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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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最終話

 
前書き

遅くなりましたがついに最終話……投稿となります+

最終話ということでかなりご都合主義、無理やり展開、これは無理があるだろ感があってしまい……賛否両論もでると思います;

ただ今回の最終話については……私なりに考え、当初から多少修正したりしましたが、こうしようと決めていたものなので、変更や書き直すつもりはないので、そこの所は申し訳ありませんがご了承下さい。

それでは最終話……良ければ最後まで宜しくお願いします+
 

 




──ルミナシアとジルディア……その世界の命運を掛けた最後の闘い……あれから一年が経ちました。
あれから一年……世界はゆっくりと、だけど確実に大きく変わっています。

イアハートの持ってきてくれていたマナに変わる代替エネルギー……『内燃式半永久機関』。それが遂に完成しました。
始めは色々とあったりもしたけど……今は世界に認められて各国々が利用し、マナの消費やそれを奪い合うような事もなくなり、争いが沈静化してきました。
時々、土地争いとかが起こりそうな時もあるけど……今はウリズン帝国がそういう国に進んで平和的に済ませようと話をしていたりします。

オルタ・ヴィレッジも今や十数ヶ所目にもなり……ますますマナを、星晶を必要としないようにする世界に進んでいってます。

後、私達『アドリビトム』の事だけど……アドリビトムは一度解散……というより長い休みになった事がありました。
ジルディアとの闘いを終え、世界を救った事もあって、あの闘いの後少しして……アドリビトムには今まで見たことの無い程依頼が殺到してきました。
勿論、始めは皆でその依頼を受けようとも考えていたんだけど……そのあまりの依頼量と、エステルやウッドロウさん達等の国の関係者の一時帰還もあって、流石に手に負えなくなってきた私達は一度アドリビトムをお休みにして、皆それぞれが自分達の村の復旧の手伝いに回ったりしました。
今はまた皆戻ってきてアドリビトムを再開しています。ウッドロウさん達等国の関係者の人達も戻ってきてくれたのはちょっと驚きました。

……あ、戻ってきたと言えば……この一年の間にメリアも無事、世界樹から帰ってきました。あの最後の別れの際の、変わらない笑顔のままで。
そんな彼女は笑顔まま新しい友達を一緒に連れてきた、と私達の前にその新しい友達を立たせました。
彼女の新しい友達……それは私達がお互いに世界を賭けて闘った相手……結晶化の消えた人型のラザリスでした。
皆がそのラザリスに警戒する中、メリアが前に出て『ラザリスはもう敵じゃない、私の友達で、皆の友達』と言った時のメリアとそれにどこか嬉しそうな表情を浮かべたラザリスの顔は今でも頭に残ってます。

今ではそんなラザリスもアドリビトムの皆と打ち解け、今日も他の人達と一緒に依頼にいってます。

皆が皆……まるでアドリビトムを自分達の居場所のように戻ってきています。
ただ、後は……──




───────────────────



「──……後はアナタだけだよ、衛司」

──ルミナシアとジルディアの統合した緑と白の混ざり合った世界樹の前、そこにひっそりと小さく作られた祠の前で、カノンノはさっきまで読んでいた手紙をそっとその祠の前に置きながら静かにそう言葉を出した。
祠の前にはその手紙の他に、白い結晶の剣と持ち手だけが残った木刀がまるで奉られているかのように置かれていた。

──乾衛司。
ルミナシアとジルディアの命運を掛けた最後の闘いで、文字通り命が保つ限り闘い、そしてその命を散らした、最後の決戦の一番の功労者とも言える存在。
『アドリビトムが世界を救った』という大きな真実が世界に広まった反面……『乾衛司が消滅した』という小さな真実が世界に広まることは無く……乾衛司が消滅した真実を知っているのは事実上、アドリビトムのメンバーだけとなってしまった。
そんなアドリビトムが行ったことが……彼がちゃんと此処にいて、共に闘っていてくれた証を残すように、この祠を作ったのだった。

