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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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ゼロ魔編
  054 特に理由の無い暴力(戦力)がロマリアを襲う!

 
前書き
これから数話、作中での時間が飛び飛びになります。……原作の争乱フラグが軒並み折れてますので… 

 

SIDE 平賀 才人

トリステイン魔法学院の長であるオールド・オスマンとタバサの友人であり口の固そうなキュルケに〝タバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン)〟が〝アリス・ファウストラル〟になった事を掻い摘まんで説明した。

オールド・オスマンは俺のした事に頭を抱えていたが、結果はオーライ(?)。アリスはゲルマニアからの転校生という事で話がついて、転入は来年──新学期からとの事。……転入するに当たって、アリスにはこの前まで〝タバサ〟が使っていた父親の形見らしい杖の使用を控えて貰った。

……次の新学期まで──

―………私は貴方の騎士。貴方(俺の)側を離れない―

……と言って聞いてくれないアリスには折衷案として、簡単な認識阻害の魔法を掛けたマジック・アイテムを身に付けていてもらい、表立ってアリスが転入出来るまでは影ながら守護(?)してもらう事に。

……ツッコミ所は多々有れど、かくしてオルレアン公爵夫人の治療作戦は成った。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE ユーノ・ド・キリクリ

サイトがオルレアン公爵夫人の治療作戦から何事も無く始祖の降臨際になり、その降臨際も恙無く終わった。……そして更に1年の年月が何事も無く流れて、やがてルイズ達の──ボク達の年代の卒業式の日時となった。

サイトはどうやらタバサ──アリスの母親を治療した時点でガリアに──と云うよりはジョゼフに〝テコ入れ〝をしていたようで、ガリアとの戦争は起こらなかった。……辺境で行われている小競り合いは例外とするが、まぁまぁ〝平和〟な毎日だったと概ね云えるだろう。

……親? 何ソレ美味しいの? ──なんて冗談は別として、父親はサイトの身元を宮殿に問い詰め、改めてサイトの身分知るや否やソッコーで手の平を反した様な態度になった。……サイトは手切れ金とばかりに金塊を父親に渡していた。……つまり、ボクはサイトに買われた事に──言い替えるなら親に売られた事になる。

普通に考えるなら、ボクをアルビオンの公爵(サイト)とのパイプにしておいた方が得になるのだが、目先の金塊に目が眩んだのか、ボクを売ると云うカタチになった。……ボクの〝元〟父親はよくも悪くも〝トリステイン貴族〟なので、ド・キリクリの消費量ではあの程度の金塊なんてその内に──そう遠くない内に泡と消えるだろう。

……ざっくりと纏めるなら、〝元〟父親は政治の才能が露程も無かったと云う話なだけだ。

閑話休題。

「……ミス・キリクリ、これは私からの卒業祝いです」

「コルベール先生、〝コレ〟は…」

「貴女が欲していた物です。……私は〝ソレ〟を貴女がどうするかは判りませんが、貴女なら悪い事には使わないでしょう。……貴女のお陰で、漸く私も過去を乗り越えることが出来ました。そのお礼も含めてです」

……卒業式の日、どことなく晴々とした顔のコルベール先生から渡されたのは“火のルビー”。


……これで“火のルビー”がロマリアに返還される事はなくなった。……という事はそれに連なって、ロマリアが──ロマリアの教皇、ヴィットーリオが表立って動ける理由が無くなった。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE 平賀 才人

学院を卒業した俺は、アルビオンのサウスゴータで太守としてあっちへ飛んでこっちへ飛んでの、わりと高密度なスケジュールの生活をしていた。……然りとてそれで忙殺されていると云うと、そうでも無かったりする。時間自体は“腑罪証明(アリバイブロック)”である程度は取れているからだ。

……やはりと云うべきか、御老体だったジェームズ陛下が崩御し、その後をウェールズが継いだ。……ジェームズ陛下は遺言として俺の身分を以下の様に遺して逝った。

――[サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガを、我が不貞の末の息子として認める。然し、王位はウェールズに継承させるものとする]

……こうして俺はちょっとした王位継承権を持ち合わせてしまった。……まぁ云うまでもないが、王位なんか継承する気はさらさら無く、俺を持ち上げようとする物好きもそうそう居ないが…。

「……鬱陶しいなロマリア…」

「まぁまぁ、そうは言ってもどうしょうもないし。6000年前の戦争の事を未だに引きずってるにそんな事を言っても仕方ないよ」

「そうだね。あの生臭坊主共が愚痴を言うだけでどうにかなるなら、今頃サウスゴータの太守はモード様のままだろうね」

「………不毛」

ロマリアからの献金を募る書簡が山の様に届いていて、俺の心底鬱陶しそうな呟きに秘書をしてくれているユーノとマチルダさんに、アリスが各々に──アリスの言葉は少なすぎる気がしないでもないが返してくれる。……単純な俺はそれだけでも幾らか溜飲は下がるものだ。……その程度にはロマリアからの書簡でフラストレーションが溜まっていた。

