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【東方×レース】 最速の果てに在る夢へ

作者:suryu-
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Act.1 ~プロローグ~ 帰郷

 
前書き
という訳で一話です。

…緊張しか無い… 

 
…え? 今に至る理由? …そうだね…そもそもあの日から始まったんだとは思うよ。いきなりい地元の方で新しい店舗を開くって聞いた時は驚いたかな…まぁ、そうじゃなければ再開なんてしなかったんだけどね。






PM22:19… 夏のとある日、一台の白い車が、青年の運転でとある場所へ向かう為に東北道を北上してゆく。というのも、彼の住み込みで働く職場の新しい店舗が出来るからだ。その車の走りは低速ながらに美しく、先へ先へと進む意思を持っているかの様な車だった。車種は SUBARU IMPREZA WRX STi GDB-C GTウィングにカーボンのボンネット。更にはエアロミラー…ホイールはワタナベの赤いGR-8を使っていた。そんな車内に携帯の音が鳴り響き、運転する青年はナビのボタンを押す。

『もしもし、調子はどうかしら。もうすぐで群馬でしょ?』

電話から聞こえた声は、その彼の上司というよりかは半ば家族の様な女性で、美しき才女の風格を持ち合わせる、か細くも強く端麗な声をしていた。その声を聞いた青年は思わず微笑んでしまった。

「勿論だよ、“先生„。俺もそろそろ着くよ…しかし、何で今回俺の地元の群馬に?」

『先生は辞めてってば…まぁ、ちょっと面白い物が見れそうだからよ。』

女性は答えると、『じゃあ、待ってるわよ。』と、だけ残して電話を切る。青年はその面白い物とやらを楽しみにしつつも、先ずは渋川ICで高速を降りて、街道を走る。久々に地元へ戻って来た為、余り変わらない風景に少し懐かしく思いつつもしっかりとハンドルを握り、目的地へ向かう為にアクセルを踏んだ。







待ち合わせの場所…其処はとある駅前だった。先程の電話の女性を見付けたので、その女性の前に車を止める。それを確認した女性は微笑むと車に乗り込んだ。その容姿は二十代半ば…銀色の髪色に白のコート…そして、赤と青を基調にコーディネートした大人の魅力をかもし出す女性であった。

「結構掛かったわね、光一君。」

「途中ちょっと三郷JCで渋滞に遭遇したからね…永琳さん。」

青年、雪元 光一は女性…矢意 永琳に苦笑いしつつ答えると、次の目的地をナビに入れる。ナビの音声案内は秋名山を越した先に有るという事を考えると、光一は少し楽しそうに微笑んだ。

