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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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我々の内部にある何者かを憎んでいる


我々がある人間を憎む場合、我々はただ彼の姿を借りて、
我々の内部にある何者かを憎んでいるのである。
—へルマン・ヘッセ「デミアン」—

 


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我々の内部にある何者かを憎んでいる








◆◇◆コン◆◇◆




見合い任務の報告書をイルカ先生に提出していると、オレ達六班は三代目に呼び止められた

忍者登録室まで来いと言われ、素直に三代目に続いて入室する


そこにはすでにシカマルがいた


・・・まさか中忍昇進?


「それでは、今回中忍に昇格した三名にこの中忍ベストを与える
 奈良シカマル、油女シュロ、志村イカリ
 受け取りなさい」


御意見番が三人の名を呼び、三代目がベストを与えた

あれ、オレ何のために呼ばれたんだろ


「ちょっとタンマ、シカマルはともかく俺等2人は本選で戦っていません
 それに何故、ここにコンが呼ばれたんですか」


頭をひねっていると、同じく疑問に思ったシュロが問いかけてくれる

本選、確かに戦ってないな


「うむ、六班は結成当初から任務を大量にこなしてきた
 今まで任務で不備も失敗もなく、下忍のなかではトップクラス
 上忍師の意向でローテーションでリーダーを決め、行動していたと報告もある
 
 油女シュロは暗部の一部、拷問部、追い忍部隊から推薦
 志村イカリは暗号班、感知班、拷問部から推薦を受けて中忍昇格が問題ないと判断された」


シカマルは中忍になって当然ってぐらいの頭脳プレイを見せてくれた

シュロとイカリはこれまでの任務経歴、任務で知り合った忍の方々の推薦があったからこその昇格


・・・本当にどうしてオレ、ここにいるんだろうか


「だからコンは!?」


イカリが無言でオレにベストを着せた

御意見番に引っぺがされ、イカリに着せる

アクティブ・・・コハル様超アクティブ・・・!


「御主らには話せぬ、コンを残して下がりなさい」


有無を言わせず退室させられた三人

三人が出て行ったことを確認してから、影からダンゾウが進み出る

なんかいやな予感


「・・・さて、ねたみコン
 我々はその虚弱さから中忍には向かないと判断した
 だがこれまでの任務経歴、中忍試験で見せた知識、また木の葉崩しにおける隠行術を顧みて——
 
 御主に暗殺戦術特殊部隊への入隊を任ず」


暗部・・・

オレが?


「・・・とは言っても、やはりお前の体では暗部の任務はキツイ・・・
 暗部養成部門”根”でお前を預かり、修行をつける
 お前はこれより”鶸茶”を名乗り、根の者と組んでもらうぞ」

 
根って、公式には解体されたはずじゃなかったのか?

以前そう教えられた気がする


「解体された根は再構成し、暗部に相応しいかをチェックする審査機関となっておる
 その根で暗部入りがたしかに相応しいか確認する
 第六班は解散し、御主は根の一員とペアを組み任務にあたるのじゃ
 根入りは一ヶ月後、それまで休息をとること
 良いな?」


そういうものなのか・・・

黙って頷いて、少し気になったことを聞く


「・・・はい
 ・・・あの、鶸茶を名乗るのは今からですか?」


「いや、一ヶ月後からだ
 それまでは今まで通りで構わない」





それでは下がりなさいと促され、すぐに退室する





シュロとイカリは何処へ行ったのだろう

昇格祝いでもしているのだろうか


・・・そうだ、何か祝いの品を贈るべきだよな

何が良いだろうか


そんな事を考えつつ歩く

オレの暗部入りの話はしちゃダメだな

あの二人にはどう言っておこうか、九尾のチャクラで注意されたとかで構わないだろうか?

