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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第五十一話 贈り物

 
前書き
リハビリ兼ねて、少し過去話。
 

 
ルナはヘッドパーツを外して、自室のベッドで寝ていた。
彼女は寝る時に髪を纏めている。
普段は男勝りな性格ゆえに身嗜みにこだわらないタイプと思われがちだが、そのまま寝ると髪が絡まるために髪留めで纏めている。
この髪留めはアクセルから貰った物なのであった。





































ルナがヤコブに向かう前の出来事。
アクセルは今日がルナの誕生日だと言うのを知り、彼女に渡す物を考えていた。
しかし、男しかいないレッドアラートにいたアクセルに同い年の女の子が喜びそうな物が分かるわけがない。

アクセル『取り敢えず、エックス達に聞いてみよう』





































司令室に向かうと、エックス、ルインがいた。

エックス『アクセル?』

ルイン『どうしたの?』

悩んでいるように見えるアクセルにエックスとルインが疑問符を浮かべた。

アクセル『ねえ、ルナってどんなものを貰うと喜ぶかな?』

エックス『え?』

ルイン『ああ、今日はルナの誕生日だっけ…』

アクセル『そうなんだよ。でも僕、女の子にプレゼントなんかしたことないし…』

ルイン『ゼロには?』

アクセル『ゼロがこういうの分かると思う?』

ルイン『思わない』

アクセルに聞かれたルインがキッパリと言うとエックスが苦笑したのが見えた。
確かに女心にかなり疎いゼロが女の子が喜ぶプレゼントが分かるのかといえば、分からないだろう。
ハッキリ言って毎年のアイリスの誕生日プレゼントは本人の願いを叶えることで何とかアイリスの誕生日を乗り切っているくらいだ。

アクセル『ルイン、アドバイス頂戴?』

ルイン『そうだね…』

可愛い後輩のアクセルの頼みにルインは、口元に手をやると考える。
そして次に口を開く。

ルイン『気持ちが篭っていれば、いいと思うよ?くれるだけで嬉しいし、何よりその気持ちが貰えるだけで私の場合は満足だよ』

エックス『そうだな。無理に高価な物を買うより、自分のことを思ってくれる気持ちが大事なんだと思う。』

アクセル『気持ち…分かった。ありがとう』

ルイン『そうだ。ルナは戦闘型だから、あまり邪魔にならない物の方がいいと思うよ』

アクセル『うん。』

ルインのアドバイスに頷くと、急いで街に向かう。

ルイン『エックス、アクセル可愛いね』

エックス『アクセルとルナを見ていると心が穏やかになるよ。あの子達には人を元気にする力があるのかもしれない』

ルイン『子供だからねえ』

アクセルとルナが聞いていたら確実に抗議しそうなことを言うルインにエックスも苦笑しながら頷いた。



































エックス『ルナ』

ルナ『ん?よう、エックス。何か用か?』

エックス『何か用か?じゃないだろう?誕生日おめでとう。これ、俺達から』

ルナ『お、サンキュー。これケーキだろ?ありがとよ』

エックス『そうそう。アクセルが屋上にいるから行ってやってくれないか?きっとプレゼントをどうやって渡すかで悩んでるだろうから』

ルナ『ん?アクセルも俺に?分かった。後で行くよ』






































しばらくして、仕事を終えたルナはアクセルがいるであろう屋上に向かうのだった。
そして屋上では、アクセルがプレゼントを持ってうんうん悩んでいた。

アクセル『それにしても…ここからの夕日って綺麗だなぁ…』

柄にもないことを呟きながらアクセルが空を眺めていたら。

ルナ『アクセル?』

後ろから思いがけない声が聞こえた。

アクセル『ル、ルナ!!』

ルナ『よう』

軽くパニックになる頭を抑えて、アクセルはラッピングされたそれを隠すとルナに訳を尋ねた。

アクセル『えっと…どうしてここに…』

ルナ『エックスからここにアクセルがいるって聞いてな。来たってわけだ』

アクセル『エックス…』

自分がここにいることをバラしたエックスを怨みながら、ルナを見遣る。

ルナ『綺麗な夕日だな。コーヒー持ってくりゃよかった』

アクセル『うん…ルナ、これ誕生日プレゼント』

アクセルはピンクのリボンでラッピングされているプレゼントを渡す。

ルナ『サンキュー…開けていいか?』

アクセル『うん』

プレゼントを開けると、それは…。

ルナ『これ…』

アクセルからのプレゼントは紅色の髪留めだった。

アクセル『ほら…今まで使っていた髪留めがボロボロだって前に言ってたじゃない?』

ルナ『え?』

確かに前のミッションで言ったかもしれないが、それは何気ない一言だったし、アクセルが覚えているとは思わなかった。
何だか嬉しいような恥ずかしいような気分となり、髪留めを手に取るとアクセルに飛びついて、アクセルの背中に両腕をました。

アクセル「っ!!?」

いきなりのことにアクセルは身体を硬直させる。

ルナ『サンキューな…その、着けていいか?』

アクセル『あ、うん…』

普段戦場では不敵な笑みを浮かべてイレギュラーを容赦なく倒す彼が、目の前の少女に心を乱されている。
しかし不思議と悪い感じはしなかった。
ヘッドパーツを外し、今まで愛用していた髪留めを解き、外す。
髪留めで纏められていた銀髪、サラッと広がる。
そしてアクセルがくれた髪留めを手慣れた手つきで結んでいつものポニーテールにする。

ルナ『どうだ?』

アクセル『あ、うん。似合ってるよ凄く』

紅色の髪留めがとても彼女に似合っていた。
本当に良かった。
ちゃんと渡せて喜んでもらえた。
悩んだ甲斐があったみたいで。

ルナ『そうだ。エックス達から貰ったケーキ食おう』

アクセル『本当!?美味しいよねエックス達の作ったケーキ。』

自動販売機でココアを買うと、ケーキを頬張る。

ルナ『うめえ…』

アクセル『美味しい♪』

ココアを飲みながら、語り合う。
これがルナがヤコブに向かう前の出来事であった。















































ルナ「…ん……」

起き上がると、辺りを見回す。
どうやら夢を見ていたようだ。

ルナ「アクセル…」

髪留めに触れながらアクセルの名を呟くルナ。
しばらくして、立ち上がり、部屋を後にした。 
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