そんなの知ったことじゃないわ。単純に面白そうだと思った。それだけ」
「ふざけんなゴラァァァァアアアア!!?」
「さぁ、遺言はそれでいいんだな?」
「い、いや、遺言じゃないんですけどなにをいっ」
「問答無用!! 式弾『アルティメットブディスト』!!」
「最期まで話させて、ちょ、ま、アアアアァァァァァァァァアアアアアアアアアア!!!!!!!?」

暗基零は、弾幕のレーザーに完膚なきまでに切り刻まれた。



























「まったく、私たちの協力があることをありがたく思いなさい?」
「次に同じようなことをしたら、分かってるよな?」
「あい……。すいばぜん……」
「じゃ、私たちは帰るわね。永遠亭のことは頼んだわよ」

軽く雑巾が出来上がった後。紫と藍はご満悦の様子でスキマの中へと帰っていった。咲夜はぐちゃぐちゃになっている暗基の傍に近づき、暗基を心配した。

「零、大丈夫?」
「……、楽しんでたくせになにを言ってんだテメェは……」
「それに関しては、本当に楽しませてもらったわ」
「ちくしょう……。まさか覚えてろを2回も言うとは思わなかったなぁ……」
「しみじみとしているところ悪いけれど、すぐ人里に着くわ。行くわよ」
「しみじみとしてねぇよ! って、待って置いてかないでおれ行く方法知らないんだって」

咲夜がさっさと歩いていってしまい、暗基はそれを必死に追いかけていく。

「咲夜、ちょっと待ってくれって! 何でそんなスタスタ歩くんだよ!?」
「別になんでもないわ。ほら、さっさと行くわよ」
「なんか不機嫌になってないか!?」

知らないうちに暗基は咲夜の機嫌を損ねてしまったようだった。だが、それは暗基が咲夜を放っておいてしまったことが原因だと、暗基は気づくことが出来なかった。
























「さぁ、着いたわ。ここが、今の人里よ」
「なっ……!? こ、これが……? 人の気配がまったく感じられない……!!?」

人里へたどり着いた。たどり着いたが、暗基は声を失ってしまった。人の気配をまったく感じないのだ。夜中ではあるため、確かに人の気配を感じることは出来ないかもしれないが、、今小さく結界を張っている暗基がまったく気配を感じることが出来なかったことが、明らかにおかしいのだ。

「ファンネル! もう少し結界を大きくしてくれ!!」

暗基は何かの間違いだと思い、ファンネルを使用して一回り大きな結界をつくる。だが、それでも人の気配を感じられなかったため、今はもういいだろうと判断し、結界を解いた。

「何があったんだ? まさか、みんなマガイモノに!?」
「いいえ、違うわ」

暗基は、優理亜が人里の人たちをすべてマガイモノにしてしまったのかと思ったが、咲夜はそれを否定した。

「優理亜が、みんな連れ去ってしまったのよ。労働力としてね」
「ろ、労働力!?」
「えぇ。おそらくあのスキマ妖怪から話は聞いているでしょうけど、優理亜の目的は今の幻想郷を壊滅させて、新しい幻想郷、真幻想郷を作ること。それは知っているわね」
「あぁ、一応な」
「そのための労働力は、多いほうがいいでしょう? だから、人里の人間たちをまとめてさらっていったわ」
「そう、なのか……」

暗基はそれを聞いて、ますます理解が出来なくなった。ただでさえ、今の幻想郷に不満を覚えることないはずなのに……。そう思えてならなかった。そう思っていたとき、暗基の目にこそこそと何かをやっている2人の姿が入ってきた。それは、青い巫女服と、赤の魔法使いの服を着ている。

「あれって……、霊夢と魔理沙のマガイモノじゃねぇのか?」
「あれって?」
「ほら、あいつら」

暗基はその場所を指差す。咲夜はそれを確認してみると、色違いではあるがそれだと確認を取ることが出来た。

「……。色は違うけど、確かにそうね……」
「だよな? じゃ、早速行動に移させていただこうか」

それは、通称「2pカラー」といってもいいだろう。色違い博麗霊夢と、色違い霧雨魔理沙だった。そして、お決まりのマガイモノ特有のまがまがしい気を感じ、なおかつ相手はこちらにまったく気がついていないため、暗基はさっさと行動に移すことにした。

