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バニーガール

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第二章


第二章

「私頑張ります」
「うん、頑張ってね」
 男、おそらくこの店の支配人は外見よりは遥かに丁寧で紳士的に真理奈に応えてきた。どうやらロリ趣味はあるがそれでもまともな人間であるようだ。
「それじゃあすぐに服に着替えてもらうよ」
「服ですか」
「そうよ。私も一緒よ」
 和歌子はくすりと微笑んで真理奈に言ってきた。
「だから安心してね」
「安心って」
「ええと、君」
 支配人が真理奈に尋ねてきた。
「はい?」
「名前は何ていったかな」
 実はまだそれを言っていなかった。それで問われたのであった。
「よかったら教えてくれないかな」
「高橋です」
 まずは姓を名乗った。
「高橋真理奈です」
「そう、真理奈ちゃんだね」
 支配人は真理奈の名前を聞いてにこりと笑った。それからまた述べてきた。
「宜しくね。あとね」
「何でしょうか」
「お客さんが変なことをしてきたり言ってきたらすぐに僕に言ってきて」
 何故かここでは真剣な顔になるのであった。
「いいね。変なことは絶対にさせないから」
「はあ」
「支配人さんはいい人だから」
 そうして横から和歌子が言ってきた。
「それは安心していいわ」
「変なことって」
「それは後で話すわ」
 今はあえて言わない和歌子であった。
「それじゃあ行きましょう。着替えにね」
「ええ」
 何が何かわからないまま和歌子の言葉に頷くのであった。
「わかったわ。それじゃあ」
「すぐに仕事にかかってね」
 二人に支配人が声をかけてきた。
「真理奈ちゃんは研修扱いだからね、今日は」
「わかったわ」
 それに和歌子が答える。こうして二人はまずはロッカールームでこの店の服に着替えるのであった。そして着替えてびっくり、真理奈はその服を見て顔を真っ赤にして和歌子に対して抗議するのであった。
「ちょっと、これって」
「何?」
「何?じゃないわよ」
 そう和歌子に対して言う。
「これがこのお店の制服なのよ」
「これの何処が制服なのよ」
 真理奈は口を尖らせて和歌子に抗議した。
「これが制服だったらブルマーも制服になるじゃない」
「また随分マニアックね」
 和歌子は今の真理奈のブルマーという言葉に突っ込みを入れる。今頃ブルマーの学校もまずない。当然真理奈達の学校も半ズボンである。
「とにかくね、何なのよこれ」
 真理奈はまだ抗議していた。
「バニーガールなんて聞いてないわよ」
「聞いてないのはあんたが悪いのよ」
 和歌子はしれっとして言い返す。見れば二人は黒いバニーガールの格好をしている。頭には兎の耳をつけて網タイツにハイヒールである。見るからに、といった格好である。特に真理奈のスタイルはかなり肉感的でありスタイルがかわり際立っていた。高校生には見えない。
「そうでしょ?」
「そういう理由だったのね」
 真理奈はここまで聞いてようやく話を理解したのであった。
「それでバイト料が高かったの」
「そういうこと。お金を稼ぐのは楽じゃないのよ」
 和歌子はシビアな言葉を出してきた。
「これでわかったわね」
「わかったわよ」
 今更だがそれを理解したのであった。
「けれど。お給料はいいのよね」
「それは安心して」
 和歌子はそれは保障するのであった。
「伊達にこんな格好するわけじゃないんだからね」
「そうなの。けれど」
 しかし彼女はここで一つ疑問があった。それもかなりのものであった。
「変なことされないわよね」
「それは安心して」
 和歌子はそれについては太鼓判を押してきた。
「お客さんが変なことしてきたらね」
「ええ」
「ハイヒールで蹴ろうがひっぱたこうがいいのよ」
「いいの」
「ここは風俗店じゃないんだから」
 だったら何だとも思ったがここは静かに和歌子の話を聞くのであった。しかしそれでも真理奈の不安は消え去らないのであった。
「お店の人は大丈夫よね」
「支配人さん真面目だから」
 それも安心させるのであった。
「それは安心していいわよ」
「そうなんだ」
「あれであの人女の子には優しいし」
「あっ、それはわかるわ」
 これは面接でわかった。一見するとスケベそうであるがそれはわかるのであった。
「紳士みたいね」
「少なくともお店の女の子に変なことはしないし変なことする人は許さないから」
「そうなの」
「それにこのお店暴力団お断りだし」
 そこも安心させるのであった。どうやら本当に真面目な店らしい。
「お店もただお客さんにコーヒーとか出すだけなのよ。言うなら」
「メイド喫茶みたいなもの?」
「そうね、同じだと考えていいわ」
 和歌子はそれも保障するのであった。
「だから本当に変なことはされないしするって流れもないから。それも安心して」
「わかったわ。それもね」
「じゃあ安心してお金を稼ぎなさい」
 ぽん、と真理奈の背を押して言ってきた。
「彼氏と猫の遊園地で楽しむ為にね」
「了解。それじゃあね」
「うん」
 にこりと笑って和歌子に頷いた。そうしてお店でお客さんの相手をするのであった。
 
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