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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第十三話 訓練開始

 
前書き
対フェイトの訓練を開始する大輔達。
賢「それじゃあ行くよ?」
ワームモン[うん、賢ちゃん]
賢、ワームモン「[リリカルアドベンチャー、始まります]」 

 
クロノ「くそ…」
クロノは誰もいない通路で悪態をついていた。
自分でも分からない苛立ちに、自分でも戸惑っているのだ。
ツカイモン[大輔達のことを考えていたのですか?]
クロノ「っ!ツカイモンか…」
一瞬驚いたクロノだが、後ろを振り向くと、ツカイモンがクロノの背後を飛んでいた。
ツカイモン[あなたは今、自分でも分からない感情に困惑しているのでしょう?]
クロノ「な…っ!?」
自分の内心を悟られたことにクロノは驚愕する。
クロノ「お前は一体何者なんだ…?」
クロノは自分の感情を一通り隠すことは出来る。
なのにツカイモンはクロノの内心をアッサリと看破した。
ツカイモン[私は…ただのお節介焼きですよ。あなたを見ていると私の大切な存在を思い出す…]
そう、寂しくて誰かに甘えたくて、それでも素直になれずいつも意地を張っていた白鼠のように…。
クロノ「大切な存在…?」
ツカイモン[クロノ…今すぐ大輔達に会いに行ってみては?]
クロノ「何?」
ツカイモン[あなたは今迷っているはずです。自分のやり方は間違っていないはずなのに、どうして間違っているように思えるのか]
クロノ「…お前は何でも知っているんだな…」
ツカイモン[これでも一応あなたの何倍も生きてきたのでね。歳をとると、何となく他人の心が分かるようになります。]
クロノ「そう、か…」
ツカイモン[行ってみればいい。大輔の所に。そこにはあなたの求める答えがあるはずだ。]
クロノ「分かった…それで彼は?」
ツカイモン[大輔は訓練室だ。武運を祈る。]
クロノはツカイモンから大輔の居場所を聞くと、訓練室に向かって駆けていく。
ツカイモンはクロノの後ろ姿を優しく見守っていた。






