『まるでお墓みたい』、と作った当初に誰かが言ったのを覚えているが……少なくとも、カノンノはそうは思わなかった。

「……約束……したからね……」

祠の前でそう、誰かに言うわけでもなく静かに言葉を出すカノンノ。
約束……それは『皆で笑って生きて帰ってくる』事。あの最後の時……カノンノは『嘘つき』と言ってしまったが、心の中では……また彼がいつか、ひょっこりと自分達の前に出てきてくれると信じていた。
いつも私達に見せてくれていた……あの笑顔で。

「っ……いけないいけない。……今日はこの後、世界を救って一年記念のパーティーがあるんだから……私が泣いちゃ駄目だよね……」

脳裏に思い出される衛司の笑顔を思い出し、自然と涙が零れそうになるが、カノンノはそれを慌てて手で拭き取ってそう言葉を出した。
カノンノはしばらく目を擦り、涙が止まった事が分かるとゆっくりと祠へと向き直った。

「衛司……今、アナタにこの世界が見えてるか……どう思っているかは分からないけど……いつかまたきっと……アナタと一緒に、アナタの隣でこの世界を見れるって……私、信じてるからね」

祠を真っ直ぐと見つめながらそう、カノンノは今はいない大切な彼へと言葉を出した。その言葉が果たして彼に届いたのかどうかは分かりはしないが……言ったカノンノ自身は満足したように小さく口元を緩めてゆっくりと祠に背を向けた。

「……また、来月に会いに来るよ」

背を向けたまま、祠にそうカノンノは言うとそのままゆっくりと停船してくれているであろうバンエルティア号に向けて歩き出した。
いつか、きっと……また会えると心の中で深く思いながら歩くカノンノ。
ふと……数歩歩いた時だった。

「……え……っ?」

不意に、後方から違和感を感じてカノンノは振り返ると……先程まで自分が見ていた祠から光が溢れ出していた。突然のその出来事にカノンノは驚いてしまうが、溢れ出していく光は徐々に徐々にと大きくなっていく。
そして……光は一層強くなったと分かった瞬間、その場はその光に包み込まれた。





────────────────────


「っ……今の光は……一体……」

──辺りに広がった光が徐々に落ち着いていくのを感じ、カノンノは反射的に閉じてしまった目を開けて何が起こったのかと周りを見回した時……『それ』を見つけた。

「え……」

思わず、自然と『それ』を目にしたカノンノは声を漏らした。それも仕方なかった……何故なら、そこに居たのは……あの最後の闘いの直後、彼女たちの前から姿を消した人物……。

「衛……司……?」

「……ひさしぶり、カノンノ」

……乾衛司が、その場に小さな笑顔を見せながら立っていた。

「衛司……本当に……衛司なの……?」

「うん……あれからちょうど一年……かな? 一層綺麗になったね、カノンノ」

「っ……衛司……っ!」

あの闘いから一年ぶりの再開……聞きたかったその声と、見たかったその姿に……カノンノはその場を走り出して衛司へと飛び込むように抱きついた。
伸ばした手は以前とは違い、今度こそしっかりと彼の身体に触れる事が出来た。

「っと……カノンノ……」

「衛司っ……衛司……衛司……っ! 会いたかった……会いたかったよぉ……っ!」

「うん……ごめんね。……ちょっと世界の神様にもう少しだけこの世界にいられるように頼んでたんだ」

「世界の……神様……?」

抱きついてきたカノンノを衛司はしっかりと抱き止め、一年ぶりとも言える優しく、暖かいその感触にそのまま涙を流し始めるカノンノの頭を衛司は優しく撫でながら静かにそう言葉を出した。
衛司の出したその言葉に、カノンノは小さく首を傾げ、衛司は小さく頷いた後その事を話し出した。



────────────────────



「──……すまない、今なんと言ったかもう一度言ってくれないか……?」

──僕の目の前で、羽織っているローブのフードでよく分からないが、少なからず驚いた様子を見せるオリジン。
まぁ、それもそうだろう。
『この世界での記憶を全て消して今すぐ元の世界に戻る』か『数日という命でルミナシアで生き、そして死んで記憶を消されて元の世界に戻るか』というオリジンから渡された選択……それに対しての僕の答えが……。

