| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十話 新たな仲間

 
前書き
お馴染みのオリキャラの彼とパートナーデジモンに会います。
アリサ「リリカルアドベンチャー、始まるわよ」 

 
湖を出た子供達は、村を探して森を歩いていた。
すずか「大輔さん。デジタルワールドの村ってどういう所なの?」
ふと気になっていたことをすずかは大輔に尋ねる。
大輔「ん?ああ、基本的に幼年期のデジモン達が暮らしてるんだけど、力が弱い成長期や成熟期が暮らしてる村もある。」
フェイト「ということは、チビモンの村とかあるのかな?」
なのは「ツノモンの村とかも…」
大輔「多分な」
チビモン[(何処かにあるのかなあ…私だらけの村)]
チビモンはちょっとだけわくわくしてたりする。
しばらく歩くと、ふとアリサが何かを見つけた。
アリサ「あら?」
コロナモン[アリサ?]
足を止めたアリサをコロナモンが不思議そうに見つめる。
全員がアリサが見つめている方角を見遣るとそこには…。
大輔「建物…?」
ユーノ「多分、何かの研究施設だと思います。」
賢「…見てみよう」
子供達は研究施設に近づくと、デジモン達が鼻を押さえる。
すずか「どうしたの?」
すずかが不思議そうにデジモン達を見遣る。
ルナモン[な、何か鉄臭い…]
ブイモン[これは…血の臭い…?]
ブイモンが顔を顰めながら呟く。
アリシア以外の子供達はブイモンの言葉に不吉な何かを感じた。
大輔「…調べてみよう」
賢「アリシアはここに残るんだ。いいね?」
アリシア「は~い」
アリシアとプロットモン以外の子供達とパートナーデジモンが研究施設の中に入る。


































研究施設の中は機械の駆動音がする。
どうやら研究施設の電気系統はまだ生きているようだ。
ガブモンX[中だと臭いがもっと酷いな…]
子供達は研究施設に充満する臭いに顔を顰めながら奥へと進む。






























通路をしばらく進むと通路内の扉が開いた。
扉の近くに、人影が立っていた。子供のようだ。
遠くからではよく分からない。
どさりと、その人影が崩れ落ちた。
大輔「な…んだ?」
大輔は人影に駆け寄る。
大輔「…うっ…!!?」
すずか「きゃああああっ!!?」
子供は腹の部分が大きく刔られていた。
内臓が見える。
あまりの悍ましさに危うく、大輔は吐きそうになった。
扉が、風に煽られてかたかたと音を出している。
フェイト達を見遣ると顔を真っ青にして死体を見ている。
大輔は見た。
見てしまった。
扉の先には、無数の死体が転がっていた。
しかも死体の殆どが、フェイトやなのは達と変わらない年頃の子供のものだった。
大輔「な…何なんだよ、ここは…」
賢「もっと調べてみよう。もしかしたら生存者がいるかもしれないし。ここがどういう研究施設なのか分かるかもしれない。」






























子供達は更に奥へと進むと、扉が開かれている部屋を見つけた。
プレートを見ると資料室のようだ。
大輔「資料室か…」
賢「入ってみよう」
大輔達は警戒しながら資料室に入る。






























アリサ「な、何よこれ…!?」
アリサは震えながら言う。
資料室にあったのは、壁一面にある脳のホルマリン漬けである。
ユーノ「酷すぎる…!!」
賢「これは…」
部屋の中央に置いてあるパソコンを見つけた。
電源を入れる。
どうやらデータはまだ生きているようだ。
パソコンの前に座り、賢は検索を始める。
賢「7月、No.11、廃棄処分。8月、No.7廃棄処分…これは…」
検索をする度に賢の表情が険しくなる。
賢「……これは人造魔導師の記録だな…」
なのは「え…じゃあ廃棄処分って、まさか…」
賢「考えたくないが、恐らくは…“廃棄処分”か。人造生命体は自然と人工の差はあっても生きていることには変わりはない…。ここの人間は命をタンパク質の集合体とでも思っているのか!!?」
苦い表情をしながら賢はキーボードを叩き、情報を検索する。
すずかがそれを補佐し、セキュリティなどを解除していく。
名簿や、日誌などが発見された。
賢「9月7日、№1127、1128、1129、1130を戦わせる。1130が勝利。1127、1128、1129を廃棄…」
フェイト「酷い…」
ディスプレイを見つめる、フェイトの顔色が変わっていく。
日誌にあったのは、人造魔導師の教育の記録だった。
一定の戦闘訓練を施した子供を、デバイスを持たせて戦わせ…殺し合わせている。
大輔「そんな…何だよこれ…毎日毎日訓練させて…同居の子供達で殺し合わせて、殺すことと殺されることしか教えてなくて…この施設の子達はずっとこんな…」
大輔は拳を握り締めながら言う。
賢「明らかに違法だな…外道だ。…僕に言えることじゃないが…」
賢は既に死んでいる研究員達に向けて吐き捨てるとパソコンの電源を切る。
大輔「…探そう。生存者がいたら保護しないと……」
ユーノ「…はい」
子供達は研究所の奥へと向かう。






























