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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第四十七話




 俺の正体が皆にバレてから十日後、遂に1ヶ月の期限が切れて、劉協陛下は皇帝の座から退位して漢王朝は滅亡した。

 漢王朝の滅亡と同時に動いた諸侯がいた。

 冀州の袁紹だ。

 袁紹は反董卓・袁術連合軍が崩壊後に直ぐに冀州へ帰還して軍事力の増強と訓練をしていた。

 そのために、期限が切れた同時に動いたというわけだ。

 間者からの報告では冀州の治安はかなり悪いらしい。

 報告によると、かなり強引な徴兵をしているみたいだ。

 そして、袁紹が最初に取ろうとした場所は………。

「幽州か………」

 俺は作戦室で間者からの報告を、聞きながら顔をしかめた。(作戦室には美羽達、全員がいた)

 幽州は公孫賛がいたけど戦死はしてないだろうな?

「それで公孫賛はどう動いたんだ?」

「は、公孫賛も袁紹軍の襲来を予め予想していたみたいで、国境付近に罠を仕掛けてたりして奮戦していました」

 俺らがシ水関で使用した落とし穴とか作っていたみたいだな。

「ですが、袁紹軍の兵力は約二十万。対する公孫賛軍は約五万。多勢に無勢で、それから二日後に戦線は崩壊して公孫賛軍は壊滅しました。公孫賛は行方不明です」

「………そうか」

 多分、劉備がいる徐州へ逃げたな。

「分かった、報告御苦労だった」

「は」

 間者は消えた。

「賈駆、袁紹軍は次は何処を狙うと思う?」

 俺は賈駆に聞く。

「……次は南下して青州とエン州を狙うか、并州を狙うか……ね」

 賈駆は地図に指を指しながら言う。

「………いや、多分エン州だろうな」

「何でよ?」

「エン州には曹操がいる。徐州の劉備は其れほど目立った功績は無いから親友の曹操を倒しにいくだろ。連合の時も二人は言い争っていたと報告があるからな。劉備を攻める間に逆に曹操が冀州を取る可能性があると袁紹は踏むはずたろ」

「………成る程ね」

 賈駆が頷く。

「それで美羽はどうする?」

 俺は美羽に聞く。

「………大砲の数と砲弾の数はどれ程なのじゃ?」

「えっと……四斤山砲は十二門で、砲弾は二百四十発だが……」

「軍の準備は?」

「何時でも行けるぞ」

 今の袁術軍の数は十六万だ。

「………皆、我等はこれよりこの場所を攻める」

 美羽はある場所を指差した。

「………マジか美羽?」

「本気ですか御嬢様?」

 流石に七乃も驚いていた。

「妾は本気じゃぞ七乃。………そろそろ決着を決めるべきじゃろうな。曹操と袁紹が争っている間に我が袁術軍は此処を取って前線基地とする」

「ですけど御嬢様。此処を取れば、劉備が出て来ませんか?」

 七乃が言う。

「いや、劉備への備えとして恋と霞を守将にして守ればいいだろう。恋がいれば、劉備達はむやみに突撃はしてこないはずだ」

 俺は七乃に言う。

「妾達が此処へ出撃する際の南陽の防衛は零、沙和、詠に任せるのじゃ」

「分かりました美羽様」

「任せてなの」

「ま、守るだけなら三人でも持つわね」

 三人は了承する。

「それじゃぁ、我が袁術軍が動くのは袁紹と曹操が争った時じゃ」

『オオォォォッ!!』

 俺達は頷いた。





 それから三日が経った。

 南陽に一人の将が来た。

「何? 浮浪者が俺に会いたいと?」

 兵士からの報告に俺は首を傾げた。

 浮浪者に知り合いなんかいたか?

「如何なさいますか? 追い返しますか?」

「………いや、会おう。連れて来てくれ」

「分かりました」

 五分後に浮浪者が来た。

「王双、私が分かるか?」

 浮浪者は女性で、薄めの赤色の髪でポニーテールをしていた………って。

「………公孫賛か?」

「そうだ。こんな姿だけど公孫賛だよ」

「お前、行方不明じゃなかったか?てっきり劉備の徐州へ行ったと思っていたけど………」

「桃香のところは私の配下の敗存兵が行っているよ。私は行かなかった。天の御遣いは私的に何か無理だった。それで王双の時へ来たんだ。鎧も剣も全て売って、浮浪者に成り済ましてな」

「………そうか、取り敢えず身体を綺麗にしてこい。誰かと入ってきたらいい。それから美羽のところへ行こう」

「済まないな王双」

 公孫賛が俺に謝る。

「別に気にしていない」

「主、私と模擬戦でも……白蓮殿?」

 部屋に星が入ってきた。

「お、星。丁度良いときに来た。公孫賛と風呂に入ってやってくれ」

「仕方ありませんな。白蓮殿、案内致します」

「済まない星」

 公孫賛は星に連れられて、浴場に向かった。

「………後で星と模擬戦でもしといたるか」




 後に、公孫賛は仲間になって、俺は公孫賛から真名である白蓮を預けられた。




 
 

 
後書き
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