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IS<インフィニット・ストラトス> 可能性を繋ぐ者

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金と青の円舞曲

 
前書き
ちまちま...?

入学からここまでやってしまったら一万超えた...

あれ?可笑しいな。俺は三千くらいで一話ずつやっていくつもりだったんだけどなぁ



それから私事ですがMGフルコーンverKaとMGフェネクスを買いました!!

MGの中でも屈指のパーツ数を誇るフルコーンと金ぴかのフェネクス!どっちも作るのが大変そうだww









あ、あとマキブのフルコーンが上方修正されました!やったぜ!! 

 
がやがや

「ねえ、もしかしてあの子が...」

「二人目の男子操縦者?」

「テレビで見たかも、なんでもアナハイムの企業代表とか」

はぁ、やっぱしこうなったか...

俺はIS学園の教室、一年一組に向かっていた

長ったらしい入学式も終わりクラス分けが発表された所、俺は一組になるらしい

なので、今は廊下を歩いているのだが...

なんでこう、人を珍獣みたいな目で見れるんですかね...

なんかもう、初日から辛いです

若干涙目になりながらもやっとの思いで教室に到着

扉は空いていたのでそのまま入ると、教室の中で席に座り手を膝に乗せて硬直している人物がいた

俺はそいつを見て、だれかわかると隣に歩み寄った

「久しぶり、でいいのかな?織村」

「もしかして、リンクスさんですか!!!?」

俺が昔助け、この学校にいるもう一人の男性操縦者である織村一夏その人だった

「ああ。改めて、俺はクラルテ・リンクス。同じ男性操縦者同士よろしく」

「織村一夏です。あの時はありがとうございました!!」


すごい勢いで頭を下げてきた。正直同じ年の人からそんな感謝をされると照れるわけで

「あー...別にいいよ、俺が好きでやったことだし。それから敬語もやめてくれないか?クラルテって呼び捨てにしてくれると助かるかな。俺も一夏って呼ぶから」

「でも命の恩人ですし...」

其の後も暫くうんうん唸っていたが、最終的に了承してくれた

そろそろ始業の時間なのでとりあえず後で色々話そうということにして俺は自分の席に向かった

俺が席に座ると同時に先生がやってきた

そのまま黒板の前に立ち、先生は自己紹介を始めた

「私はこのクラスの副担任を務める山田真耶です。一年間よろしくお願いしますね?」

にっこりと微笑みながらクラスを見渡し

「全員そろってますね。それじゃあSHR始めますよー」

何かしらの反応を期待したのか先生がなにも喋らないでいるのでクラスが静寂に包まれた

「じ、じゃ自己紹介をしましょうか。えっと..出席番号順で」

あの人若干涙目ではないですか?何か反応したいけど...。周りが女子だらけというのはどうにも落ち着かないんだ...

ごめん、山田先生...

俺は心の中で合掌をした。流石にこの状況でさらに周りの注意を引くようなことはできないです...

ちらりと横目で一夏を見てみるとなんか裏切られた感を漂わせていた。なにがあった...

「織斑くん。織斑一夏くんっ!」

「は、はいっ!!?」

どうやらなにかに打ちひしがれて話を聞いてなかったっぽいな。声が裏返っていた。そのせいで周りに笑われてる。余計に辛くなったな

「あ、あの大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる?ゴメンね!でもね?自己紹介、"あ"から始まって今"お"の織斑くんなんだよね。だから自己紹介してくれるかな?だめかな?」

この間山田先生は頭を15回もペコペコ下げている。教師の威厳というかなんというか...

そこまで言われて一夏も理解したのか頷いて自己紹介を始めた

「えー、織斑一夏です。好きなこと、というか趣味は...今は音楽を聞くことかなぁ...。一年間よろしくお願いします」

一夏が最後に頭を下げる。それと同時に拍手が起こる。意外にまともというか普通な自己紹介だったな。いや、自己紹介になにを期待してるんだよ

「ほう?まともな自己紹介くらいは出来たか」

一夏の後ろには千冬さんがいた。あれ?あなたいつからそこにいたのですか??

