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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第百九十一話 ウルトラクイズ?

 
前書き
お待たせしました。書籍化中の息抜きに書きましたが、今回はネタだらけの回ですので戦闘シーンが希薄ですしテレーゼも出ませんし金髪も出ません。

今年最後の更新と成ります。皆様、今年一年お騒がせ致しました。来年も良い年でありますように。

 

 
宇宙暦795年 帝国暦486年 2月4日

■イゼルローン要塞

イゼルローン要塞進入に成功した同盟軍陸戦部隊は次ぎ次ぎに要塞内部へと進撃を開始した。進撃に関しては亡命者より手に入れた見取り図を持って決められたのであるが、古い情報だったのか地図にない通路ばかりが続き、見取り図と違う状態で迷いそうになり偵察隊による索敵をはじめたのであるが、思わぬ事でそれが解消した。

なんと壁にイゼルローン要塞見取り図が掲げてあり、親切にも現在位置までで記されていたのである。これには同盟兵も苦笑いをはじめる。
「あはは、帝国さんは親切なもんだぜ」
「ノイエ・サンスーシとやらのサロンで酒と女にうつつをぬかして居る貴族のボンボンじゃ自分の居る位置も判らないんだろうな」
「そのお陰で楽に要塞司令部や核融合炉へ行けるんだから貴族様々だな」

その地図自体が地獄の入り口への地図だと気が付かずに軽口を叩きつつも周囲を警戒しながら進む同盟兵しかし30分もするとおかしな事に気づきはじめた。なんと通路の彼方此方に休憩所があり其処にはセルフドリンクバーが設置されていたのであるが、軍事基地にも関わらず其処にある飲料には酒類があり、しかもその酒は同盟兵にとっては目の玉が飛び出るほどの高級酒が山盛りに常備されたうえ、つまみに至ってはキャビアやフォアグラなどの超高級缶詰が山盛りに置かれている。そんな嬉しい物を目聡く見つけた古参兵は直ぐさまくすねて雑嚢へしまい込む。さらに本来であればそれを咎め無ければ成らない士官達も競って酒やつまみを雑嚢に入れ従卒に「割らぬよう、つまみ食いしない様」にと念を押し漁り着服していく。この様な態度でも近年おける同盟兵士の質の低下が如実に表れていた。

その様なご褒美が終わると今度は、全体が鍵盤模様な廊下が現れた。なんの気なしに歩く兵たちだが、一歩足を踏み込んだ瞬間に音が鳴り響く、咄嗟に警戒しはじめる同盟兵であったが、何も起こらないので再度歩き始めるが、まるで馬鹿にしているかのように廊下全体が一歩一歩歩くごとにドレミを奏でる状態になる。次第に馬鹿らしくなりズンズン歩いていくことで、廊下の反響が良いのかまるで大演奏会と成ってしまう。しかも流れる曲はGIO480の新曲という番宣なのかと疑う始末であるが、全く実害が無いのでついつい歌を口ずさみながら歩くことになり後々までフレーズが頭から消えなくなり困ることと成った。

他の隊では、いきなり廊下に穴が空き、兵達が落下して行くが底には汚泥がタップリ仕込んであるだけで怪我を負わなかった為、直ぐさま引っ張り上げられたが、匂いが酷くゴーグルを上げれば気分が悪くなるために、食事をしようにも気持ち悪くなり吐く者が続出した。

他の隊では、同じ様に廊下に穴が空いたが、僅か30センチほどの穴しか空いていないで足を引っかけてすっころぶだけで実質的な損害がないがイライラさせられる一方である。

又ある部隊では、歩くたびに天井から金盥が落ちてくる。更に天井が落下してきて潰されるが、ベニア板と発砲スチロールの構造材で作られていたため怪我人も出ず被害は無かった。

他の隊では階段の上から巨大な玉が転がって来て、すっ飛ばされたうえで壁を突き破る。その先には粘着材でベタベタにされ上からボロ布が落ちてきて蓑虫状態になる。玉も壁も発砲スチロール製なので大した怪我も負わないが、苛つくことこの上ない。

有る部隊では、いきなり部屋の入り口が閉まり大量の水が進入してきて水攻めかと慌てるが肩より下で止まる。

有る部隊は、何故か通路に跳び箱や梯子などの障害物がありそれを越えると上から網が降ってくるが簡単に抜けられるが、何故か最後に粉の中に入った飴玉があるという運動会の障害物競争な様な状態もある。

そんな中、ジャワフ中佐が率いる黒豹大隊が進入した場所は陸上競技場であった。
部隊は早速、反対側の出口へ向かうが扉が完全に閉められている。何とか開けようとするが、どうしても開けられない。爆薬やトーチを使って焼き切ろうとするが全く手が出ない。仕方なく入って来た入り口から出て別のルートを探そうとしたが、入り口自体が固く閉じられてしまい、開けようとするが全く開かない状態になった。

「閉じ込められたぞ」
「何とかして出口を破壊してでも脱出せよ」
兵達が大騒ぎする中、突然立体映像でモーニングを着た男性が映し出された。
「みんな!オーディンへ行きたいかーっ!!」「どんなことをしても、オーディンへ行きたいか!!」「罰ゲームは怖くないかーっ!!」
いきなり大声でその男性が叫ぶが、兵達にしてみれば何が何やら判らない状態で有る。
「知力体力時の運、第一回帝国横断ウルトラクイズ、司会は私、帝国テレビアナウンサー、アングリフ・エヴァンジェリンがお送りします」

