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ルドガーinD×D (改)

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十六話:いよいよ始まります


突然、拉致されて始まった十日間の修行も無事に終わった。
要するにだ。いよいよ『レーティングゲーム』が始まるってわけだ。
この『レーティングゲーム』というゲームはチェスをもとにして作られた。
……て、部長から聞いた。

まあ、実際に戦うわけだからただ単にボードの上で行うチェスとは違う。
戦術だってだいぶ変わってくる。駒の数も強さも人それぞれで変わる。
まあ、『(キング)』を取られたら負けって言うのは変わらないんだけどな。

というか、よくよく整理してみるとこっちが凄い不利だよな。
相手が『(キング)』を入れて十六人で、こっちは俺を入れても七人だ。
うん……単純に戦力が二倍ってまずいよな。
しかも、相手の『(キング)』はフェニックスだっけ? 
確かクロノス程じゃないけど死ににくい奴なんだよな。手こずりそうだな。

当日になってから思うのもあれだけど部長もよくこんな戦いに挑んだな。
それだけ、相手と結婚したくないんだろうな。
いや、ただ自分で“選択”をしたいだけかもしれないな……。

「選ばされるんじゃなくて自分で選びたいもんな……」

時計を取り出して針の動きを眺めながらボソリと呟く。
部長はお嬢様だから家の都合で選ばされることの方が多いんだろうな。
本人の意思に関係なく“一族”の都合で未来が決められる。
そういうのは―――



「気に入らないな……」



本当に気に入らない。自分が望んで生まれたわけでもないのに選ばされる。
どれだけ抗おうとしても逃れることない宿命。
だからこそ選択する権利を求める。己を世界を賭けて。

再び時計に目を落として時間を確認する。
夜の11時40分か……12時丁度に始まるからそろそろ家を出るかな。
俺も転移が出来たら楽なんだけどな……あいにく歩きしかない。
なにか他に方法は無いのか? まあ…いいか。

「相手がどのぐらい強いかは分からないけど……まあ、がんばるだけだな」

時計を閉じてポケットにしまう。そして軽く息を吐く。
力なんて望んでいない。捨てられるなら捨ててしまいたい。
でも……力が無ければ誰も救う事が出来ないのも事実だ。
そして、力が無ければ選択が出来ないこともまぎれもない事実。

「出来ることなら、過ちの無い選択をして欲しいな。……部長には」

最後にそう一言だけ呟き家を出る。
どんな結果になっても納得できる過ちの無い選択をどうか。





「開始3分前に到着って……あなたって意外と適当なのね。ルドガー」
「すいません、部長」

呆れた様に溜息を吐く部長と頭を下げる俺。そしてその様子を笑って見守るみんな。
危なかった。鍵を閉めたかどうか不安になって家に戻ったせいで遅刻しそうになった。
いや、しっかり閉めたつもりだったけど、不安になったんだよ。そういうことあるよな?
結局のところちゃんと閉めてて無駄足になったけどさ。

まあ、気になって戦いに集中できないよりはいいと思うんだ!
……はい。もっと早く出れば良かっただけですね。
ごめんなさい。今は反省してます。

「まあ、いいわ。何となくだけど、空気も柔らかくなった気もするし……」
「ふっ!」
「ただし、遅刻しそうだったのは反省しなさい。だからそのドヤ顔はやめなさい」

ドヤ顔したら冷たい顔で怒られました。辛いです。

「今度遅れそうなら、小猫に引きずって来てもらうわ」
「ごめんなさい。どうかそれだけは」

また、下腹部に鈍い痛みを感じて意識を飛ばしたくありません。
あれは軽くトラウマ物なんだぞ。
あ、あと小猫さん。指をゴキゴキと鳴らしているのは来る勝負に備えてだよな?
獲物を狩る獣ような目つきで見られると怖いんだけど……ん?
そう言えば、どこかでこんな視線を受けたことがあるような……誰だっけ?