「げえっ、か...いえなんでもありません」

「ふん、どうやら出席簿の出番はないようだな」

一夏がなにか不吉なことを言おうとした瞬間千冬さんの持つ出席簿が高速で一夏の頭に降ろされそうになったが、一夏の機転?によりそれは実行されなかった

というかそれはそんなことに使うものではないのですが...

「あ、織斑先生。もう会議は終わったんですか?」

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

千冬さんが山田先生に会釈をし、教壇に立つ

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ないものには出来るまで指導してやる、私の仕事は若干15歳を16歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことはよく聞け。いいな?」

初日で独裁政治発言ですか...ってもドイツ軍でも似たような、うっ頭が痛い...。思い出すのはやめよう

そんな挨拶じゃクラスから反感が起こると思ったがなにか嫌な予感が体を巡った。俺は反射的に耳を塞いで、その次の瞬間

「きゃーーーーーーーー!!!千冬様!本物の千冬さまよ!!」

「ずっとファンでした!!」

そうだった...。あの人はブリュンヒルデ、全てのIS操縦者の憧れの的。これ位じゃ千冬さんのファン(教徒)は揺るがないか

「毎年よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?これは学校が計っているのか?」

いえ、どのクラスでもこのような感じになると思います。そんなに鬱陶しくがっても変わらないかとっ!?

俺は殺気を感じ、顔を右に逸らした。俺の顔があった場所を出席簿がものすごい速さで通り過ぎて後ろの壁に刺さった。え?刺さった??

「流石だリンクス。だが、余計な事を考えるとは感心しないな」

「いやー、そんなことナニモカンガエテイマセンヨ?」

最後にフランス語で貴方はニュータイプかと言おうと思ったがあの人なら気がつきそうだからやめよ...

流石にこの一連の流れで女子の歓声も消えた。と思うじゃん?

「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!!」

「でも時には優しくして!」

「そしたら....きゃ///」

先生!なんか変態が混じってます!!まずいですよあれは!!

それらを放置し千冬さんは一夏の方を向く

「それにしてもどう言う風の吹きまわしだ?普通とはいえちゃんと自己紹介出来てるとは」

「それはなんでも酷くないか!?いくら千冬姉でも」

一夏が何かを言おうとした瞬間、千冬さんの口が少しつり上がった

そして、ぱしん!!という音が教室に響き渡る

「織斑先生と呼べ」

「いまのは酷い....はい、織斑先生」

これが噂に聞く誘導尋問か...

さらにこの会話で千冬さん達が姉弟で有ることがばれて少し湧いた

それを途中で千冬さんが勢し

「ちょうどいい、リンクスお前は先に自己紹介しろ」

拒否権はないみたいだな...仕方が無い

俺は覚悟を決めて席を立つ

「クラルテ・リンクスです。一応アナハイム代表としてこの学園で共に勉学に励ませていただきます。趣味はIS弄り、もしISについて詳しい質問があるなら来てもらえれば有る程度は答えられると思います。一年間よろしくお願いします」

俺は頭を下げ、席に座ると拍手が聞こえて来たので一安心だ

其の後も自己紹介は順調に進みSHRは終わった

休み時間になると俺の周りには人だかりが出来ていた。どうせなら一夏も巻き込もうと思ったが一人の女子に連れられて廊下に出てしまった

しょうがないので其の時間はずっと質問を捌いていた。疲れた

俺はぐでーっと頬杖を突きながら二限目の授業を受けていた。これでもアナハイムでISとMSの知識を一通り叩き込まれた身だ。IS常識はかなり知っていると自負している

なので俺は授業で躓くことはないのだが...

パシン!