「恋符『マスタースパーク ~白暗審判~』!!!」

暗基は両手から、白と黒の2本の極太レーザーを放った。それは、見事に2人のマガイモノに直撃した。そして2人のマガイモノはこちらを見ながら、倒れた。

「よし、終わりっと」
「呆気なかったわね」
「そうだな。でもまぁ、さっさと終わる事にはこっちも楽だし、良しって方向で」

暗基はさっさと霊夢と魔理沙を倒すことができたことに浮かれていた。しかし、咲夜だけは違った。

「何かしら……。何か、嫌な予感がするわ…… 」

確かにマガイモノを倒すことができたことは嬉しい。だが、あまりにもあっさり過ぎる。まるで、何か企まれているのではないのだろうか、そう思えてならなかったのだ。
そう思っていた矢先の出来事が、暗基たちを襲うことになる。

「さて、祈祷棒と八卦炉を取り出してと」

暗基がかばんから祈祷棒と八卦炉を取り出すと同時に、今まさにマガイモノ2人のいた場所から、とても濃い色をしたピンク色の霧が立ち込めてきた。

「え、えっ、なにあれ」
「それは私の台詞だと思うのだけど。それよりも、あの霧、私たちのほうに来てないかしら?」
「……、あっ、ほんとだ」

そしてその霧が暗基の持っている祈祷棒と八卦炉の周りに纏われ、そしてそれが祈祷棒と八卦炉に吸収されていった。

「な、なんだ?」
「霊夢と魔理沙の形が出来上がっていくわね……」

それが暗基の手から勝手に落ちて、霊夢と魔理沙の形を成していった。しかし、実際出来上がったものはまったく違った。

「なんか……、すごくピンク色してる……」

霊夢と魔理沙の色が、ピンク色だったのだ。確かに形は紛れもなく博麗霊夢と霧雨魔理沙である。だが、霊夢は紅白ではなくピンクと白、魔理沙も白黒ではなくピンクと白になってしまっていた。目つきは、というよりも顔つきはどう見ても軽くではあるが火照っているようで、どこか引き込まれてしまいそうな雰囲気をかもし出してしまっている。

「や、やばい……。軽くめまいが……。いったいなんだっていうんだ、くそ……」

そして暗基は、霊夢と魔理沙を見るとなぜかめまいに襲われた。それと同時に、何かに思いっきり抱きつかれた。それで一瞬で目が覚めた暗基は、抱きついてきたものを見てみる。そこにいたのは、

「へへへ……、まりささん、やーっと、捕まえちゃったもんねぇ~」
「ま、魔理沙? どうした?」

魔理沙だった。やはり、明らかに様子がおかしい。そして、能力も頭の中で警報をガンガン鳴らしていた。今の魔理沙は、いろいろとヤバいと。そして、魔理沙は顔を赤らめながら、衝撃発言をした。

「どうしたじゃないぜー。せっかく夜なんだ。1発くらいヤッちまおうぜー?」
「はぁっ!? お前自分で何をいってるのか分かってんのか!!?」
「もちろんわかってるぜー? いっしょにえ○○しようっていってるんだー」
「う、うわぁ……」

まさに衝撃発言だった。魔理沙が夜のお誘い(意味深)を暗基にしてきたのだ。暗基はこれで、すべてを理解した。

「……、あのクソ姉貴の仕業か……!!」

霊夢、魔理沙のマガイモノに何かしらの仕掛けを仕込んで、それをわざと自分に倒させることによって、暗基をおとしいれようとしているのだと。だが、暗基はひとつだけ引っかかることがあった。

(でもなぁ、あのすさまじいほどのブラコン女がこんなことするか……?)