「ならもう一度言うよ……オリジン、僕はその選択なら『どっちも選ばない』」

……そんな答えなのだから。
僕の出したその返答を聞いたオリジンはやはり少し驚いた様子で僕を観察するように見ると静かに言葉を出した。

「……どういう事だい、乾衛司君。『どちらも選ばない』というのは?」

「言葉の通りだよ、オリジン。『今すぐ元の世界に記憶を消して戻る』か『たった数日の命でルミナシアで生きるか』なんて選択……僕は選べないし、選ぶ気もない。『元の世界』に戻るのが嫌って訳じゃない……だって、あそこは僕の故郷みたいな場所だし……僕を待っててくれてるだろう人だっている。だけど……こんな中途半端な皆との別れで戻るなんて、僕は嫌だ」

「…………」

「『ルミナシアに残る』方もそうだ。ルミナシアに居られるにしても……たった数日で……しかも記憶が無くなるなんて……僕は嫌だ。我が儘みたいかもしれないけど……今まであの世界で皆と暮らして、皆と笑って……大切な人と一緒になって……改めて思ったんだ。『此処も僕の居場所なんだ』って……。まだあの世界ではやり残した事も……これからやりたい事もいっぱい残っている。だから……『たった数日』なんて……僕はそれに頷きたくなんかない」

「……ふむ、君の理由は分かった。……ならば君は……私に何を望むんだい?」

僕の想いを聞き、真っ直ぐと僕を見ながら確かめるように、何かを試すかのようにそう問いかけてくるオリジン。
そのオリジンを僕は真っ直ぐと向き合いながら言葉を出した。

「『数日』っていう命を延ばしてほしい。本来の寿命までなんて言わないけど……出来れば長く……ルミナシアの世界でやり残した事や思い残した事が無いように満足出来るだけの時間が……僕は欲しい。それが……僕の『答え』だよ、オリジン」

オリジンと真っ直ぐと向き合いながら僕は自分の想いを伝える。
たった数日を出来る限り『長く』生きさせて欲しい。
死んでしまい、記憶が消えてしまうというのなら……僕は出来る限りルミナシアで長く生き、やり残した事が無いように満足して……皆と納得する別れをしたい。あの時の……中途半端みたいな別れじゃなく、お互いが満足するような。

「……ク……クク……ハハハハハハッ! そうか……そんな答えが返ってくるとは……まさか答えを『選ばず』自ら『造る』とは……これだから人は面白い……ハハハハハハッ!」

僕の言葉を聞いたオリジンはしばらく黙っていたと思うとまるで心底面白いものを見たかのように声を出して笑い出した。
突然のオリジンの笑いに思わず僕は呆然としてしまうが、そのまま少しして静かにオリジンが言葉を出した。

「……一年だ」

「へ……?」

「ルミナシアでいう一年だ。その期間をかけて、今から君のドクメントを修復してあげよう。そうすれば……元々の君の寿命までは無理だが、少なからず十数年程度は生きられるように出来るだろう」

「それって……!」

「あぁ……君のその『答え』、少なからず認めてあげよう」

僕に向かって人差し指を立ててそう言葉を出したオリジンに、僕が確認するように言うとオリジンはコクリと頷いてそう言葉を続けた。
認められたのは嬉しいけど……『選択』に従わなかった事は構わないのだろうか。
そう思っていると、オリジンは静かに口を開いた。

「なに……私が見たかったのは君が『どちらを選ぶのか』ではなく『何を答えるのか』という事だ。そして……君は見事に自分の『答え』を見せた。だから、私は少しでも君のその答えを叶えるだけさ。……それに」

「それに……?」

「……喜ぶといい。君は……『異物』でありながらルミナシアの『世界樹』に好かれている。だからこそ、君は『此処』に呼ばれ、『残る』か『戻る』かという選択をされたのだ。……本来世界樹が望まなければ君は此処に行き着くことすらなかったのだから」

「そう……なんだ。……本当……僕って……色んな人に想われてるんだなぁ……」

オリジンから告げられたその言葉に、僕は自然と涙が出そうになってしまう。本当……ルミナシアに来てから僕は想われてばかりだ。
その僕の様子を見るとオリジンはゆっくりと右手を此方へと向けてきた。