一夏が出席簿アタックをくらった音だ。どうやらあいつはこの学園に入る時に配られた参考書を捨てたらしく千冬さんに怒られている

どうやら全てがわからないらしい。其の為に千冬さんから後で教えてやれと指名をされたので俺は一夏に対し苦笑いをしながらノートを投げた

「これ読めばここら辺は理解できると思うよ」

「す、すまん!」

俺が一夏に投げたのは俺がISの勉強をしていた時に使ったまとめノートだ。自分の言葉で割と簡単にまとめてあるので参考書を読むよりかは楽にできるとおもう

それからは二限目が終わるまでは一夏はノートと睨めっこしていたがさっきみたいに全くわからないという状況からは脱したみたいだ。よかったよかった

チャイムがなると同時に俺は一夏の席に向かい

「やっぱり難しいよな」

「ああ、でもこれのおかげでなんとかなりそうだ。サンキュ」

一夏はノートを返そうとするが俺はお前に貸しとくと言って押し戻した。実際今はそれ使ってないからな

「ちょっとよろしくて?」

後ろから声が聞こえて俺は振り返る

「一夏、俺たちに向けられてるよ。なんのようで?」

「へ?あ、そうなのか」

金髪ロールで目の色は青か、いかにも外人...というかこの人あれだ、この間本社に来てたわ

「まあ!なんですの、其のお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、其れ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

俺は思わず顔をしかめた。俺は常にユニコーン、バンシィ、フェネクスを持っている。さらにはこの間開発されたばかりの新型サイコフレームで出来たナイフもだ。其の為、あまりにも純粋な思いはこちらに流れてくる。この人は俺たちを蔑んでいる。いや、男という存在そのもの下に見ていると言った方がただしいか

「悪いな。俺、君を知らないし」

「一夏、彼女はセシリア・オルコットさんだよ。確か、イギリスの代表候補生」

俺が思い出した彼女の事を伝えると一夏はふーんと言ったような軽い感じで頷き、オルコットさんは

「一応かのアナハイム社の代表ではいらっしゃいますのね。まあ、それは常識ですが」

一ついいか。普通は各国の代表候補生が誰かなんて知らないと思う

ようやく本題に入れるかと思ったら一夏が最後にとびっきりの爆弾を投下した

「代表候補生ってなんだ?」

..................

「えっと、な。各国、というかIS条約の加盟国は国家代表IS操縦者は決めるんだ。でそれの候補として選出されたのが代表候補生。ついでに言うと俺は一応アナハイム社の企業代表IS操縦者」

「へー。ってことはエリートなのか?」

「そう!エリートなのですわ!!」

一夏の最後の言葉に気を良くしたのか胸を張ってそう大きな声で言う

「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくするだけで奇跡...幸運なのよ。その現実をもう少し理解していただける?」

女尊男卑の次は選民思想か。いよいよ俺は嫌になってこの場を離れて席に戻ろうとしたがあることを思い出してもうどうでも良くなった

よく考えれば彼女に罪はないのかもしれない。ISが出来てからこの世界は変わった。いや、一昔前に戻ったというべきか

男尊女卑から女尊男卑に変わっただけのことといわれればそうだ

そして、それは俺のいた小学校でも起きていた。ISを持っていないのにも関わらず、だ

そして彼女はISを持っている。ならば自分は偉いと思ってしまうのも仕方ないのではないのだろうか?

代表候補生といえど15の女子で世界と言うものを知らない。いや、知ってたとしても人の心の暖かさ、優しさを知らないのかもしれない

彼女から感じるのは悪意ではない。どちらかというと男に対する諦めだ

まだ15で達観したわけでもないだろう。だったらそこに至る要因が有るはずだ

なら俺は...「なあ、クラルテはどうだったんだ?入試」

一夏に呼びかけられ現実に戻される。そうだったな、いま俺は会話中だった

「入試、俺は受けてない。アナハイム企業って一応ここにも武器やらなんやら提供してるから、逆に学園から入ってくれないか?って誘われた」

正しくは千冬さんからだ。一夏という男性操縦者が現れたことにより俺の存在を隠す必要はなくなった。ならばこっちにこないか?と言われたのでそれを受け取ったのだ

「おお!凄いじゃないか!!」

「な...男のくせに」

オルコットさんが何か言おうとしたがそこでチャイムがなる。授業が始まるのでオルコットさんは捨て台詞的なものを残して自分の席に戻る

三限目は千冬さんが教壇の上に立っている。一、二限目は山田先生だったんだが...

「それでは、この時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」

成る程。現役時代に国家代表を務めていた千冬さんの方が適しているな

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表を決めないといけないな」

千冬さんが思い出したようにそういう。クラス代表とは、所謂クラス長で生徒会の開く会議、委員会への出席をしなければならないらしい。これは嫌な感じがする...

