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転生赤龍帝のマフィアな生活

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三十五話:平穏と新たな厄介事

 
前書き
アンケートの結果次回の番外編は『俺の…子供だと?』になりました。
さて、どんな子供が生まれるのか……。
それと、もう一つの案が無くなったので今回はイリナを最大限にデレさせました。
それではどうぞ。
 

 

『ねえ、どうしてなの?』

『お、おい、やめやがれ』

『どうして私に振り向いてくれないの?』

『落ち着けイリナ!』

『どうして!?ねえ、どうして!!?私はこんなにイッセー君を愛してるのに!!!』

『待て、イリナ!』

『イッセー君は他の女の子のことばかりで私を見てくれない!!!』

『冷静になりやがれ!!』

『でも……もういいの……ふふふ』

『馬鹿が…っ!やめろ!!』

『イッセー君を、ずーっと私だけのものにする方法を思いついちゃったから』

『頼む…頼むから話を聞け!!』

『ごめんね、イッセー君。……私もすぐ逝くから…だから―――』




『イッショニ愛死アオウヨ?』




「はっ!?……はあ…はあ…夢…だったのか?」


見慣れた自分の部屋を見まわし、さっきまでの光景が夢だったと分かり安堵の息を零す
それにしても……やけにリアルな夢だったな。
まるで実際に起こっているかのような鮮明さだった
……不味い思い出しただけで身震いがする。

(相棒、大丈夫か?)
(カストカゲか……気分は最悪だ)
(恐らく、昨日のイリナとの一件のせいであのような夢を見たんだろう)
(あれか………)

そう言われて昨日の一件を思い出す。


~回想~



ヴァーリが帰った後、俺は直ぐにイリナに拉致されて校舎裏に連れてこられた。
正直言って、この時まではまさかあんなことになるとは思っていなかった。
せいぜい、喧嘩の相手をやらされる程度だと思っていた。
だが、現実は俺の予想を遥かに超えていた。
俺にずっと伝えたかったことがあると言って、震える唇で紡がれた言葉―――

「何…だと?……もう一回言ってくれねえか?」



「好き……ずっと…初めて会った時からイッセー君のことが好きだったの!」



顔を真っ赤にして目を潤ませながら伝えられた言葉―――好き
正直言って予想もしていなかったせいで言われた瞬間は思考が停止した。
イリナが……俺のことを……好き…だと?

信じられねえ……今までただ俺に突っかかって来る腐れ縁の幼馴染み程度にしか
思ってなかったイリナが俺のことを想っていたなんて、まだ信じられねえ。

「……本当なのか?」
「こんなことで嘘なんか言わないわ!イッセー君がまだ信じられないなら何回でも言うよ……
 好き!大好き!今も胸が張り裂けそうなぐらい大好き!!」
「イリナ……」

真っ直ぐに俺を見つめる目を見れば超直感になんざ頼らなくても分かる。
イリナは本気で俺のことが好きだ。それもかなり重症なレベルでな。
頬を赤らめてプルプルと震えながら俺への想いを伝え続けるイリナを痺れた頭で観察する。

今まで気にもしなかったが世間一般で言えば間違いなく可愛いと言える顔立ち。
あの男勝りだった女の子とは思えない程、女性らしくなった体つき。
………どうしようもなくイリナを異性だと意識してしまう。

ふと、気づくとイリナが近づいて来ていて俺のすぐ目の前に居た。
そして、俺の顔に近づくために精一杯、爪先立ちをし、そして―――チュッ

「えへへ……イッセー君の為に私の初めてをとってたんだからね?」

そうハニカミながらつい先ほどまで
俺の唇に触れていた自分の唇を愛おしそうに撫でるイリナ。
ああ……俺はイリナとキスしたんだな……ぼんやりとそんなことを考えるが
余りにも予想外の出来事が起こりすぎたせいか大して驚いてない自分に気づく。

「どうして無反応なの?……もしかして―――ホカノダレカトシタコトガアルノ?」
「今のが初めてだから、安心しろ。だからすぐにその殺気を抑えろ」
「そっかあ…私がイッセー君の初めてを貰ったんだ……ふふふ♪」