訓練室には、デバイスを起動した大輔となのはが訓練をしていた。
なのは「行くよ大輔さん!!」
大輔「ああ、来い!!」
なのは「ブレイク…バスターーーーーッ!!」
展開した魔法陣から射程は短いが、前方広範囲の砲撃が大輔に放たれた。
直ぐさまゴールドブイドラモンの甲冑を身に纏い、防御体勢に入った大輔。
大輔が砲撃に飲まれた。
砲撃に飲まれた大輔は甲冑が少し焦げていたが、砲撃が終わると同時に構えを解いた。
大輔「上出来だ。あんな適当な教え方でよく覚えられたもんだな。」
なのは「はい!!でも凄い威力ですね。隙も少ないし」
大輔「その分射程が短いけどな。接近戦に持ち込まれたらこれを使うようにな?」
なのは「はい!!」
なのはが頷くと同時にクロノが訓練室に入って来た。
大輔「クロノ?」
クロノ「…大輔…少し話をしないか?」
大輔「何?」
大輔が目を見開き、なのはは大輔とクロノを呆然としながら見つめる。
大輔は少し考えると、なのはに向き直る。
大輔「今日の特訓はこれで終わりだ。なのは、身体を休めとけ」
なのは「は、はい。」
なのはは返事をすると慌てて訓練室を出た。
大輔「で?何だ話って?」
クロノ「何故あんなことを?」
大輔「は?そうだな…納得出来ないってのもあったけど、ただ純粋にフェイトを助けたかった。」
クロノ「だが、あの時は君の切り札の1つがあったからこそ被害は無くて済んだ。だが、下手をすれば君は死んでいたかもしれないんだぞ?」
大輔「かもな、なあクロノ。もしもの話だけどお前に大勢の命とお前の大切な…リンディやエイミィの命が天秤にかけられたとする。どっちも早く助けなきゃ命が危ない。お前ならどうする?」
それは遼にも言われたこと。
クロノ「…納得は出来ないが、大勢の命を選ばなければならない。少数のために大勢の命を犠牲には出来ない。」
大輔「そうだな。でも俺は大切な人を見捨てることは出来ない」
クロノ「何?」
大輔の言葉にクロノが目を見張る。
大輔「確かに大勢を助ける道か、少数を助ける道しかないって迫られたら大勢を助けるのが筋だろうさ。でもその大切な人のことを1番に考えてる奴はそいつのために動かなきゃ駄目なんだ。それに1人の命を救えることが沢山の命を救うんだって俺は思う。」
クロノには大輔と遼はどこか似ていると感じた。
何せ言っていることが殆ど同じだからだ。
クロノ「そうか…」
大輔「なあ、クロノ。もしそういう状況になったら1人で背負い込むんじゃなくて仲間を頼れよ。」
クロノ「仲間…?」
大輔「ああ、1人で駄目なら2人で。4人で駄目なら6人で、1人じゃ出来ないことも、皆で力を合わせて最善を尽くせばきっと何とかなる。俺はそう信じてる」
クロノ「…そうか……」
口には出さなかったが、クロノは大輔の言葉に真理だなと内心で呟いた。
クロノ「確かにそうだな…1人では出来ないことも2人なら出来る。」
大輔「そうだろ?」
クロノ「大輔、最後に教えてくれ。君は何の為に戦うんだ?彼女を守る為にか?」
クロノはフェイトを思い浮かべながら大輔に問う。
大輔「俺は大切な人と大切な人が信じる物を守りたい。フェイトは…確かに大切だ。一緒にいて守ってやりたい。」
クロノ「惚れてるのか?」
大輔「ば、馬鹿!!違う!!あいつは俺にとって…」
クロノ「君にとって?」
大輔「~~~っ、何でもない!!」
大輔は顔を真っ赤にしながら顔を逸らす。
クロノ「何で隠すんだ。僕と君の仲じゃないか?」
クロノは大輔にからかうように言う。
大輔「ついさっきまで、険悪だった奴に言う台詞じゃねえよな!?だ、大体お前こそエイミィとはどうなんだ!?」
クロノ「なっ…!?彼女は士官学校時代の同期だ!!!」
大輔の問いにクロノは大輔に負けず劣らず顔を赤くする。
大輔「本当か~?お前、それだけにしては他の奴らとは扱いが違う気がすんだけど…」
ジト目で見遣る大輔。
クロノは堪らず視線を逸らした。
大輔「ゴホン…ま、まあとにかく。俺の力は誰かを傷つける為の物じゃない。大切な人と大切な人が信じる物を守る為の力なんだ。」
咳ばらいをすると、大輔は話を再開する。
クロノ「そうか…やっと分かった…どうして君達を認めることが出来なかったのかを」
大輔「え?」
クロノ「僕は嫉妬していたんだ。君達の自分の信念を貫き通すことが出来る強い心に。」
大輔「……」
大輔は何も言わずにクロノの言葉に耳を傾ける。
クロノ「心のどこかでは納得していなくても、執務官であることを理由にそれから目を逸らしていた。もし君のように、自分の心に素直になれればもっと沢山の命を救えたかもしれない。例え周りから非難されようと」
クロノの声は後悔で沈んでいた。
大輔はクロノの肩を軽く叩いた。
大輔「でも、今のお前は違うだろ?」
クロノ「……大輔」
大輔「お前は目を逸らしていた自分に気づいた。今はそれでいい。大事なのは目を逸らさないで受け入れることだからな。」
クロノ「…そうだな」
大輔「とにかく1番大切なのは信じることだ。自分と仲間の力を。信じた分だけ自分の力になる。」
大輔の言葉がクロノの心に強く響く。
クロノ「君は…何処までも真っ直ぐなんだな…」
大輔「自分に嘘をつきたくないからな。」
クロノは清々しい表情で大輔に手を差し出した。
大輔も自分の手を差し出し、握手を交わした。
クロノ「君と話せて良かった。これからもよろしく頼む」
大輔「ああ、こちらこそな」
大輔とクロノが固い握手を交わしているのを、リンディが優しく見守っていた。
クロノ「それにしても、遼と似たような言葉を言うとはな」
大輔「へ?遼さんと?」
クロノ「君が言っていた言葉は全て遼も言っていた…似ているんだろう。考え方が」
大輔「遼さんも…か…」






























