| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

剣の世界で拳を振るう

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

サラマンダー

「何だこれ…」

現在橋の上の中間部。
洞窟を抜けた先にあるこの橋を渡ろうとして、行く手を阻む形で出現した壁に、
俺達は足止めを喰らっていた。
羽出せば行けるんじゃね?と思ったが、どうやら飛行禁止エリアらしい。

「無理だよキリト君。
これを出した術者を倒さないと消えない」

「おいでなすったぜ」

俺は後ろに振り返りながら言った。
その先からは赤い外装のプレイヤー20人程が此方へと向かって走ってきている。

「つけられてたの?」

「サーチャーは潰したんだけどなぁ…」

もしかしてあれ一匹だけじゃなかったのか?

サラマンダー達は前、中、後衛に配置に着き、前衛はシールドを構えて壁を作った。

「やるしか無いな」

キリトは剣を抜いて構える。

「ダメだよあの人数には太刀打ち出来ない!
一度やられて、それからまたここにこれば良いじゃない!」

「駄目だ!俺達には時間が残されてないんだ!
それにな、リーファ。
俺が死ぬまで、パーティーは一人も死なせはしない!」

そう言って走り出すキリト。

「リーファ。回復補助に徹してくれると助かる。
俺はまだ呪文を知らないから使いようもない」

ウンディーネなのに回復出来ないとか、絶対他のプレイヤーから罵倒されるに違いない。
駄目ディーネとか?

「キリトはこの際好きにさせる。
俺はあの盾持ちを飛び越えて後衛を潰す。
リーファはキリトの回復を頼む」

「わ、分かった!」

「っしゃ!」

俺は飛び出し、キリトの横を通りすぎる。
盾持ちを飛び越えて向こう側へと着地する。

「ぐぅお!?」

急に飛んできた火の玉に俺は直撃し、盾持ちに激突する。

「くっ!結構痛ぇな!っとぉ!」

再び飛んできた火の玉を横に跳んで回避。
当たった火の玉は一発なのにHPは半分を切っている。

「男ならガチンコで来いやぁ!」

俺は飛び交う火の玉を避けながら走り、中衛の回復役の場所へとたどり着く。

「せぇあぁ!」

俺はボディブローわー指揮取りにお見舞いし、続いてその近くにいたプレイヤーを川に投げ込む。
思った通り、川にはモンスターがいるようで、川に落ちたプレイヤーは一瞬で炎になった。

「おおおおおおおお!」

「キリトも頑張ってンなぁ!」

キリトの怒号の叫びをBGMにしながら、残りの回復役を潰していく。
そして飛んでくる火の玉。

「砂糖の百倍甘えよ!」

俺は飛んできた火の玉をぶん殴り、弾くようにして受け流した。
火の玉は盾持ちの一人に辺り、壁を崩してしまう。

「キリトォ!」

「オーライ!」

キリトと俺は走り出し、盾持ちを無視して後衛との距離を積めた。

「せぇあぁ!!」「とりゃあ!」

キリトは剣で、俺は拳で。
それぞれの相手を確実に倒していく。
そして――――

「後は…」

「お前らだな」

逃げようにも逃げ道のない残り二人の盾持ちに向き直り、
ゆっくりと歩いて近づいていく。

「ひっ…あ…」

「待て!待ってくれ!」

盾持ちの二人が命乞いをする。

「キリト」

「あぁ、これ以上やる必要も無いからな」

俺達は盾持ちの前で止まり、しゃがんで目線を合わせる。

「俺の質問に一つだけ答える。
それだけで死なずに帰してやる…どうだ?」

「こ、殺すなら殺せ!」

「なら、そこに報酬を加えよう。
これが今回の戦闘で手にはいったアイテムとユルド何だけど。
話してくれたら全部譲るってのはどうだ?」

「……………マジか?」

「マジマジ」

「ホントに?」

「ホントにホント」

盾持ち二人はキリトと共にへらへらと笑い出す。
そう言えばこう言う交渉の仕方だったよな。忘れてた。













数分後、盾持ち二人はそれぞれにガッツポーズを取りながら帰っていった。
話を聞く限りでは原作とは変わっておらず、上に命令されてやった。
俺達が計画の邪魔になるから。との事だった。

「……計画ってなんだろ」

「グランドクエストじゃないって言ってたから、別の事だと思うけど」

キリトとリーファは二人して考える。
原作を知っている俺からすればどうでも良いことだが、
この際だから話しておこう。

「アイツ等は俺達が何らかの計画の邪魔になると言った。
計画はこの際置いておいて、問題なのは誰が命令したのかと言うことだ」

俺が話し出した事に、キリトとリーファは俺を見る。

「そして、命令文の中には俺達が邪魔だからと言うのがはいっている。
つまりこれは、俺たちを知っているプレイヤーの企てに他ならない」

「なるほど…でも俺達がログインしたのは昨日だし…あ」

「そう。つまり昨日から今日までの時間で会ったプレイヤーに絞り混むことができる」

「でもそれだと結構あってると思うよ?」

「いいや。実際には数人しか居ないんだよ。
取り合えず今日までに会ったプレイヤーは、レコン、シグルド、取り巻き3人」

「あとカゲムネって奴だよな」

「いや、俺は実際に会っていないから省いて問題ない。
さて、今上げた中で上に立てるプレイヤーはシグルドを抜いて他には居ない。
簡単な考え方だが、この企てはシグルドが行ったと考えるのが一番だと俺は思う」

まぁその内レコンからメールが来るだろうし。
ログアウトして聞いてもらうのも良いかもしれない。

「でも、シグルドはシルフで…」

「ま、可能性で考えとけって。ほら行こうぜ?」

俺は話を強引に打ち切り、橋の向こうへと歩き出す。
キリト達も遅れて歩き出し、俺達は次の町、《ルグル》へとたどり着いたのだった。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