俺が初めてだと言うと嬉しそうに笑い始めるイリナ
危なかった……もし今のが初めてじゃなかったら間違いなく押し倒されて
殺られていただろうな……誤字じゃねえからな。

あ?本当に初めてかだと?当たり前だ。俺は今までそういった相手はいなかったんだ。
………ユニのは頬だったからセーフだろ……多分な。
それにしても、今のはドキドキした―――い、いや別にドキドキしてなんかねえぞ!
時間が経つにつれて嬉しさが出てくるなんてこともねえからな!?

「本当はイッセー君に私の全部を貰って欲しいんだけど
 ……それはまたのお楽しみにとっておくね」
「おい、俺に何させるつもりだ?」
「そ、そんなこと私に言わせようとしないでよね!イッセー君のエッチ!!」

恥ずかしそうにポッと頬を染めて俺の胸を叩いて来るイリナ。
今のは俺の失言だったかもしれねえが力の加減を少しは考えろ
叩かれた部分から嫌な音が聞こえる。

「……ねえ、イッセー君。イッセー君は私の事をどう思ってるの?」
「っ!?……そいつは………」

純粋な目で見つめられるのが耐えられずに思わず目を逸らしてしまう。
それにしても………俺はイリナのことをどう思っているんだ?

「ううん、やっぱり聞かなくてもいいや」
「あ?」
「イッセー君が鈍感なのは知ってるからすぐには答えが出せないことぐらい知ってるよ」

悪戯っぽく笑い背を向けるイリナ。

「それに今は私の事が好きじゃなくても―――必ず振り向かせて見せるから」

そう言って振り向きながら満面の笑顔で笑いかけてくるイリナに思わず見惚れてしまう。
少し、首筋が熱いのは時期的な問題だろう。断じて照れているわけではないからな?

「はっ……好きにしろ」

そっぽを向いてそう答える。

「うん、好きにするよ…イッセー君を振り向かせるためなら―――ドンナコトデモスルカラネ?」
「ある程度の節度は守りやがれ!!」
「私は一回、エクスカリバー持って帰らないといけないから、またねイッセー君!」
「話を聞きやがれ!?」

そうして、俺の言葉を聞かずにイリナは去って行ったのだった。
一体何をしてくるのかが怖すぎて想像したくねえ……。


~回想終了~





イリナの告白のせいであんな夢を見ちまったんだな……
と言うか薄々気づいていたんだが……イリナはやっぱり―――

(間違いなくヤンデレだろうな、相棒)
(ヤンデレで間違いありませんね、ご主人様)
(イリナたんに殺されるのを想像しただけで……ブヒイイイイイイッ!!)
(背後からナイフで刺されると言うのも中々おつだと思いませんか?一誠様)

だよな……やべえ、どうするよ?
あいつの事だから俺がどこに逃げようが追ってくるだろうし
下手に逃げて捕まったら夢のように殺されるか、監禁されそうだ……。

やばい、これイリナと引っ付く以外の選択肢がねえんじゃねえか?
おい、何か打開策はねえのか?

(監禁束縛プレイを楽しみましょう、イッセー様)
(ゼノヴィアたんをペロペロする)
(毎日、お仕置き(ご褒美)をしてもらいましょう、ご主人様)
(イリナたんに罵倒されながらいじめられましょう)

まともな意見が一つもねえじゃねえか!!
と言うか、一つを除いて捕まる以外の選択肢がねえじゃねえか!?
しかも、その残された一つはただ単に意味不明なだけじゃねえか!!

((((だって逃げられないでしょ?))))

くそが!言い返せねえ!!
俺自身イリナから逃れられるヴィジョンが浮かんでこないのは事実だ。
カストカゲ!何かねえのか!?

