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ソードアート・オンライン  ~生きる少年~

作者:一騎
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第一章   護れなかった少年
  第三十話  始まりと終わりは唐突に

 
前書き
はい。と言う訳で久しぶりの投稿ですが今回は息抜き回ですw 

 
「と、言うわけで今日は全力で遊ぶぞー!!」

「「「「おー!!」」」」

「ほら、ソラも早く早く!!」

場所は24層にあった遊園地のような場所。周りでは子供連れの大人や、カップルのNPCがはしゃいでいる。そしてそれに乗っかってギルド《月読》のみんなのテンションが限界突破を超えて天元突破しようとしていた。正直ついていけない。誰かドリル持って来て。

まぁそんなことは置いといて、みんながダッシュで遊園地の入り口にダッシュして行く中、僕もメイに腕を引かれ遊園地へと入っていく。

「......どうしてこうなった」

僕のそんな呟きは誰にも聞こえず空気中に消えて行った。

ー☆ー☆ー☆ー

始まりはいつも唐突だ。

それは今日の朝の事。
僕がいつもの如く《月読》のギルドホームに入った瞬間のこと。

「ホラソラ遊園地行こーぜ!! 遊園地」
「行こーソラ!! 遊園地だよ遊園地!!」
「行くぞー遊園地」
「行くぜー」
 「ほら行こう今すぐ行こう!!......ソラのおごりで」
「行きましょうソラさん!! ホラ速くッ!!」

......瞬く間にみんなにかこまれ、遊園地、遊園地の大合唱。凄く五月蠅かった。ドサクサに紛れて奢り奢り行ってた奴は一発殴っといた。つかハクまで行ってたけどアンタ止める側でしょ。仕事しろ。

「わかったわかったわかったから一旦黙れーーーーーー!!」

そう半ヤケクソ叫び、みんなのイエーイ!! と言う声で締めくくられた。......いやぁ......唐突過ぎるんじゃないでしょうかねえ......。

―☆―☆―☆―

そんなこんなで遊園地。何で今日みんながこんなに騒いでたのかは僕も知らない。今日だけセールとかそんなだったのだろうか。

「よっしゃソラ次はアレ乗ろーぜ!!」

ケイが子供みたいにはしゃぎ、僕の腕を掴んで引っ張っていく。そしてソの後ろをクスクス笑いながら着いてくるメイ。さらにソの後ろを着いてくる妙に上機嫌な月読みの面々。

なんだこれ。

そう思いながらケイの引っ張っていった先を見る。

『実際にモンスターがPOPするかも!? 清明的な恐怖も味わえて一石二鳥だネ!! そこの君も今すぐ入ろう!!』

という何とも入りたくないキャッチコピーの......

「よっしゃお化け屋敷はいろー」

「え? あの、や、ちょ、待って、一旦、な? 一旦落ち着けって、な、頼むから、頼むからおちつ――お化けらめぇぇぇぇええええええええ!!」

そんな叫び声がお化け屋敷の中から響いたそうな。

―☆―☆―☆―

「ぜぇ......ぜぇ.......ぜぇ......」

息を切らし、どうにかお化け屋敷から脱出する。

え、なんでそんな息切れてるのかって?

叫びながら全力で走ってたからだよ。

......なんでLvが上がってるのかって?

ひたすら出てきたお化け(モンスター)を片っ端から殴り倒したからだよぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!もう嫌だぁぁぁぁぁああああああ!!

どうやら中のお化け役はアストラル系統のモンスターやゾンビ系のモンスターを弄って人を驚かすだけに納めていた物らしい。それをひたすら体術スキルを駆使して駆逐してきました。みんな? 多分ゆっくりとお化けも何も出ない道を歩いてくるんじゃない?