そう。暗基の姉、優理亜は、おそらく他のブラコンな姉、妹をしのぐほどのブラコンなのではないかと思うほど、ブラコンなのである。それはもう、亜月と遊ぶときも常に一緒についてくるほどであった。それで亜月が勘違いして優理亜に告白したこともあったりした。

(いや、そんなことはどうでもいいんだよ! そうじゃないってことは、何か他のやつが……、って言ったっておそらく永琳のマガイモノが仕込んだんだろうけどな……)
「なぁーぜろー、むしすんなよぉー」
「なんだよ考え事してただけだ。ていうかお前熱いから離れろ!」
「いやーだー! ○っ○するんだー!!」
「いやだ! 公衆の面前でやりたくなるほどおれはひねくれてない! 咲夜、お前からもなんか……?」

なんかいってくれよ、と言おうとしたが、暗基は言葉を失ってしまった。

「はむっ……」
「む~!!? んん~!!!?」

遅かった。咲夜は、もうすでにヤられていた。といってもキスだけだが。だが、それだけなのに、

「ん……っ」
「うわぁぁぁぁぁぁああああああ!!!! 霊夢さん咲夜さんそれアウト! めっちゃくちゃアウトだから!!! ていうかすっさまじい勢いでピンク色になってらっしゃるうぅぅぅぅぅうううううう!!!?」

急速に咲夜のメイド服がピンク色に染まっていった。ということはつまり、

「……、あら、男じゃない」
「あっ、なんか名前忘れてるあたりもういろいろヤバイ気がする……。男って……」

同じようなピンク色の淫乱メイドが出来上がってしまったわけで。

「つっかま~えた」
「えっ、ちょっ、なんで? なんでおれ縛られてるの? どっからロープ用意した?」

気がつけば、暗基は縛られていた。それもとてもきつく。もしかすると鬱血するのではないのかというレベルで。

「うわぁ、嫌な予感しかしねぇよぉ……。できるだけ被害妄想だけはしないようにしとくか」
「何をぶつぶつ言っているのかしら? これから貴方は、私達のオモチャ(意味深)になってもらうわ」
「おっ、オモチャ?(わかったけど顔に出さないでおこう)」
「そう。私たちが満足するまで、相手してもらうわよ」
「うーんと弾幕勝負のことかなー?おれ弾幕打てないよー?(とぼけておこう)」
「とぼけてるつもりなんだろうけどさ、ぜろは頭がいいから分かってんだろ?そんな簡単な意味じゃないってことくらいさぁ?」
「ぐっ……(なんだ? 今の魔理沙は誤魔化せる気がしない!?)」
「へぇ、とぼけていただけだったの?」
「そう……、なら!」
「かくごしろよーぜろー? みんなで楽しもうぜぇ?」
「ヤバい! 迎撃しないと食われる!! くそ、ほどけてくれ……」
「あきらめて楽しもうって。 それともあれか? 私たちと遊ぶ(意味深)のは嫌なのか?」
「あぁ、すっごく嫌だ!」
「零ったら分からず屋ね? 仕方ない。合理的に襲うつもりだったけど、それも無理そうだし、少し痛い目にあってもらおうかしら?」
「覚悟してもらうわよ?」

