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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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責任問題

<グランバニア>

「………なるほど、大まかには現状を把握出来た」
ポピーを始め、リュリュ・オジロン等の説明を受け、グランバニアの現状を知ったリュカ。
「ま、まぁ…そう言う訳で、概ね平和を維持してきましたよ。よかったですね~…で、では私はこの辺で「待てヒゲメガネ!」
事実、大きな問題は起きてはおらず、王位の引き継ぎに問題は無いのだが、そそくさと帰ろうとするプサン(マスタードラゴン)を引き止め、玉座に座る自分の前に来させるリュカ。
神様の方が脅えているのは滑稽だ。

「お前…何しれっと帰ろうとしてんの?」
「な、何がですか!?も、もう私は必要ないでしょう!貴国の問題も解決したのですから…」
リュカとは目を合わせようとせず、モジモジしながら帰りたそうに俯くプサンを、初めて見る者は神だとは思わないだろう。

「お前ねぇ…僕を拉致った事への償いはどうすんの?」
「そ、それは償ったではないですか!?蒸気機関に代わる新たな動力源の技術提供をする事によって!…ポ、ポピーさん…貴女からも言ってくださいよ。私は役目を果たしたって!」
側にいたポピーに縋り付き助けを乞うプサンの姿は、既に神の域を外れている。

「…はぁ………分かったわよ。そう言う約束だったしね………あのねお父さん、今回「ダメだよ。あんな技術を提供されても意味がない!」
誰もが嫌がらせの延長線でプサンに償いを求めていると思っていたのだが、ポピーの言葉を遮り技術の無意味さを説こうとするリュカに、一同驚いている。

「むしろ余計な事をしてくれたんだよプサン!」
「ど、どういう意味です?」
「いいかい…代理として任されたリュリュやポピーは、必死で現状維持を試みるから天空人の技術提供を強く要望するのは当然だ。でもね…僕のプランでは、末端への輸送手段は講じるつもりは無かったんだよ!」
リュリュ・ポピーを含め、首脳陣に驚愕の表情が現れる。

「で、でもお父さん…各所で配送待ちの荷物が溢れて、結構な被害が発生してたんですよ!?特に食料品は直ぐに腐敗してしまうので、国家レベルの問題でした!」
最も事態解決に乗り出していたリュリュが、泣きそうな表情で今回の措置に対する言い訳を行っている。

「うん、そうだね。問題は解決しないといけないよね。でもね、それに神様の力を借りてはダメなんだよ。…つかプサンも断れよ!使い方次第で危険な技術の提供に反対しろよ!セーフティーを付けたからって安心出来る代物じゃねーんだぞ!」
前半は可愛い娘に対して優しく…後半は何も解っていない神に対して厳しく言い放つリュカ…
ちょっとプサンに対してはご立腹。

「じゃぁお父さんはどうするつもりだったの?私も色々考えたけど、他に解決方法が思い当たらなかったのよ!」
詰め腹を切らせる為、プサンを巻き込んだポピーが困惑しながら父へ解決手段を尋ねてみる。

「末端への移動手段を考えるのではなく、その場での保存手段を考えれば良かったんだよ。確かに民は少しでも早い流通手段を求めてくるだろうけど、全てを王国家で行う必要はないんだ」
「ど、どういう事ですか?リュカは国民が求める事を無視するつもりだったんですか?」
プサンもリュカの考えが気になり、やっと目を合わせて会話をしてくれた。

「これだから『神』とか呼ばれている連中は馬鹿なんだよ!」
「ぐっ…」
「国という物を造るのには、リーダとなる国王と、その下で働く国民との連携が必要不可欠なんだ。つまり、国王だけが頑張って国造りを行っても、国民にその意思が芽生えなければ、何れ国は崩壊する…だから、ある程度の道は築いても、その先は国民に任せる事も必要なんだ」
つまりリュカは、末端への輸送手段は国営事業ではなく、民営事業として展開させる予定だったのだ。

「全てを国営化したって国は衰退して行く…半分以上を民営化する事で、国民同士が切磋琢磨して成長して行くんだ。国家はそのサポートを行うだけで、全てを我が物にしてはいけない。…何でソレが解んねーんだこの馬鹿神(プサン)は!?」
「し、しかし…ポピーさんに頼まれて…その…」
「ふざけるなよ…俺の(ポピー)に罪を被せるのか!?お前が神として、人間の事を深く理解していれば今回の件は防げたんだろうが!お前は人間の事を知らなすぎる…人間を知らず、身勝手な振る舞いをするのが神というのならば、お前は正に神様だ!」

「うっ…も、申し訳ありません…で、では今回の技術は返却という事でよろ「このバ~カ!出来る訳ねーだろ、そんな事!」
城内にリュカの怒号が響き渡る。
「人間って言うのは、一度でも便利な事に馴染んでしまうと、過去の不便には戻る事が出来ないんだよ!もう国内で出回っているんだろ!?」

「はい…大至急で配備しましたから…」
問われて即座に答えたのはオジロン。
普段はリュカに説教している立場なのだが、彼の怒りは恐ろしく直立不動で即答する。
「だったら回収できるわけねーだろが!そんなことしたら暴動が起きかねないぞ!解ってて言ってるのか馬鹿(ヒゲメガネ)!」

「で、では…どうすれば…」
「今更技術は返せない…だから未来において戦争利用などを防止するよう、今の内から子供達に教育して行かねばなるまい………義務教育がこういう風に役立つとはねぇ…流石は日本だ!」
腕を組み頭の中で未来図を作成するリュカ…殆ど無意識の独り言のつもりだ。

「日本…?それは何ですかリュカ?」
「ん!…あぁ、お前は気にするな!それよりも、今回の賠償を払ってもらうぞ!」
「え!?技術を提供した上に賠償を迫るんですか?」
「当たり前だ馬鹿!余計な事をしたんだから、それが賠償になる訳ねーだろ!」
納得はしていないが自身に責任がある以上、賠償内容を確認しなければならないマスタードラゴン。

「わ、私はどうすれば…」
「うん。お前……新たに国を造って国王になれ!」

「……………はぁ!?」



 
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