奥へと向かうと、破壊された扉ががあった。
子供達は破壊された扉を強引に開ける。
?[誰だ!?]
人影がこちらを振り向いた。
大輔「待ってくれ、ここの生存者か?助けに来た。」
?[生存者?]
影が首を傾げた気がした。
ツカイモンは部屋の明かりを点けた。
明るくなった部屋に子供達は目を細めた。
そこには、人間の子供に似たデジモンと…。
フェイト「あれは…!?」
なのは「クロノ…君…?」
カプセルの中に入っていた少年はフェイト達がよく知る仲間に酷似していた。
賢「No.1581…ルカ。」
はやて「え?」
賢「この子の製造番号だ。オリジナルはクロノ・ハラオウン。年齢はage7とあったから7歳だろう。他の人造魔導師よりもずば抜けた能力を持っていたから、特別に“名前”を与えられた個体…今から随分前に封印されているようだけど…まだ生きている…」
賢は機器を見ながら呟いた。
?[な、なあ…こいつを出してくれよ!!]
賢「君は?」
?[俺はフレイモン。こいつのパートナーだ。]
フレイモンが片手に持っているのはD-3。
大輔「こいつも選ばれし子供か…出してやろうぜ。このままここにいるのは可哀相だ」
フェイト「お願い賢…!!」
フェイトが懇願するように言う。
同じ人造生命体だから放っておけないのだろう。
賢「分かった。すずか、手伝ってくれ」
すずか「はい!!」
賢とすずかは機器を操作した。
カプセル内の液体が排出され、子供が崩れ落ちるが大輔が間一髪で支えた。
大輔「皆、施設の中を探して服を持ってきてくれ」
フェイト「分かった!!」
フェイト達は施設内を探し始めた。
大輔「しかし、何でここの研究員達や子供達が皆死んでるんだ?」
賢「恐らく内乱だろう。彼等も研究員達の横暴さに耐えられなかったんだろう。自由を得るために戦って死んだんだ」
大輔「…そんなの…馬鹿げてる…ここにいる子供達は皆、なのは達と同じ位なんだぞ…?なのに何で死ななきゃいけないんだ!!?」
賢「…そうだな…普通なら許されないことだ。どんな理由があっても命を弄んでいいなど絶対に無い。数々のデジモンのデータを利用してキメラモンを造った僕が言っても説得力なんかないけど…」
賢は機器のディスプレイに出ている文字を読んだ。
賢「新世代型人造生命体No.1581……レアスキル…トランス…。有機質による強化により、従来の変身魔法の概念を覆すもの…姿形、声などを真似るくらいしか出来ない物に比べて細胞レベルの変身能力で対象の能力全てをコピー出来るのか…」
そして服を探しに行っていたフェイト達が戻ってきた。
死んでいた人造魔導師達が着ていた簡素な服と靴。
大輔は急いで服を着せた。
服を着せると大輔は子供を背負う。
はやて「ここの資料とかも持って行った方がええかな?」
ユーノ「そうだね、僕が預かるよ。」
はやてが拾った資料やデータディスクをユーノが預かる。
「うぅ…」
なのは「起きた!!大丈夫?ルカ…君?」
ルカ「誰…?僕は…」
大輔「大丈夫だ。助けに来た」
ルカ「助けに…?」
賢「ここから出よう。ここを爆破しないと」
なのは「爆破って…どうやって…?」
賢「こういう違法研究施設には秘密保持の為に自爆装置が取り付けられている物さ。運よくここの電気系統は生きているから、ここからメインコンピュータにハッキングして自爆装置を作動させる。すずか、サポートを!!」
すずか「はい!!」
賢とすずかは機器を弄り始めた。
子供達とデジモン達は静かに賢とすずかの作業を見守るのみ。
賢「…よし!自爆装置を作動させた!!10分以内にこの施設から脱出するんだ!!」
大輔「皆、脱出だ!!」
子供達は自爆の警告が鳴り響く施設を駆ける。
途中で見た人造生命体達にどうか安らかに眠れるようにと願いながら。






























研究施設が凄まじい轟音をたてて爆発した。
この爆発では恐らく施設内の死体は完全に塵となっただろう。
子供達とデジモン達は黙祷を捧げた。
ルカはそれをただ静かに見守っていた。






























フェイト「まだ、あそこにいるんだ…」
アリサ「仕方ないわよ。あんな最低なとこでも自分が生まれた“場所”なんだから」
すずか「そうだよね…」
大輔「ルカ」
ルカ「…?」
振り向いたルカに大輔は手を差し出す。
大輔「一緒に行こう。今日から俺達がお前の居場所になるから」
ルカ「居場所…?」
大輔「一緒にデジタルワールドを冒険しよう。だから仲間になって欲しい」
ルカは大輔を不思議そうに見る。
ルカが知る人間という生き物はこちらを道具のように見て扱い、能力が低ければゴミのように廃棄する傲慢な生き物であった。
大輔「今までされてきたことを考えれば当然だよな。信じられないのは。でもルカ。俺はお前を道具だなんて考えていない。信じてくれ」
ルカ「…うん」
大輔「もし、裏切ったら…そうだな。いくらでも怨んでもいいから」
ルカ「…分かった」
こうして大輔達は新たな仲間を得て、一夜を明かした。
 
 

 
後書き
オリキャラの設定を無知ではなく記憶持ちに変更。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