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子猫のトムのお話

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第三章

「さもないと大人になれないって」
「僕もそう言われるよ」
「お母さんにだね、ピーターの」
「そうそう、しっかりと何でも出来ないと」
 大人になれないと言われるというのです、ピーターも。
「お父さんみたいにね」
「そういえばピーターのお父さんってこの前大変だったって?」
「マクレガーさんに危うく捕まりそうになってね」
「ああ、あの人に捕まったら大変だよ」
「食べられるからね」
「肉のパイにされてね」
 そのうえで、というのです。
「そうなるからね」
「怖いよね、食べられるなんて」
「パイねえ。僕お魚のパイなら好きだけれど」
「兎のパイだよ」
「そういうのはね」
 とても、というのです。
「いいよ」
「そうだよね、僕も人参とかのパイならいいけれど」
「とてもね、兎のパイとかね」
「なりたくないよ」
「じゃあしっかりとならないと」
「パイにされてね」
 そして、というのです。
「マグレガーさんに食べられるよ」
「そうなるんだね」
「僕もそう言われてるから」 
 だから、というのです。
「嫌だけれどね」
「しっかりとなる様にだね」
「頑張ってるよ」
 そうしているというのです。
「これでもね」
「やっぱりその方がいいんだね」
「トムだって食べられたくないよね」
「この前大変なことになりそうだったよ」
 鼠の夫婦にこっぴどくやられた時のことをです、トムは思い出しながらそのうえでピーターにお話しました。
「あの時のことを思うとね」
「やっぱりしっかりしないとね」
「僕達は僕達で住んでいるからね」
 人間に飼われている猫ではないのです、森の中に住んでいるからです。
「しっかりとしないと」
「御飯も食べられないし」
「捕まって食べられるしね」
「そういうことだね、じゃあ」
「うん、僕しっかりするよ」
 トムはピーターに強い言葉で言いました。
「そして立派な大人になるよ」
「僕もそうなるよ」
 ピーターもトムに答えるのでした。
「絶対にね」
「お互い食べられたくないしね」
「食べたいしね」
 こうしたことをお話しながらでした、トムとピーターは二匹で遊んでいました。ピーターはその中で草を食べました。
 そのピーターを見てです、トムは言いました。
「ピーターはすぐに草を食べるよね」
「食べられる草ならね」
 食べるというのです、ピーターもこう答えます。
「お腹が空いたらね」
「すぐに食べてだね」
「餓えない様にしているよ」
 そうしているというのです。
「あくまで食べられる草だけだよ」
「どんな草でもいい訳じゃないんだね」
「毒がある草とか食べないよ」
「そこはしっかりしているんだ」
「お父さんとお母さんに何度も言われたんだ」
 その言われたことはどういったことかといいますと。
「どの草を食べていいのか、どの草を食べたら駄目なのか」
「言われたんだ」
「それで食べてはいけない草はわかっているよ」
「成程ね」
「それはトムも同じだよね」
「うん、僕もね」
 トムもお父さんとお母さんに何度も言われたことを思い出しました、そしてそれはどういったことかといいますと。 
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