そして噂をすればなんとやら。みんなが団体で何か変な物を見つめる目で出てきた。

勿論僕が目一杯叱られたのは言うまでも無いだろう。

―☆―☆―☆―

「じゃ、じゃあ次はアレ乗ろーぜ!!」

『お、おー!!』

「おー......」

そう言ってケイが指さすのはジェットコースター。うむ。まぁ特別なアレはなさそうだしまぁ、いいか――

『途中で空中のモンスターに出くわすかも!? ただただ走るだけじゃ生温い!! 君たちに本当の命の恐怖を教えよう!! そこの君もLet's Tray!!』

「誰がトライするかぁぁぁぁあああああああ!!何余計なもん付け加えとんじゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」

吼えました。

―☆―☆―☆―

「ゼェ......ゼェ......」

何でHPが赤くなってるんだって? それは空中のコウモリみたいなモンスターに集団で襲われたから。

何で体術の新しい技を覚えてるかって? 全部ひたすら殴り倒したからだよぉぉぉおおおおおおお!!

「今更ながらにどうなってるんだよこの遊園地!!」

「ん、パンフ視るか?」

そう叫ぶと横からハクが何かジュースを飲みながらパンフレットと思わしき紙を渡してくる。

そこにはただ一文、この遊園地のコンセプトらしき物が載っていた。

『攻略組の方々、毎日攻略攻略、レベル上げレベル上げじゃ辛いでしょう? たまには息抜きもしなきゃ。というわけで攻略組専用に作られたこの遊園地!! 楽しみながらちゃんと経験値も稼げる!! なんて一石二鳥!!』

「二兎を追う物は一兎も得ずという諺を知らないのかこの遊園地!!」

一石二鳥じゃなくて一石投げて人に当たって怒られるだろコレ......。

そう思いながらパンフをハクに返す.......と、そこでメイと目があった。

その目は若干泣きそうで......僕が苦手な目だ。

「ソラ......その......楽しく......ない?」

楽しくない......か、かぁ......。

んなもん決まってるでしょ。

「楽しいに決まってるでしょ。こういうハチャメチャな遊園地初めてだし」

そう、笑いながら言う。

......うん。実は僕、結構楽しんでるんだよね。なんだかんだ言いながら。みんなと一緒に居るんだ。つまらないわけが無い。ていうか、本当につまんなかったら即帰るしね。

僕がそう言うとメイはホッとしたように「よかった......」と呟いていた。

......なるほど。企画はメイか。ていうか未だに理由がわかんないんだけどね、僕。

「よっしゃ次いこうぜ!!」

そう言ってケイが選んだのはこちら。

『ただの迷路じゃつまらない? ですよね!! そんなわけでトラップとモンスターを追加しました!! どこまでもリアル迷宮迷路!! ぜひお楽しみ下さい!!』

......やっぱ僕......帰ろうかな......。

―☆―☆―☆―

どうにか迷路を乗り切り、他のアトラクションを遊んでいる(遊ぶ......いや挑む、かな?)あいまにもドンドン時間は進んでいき、何時のまにか夕刻となっていた。

「......じゃあ、最後にアレに乗って帰ろうか......」

そう言ってケイが指さしたのは馬鹿でかい観覧車。

『みなさん景色を楽しんで下さい』

ただその一言だけが書かれていた。どうやらシンプルに大きい観覧車らしい。

「ブライ乗ろーぜー」
「お、良いぜハク」

「アンスちゃん、一緒に乗ろーぜー」
「分かりましたーケイさん」
「あ、僕も混ぜてー」
「ハイ。セン君も」

と、考えている間にどうやら勝手にペア、もしくは三人組を組んでしまったらしい。この観覧車は3人乗り。ハクの所に行くとメイが一人残っちゃうしな......。しょうがない。

