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インフィニット・ストラトス大和の戦い

作者:sou×yuki
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22話

22
「織斑、篠ノ之、聞こえるか?」

 千冬さんは一夏と箒に通信をしていた。通信が入った一夏と箒は頷いて返事をする。

「今回の作戦の要は一撃必殺だ。短時間での決着を心がけろ」

『了解』

『織斑先生、私は状況に応じて一夏のサポートをすればよろしいですか?』

「そうだな。だが、無理はするな。お前はその専用機を使い始めてからの実戦経験は皆無だ。突然、何かしらの問題が出るとも限らない」

『分かりました。出来る範囲で支援します』

 箒の奴浮ついてるな、一夏と一緒に組んで戦える事と専用機で浮ついてやがる

「ねぇ。何かあの子、声が弾んでない?」

「ええ、そう聞こえましたわね」

「分からなくもないけど……」

「愚かな。アイツは一体何を浮かれている……」

「……ばか」

 当然、俺だけじゃなく鈴さんとセシリア、姉さんとラウラ、簪さんも気付いていた。

「織斑先生、ここは一夏に言っておいた方が良いのでは……?」

「そうだな。山田先生、織斑へのプライベート・チャネルを」

「はい」

 言うまでも無く千冬さんも気付いており、一夏に通信する為に山田先生に頼んだ。

「織斑」

『は、はい』

「安心しろ、これはプライベート・チャネルだ。篠ノ之には聞かれない」

『は、はぁ……』

 プライベート・チャネルだと分かった一夏は生返事をすると、千冬さんは厳しい顔をしながら言う。

「どうも篠ノ之は浮かれている専用機をもらって張り切って、何かを仕損じるやもしれん。いざと言うと時はサポートしてやれ」

『分かりました。ちゃんと意識しておきます』

「頼むぞ」

 そう言った千冬さんは次にオープンへと切り替えて、号令をかけた。

「では、はじめ!」

 その号令により作戦が開始された。

 そして一夏と箒は銀色の軍用IS、『銀の福音
(シルバリオ・ゴスペル)
』と接触して戦闘を開始する。

 最初は上手く善戦してるかと思いきや、俺が懸念してた事が現実となってしまい……作戦は失敗しただけでなく、一夏は箒を庇う為に身を挺して福音から放たれた光弾を受けて負傷してしまった。




「織斑先生、デュノアです」

『待機と言ったはずだ! 入室は認めない!』

 作戦室のドアにノックをした姉さんに、中にいる千冬さんがそう言った。

 そんな千冬さんの返答に、姉さんと一緒に入ろうとしていた鈴さんとセシリアが複雑そうに顔を見合わせる。

「教官の言うとおりにするべきだ」

「でも……先生だって一夏の事が心配な筈だよ。お姉さんなんだよ」

「ずっと目覚めていませんのに……」

「手当ての指示を出してから、一度も様子を見に行ってないなんて……」

 ラウラに異議があるように言う姉さんとセシリアと鈴さん。

 確かに鈴さんの言うとおり、一夏が負傷して搬送された時、千冬さんはすぐ救護班に一夏の手当てを指示してすぐに作戦室に戻った。負傷した一夏を大して見ず、作戦の足を引っ張ってしまった箒も見ず、ただ指示を出してすぐに背を向けて戻ったのだ。

「織斑先生が心配して見に行けば一夏が目を覚ますのか?」

「そ、そうは言って無いよ……」

「あたしたちはただ……」

 外を見ながら言う俺に、姉さんと鈴さんは反論するも途中から何も言い返せなくなると、次にセシリアが言ってくる。

「ですがヤマトさん、織斑先生は箒さんにも声をかけませんでしたわ。いくら作戦失敗とはいえ、冷たすぎるのではなくて?」

「そう言う問題じゃないセシリア。今は福音が最優先だ」

「教官はやるべき事をやっているだけにすぎぬ」

 ラウラが続けて言うと、セシリアも何も言い返せなくなった。

「教官だって苦しいはずだ。苦しいからこそ作戦室に篭っている。心配するだけで、一夏を見舞うだけで、福音を撃破できるのか?」

「まぁ織斑先生より、一番の問題は……」

 そう言いながら俺はとある一室へと顔を向ける。俺が見てる先にある部屋には負傷した一夏が昏睡状態になっており、その一夏を看ている箒がいる。俺が言った一番の問題とは箒の事だ。

 アイツは失敗した事により、作戦前までは別人のように深く落ち込んで無言状態だった。紅椿と言う新型に乗って舞い上がっていた事に漸く気付き、自分が一夏を負傷させてしまったと言う自己嫌悪に陥っていた。

 箒の事だ。どうせ更に自分を卑下しながらISに乗るのをもう止めようと考えているだろうな。

「出たくは無いけど仕方ないか……」

俺は姉さん達に背を向け廊下を歩き始める、斜め後ろには簪さんがついてくる。

「ヤマトどこ行くの?」

「福音のところ、姉さんは箒を頼むよ」

「ちょ、なに抜け駆けしようとしてるのよ!」

「(´ヘ`;)鈴さん別に一夏の敵討ちをするつもりは無いよ、俺の因縁の相手を倒しに行くだけ」

「なに言ってるのよ」

「僕も行く、鈴は箒をお願い」

姉さんは来るのね

「なんなら全員で行きましょう?私のは既に粒子変換はしてありますわ」

その提案はしてほしくなかったよ?

「わかった、十分後集合な」

そうして全員一度解散して準備をし予定の時刻になった。

揃ったメンバーは俺、簪、姉さん、鈴さん、セシリア、ラウラそして箒

「今回のは命令違反だ!帰ってきたら何らかの罰があるはずだから出たくない者は待機してて良いぞ?」

意味のない言葉だとは思うがね

結果はもちろん『覚悟の上』とのことだ。

さて現れるかなサーシェス!

続く 
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