「はい!織斑くんを推薦します!!」

「私はリンクスくんを推薦しまーす」

うん、分かってた。そんなことだろうと思ってた

俺は一夏を見る。向こうは無理無理と首を振り拒否のジェスチャーをする

「では候補者は織斑一夏とクラルテ・リンクス...他にはいないか?自薦他薦は問わない」

「俺!?」

一夏が立ち上がるがそんなもの意味はない。案の定千冬さんに一刀両断されて撃沈した

俺は半ば諦めてぼっと黒板を見つめていた、その時後ろで机をバン!と叩く音が聞こえた

「待ってください!納得いきませんわ!!」

また彼女か、なにを言うかはだいたい想像つく

「そのような選出は認められません!大体男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

千冬さんもこの話の行き着く場所を想像したのか目の辺りが少し動いた

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

訂正、予想以上だ。彼女は分かっているのか?言葉一つ一つに乗っている意味を

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」

まあ、その理屈はあっている。確かにクラス代表という重要な役職を適当に決めることはあまり良くない

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で」

あ、言っちゃいけないこと言ったな。確かにこのIS学園には様々なIS条約加盟国の人が入っているとはいえ、それでも半数は日本人だ。なのに、その前で彼女はその人の故郷を貶した

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

一夏は恐らくこのクラスの日本人の気持ちを代弁した。いつからかクラスの雰囲気はオルコットさん対一夏ではなくオルコットさん対日本人な雰囲気になっていた

「な...あなた!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

「先に侮辱したのはどっちか考えたら一夏の発言は至極まともだと思うけど?」

流石にこの発言には俺も黙ってない。自分は思いっきり他人の故郷を貶して自分がやられたら逆ギレとか

「貴方だって、企業代表かなにか知りませんが、そこの猿よりすこしマシというレベルでしてよ!それにあのアナハイムが男を代表に据えるなんて、地に堕ちましたわね!!」

.......は?

今、何て言った?

「今、アナハイムの人達を貶したか...?」

「っ!!え、ええ!ちゃんと実力で選ばないなんて可笑しいじゃないですの!こうなったら決闘ですわ!!」

俺の中でふつふつと怒りが湧いて来た。俺を貶されるのは構わない。俺だって未熟だ。でも、アナハイムの人達を貶すのは許せない。ああ、構わない

「その提案乗る」

「ああ、四の五の言うより分かりやすい」

一夏と俺は立ち上がり、オルコットを睨む

「ハンデはどのくらいつける?」

「あら、早速お願いかしら?」

「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなーと」

一夏の発言にクラス中が爆笑に包まれる

「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

一夏はISの存在を思い出したのかしゅんとなり、じゃあハンデはいいと言った。その言葉にオルコットは気を良くしたのか先程よりもわかりやすく俺たちを嘲笑った

だが、俺はそんなことよりもオルコットの発言に思わずにやけた

「オルコット、本当にハンデは要らないんだな?」

「あなた、先程の言葉を聞いていなかったのかしら?」

その言葉に俺は思わず思いっきりにやけてしまった

「ですってよ千冬さん。使っても構いませんね(・・・・・・・・・・)?」

俺は千冬さんの方を向くと驚いた顔をし、俺の方に歩いてきた

俺はなんだろうと思い首を傾げると

パシン!!!

思いっきり頬を叩かれた

「すこしは落ち着いたか?お前、そのままだとオルコットを殺しかねなかった顔をしていたぞ?」

その一言で俺は頭の中が負の感情で埋め尽くされていたことに気がついた

「....はい。ありがとうございます、織斑先生」

その言葉に満足したのか千冬さんは俺の肩を叩いてから教壇に戻って行った

「さて、話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。第三アリーナで行う。三名は各々用意をしてくるように。それでは授業を始める」

手を打ってから授業が始められた










コンコン

「失礼します。織斑先生に呼ばれて来ました」

「来たか、入れ」

俺は昼休み、千冬さんに呼ばれて職員室に来ていた

「ここではなんだ。会議室に行こうか」

俺は千冬さんに連れられて職員室のすぐ近くにある会議室へと入って行った

俺は椅子を指さされ座れと指示され、従った

俺が座った場所の対面に千冬さんが座った

「流石のお前もオルコットの言葉には切れたか」

「すみません...」

俺がそう言うと千冬さんは少しだけ笑いながら

「いや、私も一夏がバカにされたときはあの小娘の首を捻りたくなったしな」

怖っ!!千冬さんを怒らせるのは良くないな...