「……潰そうか、ロマリア」

「どうやってだい?」

「それは──」

<ロマリア? ロマリアって確か、あのいけ好かねぇフォルサテの興した国だったか? だったら潰しちまえ! このデルフリンガー様が許可してやらぁ!>

マチルダさんにロマリア壊滅計画の草案を出そうとした時、いつの間にやら〝倉庫〟から出ていたデルフリンガーに首を突っ込まれた。……デルフリンガーもロマリアを──と云うよりはブリミルの弟子(フォルサテ)を嫌っている事がありありと感じ取れる。

「デルフリンガー、静かに。でロマリア壊滅計画の草案なんだけど──」

3人にたった今遊び半分で考えたロマリア壊滅の草案を教えた──

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「……さすがに〝ここまで〟上手くいくと色々と恐いんだが…」

〝トリステイン・アルビオン・ガリア・ゲルマニア連合〟によるロマリア侵攻作戦に関する書簡に目を通しながら誰に聞かせるでもなく呟いた。呟いた通り遊び半分で考えた作戦が〝こう〟も巧くいくとは思わなかった。

……俺がユーノ、マチルダさん、アリスに提示した作戦はそんなに難しくない。……要は、ロマリアと極一部を除くハルケギニアの──エルフや翼人を含む人々に〝ブリミル教の興った国〟と…ついでとばかりに〝他種族間との隔意や敵意〟を〝忘れて〟貰っただけだ。

……そして、俺の所為でハルケギニアの大概の人々は〝ブリミル教の興った国〟を忘れてしまった。……そこで最大のアドバンテージを失ってしまったのにも気付かず、いつも通りに他国への献金を募ろうとしたらどうなるだろうか? いきなり〝よく知らない奴ら(ロマリア)〟から金をせびられたらどうなるだろうか? そんな簡単な事なんて逡巡するまでもなく、その〝他国〟は十中八九〝よく知らない奴ら(ロマリア)〟からの献金の話を断る──否、断った。

断られたロマリアは〝(ブリミル)〟を楯に、再度〝他国〟へと献金を募った。……しかしその〝他国〟は〝ブリミル教の興った国〟なんて知らないのでロマリア──〝よく知らない奴ら(ロマリア)〟からの献金の話を突っぱねる。……ロマリアの中では献金を払わない=〝異端〟なのだろう、ロマリアは次の一手として〝見せしめ〟なのか、あるガリアの貴族を処刑した。

……後はオルレアン公爵夫人を治療した際に幾度か密通していたジョゼフに、〝ロマリアとか云う国鬱陶しくない? ……ヤ ら な い か ……ヤるなら会談でもしようZE☆彡(意訳)〟といった感じの文面でトリステイン・アルビオン・ゲルマニアに回状を回して貰いその各国の頭を集めて貰った。……その結果がトリステイン・アルビオン・ガリア・ゲルマニア連合である。……どこの国も、〝よく知らない奴ら(ロマリア)〟からの金をせびられていた様で、目の上のたんこぶを排除したかった模様。

ちなみに〝忘れて〟貰うとき、さすがに精神力が足りなかったので足りない分は、長ったらしいルーンを省略したいのもあって“赤龍皇帝の双籠手(ブーステッド・ディバイディング・ツインギア)”の〝禁手(バランス・ブレイカー)で一気に倍加させた。

閑話休題。

「……宗教自体は否定しないんだがな…」

「……でもロマリアは否定するんだね。まぁ、ロマリアの自業自得だけど」

急遽設置された作戦参謀室。そこでの俺の呟きに同室していたユーノが返答する。……精神(こころ)の弱い人間には〝(よりどころ)〟は必要かもしれない。が、ロマリアは些かやり過ぎた。

「ハルケギニアに来て、ちょっと経過して余裕が出来た時に敢行した〝漂流ツアー〟で見たが、あの惨状で≪光の国≫とは、中々に笑わせて貰った」

「そこはまぁ、同意かな」

ユーノとそんな四方山話をしながら書類に目を通していく。……俺が見たのは貧富差がトリステインよりも著しかったが、それ以上に気になったのが〝これでもか〟と云わんばかりに腐敗しきっていた神官()達だった。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE OTHER

戦争とは大雑把に言ってしまえば、〝数〟と〝勢い〟。……世界観が、地球で云う中世ヨーロッパに近しいハルケギニア──爆撃機等が存在し得ない世界では、尚更その傾向は強い。

……いくら神官が〝(ブリミル)〟に祈ろうが、ロマリアにとっての〝英雄(デウス・エクス・マキナ)〟は現れるはずも無く、ロマリアの地は〝トリステイン・アルビオン・ガリア・ゲルマニア連合〟に瞬く間に呑み込まれた。……故にその日を以て、〝ロマリア皇国〟と云う国は(とこしえ)にハルケギニアの地図から、その名前を消した…。

SIDE END 
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