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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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神が人で在るために

現実世界に戻った俺は、窓から飛び降り、トライドロンに乗り込んだ。
『ど、どうしたのだ翔夜!!』
「緊急だ!今すぐ病院に行く!」
すぐにエンジンを掛け、クラッチをHDに入れ、加速させる。
『馬鹿な!ハイドライブにギアを入れたのか!!無茶は止せ!!』
「こちとら人の命がかかってんだ!!礼儀よくしてられるか!!」
シフトパーキングに停車してあるタイプフルーツシフトカーをシフトブレスにセット、押すとトライドロンのタイヤが変換して飛行モードに切り替わる。
「超特急だ!一走り付き合え!!」
アクセルを限界まで踏み込むと、強力なGが発生して、トライドロンは空を駆けた。

































病院に着くと、窓口に行く。
既に話は通っているようで、来意を告げると、看護師はすぐにプレートを寄越す。
俺は禁断のフィジカル・フル・バーストを使い、階段をかけ上がる。
セキュリティゲートのセンサーにプレートを叩き付けて通過すると、そのままの速度で駆ける。
記憶の通りの道を通ると、ユウキが眠る無菌室のドアが視界に入る。
しかし、何時もは閉じられている無菌室のドアが空いていた。
躊躇わずに中に入ると、既にアスナが居た。
俺が入ると、医師が言う。
「四十分前、一度心臓が停止しました。投薬と除細動によって脈拍が戻りましたが、恐らく、次は……もう……」
医師から告げられた言葉は、ユウキの死の宣告だった。
解ってはいた。解ってはいたにも関わらず、また、何もユウキに出来なかった。
そう思うと、不思議に涙が出た。
「そんなの……アリかよ……っ!」
俺はユウキの手を握る。アスナも、もうひとつの手を握った。
「生きたいって……言ってただろ……!俺達と一緒に……冒険したいって……言ってただろ……!俺達と一緒に……学校行きたいって……言ってただろ……っ!!なのに……なのに……っ!!」
「翔夜君……」
アスナの言葉が聞こえた後、突然辺りが止まった。
『何っ!?』
俺は立ち上がると、俺の姿がダークに変わっていた。
『これは……初期加速空間(ブルーワールド)……。しかし、リンクコマンドを言ってないのに……』
すると、一人の少女が俺の前に現れた。
『……やぁ、久しい再会だね、ダークリパルサー』
それは、向こうの世界で出逢い、そして自ら進んで俺に加速世界のリンクを切れと頼んだ少女、<オーロラ・クリスタル>……夜熊己那(やくまみな)だった。
『己那!?』
『不思議そうな顔をしてるね。……まぁ、仕方無いか。向こうの私は解らないけど、今の君とはリンク出来てるしね』
己那はそう言うと、微笑んだ。
『彼女が……今、君が救いたい人……なんだね?』
『……』
己那は俺の顔を見ると、今度はユウキの顔を触る。
『……まさか、私に被っちゃったのかな?』
『……俺は弱かった。人を救いたい……そう思ったのに……全ての世界でもそうだ……皆、俺が関わった奴等は俺の元から離れていく!!雷鳴騎士団やアーク、お前に今度はユウキ!!』
俺は拳を地面に叩き付ける。
『……もう、嫌なんだ。まだ何も出来てない。何も、楽しいことをしてやれない。また救えないのが!!もう、嫌なんだ!!』
『……』
己那は俺の顔を触ると、涙を拭った。
『諦めちゃ駄目だよ。君は確かに弱いけれど、その為の力をもう持ってるじゃないか』
『……え?』
すると、辺りが再び元に戻る感覚が襲う。
『大丈夫、君は救えるよ。今度は』
その言葉を最後に、加速が途切れた。
「……そうだ。俺は……」
床に手をつき、言う。
「運命だろうが何だろうが関係ねぇ……決められた運命なんてくそ食らえだ。そんなもん、俺が捕喰してやる!!」
そして、世界全域に神力を解放。

この時、全ての時間が止まった。

「ユウキ、お前は俺が救う」
そして、神状態になった俺は、ユウキの顔に顔を近付け、
「……ん」
キスを、した。
その瞬間、俺の神化も解け、俺の身体も光になって消えてしまった。

























数日後

「ああああああっ!!くっそダリィなおい!!」
「自業自得ですよ、ウィング」
机で仕事している俺に対し、冷ややかな目でジェイダが言う。
「全く……剥奪されなかっただけでも有り難いと思わないとですよ?」
「はぁ……それにしても一ヶ月下界出禁とはなぁ……」
あの後、人間を救うために神力を使った事が問題となり、一時は神力とその神格を失いそうになったものの、ゼウス、オーディン、イフの坊や、トールのオッサンのお陰で、謹慎と出禁の処罰だけで済んだ。伊達に北欧神話の神をやっていないだけはあるが、その後、その四人から盛大な御叱りを受け、この処分中は、何時もジェイダの監視が付いている。まぁ、監視とか神とかそう言うのはやろうと思えば振りきれるが、そうなると後でロリ神も出陣してきてケルベロス等を送り込んでくる可能性が無きにしも在らずなので大人しくしてる訳だ。まぁ、下界の様子はジェイダがミヤビの姿になって見てくるので良いのだが。……逆に此方のミヤビに殺られないか心配と行ったら心配だ。
「まぁ、しばらくは仕事してて下さい。いつまでも帰ってこないから仕事山積みなんですから。そのせいで貴方のメイドに色々吹き込まれる始末になって暴走し掛けたんですから」
「いやそれ単に貫禄がないだ「はい?」イエスイマセンナンデモアリマセンノデソノフブキヲトメテクダサイショモツガイタミマス」
片言で言うと、はぁ、と溜め息を付いて言う。
「……さぁて、と。ちゃっちゃと仕事を終わらすか!」
こうして、今日も平和な一日が始まった……かの様に思えたが。

「た、大変でごさいますですよウィング様ぁああああああ!!」

突然、執事のセバスが扉を開けてくる。
「どうしたセバス?仕事なんだが」
「それどころでは御座いません!!ライト様が………貴方の相方が大変なことに!!」
「……何?」
俺はセバスからの説明を受けると、すぐにコートを羽織って扉を抜ける。
「ど、何処に!?」
「下界に降りる」
「ウィング様、未だ謹慎は解かれて下りませんよ?」
ジェイダが俺の肩を持つ。
「……ジェイダ、その手を離せ」
「嫌です。意地でも退かしません」
途端、部屋全体がジェイダの固有空間に侵食された。しかし。
「それごときで俺を止められると思ったかジェイダァアアアアアッ!!」
俺はそれを<暗黒楽園(ロストエデン)>で消滅させ、ジェイダを吹き飛ばした。
「セバス、再びここを留守にする。……くれぐれも、我が帰る家を守れ。これは命である」
「行意に、マイマスター」
俺はそれを聞くと、すぐに下界へのゲートを開き、降りていった。 
 

 
後書き
マザロザ堂々完結!!
ライト「そして次回からアリシ編だぜー!!」
ダーク「……ん?Re:rood編は?」
それは短編として書くから飛ばす。
ダーク「まさかの!?」
神として大部分出てるし良いかと。
ダーク「おいこr(バシン!」
ライト「次回もお楽しみに!」 
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