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願いは聞く

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第九章

「お巡りさん達にな」
「じゃあその動画を」
「ネットに流すんだよ、特にユーチューブにな」
 そこにもというのだ。
「そうすれば連中のことが世界中に拡まるからな」
「連中も終わりか」
「相手が新聞記者でもやり方があるんだよ」
「ペンにもか」
「ペンの暴力にはネットでの拡散だよ」
 それで対抗すべきだというのだ。
「話は聞いていたけれど自分でするとは思わなかったがな」
「そうか、まあ連中に対してはな」
「仇を取ったな」 
 カルロスは笑みを浮かべてだ、フェリペと話しながらデリラとハイメも見た。そのうえで確かな声でこう言ったのだった。
「これでいいな」
「はい、有り難うございます」
「お陰で助かりました」
「ああいう奴はお客さんじゃないんだよ」
 店にとって大切な存在ではないというのだ。
「だからな」
「ああしてですね」
「成敗したんですね」
「そうさ、それにこいつの願いならな」
 フェリペも見て言うのだった。
「絶対に聞くからな」
「そうか、それじゃあな」
「それじゃあか」
「今度は俺が願いを聞くからな」
 フェリペもだ、カルロスに笑顔で言うのだった。
「頼むな」
「ああ、それじゃあな」
 カルロスも笑顔で応える、そうしてだった。
 四人で騒動を鮮やかに終わらせたことを祝って乾杯もした、その後。
 河原親子の店での人間としてあるまじき振る舞いは世界中に知られ特に日本のネットでは祭りになった、こうしてこの親子は社会的に抹殺された。ついでに言えば癒着している汚物某にも影響が及ぶ事態となった。
 カルロスはフェリペの店のカウンターに座り飲みながらだ、彼にその話をした。フェリペはその話を聞いてこう言った。
「因果応報だな」
「本当にそうだな」
「あの親子完全に終わったみたいだな」
「そこからこれまでの悪事がどんどん出てな」
 その結果、というのだ。
「刑事告訴もされたらしいな」
「悪事か」
「何でも日本の新聞記者は特権階級らしくてな」
「うち以上のか」
「ああ、スペインの新聞記者なんか比べものにならない位にな」
 特権階級化しているというのだ。
「それであいつが自分で言っていたみたいにな」
「やりたい放題なんだな」
「それだけに向こうのネットじゃ嫌われてるらしいんだよ」
 横暴な権力者が嫌われない筈がない、世の常だ。
「そこに来てあれだからな」
「他の悪事も暴かれてか」
「臭い飯食うことになりそうだぜ」
「親子仲良くか」
「ははは、親子揃って犯罪者だな」
 カルロスはフェリペの話を聞いて笑って言った。
「そうなるな」
「本当に自業自得だな」
「全くだな、じゃあな」
「それじゃあだね」
「今日は俺の奢りだよ」
 フェリペは笑ってカルロスに言った。
「好きなだけ飲んでくれよ」
「あの時のお礼か」
「そうさ、けれど御前に何かあったらな」
 そうして頼まれたその時はというのだ。
「願いは聞かせてもらうからな」
「あの時言った通りか」
「ああ、そうさせてもらうからな」
 彼もだ、そうするというのだ。
「宜しくな」
「それじゃあな」
「何時でも言ってくれよ」
「その時は頼むぜ」
 二人で笑って言うのだった、そうしてカルロスはその奢りの酒を飲んでだ。親友と気持ちよく語り合うのだった。


願いは聞く   完


                          2014・7・29 
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