「とにかく、時間が無いから早く転移するわよ。グレイフィア」
「では皆様、この魔法陣の中にお入りください」

あ、グレイフィアさんいたんですね。
すいません、遅れそうだったんで気づきませんでした。
このゲームが終わったら、ミリキャス君は今、元気かとか聞けたらいいな。
そんなことを考えながら軽くお辞儀だけする。

するとグレイフィアさんは少しだけ頬を緩めて笑ってくれた。
でも、すぐに顔を引き締めてメイドとしての顔に戻す。

「これにより皆様を先頭フィールドにご案内します」

グレイフィアさんが部室の真ん中に展開させた魔法陣に入る。
そして魔法陣の中に入ると、次の瞬間、魔法陣が光を出し始めた。

「それでは、どうかご武運を………」

その言葉を聞いた次の瞬間、俺達は光に包まれながら転移していった。





………あれ? 目を開けてみると、そこにはいつもと変わらない部室があった。
まさか、俺、また置いてけぼりにされたのか!?
そう思い。焦って周りを見まわしてみるが、同じようにみんなもいたので胸を撫で下ろす。
よかった…。置いてけぼりにされたわけじゃないみたいだ。

『皆様、この度、フェニックス眷属とグレモリ―眷属の試合に置いて、審判役を任せられましたグレモリ―家の使用人、グレイフィアと申します』

するとどこからか響いてくるグレイフィアさんの声。
アナウンスもこなすなんてメイドって凄いんだな。

『この度のレーティングゲームの会場としまして、リアス・グレモリー様方の通う、駒王学園の校舎を元にしたレプリカを用意させていただきました』

レプリカ!? 学校の一分の一レプリカって……どんな技術なんだそれ?
もう普通に学校作りましたって言った方がいいんじゃないか。
まあ、これなら壊してもいいよな。壊しても『俺は悪くねえ!』って言えば大丈夫だろ。
…………あれ? 俺は何を言っていたんだ?

『両者共に、転移された場所が本陣でございます。リアス様は旧校舎、オカルト研究部部室。ライザ―様は新校舎の生徒会室でございます。『兵士』は互いの敵地に足を踏み込んだ瞬間から、昇格を可能とします』

つまりイッセーが新校舎に入ればその瞬間に昇格できるってことか。
分かりやすくていいじゃないか。まあ、俺には余り関係ないことだけどさ。

「全員、通信機を耳に着けなさい」

通信機? 部長の言葉が良く分からず首を傾げる。
というか通信機ってもしかして、この光の球のことか?
俺は部長の周りでフワフワと浮遊するいくつかの球体を見ながらそう思う。

「通信機と言っても、魔力を介した物よ。この光を耳に入れれば、仲間間で会話が出来るわ」

へえ。便利だな。
そんなことを考えながら光を耳に入れる。

「これで準備完了ね」

少し顔を引き締めて部長が席から立ち上がる。
それと同時に校内にグレイフィアさんの声が響き渡る。

『それでは開始の時間となります。制限時間は人間界の夜明けまで。ゲームスタートです』





「さてと……まずはどう攻めるか決めるわよ」

部長の言葉に全員が頷く。
さてと…どういう作戦を立てるのかな。部長は。

「みんな、いい? まず私達は経験的にみても数で見ても不利だから長期戦は向いていないの」

まあ、普通に考えたらそうだよな。
クロノスみたいに一気にやらないと回復するような敵らしいしな。
そうなってくると……。

「私達がとるべき作戦は短期決戦のみよ」

そうなるよな。勝つにはそれしかないだろうな。

「最初は定石通りに自分たちの領域を増やしていこうと思っていたの。でも、それだと長期戦になってしまって私達が不利になる。だから私達は今回、全てを攻めにまわすわ。取られて不利になる位なら捨てるわ」
「つまり……どういう事なんすか?」
「いい、よく聞いておくのよ、イッセー。鍵はあなたなんだから。作戦は――――――」



なるほどな。面白そうな作戦だな。
後はイッセーと小猫の頑張りにかかっていると言うわけだ。
さてと……後は俺達の役目だな。

「朱乃はこの旧校舎にカモフラージュ用の幻術をお願い。祐斗と小猫は森にトラップを。ライザ―は最初にこの校舎に『兵士』をいくつか投入するはずよ。その際に考えられるこの校舎への道は森よ」

「「「はい」」」

三人とも納得したような表情で部室を出て行く。
さて、俺は何をするんだ?

