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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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それから・これから

<グランバニア>

「そう言えば父さん…」
早速ポピーのルーラで各国に特使として行こうとしていたティミーが、大事な事に気が付き父に話しかける。
「新しい国は何という名前なのですか?名前も分からないのに各国へ支援要請は出来ませんよ」
未来の事ばかりを考えていたリュカに国家名の事などは意識にあらず、今更ながらプサンと顔を見合わせて考え込む。

「プサン…お前の国なのだから、そっちで考えろよ!」
「無理矢理建国させといてそれはないでしょう!リュカのセンスを披露してくださいよ!」
本人も言っているが無理矢理決まった事なのでプサンに思い付くはずもなく、複数いる子供の名前を一度も決めた事のないリュカにもアイデアは出てくる事もなく、心底困りながら腕を組んで考えるリュカとプサン。

「あの…私…この世界に故郷が欲しいので『アリアハン』って言うのはダメですか?」
元居た世界に別れを告げた少女アルルが、最も思い入れのある国名を自身の故郷の代用として提案する。
本来であれば国名を決めるということは重要な事であり、建国者の思い入れやその国に纏わる意味のある言葉を登用するのだろうが、今回に限っては状況が違う。

「いいんじゃないですかソレで…」
「プサンがいいって言うのならソレでいこう!」
一人の少女のセンチメンタルから、神が統治する王国が生まれた。

グランバニアの西・ラインハットの南西・テルパドールの北のセントベレス山の麓に、新たなる国家『アリアハン』が誕生する。
今はまだ、国民も少なく知名度などある訳もない国…
だが、神属である天空人が統治する王国は、何れ他の国々から無視出来ない存在になるであろう。


ポピーのルーラで飛び去るティミー等を見つめ、プサンも天空城へ慌てて帰り移動の準備を整える。
発端となった男…リュカもまた、新たなる国との国交を行うべく家臣等に指示を出し慌ただしく国務を遂行し始めた…
久々の甘い一時を期待した愛人達の溜息に気付かぬフリをして。









新国家が誕生して2年が経過した…
グランバニアもリュカ国王が復帰して2年、今まで公式の場に姿を現さなかった王子がリュカ国王の紹介の下、人々の前に姿を現し政務をこなし始めたのも2年経つ。

義務教育の為同じ学校に通い、学友として接してきた者…
一時期だが兵士として共に同じ釜のメシを食った間柄の者などには、正に寝耳に水のビッグニュースであった事だろう。
軍も含め国家上層部の一握りの者しか知らなかった事実なのだから。

さて、そんな中…
学友として共に学校を卒業し、城の兵士になった1人の貴族の息子が、日々脅えながらティミーに接してくる。
ドゥラーク侯爵家の嫡男、マークスという男だ。

ティミー殿下の直属の部下となった『王太子専属親衛隊』の隊長ラングストンが、隊員として強引に抜擢した人材の一人なのだ。
学生時代は自分が貴族である事を鼻にかけ、平民(仮の姿)のティミーに対し見下した態度で接していた彼は、自分より地位の高い人間である事を今更ながら知ってしまい、何時仕返しをされるのかと日夜脅えて生きているらしい。

きっとラングストンは、その情報を入手したからこそ隊員に抜擢したのだろう…
常に脅えられながら接されるティミーにはいい迷惑だ。
彼自身は学生時代の事を気にした事など皆無なのに…

そのティミーは、王太子として重要な政務を担っており、国王に任せるとトラブルしか起きない外交問題…特に他国へ赴く外交折衝をメインに行っている。
そこには婚約者であるアルルも常に同伴し、近い将来王太子妃として活躍してもらうよう勉強させている。

異世界ではあるが、生まれた世界の平和を取り戻し、愛した男の新たなる世界へやって来た事を契機に、剣を捨て女性としての生き方を真っ当しようと心に決めたアルル…
現在はかなりの淑女へと変化を遂げた。

従って『王太子専属親衛隊』には女性隊員も多数存在する。
ティミーの側で彼を警護するのが一番の任務の為、王太子が外遊する際は王太子専属親衛隊も一緒に同行する。
そして次期王太子妃アルルの警護も王太子専属親衛隊の任務なのだ。

どちらも人並み以上に強いのだが、万が一を考え側を離れない隊員。
剣を捨てた事により多少だが弱体化したアルルには、なくてはならない人材だ。
王族という存在は、世界中のテロリズムの標的になる存在であり、2年間で襲われた事が多々ある事実はオジロン達を恐怖させる。
その為、王太子専属親衛隊の副隊長は女性で、しかも剣術の腕前が達人クラスの者を登用している。

彼女の名はリュリュ。
一時期はグランバニアの代理女王を行った事もある人物なのだが、有事の際には少しでも協力出来るようにと、国政の勉強を兼ねたこの職務に自ら就いた。

言うまでもない事なのだが、父親に内面は似ず真面目な彼女は、隊にはなくてはならない存在だ!
隊長がアレで、しかもアレなので…副隊長が不在になるとカオスになる。
しかも問題なのは、ラングストンがリュリュに惚れてしまっているのだ…
側にいると常に話しかけ、自分の男らしさをアピールする…
近くにいないと仕事そっちのけで彼女を捜し周り、王太子専属親衛隊としての職務を行わないのだ。

『お前もう帰れ!』
これはティミー殿下がラングストン隊長によく言う台詞の一つだ。
『あ゙~…ババ引いた。誰に何と言われてもラダトームに残れば良かった…』
これはアルルに零す最も多い愚痴の一つ。

王太子殿下に幸あれ!



 
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