(諦めろ)
(もういい、お前はぐちゃぐちゃのペースト状にしてスライムに変えてやる)
(つまりドラゴンのスライムか?ははは、だんだんと慣れて来た自分がいやがる)

かなりやけくそ気味のカストカゲだが容赦する気はない。
宣言通りにスライムに変えてやろう。
歴代赤龍帝(マゾヒスト・ヴァーサーカーズ)も湧き上がっているが知ったことじゃねえ
俺も既にやけくそだ。

「一誠さん、起きてください」
「ユニか……もう起きてる」

俺を起こすために部屋に来たユニにそう答える。
そう言えば、最近は色々とあってユニと会えてなかったな……
ああ、我が家でただ一人の非戦闘員だけあって見てるだけで癒されるな。
ユニは変態と幼馴染みによって荒らされた俺の胃に優しい。

……そういやボンゴレ印の胃薬が本部の方にあったな。
今度、取り寄せておくか。このままだと俺の胃が崩壊しかねねえからな。
そんなことを考えながらユニを見ていると急に顔を赤らめ始めた、なんだ?

「あの…その……そんなに見つめられると…恥ずかしいです」

顔を真っ赤にして俯くユニ。
やばい、今の仕草だけで胃が大幅に修復された気がする。

「悪いな、少し、見とれて――ボーっとしてただけだ」
「そうですか……少し、残念です」
「何かいったか?」
「い、いえ、何でもありません」

少し、慌てたように首を振るユニに違和感を覚えるが
何に対する違和感までかは分からない。
一体ユニは何を言っていたのか?まあいい、取りあえず服を着替えるか。

「服を着替える。下がっていいぞ」
「あの…手伝います!」
「あ?ガキじゃねえんだ、一人で着替えられる」

そう言ってユニを部屋から出そうとするが次の言葉を聞いた瞬間にそれをやめてしまう。

「あの本音は…最近一誠さんと一緒に居られなかったので
 一秒でも多く一誠さんと過ごしたいだけなんです」
「ちっ、仕方ねえな」
「ありがとうございます!」

花の咲いたような笑顔で礼を言ってくるユニを見ていると元気が出るな……
べ、別に一緒に居たいと言うユニが可愛くて仕方がないとか思ってねえぞ!?
う、嘘じゃねえからな!?

「それに……私は一誠さんの許嫁なんです…負けません」
「ユニ?」
「いえ、何でもありません」

何故だろうか、いつもの笑顔と違ってやけに気合が入っているような気がするが……
深く探ると色々と俺にとってまずそうだからやめておくか。
さて、服を着替え終わったら面倒だが学校に行くか。





「む、イッセーじゃないか。ちょうどよかった少し話さないか?」
「ゼノヴィア……何でてめえが駒王学園にいる?しかも制服を着て
 ……いや、この感じは……そういうことか」
「話しが早くて助かるよ、まだ時間はあるから一度オカルト研究部に来てくれないか?」
「……いいだろう」

俺は一緒に登校しておいたクロームとアーシアを先に教室に向かわせてから
ゼノヴィアと共にオカルト研究部に行く。
クロームとアーシアまで付き合わせる必要はねえからな。
後で俺が説明すればいい程度の事だからな―――コウモリが一匹増えた程度なんざな。





オカルト研究部につくとそこには誰もおらずにいつもとは違う雰囲気が漂っていた。
てっきりリアス・グレモリーあたりがいるかと思ったがいねえってことは
特に俺を呼び出す予定はなくてゼノヴィアがただ単に俺と話したかっただけか。

「それじゃあ、まずは改めて自己紹介でもしようか。新しくグレモリー眷属の『騎士』になったゼノヴィアだ」
「まさか、聖剣使いがコウモリになるとはな。随分とおもしれえじゃねえか、破門でもされたのか?」
「その通りだよ。まあ、神がいない今となっては未練もないがな。それに―――」