「じゃあ…御詫びにこのエンジンの峠セッティングの初プラクティスにしますか。」

「そうね、それが良いわ。」

永琳もその答えを待っていたかの様に頷くと、光一は秋名山のふもとから一気にアクセルを踏み込んだ。


今想えば、この時に出逢ったのは運命の始まりだったのかもしれない。偶然というよりは必然としか言えなかった。これは全く違う場所で走っていた、二人の走り屋の物語。


推奨BGM 今作品小説版主題歌 SOUNDHOLIC様 ~ SPIRAL FLECTION ~


アクセルを踏み込むと、法廷速度の60kmしか出していなかった車が瞬発的な加速を始める。それと同時に車の纏う雰囲気が変わる。暖かな雰囲気から一変、走りを求める唯一匹の孤高な虎をも想わせるその走りは、たまたま峠に居た走り屋を震撼させる。その走りは車は機械…その概念を捨てた走りで、車と一体の走りをしていた。比喩的な表現…或いは大袈裟と言うかもしれないがそれは事実なのだ。峠をあっと言う間に上り詰め、その先へと延びていく走りに魅せられない者等居ないだろう。ふと、その時光一が目の前を走る一台の車に気づいた。その車は紅い三菱のLANCER EVOLUTION VI…通称ランエボだった。何となくその車の雰囲気が自分の知る物だった為、光一は隣に居る永琳に目配せをすると、『良いわよ』と、同じく目で訴え頷いたので、心置き無く飛ばす事にした。下りに入り光一は更にアクセルを踏み込む。タコメーターは一万回転を回ると、ギアを4速から5速へ、この時の速度はおよそ220km…峠では普通出さない速度なのだが、光一は慣れた様にその速度で駆け抜ける。眼前のランエボもそれを待っていたかの様に更に速度をあげるのだが、光一のインプレッサの方が速い。直ぐにその差は縮まるのだが此処は峠…最初のコーナーに辺り、ランエボがブレーキングでフロントに荷重を掛け、テールを流す。対し光一は、アクセルを抜いてハンドルを一瞬逆に切ると直ぐに切り返し、アクセルを踏み込む。フロントが流れタイヤがインを向くとテールを綺麗に流す。そしてギアに手を置くと片手でハンドルの切り返しを行う。そしてつぎのコーナーに入ると同時に、クラッチを使わずにギアを落とす。この特異な走り方を永琳は愉しそうに見詰めている。というのもこんな走りは並の人間には出来ない、それこそ多く走ってきた者だけが立てる地位の走りなのだが、光一の年齢でそれを出しているという事には驚きだ。ランエボはインプレッサが離れない事に驚きが見えつつも、安定をした走りを見せて先へと進んでいく。そして第一、第二とセクションを抜けると光一は永琳の方を一瞬見る。

「ちょっと、此処の地元ならではの走りをするよ。」

「ええ、良いわよ…見せてみて。」

永淋も光一を信頼しているのかそれだけ告げると気分を高揚させる。舞台は五連続ヘアピン…そのヘアピンを一つ、二つと抜け三つ目…ランエボがアウトに寄りブレーキングをすると同時に、インプレッサはインに入り加速する。ギアも上がり速度は150…その速度ではオーバースピードなのだが、それでも光一はその速度のまま減速せずにそのままコーナーのインへ車体を向ける。瞬間、ガコッと音がして車体が傾くと、その速度を維持したままそのヘアピンを抜けきり、華麗にそのランエボを置いて走り去った。

「えらくあっさりいったわね…それにしても、あんな方法を使うなんてね。」

「まぁ、地元だからこれ位は出来ないと…とりあえず、下りきるよ。」

「ええ…それじゃあ行きましょっか。」

二人はそれだけ会話すると光一は秋名の山を下り切り、減速するとその先へと走ってゆく。そんなインプレッサを少し離れた所で先程のランエボに乗った、女性のドライバーは不思議そうに見送った。

「一体…誰が乗ってたんだろう…」

それだけ呟くと、彼女も秋名の山を下った。



BGM out…



その数分後、目的の場所に着いたと同時に光一が思った事…それは…

「まさかこんなに大きいチューニングショップと家が建ってるなんて…」

思わず口に出てしまうのは仕方が無かった。隣に座る永淋は得意そうな表情をしているのを考えると、まあ永淋さんだからという事で納得させて、車を備え付けてあるガレージの一つに止める。どうしてこんなに大きい場所を取れたのかは、余り突っ込まない事にした。彼は永琳の元に住み込みで働いていて、その凄さは当の昔に分かっていた。今回もその永琳によって此方に来たのだから、深くは考えなかった。

色々と想う事が有りつつも光一が車から降りると、奥から一人…高校生の様な見た目で、淡い紫色をした髪の、“ウサ耳を着けた„女子が出てくる。その姿を見ると光一は微笑み、女子は顔を少し紅くさせて微笑み返した。

「お帰りなさい、光一さん!」

「えっと…ただいま…かな、鈴仙。」

「あら、青春ね♪」

永琳は微笑ましそうに少女を見る。少女の名前は鈴仙 優曇華院 因幡という少し変わった名前で、彼女もまた永琳の元で働く一人だった。そして光一には御察しの通り少し特別な感情が有るのだが、光一はそれには気付いていない。それが彼等の日常なのだ。

「さて…そろそろ、此処に来た目的を話さなきゃいけないわね…秋名のハチロクについてね。」

そう呟く永琳がこれから話す事が、これから始まる伝説になる物語…その果てに有る夢物語を追い求めてゆく事になるのは、未だ誰も知らない。そもそもの始まりは、あの日だった。 
 

 
後書き
…やはり、上手く描けてない気しか…次回をお楽しみに! 
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