「さて、本題だが...。一応デストロイモードは使用していい。ただし競技用リミッターはつけたままにしろ。後、加減を間違えてオルコットを殺さないようにな。正直に言ってお前は現状この学園で唯一私と引き分けれる人間だ。お前が本気を出せば大半はすぐに落ちるということだけは意識しておけ。以上だ」

「はい。わかりました」

俺は頷き、会議室を後にした

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なんやかんやで一週間立った

あ、因みに俺も寮生活をしているんだが、同居人?というか同じ部屋の人は普通に一夏で安心した

まあそんなことはどうでも良くて、おれはこの一週間ずっと、ずっっっっっとフェネクスの調整をしていた

理由は単純、デストロイモードの出力を抑えるためだ

これが使いながら設定出来ないから理論だけでやらなきゃならなくて本当に死ぬかと思った

まあ無事にできたからよかったんだが...

閑話休題

俺と一夏は今第三アリーナのAピットでスタンバイしている。なんでもまだ一夏の専用機が届いていないらしい

そのため先ず俺がオルコットと戦うことになった

俺は黄金の不死鳥の意匠が施されているISスーツを着てオルコットの準備が整うのを待っている

「リンクス、向こうの準備が出来たらしい。こちらもいいな?」

「はい。いくか、フェネクス」

俺はフェネクスを展開し、カタパルトに足をかける

『進路クリア。フェネクス、発進どうぞ』

オペレータールームにいる山田先生から通信が入る。ゲートが解放されアリーナの内部が見える

「了解。クラルテ・リンクス、フェネクス、出ます!」

カタパルト射出が行われ俺の体をGが包む。それに耐え俺は空に上がった

出た先にはセシリア・オルコットが待ち構えていた

「あら、逃げずに来ましたのね」

腰に手を当ててこちらを見下ろしながらそう言う

だが俺の目が止まったのはそんなところじゃない

相手の左手に持たれている長大なライフル、俺の右手に持つビーム・マグナムと同じくらいの大きさのそれは名称をスターライトmkIII。種別はレーザーライフルだが威力はビームライフルよりも高い

試合はもう始まっているのでいつ撃たれても避けられるように気を張り詰める

「最後のチャンスを差し上げますわ」

しかし相手は銃身を下げたまま、こちらを指差してこう言ってきた

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、ぼろぼろの惨めな姿を晒したくなければ、今ここであやまるといあのなら、許してあげないこともなくってよ」

この後に及んでまだそんなことを言うか

俺もビーム・マグナムの銃身を下げ、言葉を返す

「貴方がなんでそこまで男に対し諦めているのかは知らない。けれど、少なくとも俺はそこまでしたに見られる覚えはないよ」

「そう?残念ですわ。それならーー」

相手のライフルにエネルギーが集まり、それがこちらに向けられる

「ああ、それから...」

「お別れですわね!」

トリガーが引かれ、レーザーを俺を貫こうとする

その瞬間、俺の思惟が光となって頭の中で爆ぜた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アリーナの誰が見ても、初弾は完全に当たったと思われた

それくらいセシリアの射撃は正確だった

だが、現実はどうだろうか

その光景は、観客も、教員も、そして撃った本人すら驚愕で口が空いたままだった

「うそ...」

それは誰が言った言葉か、それを始まりとし会場内にざわめきが走った

「なにあれ」

「どう言う原理なの??」

「かっこいい...」

驚愕に見舞われるのも仕方が無い。なにせISが変形、否変身したのだから

セシリアが放ったレーザーをクラルテはデストロイモードに移行する際に機体に薄く張られるサイコフィールドを使い偏向させつつ移行した。まさに攻防一体と言えるだろう

そして、ビーム・マグナムを片手に持ち相手に突撃して行った

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「死なないでくれよ!」

俺はマグナムを撃ちながら相手のレーザーを避ける。しかし相手も同じでこちらのマグナムを避けられる

やはりIS戦闘でマグナムを当てるのは至難の技だな、遠距離からなら変わるのだろうが...

