レインボークラウン

　　　　　　　　　　　　　　　　　第百八十四話　　その態度
　虫歯の話は終わった、だが。
　華奈子は漫画を読んだまま自分と話すライゾウに対してまだ言った、今度言うことは何のことかというと。
「あんた態度悪いわね」
「いつも通りだろ」
「というかね、何よ今の姿勢」
「寝て漫画読んだら悪いか？」
「人間みたいな姿勢で読んでるわね」
　このことを言うのだった。
「しかもポテト食べながら」
「ご主人もどうだい？」
「今はいいわ」
　華奈子はライゾウの誘いはこう言って断った。
「さっきシュークリーム食べたから」
「だからか」
「そう、けれど今のあんたってね」
「ご主人の前で態度悪いか」
「そうじゃないの、人間というかね」
　華奈子は顔を顰めさせてライゾウに行った。
「おっさんじゃない」
「おっさんみたいな態度だっていうんだな」
「それかだらしない小学生よ」
　そちらにも見えるというのだ。
「それが態度悪いっていうのよ」
「そういう意味だったんだな」
「そう、だからね」
「ちゃんと座ってか」
「猫の姿勢ならいいわよ」
　その姿勢で寝ながらならというのだ。
「別にね」
「そうか、じゃあな」
　主の言葉に応えてだ、ライゾウは。
　猫の座り方になった、その姿勢で漫画を読みつつ華奈子に問うた。
「これでいいかい？」
「その姿勢ならいいわよ」
　華奈子もこう答えた。
「別にね」
「そうか、じゃあこのままいくな」
「そうしなさい、本当にあんたって」
「態度悪いか」
「偉そうね」
「猫は皆こうなんだよ」
「猫ってどういう生きものなのよ」
　華奈子は顔を顰めさせて言った。
「本当に」
「自分が王様って思ってるのがな」
「猫なのね」
「そうだよ」
「あんたもそうで」
「他の猫もだよ」
　悪びれずに言うライゾウだった、そして実際に態度を変えない。その態度は実に大きいもののままであった。


第百八十四話　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１４・１１・７