霊夢、魔理沙、咲夜の3人が、暗基の目の前で手をわきわきさせてくる。

「あぁ、オワタ、なんかもう色々終わったぁ……」

それに対して、結界も解いてしまっていて、手も縛られている暗基には、もう絶望しか見えていなかった。

「それじゃ失礼して、いっただっきまーす!」
「ちくしょう……、おれはまだそういうの興味ないのに……!!」

暗基がすべてを覚悟することが出来ず、目をつぶった瞬間であった。

「視符『高感度ナズーリンペンデュラム』!!」
「湊符『ファントムシップハーバー』!!」
「宝塔『レイディアントトレジャーガン』!!」
「なんだ!?」

とある一方から、3人の女性のスペルカードを叫ぶ声が聞こえた。そして暗基が目を開けると同時に、

「ぶっ!?」

霊夢には巨大なペンデュラムが激突し、吹き飛ばされた。

「あべっ!?」

魔理沙にはこれまた巨大な錨が激突し、魔理沙を壁に叩きつけた。

「ぐっ……!?」

咲夜にはピンポイントで青と赤のレーザーが襲いかかり、咲夜を貫いた。多少パニックになっていた暗基は何が起こったのか理解出来なかった。

「全く、博麗の巫女が娼婦になってしまうなど、世も末だな。大丈夫かい?」
「えっ!? あっ、うん、大丈夫! ありがとう!」

その中の1人が縄をほどきながら暗基に声をかけ、暗基はそれで落ち着きを取り戻した。そして声をかけてきた女性を見ると、暗基はとても見覚えがあった。赤い目にふわふわとした灰色の髪、そして人のものではなく、まるでくっつけたようなネズミの耳、灰色のワンピース、胸元の小さいペンデュラム、そして巨大なダウジングの棒。間違いなかった。

「……、ナズーリン、か」
「ほぉ、私の名前を知っていたか。そう、ナズーリンだ。怪我はなかったかい?」
「あぁ、大丈夫だ。軽く鬱血はしてるみたいだが、問題なさそうだ。そっちの2人もありがとう。名前は、虎みたいな格好の人が寅丸(とらまる) (しょう)で、セーラー服のあんたは村沙(むらさ) 水蜜(みなみつ)だろ?」
「私達のこともご存じでしたか。これも我々妖怪が少しずつ人間に受け入れられているということ。聖の努力は、無駄にはならなさそうです」
「そうだね~。でも、もうこの人里には人間はいないと思っていたんだけど、見つかって良かったよ。立てる?」
「あぁ、大丈夫だ。よっと」

暗基はゆっくりと立ち上がって、改めて礼を言った。

「改めて、3人ともありがとう。おれは暗基零。この異変を解決するために紫にここにつれてこられた、外の世界の人間だ。異変を起こした暗基優理亜の弟でもある」
「暗基零!? ということは、この方が、聖の言っていた最後の希望ということですか!?」
「そうだねご主人。とりあえず落ち着こう」
「え、なに、どうした?」

暗基の名前を聞いて興奮する星と、それを落ち着かせようとするナズーリン。それを見て何があったのかを聞こうとすると、村沙が暗基の前に立って言った。

「今私達がこうして里の中を見回りしていたのは、いずれ来る幻想郷の最後の希望と言える人を見つけたら、私達のお寺、命蓮寺(みょうれんじ)に案内するためなんだ」
「命蓮寺に? それはまたなぜだ?」
「我々の寺の住職、(ひじり) 白蓮(びゃくれん)というのですが、貴方に頼みがあるとのことです。まぁ、聖の頼みというよりは、命蓮寺全体での頼みなのですが」
「つまり、黙って寺に来てくれってことでいいんだな?」
「要はそういうことだ。問題ないかな?」
「あぁ、おれは問題ない。だけどアイツらはどうする?」

そう言って暗基は、霊夢、魔理沙、咲夜が吹っ飛んでいった場所を指差す。どうやら3人は気絶していて、元の状態に戻ってはいるようだが、用心に越したことはない。するとナズーリンが多少嫌な顔をしながらもこういった。

「心配ではあるが、問題ないだろう。もしまた何かあるようなら、私達で止めるさ」
「そうか。じゃあ問題ないな。ファンネル、霊夢、魔理沙、咲夜を運んでくれ。命蓮寺にいくぞ」

ナズーリンの言葉を聞いて安心した暗基は、ファンネルを呼び出して3人を運びながら、ナズーリン、星、村沙に連れられて命蓮寺へと足を進めた。 
 

 
後書き
大変お待たせしました。ヒラドンだーです。ほんとは春休み中に3話くらい書くつもりだったのですが……、どうしてこうなった……。
まぁ、こんな感じのペースにはなるでしょうけど、絶対続けていくので、気長にお待ちください。次回、聖さんが何をして欲しいのかを伝えるはずです。お楽しみに。 
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