このままだと射撃戦がメインになる。だが、デストロイモードの本来のレンジは近距離だ

突っ込んでみるか、幸い新型のISスーツは過去のユニコーンタイプMS専用パイロットスーツをモデルに作られており薬理的にG負荷を軽減する機能がある。だからこの状態での瞬時加速をやってもそこまで体に負担はかからない!

俺はマグナムを撃ちきりカートリッジロードを行いながら、背中のDEのブースターを吹かす

俺はその勢いのままオルコットの懐に入り右腕のビームトンファーを発振させる

「はあああああ!!」

「早い!くっ」

右腕による突きは相手に少しだけかすった。だか其の後、フェネクスがアラームを出したので急いで上空に逃げた

「どうやら本気をだすしかないようですわね」

あいつの周りには四つのビットが浮かんでいた。あれがブルー・ティアーズの特殊兵装か

「さあ、踊りなさい。セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」

ビットによるオールレンジ攻撃。確かに普通なら防御で手一杯になるかもしれない

「でも、見えている!」

苦もなくビームを躱していく。殺気を感じ、フェネクスを動かそうとする前に避けつつもアリーナを回りながら、でも確実にオルコットに近づく

フェネクスは空に青の燐光を残しながら駆けていく。その光景は幻想的でアリーナの観客を魅了していた

「ブルー・ティアーズが当たらない...?いえ、これは読まれているというのですか!?」

しびれをきらせたのかその手なもつライフルを連射する。しかし、オルコットは最初の位置から動いていない、いや動けない

停止結界やビットのようなイメージ・インターフェイスを使う武装は集中力を使う。ラウラがそうであったように、オルコットも動けないのは予想できていた

しかしレーザーライフルの弾幕が増えた分回避するのは難しくなっている。ドイツの頃とは違いこの機体の性能はデストロイモードでも第三世代の少し上を行くレベルにまでリミッターをかけて落としている。単純なスペックのゴリ押しは出来ない

瞬時加速を使う手も考える。確かに瞬時加速ならば一時的に本来のデストロイモードの加速力を得られるだろう。ハイパーセンサーさえ反応出来ない、神速によって放たれる一撃は間違いなくオルコットを落とす

だが、本当にそれでいいのだろうか?俺はオルコットを、彼女を理解する必要が有る気がしてならない

そのためには、この戦いを通じて彼女を識る必要が有る

俺は彼女に手を伸ばそうとして......



ーーだめだ。そのままじゃ彼女を壊しちまう。大丈夫だ、お前の後ろには彼女救える騎士が備えている

その腕を抑えられた

ーーお前がやるべきことは彼女に男の強さを教えることだ。だから全力で行け!!

勘が合う人の声。先祖様の親友、その人の声に気づかされた

俺のするべきことは一夏に繋げることか、俺には彼女を識ることは出来ても理解することは出来やしない

でもあいつなら...そう思わせる雰囲気があいつにはあった

ならば

「俺の声に応えてくれ!フェネクス!!」

サイコフレームの最大共振。機体の色は青から白を通して緑色へと変わる

DEも外れ、俺の後ろ浮いて待機している。俺はDEを始めに突撃させる

「な!貴方もBT兵器を!?」

「いくぞ!」

それによりオルコットは機体を動かさなければならなくなり、ビットの動きが止まる。その瞬間を逃さず、フェネクスを飛ばす

本来の速度、ハイパーセンサーでさえも反応出来ない速度で接近されオルコットは防御も間に合わずにビームトンファーによる切り抜けをくらう

「ハイパーセンサーの反応を超えているなんて...そんなこと!」

「これで終わりだ!」

俺はマグナムを連結させて、照射ビームをオルコットに向かって放つ。体制を崩していたので避けることは出来ず、ビームはオルコットを呑み込んだ


『試合終了。勝者ーークラルテ・リンクス』 
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