「なんだ?」
「何が起こった?」
「栄えある第1問は○×クイズだ!さてお集まりの方々、地面に書かれた○×に走って分かれて貰おう。それででは第1問」
そう言われて地面を見ると大きく○と×が書かれていた。
「銀河帝国皇帝フリードリヒ四世陛下は第三六代目皇帝である。○か×か?」
チャンランランランララララジャララ♪ピー!
BGMが流れるが兵達は何が何やらと動かないで壁を壊そうと躍起に成って居る。
「全員、失格!罰ゲームとしてこの空間にゼッフル粒子が充填されるぞ。此で此処は火気厳禁だ!その上この外壁は戦艦同等の装甲板だから破ることも不可能だ!」
「ゼッフル粒子だと!」
「どうする?」
「俺達はどうなるんだ!」
兵達が騒ぎはじめる。

「ジャワフ大隊長殿、如何為さいますか?」
部下からお伺いを受けるジャワフも困惑気味である。
「本当にゼッフル粒子が充填されはじめているのか?」
まず此から聞かねばとジャワフは副官に問いかける。
直ぐさま副官が工兵に命じて調べさせる。
「閣下、敵の言う通り、ゼッフル粒子濃度が少しずつ上昇しています」
それを聞いたジャワフは、黒い顔を赤く染めながら大声で将兵に命ずる。
「総員火器の仕様は厳禁だ。ゼッフル粒子を引火させては成らない。大丈夫だ必ず我々は突破可能だ、我ら黒豹隊の誇りに懸よ!」

ジャワフとしても精一杯の態度で有ったが内心では“不味い事になった、こう言う事はローゼンリッターの仕事だったのにあの裏切り者共め”と毒付いていたが今の状態ではどうすることも出来ずに空元気で落ち着いた振りをするしか無かった。
「トマフォークで装甲の弱い所を探し撃破せよ」
結局はそれしか無いと兵達も必死にトマフォークを敵にではなく壁に振るうが壁は全くびくともせずに、兵の心と体に疲労だけが溜まっていく。

三時間程経った頃、再度立体映像で司会者が現れる。
「さあ、そろそろ疲れた頃だろうから、特別に諸君らには、救いの手を与えよう。所謂敗者復活戦だ!」
その言葉に、疲れ果てて精神的にもやばい状態の兵達が顔を上げる。
「さて、敗者復活戦はバラマキクイズだ、此からクイズメモリーを封筒に入ればらまくので、それを拾い出口にある回答台へ立ってステックをスリットに入れてくれ。そうすればクイズが出題されるので、それに答えて正解した者だけが外へ出られるぞ!さあさあはじまるぞ!」
そう言うアナウンスと共に上空からクイズの書かれた封筒がばらまかれる。
此処に於いて同盟軍の軍規も完全に消え去り、千名の兵達が封筒を拾おうと走り出した。

拾った兵達が回答台へ次ぎ次ぎに到着し答えようとするが、"ハズレの文字が出て再度取りに走る羽目になる。更に問題が出ても脳筋な陸戦兵では答えがわからずに唸りまくる。不正解が続出し戦争に来たのかクイズに来たのか判らない状態になっていた。結局延々と続いたクイズのためにへとへとに成りアッサリ捕獲されたのである。

また、居住区と思われる所へ入った面々は粘着材により足が固まり動けなくなる。(ごきぶりホイホイ)

或いは何故か有る大きなプールに掛かる一本橋を通過中に周りからバレーボールが打ち出されバランスを崩して落下するとその水が急に固まり動けなくなる。(固めるテンプル)

その他、鳥もちで固められて動けなくなる。ツルツル滑る廊下で油まみれで滑りまくる。回転する床で方向が判らなくなる。全体がガラス張りの部屋で何処が出口だか判らなくなる。

極めつけは部屋に入った途端真っ暗になり閉じ込められ。直ぐさまライトで付近を探ろうとするがそれより早く壁一面に映像が流れる。流れた映像は同盟では滅多にお目にかかれないフェザーン直輸入無修正AVがいきなり大音響で流されはじめる。

そんな馬鹿にした行為に頭とあそこに血が上った捕獲された以外の同盟兵が進撃するなか、それぞれの入り口から躍り出た兵達は、それぞれ違う通路を進んだはずであったが、何故か全てが同じ場所へ躍り出た。其処は目指していた司令室でも核融合炉でも貴賓室でもなく薄暗い場所であった。すると突然全体に眩しい光が放たれ目を幻惑させられた。そして光に目が慣れると、そこは大規模練兵場らしき場所であった。その後、兵達は互いの姿を見て仰天した表情と成った。何故なら殆どの兵達が薄汚れたり蓑虫の様に成ったり、粉まみれなどの酷い状態だったのである。

そうしておいて、遂に満を持した帝国側の反撃が開始された。
混乱し騒がしくなる中、突然大声でマイクパフォーマンスがはじまった。皆が音の方に注意を向ける。
するとステージ状の場所にスポットライトが当たると、其処にはオフレッサー装甲擲弾兵総監が特注のトマフォークを肩に担いだ状態で大笑いしていたのである。
「グハハハハ、叛乱軍は儂らを笑い殺す新兵器を開発したらしいな」
大声で笑うオフレッサーの姿を見て同盟兵がたじろぐ。
「ミンチメーカー・・・・・・」
嫌っているはずの言葉にもニヤリと笑うでだけのオフレッサーが野太い声で宣言する。
「卿らの為に装甲擲弾兵五十万を集めたのだからな」
その宣言と共に四方八方から装甲擲弾兵が各々の武器を携えて現れ同盟軍を包囲していく。
その圧倒的な威圧感に同盟兵達の士気はどん底に成って行った。
そしてオフレッサーの声が響いた。
「さあ素敵なパーティー始めるぞ!」
帝国兵にとってはパーティーが同盟兵にとっては地獄の祭典が始まった。
 
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