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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第四十八話 アンノウン

メモリーに刻まれた“泣き顔”は、今もハッキリと残っている。
悲しみを隠し切れず、却って秘めたる感情を悟らせてしまう不器用な顔。

エックス「アクセルを助けなければ…!!」

時間は残されていない。
気絶してから一体どれだけの時間が流れたのか分からないが、今こうしているだけでもアクセルの未来は絶望へと追い込まれる。

エックス「行こうゼロ!!」

ゼロ「ああ」

2人が部屋を出ようとした時。

ゲイト「早く彼女を!!」

焦りの表情を浮かべたゲイトが部屋に入って来る。

エックス「ゲイト!?」

ゼロ「何があった?」

目を見開くエックスに代わり、ゼロが尋ねる。
ゲイトはようやくエックス達に気づいた。

ゲイト「ああ、気がついたのか。すまないがどいてくれ、怪我人だ」

エックス「ルナ!?」

重傷の彼女が担架に乗せられて運ばれてきた。

ルナ「へへ…悪い…ヘマやっちまった…」

ゲイト「全く、酷いもんだよ…長い間事務仕事しかしてなかったからかもしれない」

エックス「ルナ…」

ルナ「俺のことはいいから…司令室に」

ゼロ「…分かった」

彼女が苦痛を押して頼んでいる。
エックスもゼロも彼女が気掛かりではあったが、己がやるべきことを思い、司令室に向かった。








































エックス達が目覚める前にルインはトロイアベースにダイブしていた。
トロイアベースは新世代型レプリロイドを訓練するために造られたトレーニング施設である。
多くの新世代型レプリロイドがここで研修を受けて、月面へと旅立って行く。
人類が生き延びるために掲げた“ヤコブ計画”。
その成功のために造られた施設が、敵の巣窟の1つと化していた。
仮想空間は暗い色調に光が輝き、幻想的な雰囲気を作っている。
幾何学的な模様が空中に浮かび、時の移ろいに合わせて明滅している。
引き込まれてしまいそうな、不思議な光景だ。
光に惑わされずに訓練を行うのも、立派な訓練と思えてしまう。
ルインは第一のバーチャルプログラムを攻略し、通路を駆け抜けている。

アイリス『ルイン、これまでのデータから、今回のイレギュラーのパターンを解析したんだけど、気になる共通点を発見したの』

ルイン「共通点?」

ルインをナビゲートしながら、アイリスが静かな声で伝える。
彼女の声はとても透き通っていた。
例え伝える事実が重いものであっても、ルインはアイリスの言葉に耳を傾けた。

アイリス『コピーチップのパターンがシグマのDNAに似ているのよ。これが何を意味するのかは分からないけれど、気になるわね。』

ルイン「アイリス…」

アイリスの声が低い。
レプリフォースが滅びる原因を作り、兄を死なせるきっかけを作ったシグマに対する憎しみはエックス達にも劣らないだろう。

ルイン「大丈夫だよ。今までだって何とかなったじゃない。シグマを倒してアクセルを助ける。それで終わり」

アイリス『そうね…』

ルイン「さてと、さっさと終わらせよう。次はどんなプログラム?」

アイリス『えっと…空を飛ぶマメQを撃破して、それから…』








































バーチャルトレーニングの攻略は順調であった。
趣向を凝らした訓練が続いたが、ルインは落ち着いて高得点でクリアしていく。

ルイン「アクセルなら…楽しんでたろうな…」

顔を綻ばせた。
彼女の知る、やんちゃな少年はこういったゲームのようなミッションが大好きだった。
しばらくして、最深部に辿り着いた。
トロイアベースの最深部にいたのは、向日葵を模したレプリロイド。
ルインを見るなり奇声を上げた。

ルイン「あなたが、オプティック・サンフラワードだね?」

サンフラワード「イレギュラーハンター!?違う違う。あなたは誰?私は…」

ルイン「…どうやら完全にイレギュラー化したようだね」

オプティック・サンフラワードは、優秀な新世代型レプリロイドであった。
天才と狂人は紙一重というのか、今は完全なイレギュラーだった。

サンフラワード「違う違う。私は選ばれた存在。あなた達旧世代には理解出来まい」

ルイン「分かる気もないよ。旧世代だとか新世代だとかは関係ない。私はあなた達を倒して戦いを終わらせる。それだけ」

チャージショットを放つ。
不意打ちを喰らったサンフラワードが吹き飛ぶ。

ルイン「言っておくよ。今の私は機嫌が悪いの。あなた達のような奴らが仲間を傷つけるから。アクセルを返してもらう!!」

サンフラワード「アクセル…進化し損ねた子供…。」

ルイン「黙れ!!」

オーバードライブ。
一時的な潜在能力解放。
その圧倒的な力はサンフラワードのレーザーなどものともせずに攻撃を叩き込む。
レーザーは滑らかな床を焦がし、壁一面にレーザーの痕跡が刻まれていた。

ルイン「消えろ!!」

サンフラワードの攻撃をかわしながらチャージセイバーで両断する。

サンフラワード「旧世代に…敗れるとは……」

愕然と呟きながらサンフラワードは爆発した。
光属性のレプリロイドだけあって、放つ光の量も半端ではなかった。

ルイン「関係ないよ。旧世代も新世代も。大体何様のつもり?あなた達に世界のことを決める権利なんかない」

それだけ言うとルインは気配を感じた。
そこに視線を遣ると…。
見覚えがある姿。
小柄な少年のシルエット。
特徴のあるヘッドパーツに、尖った髪が微かに揺れ動いた。
光の具合で色彩は分からないが、間違いなく再会を願った仲間であった。

ルイン「アクセル!?」

光が邪魔だと思いながらも、ルインはアクセルに駆け寄ろうとする。
まだ爆発が続いていたために、触れることは出来なかったけれど、無事を確認したかった。
アクセルは無言で佇んでいる。
表情は光のせいでよく分からない。

ルイン「アクセル、無事に逃げ出せたんだね?よかった…」

光が完全に消えていて、もっと警戒していれば、アクセルの様子が普段と全く違うことに気づけていただろう。
純白のボディに、紅い瞳…。
瞳が、氷の如く冷たいことに。
銃声が響く。

ルイン「!?」

突然のことに、目を見開きながらも、ルインはセイバーで銃弾を弾き返す。
烈鏡断。
エイリアが倒した、アースロック・トリロビッチから入手した技。
これにより、セイバーでエネルギー弾を弾くことが可能となった。

アクセル「無事に決まってるじゃないか。僕は選ばれた新世代型なんだから…」

アクセルは…ルインの知らないアクセルという名の少年は、神の如き傲慢な笑みを浮かべながら言い放った。










































そして、治療を終えてベッドで横たわっていたルナは勢いよく起き上がる。

ルナ「なんだ…この胸騒ぎ…?」

高鳴り続ける動力炉付近を押さえながら、司令室にむかう。
司令室に入ると、モニターが突如異変を起こした。
アイリスが操る端末が、何の前触れもなく砂嵐を巻き起こした。

アイリス「これは…!?」

ルナ「え…これ…」

シグナス「どうした!!?」

驚愕の声を上げるアイリスと呆然となるルナにシグナスが詰問する。

アイリス「電波障害発生。ルインと通信が繋がりません…そしてエネルギーを感知しました。このエネルギー反応は…アクセル!?」 
 

 
後書き
ホワイトアクセル登場。
性格はコピーエックスを参考にしてみました。 
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