プレシア「それで?回収してきたジュエルシードは3個?」
プレシアの言葉にフェイトは目をつぶって震える。
しかし、いくら経っても今までのように痛みが来ない。
目を開くとプレシアはフェイトに何もせず、フェイトの隣を通り過ぎる。
プレシア「少なくても残りのジュエルシードを集めて来るのよ…」
そう言って部屋を後にしようとする。
フェイト「……」
アルフ「……」
フェイトとアルフはプレシアの後ろ姿を呆然と見ていた。
プレシア「そういえば…大輔はどうしたのかしら…?」
フェイト「っ…」
大輔の名前を聞いた時、フェイトの表情が揺らいだ。
アルフ「っ…あいつは管理局に協力してるよ…」
プレシア「…そう」
それだけ聞くと今度こそ部屋を後にする。






























プレシア「フェイト…あなたの未来は私が…」
プレシアは最後まで言わなかったが、その言葉には今までに無い強い意思が篭められていた。





























なのは「ブレイクバスターーッ!!」
大輔「はい、駄目」
なのは「に゙ゃ!?」
高速移動で大輔の背後に回って砲撃を放つなのはだが、ライドラモンの甲冑を纏う大輔の蹴りがなのはの後頭部に華麗に炸裂した。
なのはは床に情熱的なキスをかますことになる。
なのは「~~~っ!!」
後頭部を押さえて悶絶するなのはに、大輔は立つように促す。
大輔「フェイトに勝ちたいんだろ?だったら早く立て」
なのは「は、はい!!」
エイミィ「うっわ…スッゴいスパルタ…」
遼「まあまあ、あれくらい厳しくやらないと駄目な時もあるさ。大輔って面倒見もいいから、案外教官に向いてたりして」
そう言ってるうちに大輔に魔力弾が掠る。
大輔「いいぞなのは!!だけど目に頼り過ぎるな!!全身の感覚を研ぎ澄ませるんだ!!」
なのは「か、感覚!?は、はい!!」
クロノ「いっそのこと、彼にアースラの職員を鍛えてもらうか?君もその弛んだ根性を鍛えてもらったらどうだ?」
エイミィ「私死んじゃうよ!!そもそも私はオペレーターだから前線出ないし!!」
クロノ「全く戦闘に縁がない訳でもないだろう。もし艦内に敵が侵入した時に対処も出来ないのでは話にもならない。なので」
エイミィに一枚の紙を渡す。
彼女は恐る恐るそれを手に取ると、目が飛び出る程に驚愕した。
何せそれは大輔が常にしている自主トレのメニュー。
エイミィ「死ぬ!!私死んじゃう!!」
クロノ「安心しろ。人間そう簡単にくたばらない。今日から始めるからそのつもりで」
エイミィ「艦長!!助けて下さい!!」
リンディ「今日の昼食は何かしらね~?」
賢「見捨てた…」 
 

 
後書き
大輔はスパルタだと思う。
教える立場になったら甘さを捨てて厳しい先生になると思う。
それから新しくオリキャラを加入させたいと思います。
何せ選ばれし子供のメンバーが大輔、賢、遼(冒険後半で加入予定:理由、強すぎだから)、ユーノ、ルカ、フェイト、はやて、なのは、アリシア、アリサ、すずか、スバル、ギンガ、ティアナと…。
女性陣が多いため、一人くらいは男性を増やしたい。
 
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