どうしたものか・・・



「コン」


「・・・あ、先生」


「おめでとう」


担当だから暗部入りの話が伝わっているらしい

口数少なく祝われる


「昇格祝いに、何か食べに行こうかと思ってな
 どうだ、これから六班で鍋は?」


行きつけの店に2人は向かわせてあるぞと言われる


「〆に雑炊してくれるなら・・・」


鍋ならオレも食える


「む・・・うどん派なんだが・・・何鍋がいい?
 ふぐ?カニ?」


「アンコウ」


アン肝崩して雑炊に入れてね


「・・・やだこの子おっさんくさい・・・」


アンコウ鍋美味い

先生に手をひかれ、2人の元へ向かった








◆◇◆イカリ◆◇◆







まさか我々が中忍に昇格するとは思っていなかった

本選での戦いから原作通りシカマルだけかと思っていたのだがな

・・・音忍の残党退治が、影響しているのかもしれない


1人残されたコンが心配だ

中忍昇格でなければ一体何の用だと言うのか

木の葉崩しでの乱入が怒られ・・・たのは随分前だ


先生お勧めの店に行く途中、果物屋の前を通りがかる


「すまん、シュロ
 さきに行っててくれ」


「ん?・・・フルーツセット・・・見舞いか?」


「・・・サスケに、な」


怒られるだろうか

あまりサスケと仲が良くないから、私のこういう行動は嫌がられるだろうか

シュロは気にすることなく、手早く済ましてこいよと言って送り出してくれた

・・・駄目だと言われると思っていたんだが・・・

見舞い用のフルーツセットを持って病院へ

綱手らしき人とガイ上忍が足早に病室に向かう姿を見て、サスケの治療は終わったものと判断する


「・・・志村だ、見舞いに来た」


ノックして入室するとサクラが驚いたように顔を上げた


「志村さん!?・・・シュロはいないでしょうね・・・?」


・・・大丈夫だよ


「大丈夫、置いて来た
 ・・・目が覚めたんだな」

ケンカになっても困るからな

最も、サスケを家族に勧誘したシュロなら、もうケンカはしないだろうけれど・・・


「・・・イカリ・・・」


青褪めた顔が幽霊のように見えた

しかしコンの顔色の方が青いな


「サクラ、リンゴ剥いてやってくれ」

「わかったわ
 ・・・あ、ナイフ借りてくるわね」


そういってナイフを借りに席をたつサクラ

うなだれたままのサスケに向かって、どう声をかけるべきか


「大蛇丸に、変な術かけられたみたいだな?」


悩んだ挙句、こんなセリフしか出てこない

もうちょっと気のきいたセリフを言いたいものだな


「・・・誰から聞いた・・・」


睨まれる


「木の葉崩し前後のお前ら七班の様子を見て・・・な
 ・・・お前、与えられるだけの力が強いと思うか?」


流石に原作で見ましたとは言えない


「何が言いたい・・・?」


俺、七班はあの三人できゃっきゃっうふふしてて欲しいんだよね

まぁ、どうしても里抜けするって言うんなら止めないけど


「枷があってこそ、人は強くなれるものじゃないのか
 ・・・正直言って、お前は弱いぞ」


私よりは強いけどな!


「なんだと!?・・・っぐぅっ!」


私の物言いが気に触ったらしく掴みかかられる

伸ばした腕を掴み、捻り上げた


「体術が得意じゃない私でも、こんな簡単に無力化できる
 シュロだったら蜂の一刺しで終わるし・・・コンならどうするかな
 今のお前じゃナルトにも勝てない」


コンは・・・森とか遮蔽物の多いとこなら勝てるんじゃないんだろうか

・・・そういえばコンはサスケの里抜けはどうするつもりなんだろう

シュロは介入したいとか言って、最近ブれてたけど・・・


「ふざけるな・・・!」


ナルトに勝てないと言われたことがよっぽど悔しかったらしい

すこしだけ眼が潤んでいる


「絆を捨てて、与えられた力で復讐して・・・それで一族に誇れるのか」


私は、誇れないなぁ

復讐するなら自分の力で、自分ですべてをやり切らなきゃ


「・・・!」


「良く考えて・・・
 それじゃ、私はシュロとコンと約束があるから、失礼する」


言うだけ言って帰る

里抜け、止めた方がお得だと思うんだけどな・・・




 


この後先生行きつけの鍋料理屋へ行くと、養父さんが参加してきた

コンの暗部入りも聞いた

教えていいものかと思ったが、ある程度近しい者には教えておくべきらしい

基準が分からん



養父さんはコンの暗部入りというか根での修行が楽しみらしく、やけに上機嫌だった

・・・やっぱり養父さんって、原作からかなりずれてるよな・・・



 
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