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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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新たなる旅立ち、これからの人生

<ラダトーム>

「な…べ、別に俺はこっちに残るつもりだけど、そんな言い方ねーだろ!」
「すまんすまん…つい感情が表に出ちゃったみたい。でもお前を連れて行かないのには理由があるんだよ」
まぁまぁ…と、両手で落ち着かせるように宥めるリュカ。
何時もの明るい口調で理由(ワケ)を説明し始めた。

「僕の世界にも『大盗賊カンダタ』ってのが居たんだ。もっとも、もう死んじゃってるけどね(笑)」
「何でそこで笑うんだよ!?」
「うん。だって殺したのは僕だし(大笑) ちょ~うけるよね~!」
今日一番の大笑いをするリュカ。

「ぜ、全然笑えねーよ!俺とは他人だと判っているけど、いい気分じゃねーよ!それに殺す事は無かったんじゃねーのか?アンタ何時もやりすぎなんだよ!」
「え~…だってぇ~…あの馬鹿、僕の家族を殺すって言ったんだよ!そんな事を言われたら、生かしとくワケにはいかないでしょう!?」
口調も表情も変わっていないのだが、声の質だけ鋭くなるリュカ…
別世界のカンダタに対する怒りなのは理解しているが、それでも脅えてしまう此方のカンダタ。

「う…わ、分かったよ…た、確かにそっちのカンダタは、地雷踏んだよ……でもさぁ、そっちのカンダタが死んでいるのなら、俺が行っても問題なくね?」
カンダタ自身は別にそれ程グランバニア行きを望んでいる訳では無いのだが、来る事を拒まれるとムキになってしまう性格な様で、しつこくリュカに理由を問い続ける。
「そう言う訳にもいかないよ」
だがリュカは、何時もの様に笑いながらカンダタが来る事を拒み続けた。

「僕の世界のカンダタはね、世界各地で悪行の限りをやり尽くしたんだ。『カンダタ』って名前だけで、人々は忌避する存在なんだよ。『死んだカンダタとは別人ですよー』って言っても、みんな憎しみを拭う事は出来ないんだよ…」
「確かにそうかもしれねーな………でもよ、それだったらこっちの世界でも同じだろ!?でも各国の王様に頼んで、改心した事を広めてもらえたから、大きな問題も起きなかったんだぜ!旦那はグランバニアの王様なんだろ!?世界中に『カンダタは良いヤツ』って広めてくれれば、俺もそっちで暮らし易くなるんじゃねぇの?」
カンダタはこっちの世界(表)で行った情報操作を、リュカ達の世界でも出来るのではないかと持ちかけ、行く気もないのに移住の準備を整えようと試みる。

「えぇ~…ヤだよ、めんどくせー!何で僕がお前の為に、各国の代表等にお願いしなきゃならないんだよ?『その代わりに…』とか言って、めんどくさい事を押し付けられたらどうすんだよ!?お前、外交折衝をなめんなよ…くだらねー事でも、後々言ってくるんだぞ!」
「わ、悪かったよ…そんなに怒るなよ…どうせそっちに行く気は無いのだから、別にムリしなくてもいいって…」
心底めんどくさそうな表情で言い責めてくるリュカに、かなりたじろぎながら謝るカンダタの姿は滑稽だ。

さて…
残るはミニモンとラーミアだけだが、勿論2人ともグランバニア行きが決定している。
ミニモンはモンスターであり、グランバニア以外の人間社会では目立ちすぎてしまう。
ラーミアは『ラーミア、リュカと一緒に行くゾ!リュカと逢えないのはイヤ!まだセッ○○してないんだゾ!』と、何時の間にか憶えたトンデモナイ言葉を大声で連呼したので、黙らせる為にも皆笑顔でグランバニア行きを認めたのだ。



「これで永久の別れだなリュカちん…」
「ああ、アルルの事は任せてくれ。僕の自慢の息子が絶対に幸せにするから…」
リュカとオルテガが力強く握手を交わす。
息子(オレ)(むすめ)に手を出すなよ!(笑)」
「…………………………」

「な、何で黙るんだよリュカちん!」
「あははははジョークだよ、ジョーク!大丈夫、僕は他人(ひと)の女には手を出さない。勿論知らなければ手を出しちゃうけどね!(笑)」
しんみりしかけた空気を笑いに変えたリュカ…
お陰でアルルは泣き顔で両親と別れずに済んだ。

「ではリュカ…もうよろしいですか?彼方の世界で、マスタードラゴンが準備を整え待ってます」
「おう、そうだったね!あのヒゲメガネに会って、今回の落とし前をキッチリ付けさせないとね!」
満面の笑みで故郷に思いを馳せるリュカ…
彼の笑顔が恐ろしく感じ背筋に悪寒が走るルビス…

ビアンカやアメリアなどはまだ握手や抱き合ったりして別れを惜しんでいるのだが、早急に帰したいルビスの意志で慌ただしい別れへと進んで行く。
「それじゃぁアメリアさん…旦那さんを放しちゃダメよ!」
「うん…ビアンカさんも愛人なんかに負けないで!」

「おいウルフ…尻に敷かれないよう気を付けろよ!」
「流石はカンダタ!経験者の言葉は重みが違うぜ!」

「モニカさん。そいつが悪さしないように、キッチリ手綱を握っていてよ!」
「マリーこそ…あの男の弟子を彼氏にするのだから、気を抜くんじゃないよ!」

最後の一瞬まで言葉を交わし続ける。
眩い光に包まれても、誰も目を閉じず心に姿を刻み込む。
別の世界で生き続ける家族の姿を………




「……行っちまったな…最後の最後まで騒がしくしながら」
「えぇ…なんせリュカ君の家族ですもの。常に明るく楽しい一家ですからね…」
オルテガとアメリアが寄り添いながら、先程までリュカ達が居た場所を見つめ続ける。

「では私は帰ります。勇者オルテガ…今回は本当にありがとうございました。貴方達やリュカ達のお陰で、世界に平和が訪れたのです」
何故だか心底安心した表情で感謝を述べるルビス。

「俺は何もしてないよ…ただ家族を守りたかっただけだから…礼ならリュカちん達に言ってくれ…ワザワザ異世界から、この世界を救いに来てくれたんだから!」
リュカに苦手心を持つルビスに不快感を憶えたオルテガ。
些かキツイ口調で言い捨てる。

「はい…まだ時間はかかりますけど、力が完全に戻ったらお礼をするつもりです。本当にリュカ達には助けられましたから…」
ルビスは微かに微笑むと、リュカ達が居た場所を見つめ溜息を吐いた。
そしてオルテガ等に頭を下げると、そのまま魔法で精霊の祠へと帰って行く…



最大のトラブルメーカーが居なくなったアレフガルドは平和になるだろう!



 
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