「ルドガーはイッセー達について行ってもらうから今は休んでいていいわよ」
「三人も行く必要があるんですか?」
「最初は私もそう思っていたの。でも私達が短期決戦で来ることは相手も間違いなく分かっているはず。だから何かしら手を打ってくる可能性が高いわ。ライザーは犠牲を多少払ってでも構わないサクリファイス戦法が得意なの。こっちが成功して喜んでいるときに足元をすくわれる可能性もあるから。それと……勘よ」

勘か……まあ、女の勘は良く当たるっていうしな。
それなら俺もそれを信じて動くか。

そのまますることもないのでのんびりと座り寛ぐ。
しばらくすると通信機を通して声が聞こえて来たので立ち上がる。

『部長、僕と小猫ちゃんの準備は整いました』
『こちらもですわ、部長』

祐斗に朱乃さんの声か。
いよいよ、スタートって所かな。

「朱乃は旧校舎の屋根で待機。祐斗は相手の『兵士』を森で警戒しながら待機しておくこと。……それから小猫はイッセー、ルドガーと合流、そこから体育館に向かいなさい」

特に気負う事もなく頷く俺。その隣でイッセーも同じように頷くがその表情は固い。
うーん。こういう時はどうしたらいいかな……そうだ。
ポンとイッセーの肩を叩いてやる。
すると驚いたように俺の方を見て来たので笑いかけてやる。

「心配するな。俺と小猫がいるんだ。負けやしないさ」
「ルドガー……そうだな。お前らがついてるなら百人力だぜ!」

緊張が解けたのかいつも表情になりそんな事を言ってくるイッセー。
何と言うか、こいつは人懐っこい表情を見せるというか…甘え上手というか…。
もしかして、弟ってこんな感じなのか?
少しだけ兄さんが俺を可愛がってた理由が分かった気がする。

「ふふふ。何の心配もいらなそうね」
「二人共、頑張ってください!」

そんな様子を見て笑う部長。
俺達にエールを送ってくれるアーシア。
彼女は回復役であるためにこのまま本陣に残る。



「さあ……グレモリー眷属の実力、フェニックスに分からせてあげましょう!」



すいません。俺はグレモリー眷属じゃないです。





俺達は体育館付近で無事に小猫と合流し、そのまま裏口から体育館に入る。
そこから三人揃って舞台袖に移動する。
チラリと中を確認すると既に相手が待っていた。

「……どうしますか?」
「面倒だし、正面から行くぞ」
「ルドガー。お前って結構肝が据わってるよな?」
「ふっ、潜ってきた修羅場の数が違うからな」

主に借金返済の為だとは口が裂けても言えない。

「じゃあ……いくぞ」

イッセーの掛け声に小猫と一緒に頷き、足を進め舞台の上に立つ。
すると目の前に体育館の中央で立つライザー眷属の姿が現れた。
チャイナドレスの女の子。ブルマ姿の双子の女の子。
そしてあれは…棍? 棍棒? を持った女の子だ。
何だかレイアを思い出すな……あいつの明るさには良く助けられたよな。
また…会いたいな。

「こんにちは、グレモリーの眷属さん。それと人間の助っ人さん。…? どうしたんですかそんなにこの棍棒が気になりますか?」

おっと、ボーっと見つめてたら気づかれたみたいだな。
まあ、ここは軽くお世辞でも言って流すか。

「いや、いい武器だなって思っただけさ」
「そうですか。ありがとうございます。お礼と言ってはなんですが余り怪我しないようにしてあげます。それと私はライザー様に使える『兵士』ミラです」
「心遣いありがとうな。俺はルドガー・ウィル・クルスニクだ」

何となくだけど、人間だという事で舐められてるみたいだな。
まあ、根が悪い子じゃないみたいだから特に気にしないけどな。
それにしても……ミラ…か……。

「同じくライザ―様に仕える『戦車』、シュエランよ。」
「『兵士』のネルでーす。」
「同じくイルでーす。」

何故か、他の子も挨拶をしてくれた。
チャイナドレスの子がシュエランで、双子はネルとイルと言うらしい。
どっちがどっちかは多分良く分からないだろうけどな!

「じゃ、こっちも行くか。小猫、イッセー」
「おう!」
「……はい!」

そして俺達は相手の方に向かって舞台から飛び降りて、そのまま向かって行った!



実を言うとだ。気にしてないとは言ったけど。
……本当は舐められてちょっぴり怒ってるんだぞ? てへ☆

 
 

 
後書き
レーティングゲームは三話位になると思います。
今回も読んでくださってありがとうございますm(__)m 
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