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没ストーリー倉庫

作者:海戦型
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【SAO】赫奕たる異端者

 
前書き
昔に一発ネタとして書いたやつ。 

 
 
GGO《ガンゲイル・オンライン》の世界に、ゲーム開始当初からただの一度も殺されたことのない、「死なないプレイヤー」がいるという噂がある。

曰く、そのプレイヤーに弾丸を当てる事は出来るらしい。
だが、即死級の対物ライフルや爆発物などの類で攻撃すると「必ず仕留め損なう」。
気配を察知されたり、辛うじて躱されたり、若しくは予期せぬ乱入で必ず失敗するのだと。更に、当てるまでは上手くいこうとも、絶対に致命傷にならないのも有名だった。通常、弾丸が一発命中すれば防具で固めていない限り大きくバランスを崩す。アサルトライフルの類を使えば、一発当てた時点で勝ちのようなものだ。

なのに「絶対に致命には至らない」。

瀕死まで追い詰めたという人間もいる。
だが、瀕死止まりでもPK自体には失敗するというのはさらに有名な話だった。
そして絶対的優位に立ったと思った瞬間に、そのプレイヤーは反撃を受けて死亡する。
「死なないプレイヤー」を仕留めようと集団が狩りに出ると、同じ目的を持った全く別の集団が違う場所から狩りに来る。さすれば必然的に集団同士で戦闘になり、目標であるはずの存在を見失う。酷い時には「死なないプレイヤー」を含めて四つ巴の泥沼に陥ることさえあるという。

「死なないプレイヤー」は決まった武装を使用しない。
その時に持っている武器、その日に奪った武器を使用して戦い、生き残る。
狙撃も突撃もオールマイティにこなせるがゆえに、それが一層対策を困難にさせた。
それでも「死なないプレイヤー」を狙う人間が絶えないのは、彼の称号が欺瞞であると疑うものや、有名プレイヤーを倒して名を上げようと考える人間が次々に現れるからだ。中には「死なないプレイヤー」が持つ非常に貴重な武器、「バハウザーM571」という化物マグナムを求めている人間もいるが、成功したものは未だ一人としていなかった。

――システム的な不死ではなく、本物の不死である。
――彼は見えざる手によって生かされている。
――彼は神の域へと到達している。

誰もが最初に聞いた時は鼻で笑う。
そして、真実を暴いてやろうと「死なないプレイヤー」を追いたてる。
だが、どれだけの時間とカネを費やしても、どれだけの薬莢と硝煙をばらまいても、「死なないプレイヤー」の命にその鉛玉を届かせた人間は誰一人としていなかった。

その意味を、銃士Xと呼ばれるプレイヤーは身をもって知ることになった。

「あ……ありえ、ない」

ただ一人を狩る為だけの戦いだったはずのそれは――いつしかそのプレイヤーを討伐しに来た人間、銃士Xを討伐しに来た人間、関係のない乱入者、果ては今までこの周囲では一度も確認されていないモンスターの群れまでもが乱入して本物の戦場のように荒れ狂った。予想外と想定外でごった返したその戦いはあっという間に燃え広がり、見えない化物のようにプレイヤーを食いつくした。

そしてその中で最後まで立っているプレイヤー ――それこそが。

「何故だ……!?死なない筈があるか!!死なない筈が……ッ!!」

銃を握る筈の腕を欠損し芋虫の様にもがきながら叫ぶ銃士Xに応えたのは、「死なないプレイヤー」の握るバハウザーM571の銃口だった。拳銃の分類でありながら20mm徹甲弾を発射することを前提に設計されたその化物は、装甲車の鉄板さえ容易に貫くことから「アーマーマグナム」の異名を持つ。
そしてそれを突きつけるプレイヤーは、どこまでも淡々と、無表情に、無感動に、そしてどこか疲れたような表情で一言漏らした。

「所詮、遊びだ」

プレイヤー名、「Chirico(キリコ)」。
その別名を「触れ得ざる者」と呼ぶ。



 = =



元ネタは言うまでもなく装甲騎兵ボトムズの主人公にして異能生存体のあの人。
つぶやきで書いた時に「女の子ですよね?」と言われたので女の子ということにして、下記のような設定を作ってみた。

名前:宮尾桐子(みやおきりこ) 女性 16歳

小学校の頃に両親と死別し、兄と二人暮らしをしていた少女。
短めの髪の毛と他人を射抜くような深い瞳がミステリアス、とは彼女の同級生の言。
一見して不愛想に見えるが、それは両親との死別以来不運に見舞われ続けたせいで表情筋が麻痺している所為。そのため気の置ける相手には微笑みをみせたりするし、ムッとすると嫌味くらいは言う。兄の事は唯一の家族として愛しているが、周囲は「そのうち結婚するとか言い出すんじゃないか」と思ってしまうほど一途。
数年前に兄が肺を患って入院。治療費を確保するために中卒でてっとり早くお金を稼げる方法を探した結果、兄の持っていたアミュスフィアでGGOを開始した。
初めの頃は四苦八苦しながらもなんとかゲーム内でお金を稼いでいたが、次第に「一度もゲームオーバーになったことがない」という噂を聞きつけたプレイヤーに執拗なPKを仕掛けられるようになり、精神を摩耗させていく。それでも常にゲームオーバーにならず生き残ってお金を稼ぎ続けるのは、兄に少しでも楽になって欲しいという思い故である。
アバターは少しでも強そうに見えるようにと男性。ステータスはややstr寄りのバランス型で、何でもオールマイティにこなす。

ちなみに兄の名前は「(あかし)」。入力を間違えて女性アバター「フィアナ」を使っていた。
桐子が実力5割、人徳2割、運3割で生き延びているのに対し、燈は実力10割でも生き延びられる超実力派プレイヤーだった。GGOを始めた理由は桐子の小遣いを確保するためであり、何度かゲームオーバーになったことはあるもののその純粋な実力は桐子を上回る。ただ、桐子の分の小遣い以上を稼ぐ気はなかったためプレイ頻度は多くなく、知名度は低い。
  
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