そう言って何やらすっきりとしたように語るゼノヴィア。
表面上は分からないが、俺にはゼノヴィアの内に隠された気持ちが分かるぞ。
それは―――

「「イリナと離れられるからな」」

やっぱこれしかねえよな。
というか破門とか神の死とか無視してこれだけが理由じゃねえのか?
俺も同じ立場なら同じ選択をするしな。

「やはり、イッセーは分かってくれるか……」

若干涙ぐみながら俺の方を『理解者がいてくれた』という目で見つめてくるゼノヴィア
どうでもいいが、制服で涙を拭くな。新品だろうがそれ。

「ちっ……これで涙を拭け」
「ううう、ありがとう。君は存外優しいのだな」
「るせえ!」

ハンカチを渡してやるとそんなことを言って来たので怒鳴り返す。
そんなこと言ってると今すぐにでもハンカチ没収するぞ。

(ゼノヴィアたんの涙付きハンカチでハスハス)

「そのハンカチはくれてやる」
「ありがとう、助かる」

変態の変態発言に気づくこともなく、何の疑いを抱かずに礼を言うゼノヴィア。
こいつも、変態が実体化した時には守ってやらねえとやばそうだな。絶対狙われてるぞ。

(早く、ゼノヴィアたんクンカクンカしたい、ペロペロしたい)

ほら見ろ。若干慣れてきたが度し難い変態が虎視眈々と狙ってるだろ?
イリナには友達(サンドバック)にされ、変態にはターゲットにされる……
こいつもしかして世界で一番不幸なんじゃねえのか?

「イリナがいない、それだけで世界は変わっていく。
 ああ……サンドバックから解放されるこの瞬間までどれだけ待ったことか」

見ていて痛々しくなるほどの不遇っぷりだな……こいつには優しく接してやろう。
流石の俺でも可哀想に思えてくるからな。
泣きじゃくるゼノヴィアの頭を優しく撫でてやる。

「グスッ……何と言うかイッセーに頭を撫でられると落ち着くな。それにしても……この気持ちは一体――「ゼノヴィア、何羨ましいことしてるの?咬み殺すわよ」――ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

声のした方を顔を引きつらせてゆっくりと振り返ってみると
そこには真新しい制服に身を包んだ件の人物
紫藤イリナその人が立っていた。

「イッセー君、この制服、どう…かな?似合うかな?」

チラチラと上目遣いをしながら俺に尋ねてくるイリナは可愛いのだが
若干、どす黒いオーラが見えるのでぶっちゃけ怖い。

「似合ってるぞ」

似合ってないと言えばどうなるかぐらい俺にも分かるのでこれ以外の選択肢は無い。

「そっかあ…えへへ」

そう言ってやると嬉しそうに俺の腕に抱き着いて来るイリナ。
どうやらどす黒いオーラは消えてくれたみたいだ。
よかった……だが少々掴む力が強すぎないか?俺じゃなけりゃ折れてるぞ。

「イリナ……お前は何でいるんだ?」
「もともと神を咬み殺すために教会にいたんだからいない以上はいる意味無いもの。エクスカリバーを返してさっさと抜けて来たわ。それで後はイッセー君と一緒に居たいからこうして転校してきたの」
「そうか……」

ゼノヴィア、お前は間違いなく世界で一番不幸な人間だ。
だから『世界よ、私が何をしたというのだ!?』
と叫ぶお前を咎める者は誰もいないはずだ。

「それにしても……イッセー君ってモテるよね」
「知らん」

ジト目で見て来るイリナの顔が見れずにそっぽを向く。

「イッセー君はカッコイイからモテるのは仕方ないよね…でも、一番は私なんだから!」

何やら決意したかのように言うが俺には何のことか分からない。
そして掴まれた腕がそろそろ血が止まって痺れてきているのでいい加減、離して欲しい。
そう思ってイリナの方を見ると真剣な目で見られて固まってしまう。

「私の全てを賭けてイッセー君の一番になってみせるからね!絶対!!」

その瞬間、俺の心臓が大きく跳ねたような気がした。

 
 

 
後書き
ちゃんとデレが出せたか不安ですがちゃんとヤンデレになっていると信じています。
そして、そろそろイッセー争奪戦が起きそうですね(笑)



(´・ω・`)「哀れなゼノヴィアに魂の救済を」 
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