「じゃ、メイ、一緒に乗ろうか」

そう微笑みながら言うと、メイは何故か頬を赤くして(今日寒いからかな?)了承する。

そして、ハクとブライ。そしてアンス、ケイ、センの順で入っていく。そして三つ目に僕ら二人で乗り込んだ。

自動でドアが閉まり、ゴンドラが動き始める。

「ねぇ、ソラ、今日は本当に楽しかった?」

ゴンドラに乗りこんで30秒ぐらい経ったソの瞬間、メイがそう切り出した。

「楽しかったよ。これってメイが企画したの?」
「うん。でも、ソラのことだから理由は分かってないでしょ?」

う。綺麗さっぱりわからぬ。

そんな僕の顔を見てメイがプッと吹き出す。

「ほ、ホントに分かってなかったんだね。今日、5月28日だよ?」

「......5月.......28日.......てあッ!!」

そこでようやく合点がいった。そうか。そういうことか。だからメイは僕にばっか楽しいかどうか聞いてたのか。若干おかしいとは思ってたけどそういうことね......。

「思い出した? ソラ、自分の誕生日」

そう、今日5月28日は僕の誕生日。

......正直ずっと忘れてた。いや、正直ずっと極限の生きるか死ぬかで戦ってたからそういうの忘れちゃうんだよな......。

「じゃあ、僕のタメにこれ企画してくれたの? ありがとね、メイ。凄く嬉しい」

若干はにかみながら笑い、お礼を言う。正直すっごい照れくさいけど、それを上回るくらい、嬉しい。

それを視て何故か再度赤くなり、視線が何故か僕から視て右下に言っている。恐らくそこには段差しか無いと思うんだけど。

「あ、あのさ、ソラって......あの鍛冶屋の人と付き合ってるの?」

「ブハッ!? り、リズのこと? 違うよ。ただ単に仲間だって」

そう言いながら笑う。うん。別にリズとは仲間であり友達だしね。そういうのとは違うと思う。

「じゃあ、ソラ......その......誕生日プレゼントなんだけど......」

「え、何プレゼントとか用意してくれてんの? 何か非常に悪いんだけど――」

そういった瞬間、急に飛んできたメイに僕は唇を奪われた。

「――!?」

それは一瞬の出来ごとだったけど、確かに感触が残ってる......。

一瞬でボッと顔が熱くなる。

え、え、ど、どういうこと!? 何が何でこうなった!? え? ホワイ!?

「え、えっとその.......その......」

メイがしどろもどろに言葉を紡ごうとする。

「え、えっとメイ、あの――」

僕もしどろもどろになりながら何か言おうと口を開けた瞬間......

パリーン

『ギャギャッ!!』

モンスターが乱入してきた。

「やっぱいるんかいぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!」

そう叫びながら正拳突きで一発ぶん殴る。

や、どっちかというと逆に助かったんだけどね!? 凄い恥ずかしかったから空気変えるのには良いんだけどね!? でもやっぱりいるんかいぃぃぃいいいいいい!!居ないと思ってたから凄く裏切られた感じ!!

追撃として、体術スキル回し蹴り、《カルチャーレ》で相手の顔面を全力で蹴り、ゴンドラの壁を貫いて落とした。

「......わぁ.......綺麗......」

いつの間にか近くに来ていたメイが、モンスターが出て行った穴から除く夕景を視て呟いた。

つられて僕も見る......と。

「わぁ.......」

絶景。そう、まさしく絶景が広がっていた。どうやら今、このゴンドラは頂上にあるようで、24層が一瞥出来た。24層は一面に草原や一部に森、そして湖が広がっている。それが一眸できるのだ。さらにその湖の向こう側に正に今、太陽が沈もうとしている。これを絶景と言わずして何を絶景という。

何気なしにメイの方を視る......と、そこには目を目一杯開いて景色を見入ってるメイの横顔。だけど、その横顔は夕陽を浴びて輝き、正直僕には一番綺麗に見えた。僕はこの横顔をずっと忘れないだろうな......。

「......綺麗だな......」

「え、何か言った?」

何気なしに飛び出た一言はどうやらメイに聞かれたらしい。慌てて、「景色だよ、景色!!」とごまかす。

それを聞いてメイは笑いながら再度景色を見る。

もうゴンドラは下っていて、さっきほどの景色はもう見れない。でも、それでも、十分に綺麗な気がした。

『ギャギャ』

......始まりも唐突なら終わりも唐突だなぁ......。
 
 

 
後書き
はい。と言う訳でイチャラブ回でしたーwいやーやっぱおいらイチャラブ苦手だわ......。

6/1 ソラの誕生日を帳尻あわせのために11/28から5/28に変えました。 
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