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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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幸福など、私は欲しくない


誤りと無知とによって作られた幸福など、私は欲しくない。
—ジード—

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幸福など、私は欲しくない







◆◇◆コン◆◇◆





「驚いたわ・・・こうも早く見つけ出されるだなんて・・・
 てっきり、他の子達の面倒を見ているのだと思っていたのだけれど?」


「生徒の危険を救えずして師を名乗れるか」


キィンと甲高い金属音が鳴り渡る

小南のクナイと先生のクナイがぶつかり合った音

音が鳴るまで2人の動きが見えなかった


「・・・嫌な人ね
 良いわ、木の葉で騒ぎは起こしたくないもの・・・引いてあげる」


速さでは先生に勝てないのだろうか、些か押され気味の小南

冷や汗を流して顔を歪めた


「この子へ近寄るなとは言わん
 ・・・二度と足手まといなどと世迷言を口にするな」


「・・・」


だまって消え去る小南

紙の部屋は崩れ落ち、塔の出入り口付近だと分かる

座り込んだままオレは先生を見上げていた



「予選は皆終わった
 会場へ行こう」


「・・・先生、オレ・・・」


「何があったか、聞いてほしいか?」


差しのべられた手を見て、ふと思いだしたのは波の国

白と出会って大泣きしたあの日の夜のこと

・・・あぁ、小南の心臓の音よりも、先生の音の方がずっと綺麗だったな


手をつないで予選会場に戻る

雨隠れもとい暁組はもういなかった

イカリを苦しめる鬼鮫も消えていた


予選を突破した者たちが横一列に並んでいる

シュロとイカリもお互い支え合って並んでいた

あまり話したくなくて、一番遠いドス・キヌタの隣に並び、ナルトから不審がられた

アンコさんがくじ引き箱を差しだしてくる

無言で探り、一枚取り出す

全員取り出し、番号をイビキさんに告げ組み合わせが発表された


奈良シカマル対ねたみコン

油女シュロ対志村イカリ


三代目の解散の御言葉がむなしく響き渡る


「・・・本選負けたわー・・・」


空を仰いだ


「コン、諦めるの早いってば!」


「そうだぞオレなんか嫁さんとだぞ!?」

「もう私の負けで良いかな・・・」


いつも通りの会話なのに、酷く苛まれる

何故オレはいつもこうなんだろう


「やだもーシカマルオレの体力なんか計算済みだろうしもうやだもー先生ー自来也ー助けてー」


先生の竹刀にしがみついて駄々をこねる

シカマルはオレの発言に顔を顰めていた

計算してるんだろ?そうだろ!?

これだから頭脳チートは困る


「そういえば自来也様の弟子だったなコン
 修行を見て貰おうか」


あぁもうすぐナルトと初対面するんだよな確か

エロジジイ元気かな・・・元気だろうな


「師匠違う、あいつはオレの看護要員なの!
 あと修行なら先生が見て!」


三代目から微笑ましく見つめられる

師弟愛が育まれているとでも思っているのか


「・・・じゃぁ、イビキとアンコに手伝ってもらおうかな」


・・・なんでその二人をチョイスした


「私とアンコが全力で追いかけるから逃げなさい、捕まる度にイビキの拷問に処す
 どうだ、胸がドキドキするだろう?」


「恐怖でな」


くそう、この人がスパルタだっていうのを忘れてた

オレのスピードで先生たちから逃げられるわけないだろ


「何?いやなら特別上忍全員で行くぞ?
 犬塚母娘に、ライドウ、アオバ、ゲンマに・・・あ、ハヤテもどうだ?」


やめろ、無茶振りすんな


「げほ・・・良いでしょう参加します」


やめろ、無茶振りに乗るな


あんたが参加すると暗部の彼女まで出張ってくるじゃねえか



「コンが死んじゃう!」

「これ以上コンを痛めつけないで!」



シュロとイカリが揃ってアンコさんとイビキさんの足元を抑えている

もしかして地獄の鬼ごっこもう開始されてんのか!?

ドSペアはにやにやと笑いながらこちらに近づいてくる

怖い



「シュロは私と組み手するか?24時間」



あぁいつもの空中組み手か・・・

空気中に水分はあるから水面歩行のように歩けると豪語してやってのけるお人だからな・・・

俺等はシュロの蜂を足場にするしかないのに



「オレの蜂が拳圧で潰される!?」



避け損ねた蜂が何度拳圧で潰されたっけな・・・

シノ、びびらなくてもお前の蟲は大丈夫だよ



「イカリは私に罠を仕掛けなさい、私がぶっ潰しても壊れなければ合格だ」


「合格させる気ないだろ?!」
 


何度イカリの罠が破壊されたことか



「まあ冗談はさておき」


「嘘だ」


思わず六班以外の面識のある面子が呟く

本気だと思ってた


「冗談だよ?
 ・・・コン、本当に一度、自来也様に体を診てもらいなさい
 気づいていないかもしれないが、チャクラが漏れている」


チャクラが漏れる・・・?

・・・パルコのチャクラか?

別に普段通りなんだが・・・先生が言うほどだ、診て貰うべきだろう

確か原作だと温泉地にいたよな

あいつの好みの宿を渡り歩いてみるか

先生に大きく頷き返し、すぐさま出立・・・の前に三代目のそばへ行く




「ん?どうしたコン君よ」

「今から仙人探しますけど・・・言伝とかありますか」

「・・・ふむ、なら蛇に注意するよう頼もうかのう・・・」

「了解です
 それでは失礼します」



シュロとイカリは先生に捕まっており、ついて来る気配はなさそうだ

先生と目が合う

親指を立てて頷かれる



・・・1人に、してくれてありがとう・・・




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自分に出来ないことはやらせないシナイちゃん

24時間組み手実行します



 
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