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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十三話 バリ島からの女の人その六

「幕末から明治の」
「そう、元勲の一人よ」
「大久保さんもよね」
「お二人共薩摩出身でね」
「薩摩っていうと」
「今で言う鹿児島県よ、あそこはそうした風土が強かったらしいのよ」
 同性愛のそれがというのだ。
「だからそうした話もあったのよ」
「成程ね」
「少なくとも日本ではそれで捕まった人いないから」
 日本の長い歴史でそれこそ一人もだ。
「結構そうしたお話多いわよ」
「じゃあ女の子同士は」
「?っていうと」
「いやいや、私はそっちの趣味はないから」
 笑ってだ、ラブポーンさんは自分を同性愛の趣味があるのかと警戒の色を見せはじめた美沙さんに返した。
「全然ね」
「じゃあノーマルなのね」
「私は男の子だけだから」
「そっちだけなのね」
「そう、彼氏募集中よ」
 にこにことして美沙さんに言う。
「優しい彼氏ね」
「私は強い彼氏ね」
 こう言ったのはダエさんだった。
「私に負けない位ね」
「ダエ気が強いからね」
「ベトナム女に勝てる様じゃないと」
 それこそとだ、ラブポーンさんに真面目に返す。
「頼りないわ」
「それは難しいわね」
「何で難しいの?」
 美沙さんはラブポーンさんの今の言葉に問うた。
「ベトナムの娘に勝てる様じゃないって」
「ベトナムの女の人は強いのよ」
「そんなに強いの」
「男の人が浮気したらもうボロボロにするし」
「うわっ、凄いわね」
「戦争になっても自分から銃取って戦うのよ」
 ラブポーンさんは美沙さんにこのことも話した。
「もう豹みたいだから」
「それはかなりのものね」
「けれどそれが普通なのよ」
 ダエさん自身はあっさりとていた。
「ベトナムではね」
「ベトナムって凄い国ね」
「色々あったからね」
 それでだというのだ。
「だから女の人が強いのよ」
「それでなの」
「格闘なんかしたら」
 ラブポーンさんがまた言う。
「もう鬼でしょうね」
「そんな人実際に多いわね」
「そうよね、やっぱり」
「一番強いのは奥さんが旦那さんの浮気知った時ね」
 まさにその時だというのだ。
「洒落にならないから」
「ボロボロにするのね」
「死ぬんじゃないかっていう位にね」
 そこまでするというのだ、僕も聞いていて怖くなった。
「殴って蹴って噛んで引っ掻いて」
「殆ど野獣じゃない」
「けれどそこまで強いのよ」
「それってダエも?」
「うちのお兄ちゃんの奥さん強いけれど」
 ダエさん自身はというと。
「ダエはそれ程じゃないと思うわ」
「そうなのね」
「そんな引っ掻くとか噛むとかね」
「ないよね」
「そこは安心してね」
「そうさせてもらうよ」
 僕は心からダエさんに返した。 
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