「さて……では早速修復に移るとしよう。安心するといい……次に目が覚めた時は君は君の望む場所にいるだろう。今は安心してゆっくりと休むといい」

「オリジン……ありがとう、僕の願いを聞いてくれて……」

「……礼をいうのは此方だよ。世界を救い、君は面白い『答え』を見せてくれたのだから。……どれだけの命になるかは分からないが……せめてその残りの命に後悔がないようにね……乾衛司君」

オリジンがそう言った直後……オリジンの向けた右手から光が溢れ出し……僕は意識が無くなった。
ただ微かに……意識が無くなる直前に見えたオリジンのフードの奥から見えた……僅かな微笑みを頭に残して……。



─────────────────────



「──……それじゃ、今衛司の身体は……」

「うん……一応、寿命は延びてるらしいけど……それ以降はまたいつ消えるか分からない状態になるってオリジンは言ってた」

僕の話を、現状を聞き不安げな表情を浮かべるカノンノ。それもそうだろう……僕は一度、皆の前から宣言なしに一年も姿を消したのだ。彼女が、皆が不安になるのも想像がつく。
だけど……僕はそんな不安げな表情を浮かべるカノンノを少し強く抱き寄せて言葉を出した。

「カノンノ……僕は自分の選んだ『答え』に後悔はしてないよ。どんな形であれ……また君と出会えて……また君達と期限付きだけど一緒にいられるんだ。だから……せめて僕が満足出来るまで……此処にいても構わないかな……?」

「衛司……うん……。それなら……衛司がすぐに満足出来ないくらい、いっぱいいっぱい……この世界を見てもらわないとね。アナタが救って……皆で作ったこの世界を……」

僕の言葉を聞き、真っ直ぐと僕を見てそう決心したようにカノンノは言うと不安げだった表情を、嬉しげな表情へと変えた。
少しして僕達はお互いに離れると、カノンノは僕の手を取って口を開いた。

「よし……そうと決まればまずは皆にひさしぶりに衛司を会わせないと……きっと皆驚くよ」

「ははは……まぁ、そうだろうね。これは質問責めは覚悟しとかないと……」

「あはは……そうだね。……衛司……」

僕の手を引いたまま嬉しそうにそう言った後、ふと足を止めカノンノが此方を見たと思うと、そのまま彼女は飛び込むように……僕に唇を重ねた。
突然の事に少し驚いてしまうが、僕はそれをしっかりと受け止め、そのまま少ししてカノンノは唇を離すと笑顔を浮かべて言葉を出した。

「おかえり……衛司」

「……ただいま、カノンノ」

そう、お互いに言葉を交わして僕達は手を繋ぎ戻るべき場所……バンエルティア号へと向けて歩き出した。
これから……僕にどれだけの時間が残されているか、何が待って、どんな結末を迎えるのかはまだ分からない。だけどただ、いまは……此処にいて皆と、大切な人と過ごしていける日々を……喜んでいこうと思う。



──こうして、僕の……世界をかけた『伝説』は幕を閉じる。

だけど……僕達のこれからの『伝説』は……まだ、始まったばかりなのだ……──




── テイルズオブザワールドレディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─ ──  ─終─



 
 

 
後書き


──以上、最終話……如何だったでしょうか?

うん……賛否両論あると思いますが、個人的にはようやくたどり着いた最終話でした。

いや、本当に此処まで長かったなぁ~…。

さてさて……『僕伝』、遂に完結致しましたが……果たして彼等を今後何が待っているのか……そこは皆様のご想像に任せようと思います。

今話で最後となりましたが……色々補足という名の言い訳だったり、書こうとしたかったけど書けなかったネタだったりと此処ではまとめて出せない事もあるので、最後にまとめ後書きみたいなものを一つ投稿して本当にこの『僕伝』は完結にしようと思います。
ではでは一応最後となりますが……皆様良ければ感想やご意見等宜しくお願いします+

そして最後……この『僕伝』を此処まで読んでいただき、本当にありがとうございました+


それでは皆様……良ければ最後の後書きまで宜しくお願いします+

 
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